米国株市場の基礎知識|NYSE・NASDAQ徹底比較

公開日: 2025/10/19

米国株市場の概要

米国株に投資したいと考えているけれど、「NYSEとNASDAQって何が違うの?」「どうやって取引するの?」といった基本的な疑問を持っている方は多いです。

米国株市場は世界最大の株式市場で、Apple、Microsoft、Amazonなど、世界的な企業が上場しています。しかし、市場の仕組みや取引時間、日本株との違いを理解していないと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。

この記事では、米国株市場の基本的な仕組み、主要取引所(NYSE・NASDAQ)の違い、主要株価指数、日本株との違いについて詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • 米国株市場は世界最大で、時価総額は約50兆ドル以上(約7,500兆円)
  • NYSEは伝統的大企業中心、NASDAQはハイテク企業中心という特徴がある
  • 主要指数はS&P500(大型株500銘柄)、ダウ平均(30銘柄)、NASDAQ総合
  • 米国株は1株から購入可能で、配当は四半期ごと(日本は100株単位、年1〜2回)

(1) 世界最大の株式市場

米国株式市場は、世界の株式市場全体の約40%以上を占める世界最大の市場です。時価総額は約50兆ドル以上(2025年時点)で、日本の株式市場(約6兆ドル程度)の約8倍以上の規模です。

(2) 取引所の種類(NYSE・NASDAQ・その他)

米国には主に以下の株式取引所があります。

  • NYSE(ニューヨーク証券取引所): 伝統的な大企業が中心
  • NASDAQ(ナスダック): テクノロジー企業が中心
  • その他: シカゴ証券取引所、BATS等の地方取引所

日本の投資家が取引する銘柄のほとんどは、NYSEまたはNASDAQに上場しています。

(3) 上場企業数と時価総額

米国株式市場全体では約5,000銘柄以上が上場しています。日本の証券会社では、このうち約4,000〜5,000銘柄を取扱っています。

NYSE(ニューヨーク証券取引所)の特徴

NYSE(New York Stock Exchange)は、1792年に設立された世界最古の証券取引所の一つです。

(1) 伝統的大企業中心

NYSEには、伝統的な大企業が多く上場しています。金融、製造、エネルギー、ヘルスケアなど、幅広い業種の企業が含まれます。

(2) 上場基準と銘柄例

NYSEの上場基準は厳格で、時価総額、収益性、株主数などの条件を満たす必要があります。

主要上場銘柄:

  • バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
  • エクソンモービル(XOM)
  • ウォルマート(WMT)

(3) 取引の仕組み

NYSEは、かつては人が取引フロアで売買する「立会場取引」が中心でしたが、現在は電子取引が主流です。ただし、一部の大口取引では専門の仲介業者(スペシャリスト)が介在することもあります。

NASDAQ市場の特徴

NASDAQ(National Association of Securities Dealers Automated Quotations)は、1971年に設立された世界初の電子取引所です。

(1) ハイテク企業中心

NASDAQには、テクノロジー企業が多く上場しています。世界的なIT企業の多くがNASDAQに上場しています。

主要上場銘柄:

  • Apple(AAPL)
  • Microsoft(MSFT)
  • Amazon(AMZN)
  • Google(Alphabet、GOOGL)
  • Tesla(TSLA)

(2) 電子取引システム

NASDAQは完全電子取引システムで、物理的な取引フロアがありません。すべての取引がコンピューターネットワーク上で行われます。

(3) 上場銘柄の特徴

NASDAQに上場する企業は、成長志向のテクノロジー企業が中心です。バイオテクノロジー、IT、ソフトウェア、半導体などのセクターが多く含まれます。

主要株価指数(S&P500・ダウ・NASDAQ)

米国株市場には、主要な株価指数があります。

(1) S&P500指数(大型株500銘柄)

S&P500指数は、米国の大型株500銘柄で構成される時価総額加重平均指数です。米国株式市場全体の約80%をカバーしており、米国経済全体の動向を示す代表的な指数です。

構成セクター:

  • テクノロジー: 約30%
  • ヘルスケア: 約13%
  • 金融: 約13%
  • 一般消費財: 約11%
  • その他: 約33%

※セクター配分は変動します。最新情報はS&P Dow Jones Indicesの公式サイトで確認してください。

(2) ダウ平均株価(30銘柄)

