米国株市場の概要
米国株に投資したいと考えているけれど、「NYSEとNASDAQって何が違うの?」「どうやって取引するの?」といった基本的な疑問を持っている方は多いです。
米国株市場は世界最大の株式市場で、Apple、Microsoft、Amazonなど、世界的な企業が上場しています。しかし、市場の仕組みや取引時間、日本株との違いを理解していないと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
この記事では、米国株市場の基本的な仕組み、主要取引所(NYSE・NASDAQ)の違い、主要株価指数、日本株との違いについて詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 米国株市場は世界最大で、時価総額は約50兆ドル以上(約7,500兆円)
- NYSEは伝統的大企業中心、NASDAQはハイテク企業中心という特徴がある
- 主要指数はS&P500(大型株500銘柄)、ダウ平均(30銘柄)、NASDAQ総合
- 米国株は1株から購入可能で、配当は四半期ごと(日本は100株単位、年1〜2回)
(1) 世界最大の株式市場
米国株式市場は、世界の株式市場全体の約40%以上を占める世界最大の市場です。時価総額は約50兆ドル以上(2025年時点)で、日本の株式市場(約6兆ドル程度)の約8倍以上の規模です。
(2) 取引所の種類(NYSE・NASDAQ・その他)
米国には主に以下の株式取引所があります。
- NYSE(ニューヨーク証券取引所): 伝統的な大企業が中心
- NASDAQ(ナスダック): テクノロジー企業が中心
- その他: シカゴ証券取引所、BATS等の地方取引所
日本の投資家が取引する銘柄のほとんどは、NYSEまたはNASDAQに上場しています。
(3) 上場企業数と時価総額
米国株式市場全体では約5,000銘柄以上が上場しています。日本の証券会社では、このうち約4,000〜5,000銘柄を取扱っています。
NYSE(ニューヨーク証券取引所)の特徴
NYSE(New York Stock Exchange)は、1792年に設立された世界最古の証券取引所の一つです。
(1) 伝統的大企業中心
NYSEには、伝統的な大企業が多く上場しています。金融、製造、エネルギー、ヘルスケアなど、幅広い業種の企業が含まれます。
(2) 上場基準と銘柄例
NYSEの上場基準は厳格で、時価総額、収益性、株主数などの条件を満たす必要があります。
主要上場銘柄:
- バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
- ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
- エクソンモービル(XOM)
- ウォルマート(WMT)
(3) 取引の仕組み
NYSEは、かつては人が取引フロアで売買する「立会場取引」が中心でしたが、現在は電子取引が主流です。ただし、一部の大口取引では専門の仲介業者(スペシャリスト)が介在することもあります。
NASDAQ市場の特徴
NASDAQ(National Association of Securities Dealers Automated Quotations)は、1971年に設立された世界初の電子取引所です。
(1) ハイテク企業中心
NASDAQには、テクノロジー企業が多く上場しています。世界的なIT企業の多くがNASDAQに上場しています。
主要上場銘柄:
- Apple(AAPL)
- Microsoft(MSFT)
- Amazon(AMZN)
- Google(Alphabet、GOOGL)
- Tesla(TSLA)
(2) 電子取引システム
NASDAQは完全電子取引システムで、物理的な取引フロアがありません。すべての取引がコンピューターネットワーク上で行われます。
(3) 上場銘柄の特徴
NASDAQに上場する企業は、成長志向のテクノロジー企業が中心です。バイオテクノロジー、IT、ソフトウェア、半導体などのセクターが多く含まれます。
主要株価指数(S&P500・ダウ・NASDAQ)
米国株市場には、主要な株価指数があります。
(1) S&P500指数(大型株500銘柄)
S&P500指数は、米国の大型株500銘柄で構成される時価総額加重平均指数です。米国株式市場全体の約80%をカバーしており、米国経済全体の動向を示す代表的な指数です。
構成セクター:
- テクノロジー: 約30%
- ヘルスケア: 約13%
- 金融: 約13%
- 一般消費財: 約11%
- その他: 約33%
※セクター配分は変動します。最新情報はS&P Dow Jones Indicesの公式サイトで確認してください。
(2) ダウ平均株価(30銘柄)
ダウ平均株価(Dow Jones Industrial Average)は、米国の主要30銘柄で構成される株価平均型指数です。歴史が古く(1896年設立)、米国経済の象徴的な指数として知られています。
主要構成銘柄:
- Apple、Microsoft、Boeing、Coca-Cola、Disney等
ダウ平均は30銘柄のみで構成されるため、S&P500よりも代表性は低いですが、メディアでよく取り上げられます。
(3) NASDAQ総合指数
NASDAQ総合指数は、NASDAQ市場に上場する約3,000銘柄で構成される時価総額加重平均指数です。テクノロジー株の比率が高く、ハイテク企業の動向を反映します。
NASDAQ100指数(主要100銘柄)も人気があり、QQQというETFがこの指数に連動しています。
米国株市場と日本株市場の違い
米国株市場と日本株市場には、いくつかの違いがあります。
(1) 取引単位(米国は1株から)
| 項目 | 米国株 | 日本株 |
|---|---|---|
| 最低取引単位 | 1株 | 100株(単元株制度) |
| 例 | Apple 1株から購入可能 | トヨタ100株から購入 |
米国株は1株から購入できるため、少額から投資を始めやすいです。
(2) 取引時間とサマータイム
米国市場の取引時間(現地時間):
- 9:30 AM - 4:00 PM ET(Eastern Time)
日本時間に換算:
- 標準時間(11月第1日曜〜3月第2日曜): 23:30〜翌6:00
- 夏時間(3月第2日曜〜11月第1日曜): 22:30〜翌5:00
米国にはサマータイム(夏時間)があるため、取引時間が1時間ずれます。
(3) 配当頻度と税制
| 項目 | 米国株 | 日本株 |
|---|---|---|
| 配当頻度 | 四半期ごと(年4回) | 年1〜2回 |
| 配当課税 | 米国10% + 日本20.315% | 日本20.315%のみ |
| 外国税額控除 | 利用可能 | 不要 |
米国株の配当は二重課税(米国と日本で課税)されますが、外国税額控除を利用すれば、米国で課税された税金の一部を日本の税金から差し引けます。
まとめ:米国株市場の基礎知識
米国株市場は世界最大の株式市場で、NYSEとNASDAQの2つの主要取引所があります。NYSEは伝統的大企業、NASDAQはハイテク企業が中心です。
次のアクション:
- 米国株市場の仕組みを理解する
- 主要指数(S&P500、ダウ、NASDAQ)を確認
- 日本の証券会社で米国株取引口座を開設
- S&P500連動ETFなど、分散投資から始める
米国株市場は、Apple、Microsoft、Amazonなど、世界的な企業に投資できる魅力的な市場です。まずは基礎知識を身につけ、少額から投資を始めてみましょう。投資判断は自己責任で行い、不明点は専門家に相談してください。
