NYSE CVXとは?シェブロンの基本情報
「NYSE CVX」という株式コードを見かけたことはありませんか?これは、世界有数のエネルギー企業であるシェブロン・コーポレーションのティッカーシンボルです。高配当株として注目される同社について、投資方法や企業概要を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- シェブロンは原油・天然ガスの生産から精製まで一貫して手がける総合エネルギー企業
- NYSE(ニューヨーク証券取引所)にティッカーシンボル「CVX」で上場
- 38年連続増配の実績があり、配当利回りは約4.6%と高水準
- 2030年までに年間100億〜200億ドルの自社株買いを計画、株主還元に積極的
- 日本の証券会社から1株約156ドル(約24,000円)で購入可能
(1) NYSEとティッカーシンボル「CVX」の基礎知識
NYSE(New York Stock Exchange)は、ニューヨーク証券取引所の略称で、世界最大の株式市場です。シェブロン・コーポレーションは、このNYSEにティッカーシンボル「CVX」で上場しています。
ティッカーシンボルは、株式を識別するためのコードで、投資家が株式を売買する際に使用します。日本の証券会社でCVX株を購入する場合も、「CVX」というシンボルで検索して注文を出します。
(2) シェブロンの企業概要と歴史
シェブロン・コーポレーションは、1879年に創業した老舗のエネルギー企業です。テキサス州ヒューストンに本社を置き、現在は時価総額約3,087億ドル(約47兆円)に達する巨大企業となっています。
2025年11月時点の株価は約155.76ドルで、52週レンジは132.04〜168.96ドルと推移しています。
※出典: Yahoo Finance、2025年11月時点
(3) 石油業界のスーパーメジャーとしての位置づけ
シェブロンは、石油業界における「スーパーメジャー」と呼ばれる巨大企業グループの一角を占めています。スーパーメジャーとは、世界の石油市場を支配する6社(エクソンモービル、シェブロン、BP、シェル、トタルエナジーズ、エニ)を指します。
これらの企業は、原油の生産から精製、販売まで一貫して手がける統合型ビジネスモデルを採用しています。
シェブロンの事業内容と強み
(1) 統合型ビジネスモデル(上流・中流・下流)
シェブロンの最大の強みは、統合型ビジネスモデルにあります。このモデルは、以下の3つの領域をカバーしています。
上流(Upstream)
原油・天然ガスの探鉱と生産。世界中の油田・ガス田で資源を採掘しています。
中流(Midstream)
パイプラインやタンカーによる原油・天然ガスの輸送。
下流(Downstream)
精製所での石油製品の製造、ガソリンスタンドでの販売、石油化学製品の生産。
この統合型モデルにより、原油価格の変動に対する耐性が高まっています。原油価格が下落しても、下流部門(精製・販売)の利益が増加し、全体の収益を安定させる効果があります。
(2) 原油・天然ガスの生産から精製・化学まで
シェブロンは、日量約290万バレルの原油換算で生産を行っており、世界中に資産を保有しています。主な生産拠点は以下の通りです。
- 米国: パーミアン盆地(テキサス州・ニューメキシコ州)
- カザフスタン: テンギス油田(世界最大級の油田の一つ)
- オーストラリア: 液化天然ガス(LNG)プロジェクト
また、精製能力は日量約180万バレルで、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料などの輸送燃料のほか、潤滑油や石油化学製品も製造しています。
(3) 2025年Q3決算と業績成長
2025年第3四半期の決算では、EPS(1株あたり利益)が1.85ドルとなり、アナリスト予想の1.75ドルを上回りました。売上高は497.3億ドルで、こちらも予想を超える水準でした。
好調な業績の背景には、原油価格の安定と生産量の増加があります。
※出典: 247 Wall St.、2025年11月時点
(4) 2030年までの成長戦略
シェブロンは、2030年までの成長計画を発表しています。主なポイントは以下の通りです。
- EPS成長率: ブレント原油70ドルの前提で、年率10%以上のEPS成長を目指す
- 自社株買い: 年間100億〜200億ドルの自社株買いを実施予定
- キャッシュフロー成長: 強固なキャッシュフロー創出能力を維持
- 新規事業: AIデータセンター向け電力プロジェクトなど新領域に進出
この計画により、株主還元の強化と長期的な成長が期待されています。
※出典: Nasdaq、2025年11月時点
CVX株の株価推移と配当実績(高配当株としての魅力)
(1) 株価の推移と時価総額
2024年から2025年にかけて、CVX株は堅調に推移しています。52週レンジは132.04〜168.96ドルで、2025年11月時点の株価は約155.76ドルです。
時価総額は約3,087億ドル(約47兆円)に達し、エネルギーセクターの中でも大手に位置します。
※出典: Yahoo Finance、2025年11月時点
(2) 38年連続増配の実績と配当利回り約4.6%
シェブロンの最大の魅力は、高配当株としての安定性です。同社は38年連続で増配を続けており、年間配当は約6.82ドル、配当利回りは約4.6%と高水準です。
