米国株ETFって何?投資信託とどう違うの?
米国株投資に興味がある方の中には、「ETF」という言葉を耳にしたことがあるものの、「投資信託とどう違うの?」「個別株とはどう違うの?」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
この記事では、米国株ETFの仕組みと、日本から投資する方法を初心者にもわかりやすく解説します。
この記事のポイント:
- ETF(上場投資信託)は株式のように取引所で売買できる投資信託
- 1つのETFで数百〜数千の企業に分散投資でき、個別株より低リスク
- 投資信託と違いリアルタイムで売買可能、経費率も低い傾向
- 主要ETFはVOO(S&P500連動)、QQQ(NASDAQ100連動)、VYM(高配当)など
- 日本の証券会社で購入可能、NISA口座なら配当・譲渡益が国内非課税
1. 米国株ETFとは何か
ETFとは「Exchange-Traded Fund(上場投資信託)」の略で、株式のように証券取引所で売買できる投資信託です。通常の投資信託は1日1回の基準価額で売買されますが、ETFは株式と同じように、取引時間中であればリアルタイムで売買できます。
米国株ETFは、米国株式市場に上場しているETFのことで、S&P500やNASDAQ100などの指数に連動するもの、高配当株に投資するもの、特定セクター(ハイテク・ヘルスケアなど)に投資するものなど、多種多様な銘柄があります。
1つのETFを購入するだけで、数百〜数千の企業に分散投資できるため、個別株投資より低リスクで運用できる点が最大の特徴です。
2. ETFの仕組みと基本的な特徴
(1) 上場投資信託としての仕組み
ETFは、投資信託の一種でありながら、株式のように証券取引所に上場しています。投資家はETFの株式(シェア)を証券会社を通じて売買します。
例えば、S&P500連動ETF「VOO(Vanguard S&P 500 ETF)」を1株購入すると、S&P500構成銘柄500社に自動的に分散投資したことになります。
(2) Creation/Redemptionメカニズム
ETFには「Creation(設定)」と「Redemption(解約)」という仕組みがあります。機関投資家がETF運用会社に対して、バスケット単位(大量の株式をまとめたもの)でETF株式を作成・解約します。
このメカニズムにより、ETFの市場価格と純資産価値(NAV)の乖離が最小化され、適正価格で取引されます。
(3) リアルタイム取引が可能
通常の投資信託は、1日1回、取引終了後に算出される基準価額でしか売買できません。一方、ETFは取引時間中いつでも売買でき、指値注文・成行注文も可能です。
この柔軟性は、短期的な価格変動に対応したい投資家にとって大きなメリットです。
3. ETFと個別株・投資信託との違い
(1) 分散投資効果の違い
- 個別株:1銘柄に集中投資。企業の業績悪化で大きく下落するリスクあり
- ETF:1つのETFで数百〜数千の企業に分散投資。特定企業の不振の影響が小さい
- 投資信託:ETF同様に分散投資できるが、取引方法・コストが異なる
分散投資効果では、ETFと投資信託はほぼ同等です。
(2) 取引方法の違い(リアルタイム vs 1日1回)
項目 | ETF | 投資信託 | 個別株 |
---|---|---|---|
取引タイミング | リアルタイム | 1日1回 | リアルタイム |
注文方法 | 指値・成行 | 基準価額 | 指値・成行 |
売買単位 | 1株から | 100円から | 1株から |
ETFは株式と同様の柔軟な取引が可能です。
(3) 経費率(コスト)の比較
ETFの経費率(年間保有コスト)は、投資信託より低い傾向があります。
種類 | 経費率(年率) | 例 |
---|---|---|
米国株ETF | 0.03〜0.5% | VOO(S&P500連動): 0.03% |
日本の投資信託 | 0.1〜1.0% | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500): 0.09% |
アクティブ投資信託 | 1.0〜2.0% | アクティブファンド平均 |
VOOの経費率0.03%は、100万円投資した場合、年間300円しかかかりません。
4. 主要な米国株ETFの種類
(1) S&P500連動ETF(VOO・SPY等)
S&P500指数(米国大型株500社)に連動するETFです。代表的な銘柄は以下の通りです:
- VOO(Vanguard S&P 500 ETF):経費率0.03%、最も低コスト
