米国株ETFとは何か
米国株投資を始めたいと思っても、「どの銘柄を選べばいいかわからない」「個別株は難しそう」と感じる初心者の方は多いです。
そんな時に便利なのが「米国株ETF」です。ETFを使えば、1銘柄で数百〜数千の米国株に分散投資でき、リスクを抑えながら米国株市場全体の成長に乗ることができます。
この記事では、米国株ETFの仕組み、主要銘柄、投資信託との違い、選び方、購入方法について詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 米国株ETFは、米国株の指数(S&P500、NASDAQ等)に連動する上場投資信託
- 主要ETFは、VOO・SPY(S&P500連動)、QQQ(NASDAQ100連動)、VTI(米国全体)
- ETFは投資信託より経費率が低く、リアルタイム取引が可能だが、自動積立には対応していない
- NISA成長投資枠で購入可能で、配当・売却益が非課税(米国での10%源泉徴収は適用)
(1) ETFの仕組み
ETF(Exchange Traded Fund)とは、「上場投資信託」のことで、株式のように証券取引所で売買できる投資信託です。
米国株ETFは、特定の指数(S&P500、NASDAQ100等)に連動するように運用されており、1銘柄を買うだけで、その指数に含まれる数百〜数千の企業に分散投資できます。
例えば、S&P500連動ETFを買えば、米国の主要500社(Apple、Microsoft、Amazon等)に自動的に分散投資したことになります。
(2) この記事でわかること
この記事では、以下の内容を解説します。
- 米国株ETFの主要銘柄と特徴
- ETFと投資信託の違い
- ETFの選び方(投資目的別)
- 購入方法と手数料(NISA対応含む)
米国株ETFの主要銘柄(S&P500、NASDAQ等)
米国株ETFには多くの種類がありますが、ここでは代表的なETFを紹介します。
(1) VOO・SPY(S&P500連動)
S&P500指数は、米国の主要500社で構成される株価指数です。S&P500連動ETFを買えば、米国の大型株に幅広く分散投資できます。
VOO(Vanguard S&P 500 ETF):
- 運用会社: Vanguard(バンガード)
- 経費率: 0.03%(年率)
- 配当利回り: 約1.5%前後(2025年時点)
- 純資産総額: 約4,000億ドル以上
- 特徴: 超低コストで、長期投資に適している
SPY(SPDR S&P 500 ETF Trust):
- 運用会社: State Street Global Advisors
- 経費率: 0.09%(年率)
- 配当利回り: 約1.5%前後
- 純資産総額: 約5,000億ドル以上(世界最大のETF)
- 特徴: 流動性が極めて高く、取引量が多い
※経費率や配当利回りは変動する可能性があるため、最新情報は各ETFの公式サイトで確認してください。
(2) QQQ(NASDAQ100連動)
NASDAQ100指数は、ナスダック市場に上場する主要100社(主にテクノロジー株)で構成されます。
QQQ(Invesco QQQ Trust):
- 運用会社: Invesco
- 経費率: 0.20%(年率)
- 配当利回り: 約0.6%前後
- 純資産総額: 約2,000億ドル以上
- 特徴: Apple、Microsoft、Googleなどのテック株に集中投資
QQQは高成長が期待できる一方、テクノロジーセクターに偏っているため、市場環境によっては大きく変動します。
(3) VTI(米国全体)
VTI(Vanguard Total Stock Market ETF):
- 運用会社: Vanguard
- 経費率: 0.03%(年率)
- 配当利回り: 約1.5%前後
- 純資産総額: 約3,000億ドル以上
- 特徴: 米国株式市場全体(約4,000銘柄)をカバー
VTIは、大型株だけでなく中小型株も含むため、米国株市場全体に分散投資したい場合に適しています。
(4) セクター別ETF
セクター別ETFは、特定の業種(テクノロジー、ヘルスケア、エネルギー等)に集中投資するETFです。
- VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF): 高配当株に特化
- XLK(Technology Select Sector SPDR Fund): テクノロジーセクター