ダウ平均株価(Dow Jones Industrial Average)は、米国の主要30銘柄で構成される株価平均型指数です。歴史が古く(1896年設立)、米国経済の象徴的な指数として知られています。

主要構成銘柄:

  • Apple、Microsoft、Boeing、Coca-Cola、Disney等

ダウ平均は30銘柄のみで構成されるため、S&P500よりも代表性は低いですが、メディアでよく取り上げられます。

(3) NASDAQ総合指数

NASDAQ総合指数は、NASDAQ市場に上場する約3,000銘柄で構成される時価総額加重平均指数です。テクノロジー株の比率が高く、ハイテク企業の動向を反映します。

NASDAQ100指数(主要100銘柄)も人気があり、QQQというETFがこの指数に連動しています。

米国株市場と日本株市場の違い

米国株市場と日本株市場には、いくつかの違いがあります。

(1) 取引単位(米国は1株から)

項目 米国株 日本株
最低取引単位 1株 100株(単元株制度)
Apple 1株から購入可能 トヨタ100株から購入

米国株は1株から購入できるため、少額から投資を始めやすいです。

(2) 取引時間とサマータイム

米国市場の取引時間(現地時間):

  • 9:30 AM - 4:00 PM ET(Eastern Time)

日本時間に換算:

  • 標準時間(11月第1日曜〜3月第2日曜): 23:30〜翌6:00
  • 夏時間(3月第2日曜〜11月第1日曜): 22:30〜翌5:00

米国にはサマータイム(夏時間)があるため、取引時間が1時間ずれます。

(3) 配当頻度と税制

項目 米国株 日本株
配当頻度 四半期ごと(年4回) 年1〜2回
配当課税 米国10% + 日本20.315% 日本20.315%のみ
外国税額控除 利用可能 不要

米国株の配当は二重課税(米国と日本で課税)されますが、外国税額控除を利用すれば、米国で課税された税金の一部を日本の税金から差し引けます。

まとめ:米国株市場の基礎知識

米国株市場は世界最大の株式市場で、NYSEとNASDAQの2つの主要取引所があります。NYSEは伝統的大企業、NASDAQはハイテク企業が中心です。

次のアクション:

  • 米国株市場の仕組みを理解する
  • 主要指数(S&P500、ダウ、NASDAQ)を確認
  • 日本の証券会社で米国株取引口座を開設
  • S&P500連動ETFなど、分散投資から始める

米国株市場は、Apple、Microsoft、Amazonなど、世界的な企業に投資できる魅力的な市場です。まずは基礎知識を身につけ、少額から投資を始めてみましょう。投資判断は自己責任で行い、不明点は専門家に相談してください。

よくある質問

Q1NYSEとNASDAQの違いは何ですか?

A1NYSEは1792年設立の伝統的な取引所で、金融、製造、エネルギーなどの大企業が中心です。NASDAQは1971年設立の電子取引所で、Apple、Microsoft、Amazonなどのハイテク企業が多く上場しています。取引の仕組みや上場企業の特徴が異なりますが、投資家はどちらの市場の株も同じように購入できます。

Q2どちらの市場で株を買うべきですか?

A2投資家は市場ではなく銘柄で選びます。NYSEとNASDAQのどちらに上場しているかは、投資判断にほとんど影響しません。日本の証券会社を通じて、どちらの市場の株も同じように購入できます。むしろ、業種、財務状況、成長性などを基準に銘柄を選びましょう。

Q3米国株市場の取引時間は?

A3米国市場の取引時間は現地時間9:30 AM - 4:00 PM ET(Eastern Time)です。日本時間では、標準時間(11月〜3月)は23:30〜翌6:00、夏時間(3月〜11月)は22:30〜翌5:00です。サマータイムにより取引時間が1時間ずれるため注意が必要です。

Q4米国株市場の上場銘柄数は?

A4米国株式市場全体では約5,000銘柄以上が上場しています。日本の主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)では、このうち約4,000〜5,000銘柄を取扱っています。個別株だけでなく、ETF(上場投資信託)も数百銘柄が取引可能です。

Q5米国株と日本株の違いは?

A5主な違いは、取引単位(米国は1株から、日本は100株単位)、配当頻度(米国は年4回、日本は年1〜2回)、税制(米国株は二重課税)です。また、米国市場はサマータイムがあるため、取引時間が季節により変わります。米国株は少額から投資しやすい反面、為替リスクや二重課税に注意が必要です。

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