- SPY(SPDR S&P 500 ETF Trust):世界最大のETF、流動性が高い
- IVV(iShares Core S&P 500 ETF):経費率0.03%、VOOと同等
長期投資家に最も人気のある米国株ETFです。
(2) NASDAQ100連動ETF(QQQ等)
NASDAQ100指数(ハイテク大手100社)に連動するETFです。
- QQQ(Invesco QQQ Trust):アップル・マイクロソフト・アマゾン・アルファベット(Google)など、ハイテク大手に集中投資
S&P500より成長性が高い一方、価格変動も大きい傾向があります。
(3) 高配当ETF(VYM・SPYD等)
配当利回りの高い銘柄に投資するETFです。
- VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF):配当利回り3%前後、米国高配当株に分散投資
- SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF):配当利回り4%前後、S&P500の高配当株80銘柄
インカムゲイン(配当収入)重視の投資家に人気です。
(4) セクター別ETF・テーマ型ETF
特定のセクター(業種)やテーマに投資するETFもあります。
- XLK(Technology Select Sector SPDR Fund):情報技術セクター
- XLV(Health Care Select Sector SPDR Fund):ヘルスケアセクター
- ARKK(ARK Innovation ETF):革新的企業(テスラ・ロク等)
リスクは高いですが、特定セクターの成長に賭けたい投資家向けです。
5. 日本から米国株ETFを購入する方法と税制
(1) 主要ネット証券での購入方法(SBI・楽天・マネックス)
日本の主要ネット証券で米国株ETFを購入できます。
購入手順:
- 証券会社で口座開設(SBI証券・楽天証券・マネックス証券など)
- 米国株取引口座を開設
- 日本円を米ドルに両替
- 米国株ETFを購入(ティッカーシンボルで検索)
SBI証券や楽天証券では、主要ETFの買付手数料無料キャンペーンを実施しています(VOO・QQQ・VYMなど対象)。
(2) 手数料の種類(売買手数料・為替手数料)
米国株ETF投資でかかる主な手数料は以下の通りです:
手数料 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
売買手数料 | 約定代金の0.495%(最低0ドル〜上限22ドル) | NISA口座なら無料(主要証券) |
為替手数料 | 片道25銭〜1円 | 住信SBIネット銀行経由なら片道6銭 |
経費率 | 年率0.03〜0.5% | ETF保有中に自動的に差し引かれる |
売買手数料は、買付時に無料の証券会社が増えています。
(3) 配当と譲渡益の税金
米国株ETFの配当・譲渡益には、以下のように課税されます:
配当:
- 米国で10%源泉徴収(自動)
- 日本で20.315%課税(所得税15.315% + 住民税5%)
- NISA口座なら日本の20.315%は非課税(米国10%は課税される)
譲渡益:
- 日本で20.315%課税
- NISA口座なら非課税
特定口座(源泉徴収あり)なら、確定申告不要で自動的に納税されます。
(4) NISA口座での購入メリット
新NISA(2024年開始)の成長投資枠では、年間240万円まで米国株ETFを非課税で購入できます。
NISAのメリット:
- 配当金の日本での税金(20.315%)が非課税
- 譲渡益の税金(20.315%)が非課税
- つみたて投資枠では一部のETFのみ対象(VOO・VTI等)
注意点:
- 米国での源泉徴収10%は免除されない
- 外国税額控除は使えない(NISA口座内の配当は対象外)
NISA口座を優先的に活用することで、税負担を大きく軽減できます。
6. まとめ:米国株ETFで投資を始めるメリット
米国株ETFは、1つの銘柄で数百〜数千の企業に分散投資でき、経費率も低く、リアルタイムで売買できる優れた金融商品です。日本の主要ネット証券で簡単に購入でき、NISA口座を使えば税負担も軽減できます。
次のアクション:
- SBI証券・楽天証券・マネックス証券で口座開設
- NISA口座を開設(成長投資枠で米国株ETF購入)
- まずはS&P500連動ETF(VOO・SPY・IVV)から始める
- 住信SBIネット銀行で外貨積立(為替コスト削減)
米国株ETFは、長期的な資産形成に適した投資手段です。投資判断は自己責任で行ってください。