- XLV(Health Care Select Sector SPDR Fund): ヘルスケアセクター
セクター別ETFは、特定の業種に強気な場合に使いますが、集中投資リスクがあるため注意が必要です。
米国株ETFと投資信託の違い
米国株に投資する方法として、ETFと投資信託の2つがありますが、どちらを選べばよいでしょうか。
(1) 手数料(信託報酬)の違い
項目 | 米国株ETF | 投資信託(米国株式インデックス) |
---|---|---|
経費率(信託報酬) | 0.03〜0.20% | 0.09〜0.50% |
売買手数料 | あり(証券会社による) | なし(ノーロード) |
為替手数料 | あり(ドル転必要) | 投信内で自動処理 |
米国株ETFは経費率が低い傾向がありますが、売買手数料や為替手数料がかかるため、トータルコストで比較する必要があります。
(2) 取引方法の違い
米国株ETF:
- 株式のようにリアルタイムで売買可能
- 市場が開いている時間(日本時間23:30〜翌6:00)に取引
- 指値注文・成行注文が可能
投資信託:
- 1日1回の基準価額で取引
- 購入申込後、翌営業日以降に約定
- リアルタイム取引は不可
リアルタイム取引をしたいならETF、自動積立を重視するなら投資信託が向いています。
(3) 最低投資額の違い
米国株ETF:
- 1株から購入可能
- VOOなら約400ドル(約6万円)程度から
投資信託:
- 100円から積立可能(証券会社による)
- 少額から始めやすい
少額から始めたいなら投資信託、まとまった金額を投資するならETFが適しています。
米国株ETFの選び方
ETFを選ぶ際のポイントを見ていきましょう。
(1) 投資目的別の選び方
米国株全体に分散投資したい:
- VOO・SPY(S&P500連動)
- VTI(米国全体)
高成長を狙いたい:
- QQQ(NASDAQ100連動)
配当収入を重視:
- VYM(高配当株ETF)
特定セクターに投資:
- XLK(テクノロジー)、XLV(ヘルスケア)等
(2) 経費率(信託報酬)の比較
経費率は、ETFの年間運用コストです。低いほど長期的なリターンが高くなります。
- 0.03%: VOO、VTI(超低コスト)
- 0.09%: SPY
- 0.20%: QQQ
経費率の差は小さく見えますが、長期投資では大きな差になります。
(3) 流動性の確認
流動性が高いETFは、売買しやすく、スプレッド(買値と売値の差)が小さいです。
VOO、SPY、QQQ、VTIなどの主要ETFは流動性が高く、初心者でも安心して取引できます。
米国株ETFの購入方法と手数料
米国株ETFは、国内のネット証券で購入できます。
(1) 証券会社での購入方法
SBI証券:
- 米国株取引手数料: 約定代金の0.495%(税込、最低0ドル〜)
- 定期買付サービスあり
- NISA対応
楽天証券:
- 米国株取引手数料: 約定代金の0.495%(税込)
- 一部ETFは手数料無料(買付時)
- NISA対応
マネックス証券:
- 米国株取引手数料: 約定代金の0.495%(税込)
- 米国株取扱銘柄が多い
- NISA対応
※手数料は変更される可能性があるため、最新情報は各証券会社の公式サイトで確認してください。
(2) 売買手数料
米国株ETFの購入には、以下のコストがかかります。
- 売買手数料: 約定代金の0.495%程度
- 為替手数料: 円→ドル転換時に片道0.25円/ドル程度
- 経費率: 年率0.03〜0.20%程度
トータルコストを考慮して、投資信託と比較しましょう。
(3) NISA口座での購入
米国株ETFは、NISA成長投資枠で購入できます。
- 年間投資上限: 240万円
- 非課税期間: 無期限
- 配当・売却益: 日本の税金が非課税(米国での10%源泉徴収は適用)
NISA口座を活用すれば、配当や売却益にかかる日本の税金(20.315%)が非課税になります。
まとめ:米国株ETFで分散投資を始めよう
米国株ETFは、1銘柄で数百〜数千の米国株に分散投資でき、低コストで米国株市場全体の成長に乗ることができます。
次のアクション:
- 投資目的に応じてETFを選ぶ(VOO・SPY、QQQ、VTI等)
- 証券会社で口座を開設(NISA口座推奨)
- 少額から始めて、市場の動きを学ぶ
- 長期的な分散投資を継続
米国株ETFは、初心者でも始めやすい投資手段です。経費率や流動性を比較し、自分の投資目的に合ったETFを選びましょう。投資判断は自己責任で行い、不明点は専門家に相談してください。