配当は四半期ごとに支払われ、長期保有する投資家にとって魅力的なインカムゲイン(配当収入)を提供しています。
配当の推移:
- 2020年: 年間5.16ドル
- 2023年: 年間6.04ドル
- 2025年: 年間約6.82ドル(予想)
※出典: The Motley Fool、株基礎.com
(3) 年間100億〜200億ドルの自社株買い計画
シェブロンは、配当だけでなく自社株買いにも積極的です。2030年までに年間100億〜200億ドルの自社株買いを実施する計画を発表しており、株主還元の強化に注力しています。
自社株買いは、発行済株式数を減らすことで1株あたりの価値を高める効果があり、株価上昇につながる可能性があります。
(4) ウォーレン・バフェットの保有状況
著名投資家ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、約175億ドル相当のCVX株を保有しています。バフェットがエネルギーセクターに大きく投資していることは、シェブロンの事業モデルと財務健全性を高く評価していることを示唆しています。
※出典: 247 Wall St.、2025年11月時点
日本からCVX株を購入する方法
(1) 日本の証券会社での購入手順(SBI証券、楽天証券等)
日本からCVX株を購入するには、米国株取引が可能な証券会社で口座を開設する必要があります。主要な選択肢は以下の通りです。
SBI証券
- 取引手数料: 約定代金の0.495%(上限22ドル)
- 為替手数料: 片道25銭
- 米国株の取扱銘柄が豊富
楽天証券
- 取引手数料: 約定代金の0.495%(上限22ドル)
- 為替手数料: 片道25銭
- 楽天ポイントが貯まる・使える
マネックス証券
- 取引手数料: 約定代金の0.495%(上限22ドル)
- 為替手数料: 片道25銭(買付時は無料キャンペーン実施中の場合あり)
- 米国株の情報ツールが充実
購入手順は以下の通りです:
- 証券会社の米国株口座を開設
- 日本円を米ドルに両替
- ティッカーシンボル「CVX」で検索
- 希望の株数と価格を入力して注文
CVX株は1株から購入できるため、少額からの投資も可能です。
(2) 必要な資金と配当収入の目安(1株約156ドル、年間配当約6.82ドル)
CVX株を1株購入する場合、必要な資金は以下の通りです。
- 株価: 約156ドル(約24,000円、1ドル=153円換算)
- 年間配当: 約6.82ドル(約1,043円)
- 配当利回り: 約4.36%
例えば、10株購入すれば年間約68.2ドル(約10,430円)の配当収入が得られます。長期保有により、安定したインカムゲインを期待できます。
※出典: 株基礎.com、2025年11月時点
CVX株投資における税金と為替の注意点
(1) 米国株の税金(配当税、売却益課税、外国税額控除)
米国株の配当には、米国で10%、日本で20.315%の税金がかかります(二重課税)。ただし、確定申告で「外国税額控除」を申請すれば、米国で課税された分を日本の所得税から差し引くことができます。
売却益については、日本で20.315%の税金がかかります。特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば、証券会社が自動的に税金を計算・納付してくれます。
※出典: 国税庁「外国税額控除」
(2) 為替リスクと為替手数料
米国株はドル建てで取引されるため、為替レートの変動により円換算での損益が変わります。株価が上昇しても、円高ドル安が進めば、円換算での利益が減少する可能性があります。
為替手数料も考慮が必要です。日本円を米ドルに交換する際、片道25銭程度の手数料がかかることが一般的です。
(3) エネルギーセクター特有のリスク(原油価格変動、環境規制強化)
エネルギーセクターの株式は、原油価格の変動により業績が大きく影響を受けます。原油価格が下落すれば、収益も減少する可能性があります。
また、世界的な脱炭素の流れにより、環境規制が強化されており、長期的には事業環境が厳しくなる可能性があります。ただし、シェブロンはAIデータセンター向け電力プロジェクトなど新規事業領域にも進出しており、エネルギー転換への対応を進めています。
まとめ:シェブロン株への投資判断のポイント
NYSE CVX(シェブロン株)は、世界有数の総合エネルギー企業として、原油・天然ガスの生産から精製・販売まで一貫して手がけています。38年連続増配の実績と配当利回り約4.6%の高配当株として、長期投資家に人気があります。
投資判断のポイント:
- 統合型ビジネスモデルで原油価格変動への耐性が高い
- 38年連続増配、配当利回り約4.6%と高水準
- 2030年までに年間100億〜200億ドルの自社株買いを計画
- 原油価格の変動リスクと環境規制強化に注意が必要
- 為替リスクと税金(二重課税)を考慮する必要がある
次のアクション:
- 各証券会社の米国株取引条件を比較する
- 最新の原油価格動向と業績を確認する
- 外国税額控除の手続きを理解しておく
- エネルギーセクターのリスクと自分のリスク許容度を照らし合わせる
シェブロン株への投資は、高配当株と株主還元を重視する投資家にとって魅力的な選択肢ですが、原油価格変動や環境規制のリスクを理解した上で、慎重に判断することが大切です。
