米国株決算スケジュールを確認すべき理由
米国株を保有しているものの、「決算発表日がわからない」「決算前後で株価が大きく動いて驚いた」「いつ決算があるのか調べ方がわからない」といった経験はありませんか?
米国企業は四半期ごと(年4回)に決算を発表し、その内容によって株価が大きく変動することがあります。決算スケジュールを事前に把握しておくことで、予期しない株価変動リスクを管理できます。
この記事では、米国株の決算カレンダーの調べ方、決算発表前後の株価変動パターン、EPSサプライズの読み方、日本時間での対応法を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 米国企業は四半期ごと(年4回)に決算発表を行う
- Yahoo Finance、NASDAQ、Earnings Whispersなどで決算カレンダーを確認できる
- 決算発表前後は株価ボラティリティが上昇し、短期売買はリスクが高い
- 好決算でも株価が下落するケース(既に織り込み済み)がある
- 発表時間は米国東部時間の取引前後が多く、日本時間では深夜〜早朝
(1) 四半期決算(Earnings Report)の重要性
米国企業は、四半期ごと(3か月ごと)に決算を発表します。決算発表では、以下の情報が公開されます:
- 売上高(Revenue): 企業の収益
- EPS(Earnings Per Share:1株利益): 1株あたりの利益
- ガイダンス(Guidance): 次期業績予想
これらの情報は、株価に大きな影響を与えます。市場予想を上回れば株価が上昇し、下回れば下落する傾向があります。
(2) 決算発表前後の株価ボラティリティ上昇
決算発表の前後は、株価のボラティリティ(変動幅)が上昇します。
ボラティリティ上昇の理由:
- 投資家が決算結果を予測して売買する
- 機関投資家がポジションを調整する
- 決算発表直後に大きな売買が入る
例えば、決算発表前に5%上昇した株価が、決算発表後に10%下落するといったケースもあります。
(3) 長期投資家も知っておくべき決算リスク
長期投資家であっても、決算スケジュールを把握しておくことは重要です。
長期投資家が決算を確認すべき理由:
- 予期しない株価急落に慌てないため
- 企業の業績トレンドを追うため
- 買い増しのタイミングを検討するため
決算発表で一時的に株価が下落しても、長期的には業績が回復する場合があります。決算を定期的にチェックすることで、企業の健全性を評価できます。
決算カレンダーの調べ方:主要サイトと日本の証券会社
米国株の決算スケジュールは、以下のサイトや証券会社で確認できます。
(1) Yahoo Finance Earnings Calendar
Yahoo Financeは、無料で利用できる決算カレンダーを提供しています。
URL: https://finance.yahoo.com/calendar/earnings
使い方:
- 日付を選択すると、その日に決算発表がある企業がリストアップされる
- 企業名、ティッカーシンボル、発表時刻(プレマーケット/アフターマーケット)が表示される
- EPS予想も確認できる
Yahoo Financeは、米国市場の決算スケジュールを網羅しており、初心者にも使いやすいツールです。
(2) NASDAQ Earnings Calendar
NASDAQも、決算カレンダーを提供しています。
URL: https://www.nasdaq.com/market-activity/earnings
特徴:
- NASDAQ上場企業の決算スケジュールが詳細に記載されている
- EPS予想、売上高予想も確認できる
- 過去の決算履歴も参照可能
(3) Earnings Whispersでの予想と実績比較
Earnings Whispersは、決算予想と実績を比較できるサイトです。
URL: https://www.earningswhispers.com/calendar
特徴:
- アナリストの予想EPS、売上高が詳細に記載されている
- 過去の決算サプライズ(予想との乖離)も確認できる
- 決算発表前のコンセンサス予想を把握できる
(4) SBI証券・楽天証券・マネックス証券の決算カレンダー
日本の証券会社も、米国株の決算カレンダーを提供しています。
SBI証券:
- 米国株決算スケジュールページで、主要企業の決算発表日を確認できる
- 日本時間表示で分かりやすい
楽天証券:
- 米国株決算情報ページで、決算速報も提供
- 決算発表後の株価動向も確認できる
マネックス証券:
- 米国株決算カレンダーで、EPS予想も表示
- 決算発表前のアラート機能も利用可能
(5) SEC EDGAR(8-Kフォーム)での公式確認
SEC(米国証券取引委員会)のEDGARデータベースでは、企業が提出する決算報告書(8-Kフォーム)を確認できます。
URL: https://www.sec.gov/cgi-bin/browse-edgar?action=getcompany&type=8-K
使い方:
- 企業名またはティッカーシンボルで検索
- 8-Kフォーム(決算発表時に提出される書類)を確認
- 公式の決算データを取得できる
SEC EDGARは公式情報源のため、信頼性が高いですが、英語の財務書類を読む必要があります。
決算発表前後の株価変動パターンとリスク
決算発表前後の株価は、特定のパターンで変動することがあります。
(1) 決算前の株価変動(earnings run-up)
決算発表前の1〜2週間で、株価が上昇または下落する現象を「earnings run-up」と呼びます。
理由:
- 投資家が好決算を期待して買いを入れる
- 逆に、悪い決算を予想して売りを入れる
この現象により、決算発表前に株価が大きく動くことがあります。
(2) 決算発表のタイミング(プレマーケット・アフターマーケット)
米国企業の決算発表は、以下のタイミングで行われます:
タイミング | 米国東部時間 | 日本時間(夏時間) | 日本時間(冬時間) |
---|---|---|---|
プレマーケット | 取引開始前(7:00〜9:30) | 20:00〜22:30 | 21:00〜23:30 |
アフターマーケット | 取引終了後(16:00〜20:00) | 5:00〜9:00(翌朝) | 6:00〜10:00(翌朝) |
アフターマーケット(取引終了後)の発表が多いため、日本時間では深夜〜早朝になることがあります。
(3) 好決算でも株価が下落するケース(既に織り込み済み)
決算が市場予想を上回っても、株価が下落することがあります。
理由:
- 好決算が既に株価に織り込まれている(Sell the fact)
- ガイダンス(次期業績予想)が市場予想を下回る
- 利益確定売りが入る
例えば、決算発表前に株価が20%上昇していた場合、好決算でも「既に織り込み済み」として売られることがあります。
(4) 決算発表直後のボラティリティ上昇リスク
決算発表直後の数時間は、株価が大きく変動するリスクがあります。短期売買をする場合は、以下のリスクに注意してください:
- 想定外の株価変動
- 流動性の低下(取引量が少ない時間帯)
- 感情的な判断による損失
EPSサプライズとガイダンスの読み方
決算発表では、EPS(1株利益)とガイダンス(次期業績予想)が重要な指標です。
(1) EPS(Earnings Per Share:1株利益)とは
EPSは、企業の利益を発行済株式数で割った指標です。
EPS = 当期純利益 ÷ 発行済株式数
EPSが増加すれば、1株あたりの価値が高まります。
(2) コンセンサス予想とEarnings Surprise(決算サプライズ)
コンセンサス予想は、アナリストの予想EPSの平均値です。
決算サプライズ:
- ポジティブサプライズ: 実績EPSが予想を上回る → 株価上昇の可能性
- ネガティブサプライズ: 実績EPSが予想を下回る → 株価下落の可能性
例えば、予想EPSが2.00ドル、実績EPSが2.20ドルなら、+10%のポジティブサプライズです。
(3) ガイダンス(Guidance:次期業績予想)の重要性
ガイダンスは、企業が発表する次期業績予想です。
ガイダンスが株価に与える影響:
- ガイダンスが市場予想を上回る → 株価上昇
- ガイダンスが市場予想を下回る → 株価下落
好決算でも、ガイダンスが弱いと株価が下落することがあります。
(4) 決算発表後の株価への影響
決算発表後の株価は、以下の要素で決まります:
- EPS実績 vs コンセンサス予想
- ガイダンス vs 市場予想
- 決算発表時のコメント(CEOの発言など)
これらを総合的に判断して、投資家は売買を行います。
日本時間での対応法:深夜発表への備え
米国の決算発表は、日本時間では深夜〜早朝になることが多いです。
(1) 米国東部時間と日本時間の換算
米国東部時間(ET)と日本時間(JST)の時差:
- 夏時間(3月〜11月): 日本時間 = 米国東部時間 + 13時間
- 冬時間(11月〜3月): 日本時間 = 米国東部時間 + 14時間
例えば、米国東部時間の16:00(取引終了後)は、日本時間の5:00〜6:00(翌朝)です。
(2) 決算発表が日本時間深夜〜早朝になるケース
アフターマーケット(取引終了後)の決算発表は、日本時間の深夜〜早朝になります。
対応法:
- 深夜にリアルタイムで確認する必要はない(長期投資家の場合)
- 翌朝の日経新聞や証券会社の速報で確認する
- 短期売買をしている場合は、深夜対応が必要な場合もある
(3) 決算発表後の日経新聞・証券会社速報の活用
翌朝、以下の媒体で決算速報を確認できます:
- 日本経済新聞: 米国企業決算の速報を掲載
- SBI証券・楽天証券: 決算速報ページで主要企業の決算結果を確認
- Yahoo Finance: 決算発表後のEPS実績、株価変動を確認
(4) 長期投資家は決算に一喜一憂しない戦略
長期投資家は、決算発表で一時的に株価が下落しても、冷静に対応することが重要です。
長期投資家の心構え:
- 1回の決算で投資判断を変えない
- 複数回の決算トレンドを見る
- 企業の長期的な成長性を重視する
短期的な株価変動に惑わされず、長期的な視点で投資を続けましょう。
まとめ:決算スケジュールを活用した投資戦略
米国株の決算スケジュールを事前に把握することで、予期しない株価変動リスクを管理できます。Yahoo FinanceやNASDAQ、日本の証券会社のツールを活用し、決算発表日を確認しましょう。
次のアクション:
- 保有銘柄の決算発表日をYahoo Financeで確認する
- 決算前後の株価ボラティリティ上昇リスクを理解する
- EPS予想とガイダンスをチェックし、決算サプライズに備える
- 長期投資家は決算に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を続ける
- 短期売買をする場合は、決算前にリスク管理を徹底する
決算発表は、企業の業績を評価する重要な機会です。決算スケジュールを活用し、賢い投資判断を行いましょう。投資判断は自己責任で行い、不明点は証券会社や専門家にご相談ください。
※決算スケジュールは企業が変更する可能性があるため、最新情報は各サイトでご確認ください。