Russell 2000 ETFとは?米国小型株への分散投資を始めたい
「S&P500やNASDAQ100に投資しているけれど、分散投資の一環として米国小型株にも投資したい」「Russell 2000 ETFって何?」「IWMとVTWOはどちらがいいの?」といった疑問をお持ちではありませんか。多くの日本人投資家が、小型株への投資方法に関心を持っています。
この記事では、Russell 2000とは何か、代表的なETF(IWM、VTWO、1588)の特徴、S&P 500との違い、日本からの購入方法、そしてメリット・リスクまで、日本人投資家の視点から詳しく解説します。
この記事のポイント:
- Russell 2000は米国小型株約2,000銘柄で構成される指数(時価総額$300M-$2B)
- 主要なETFは、IWM(資産規模$70B、経費率0.19%)、VTWO(経費率0.07%)、1588(東証上場)
- S&P 500と比べて小型株は変動が大きく、リスク・リターンともに高い
- 日本からはSBI証券・楽天証券で購入可能、新NISA成長投資枠でIWMが対象
- 2024年のリターンは11.54%(VTWO)、2025年10月に史上最高値を記録(IWM)
Russell 2000とは?米国小型株指数の基本情報
(1) Russell 3000の時価総額1,001位〜3,000位の約2,000銘柄で構成
Russell 2000は、米国株式市場の時価総額上位3,000銘柄で構成される「Russell 3000」のうち、時価総額1,001位から3,000位までの約2,000銘柄を対象とした小型株指数です。
Russell 3000の構成は以下の通りです:
- Russell 1000:時価総額1位〜1,000位の大型株・中型株
- Russell 2000:時価総額1,001位〜3,000位の小型株
Russell 2000は、米国小型株市場の動向を示す代表的な指数として、多くの投資家に利用されています。
(2) 時価総額$300M-$2Bの小型株(スモールキャップ)が対象
Russell 2000に含まれる銘柄の時価総額は、一般に$300M(約450億円)から$2B(約3,000億円)程度です。これは、米国市場では「スモールキャップ(小型株)」と呼ばれる規模です。
参考までに、S&P 500に含まれる大型株の時価総額は$10B(約1.5兆円)以上であり、Russell 2000の銘柄は相対的に小規模な企業です。
(3) 米国小型株ファンドの95%がベンチマークに使用
Russell 2000は、米国小型株ファンドの約95%がベンチマーク(運用成績の比較基準)として使用している指数です(出典:U.S. News)。これは、Russell 2000が小型株市場を最も正確に反映する指数として広く認められていることを示しています。
投資信託やETFの運用成績を評価する際、Russell 2000との比較が標準的な指標となっています。
代表的なRussell 2000 ETF(IWM、VTWO、1588)
(1) IWM(iShares):資産規模$70B、経費率0.19%、高流動性
iShares Russell 2000 ETF(IWM)は、Russell 2000指数に連動する最大手のETFです(出典:iShares公式サイト)。
IWMの特徴:
- 資産規模:約$70B(約10.5兆円)と業界最大
- 経費率:0.19%(年間コスト)
- 流動性:1日平均3,700万株以上の取引量で、非常に高い流動性
- 配当利回り:約1.3%(2025年時点)
- 設定日:2000年5月22日
IWMは、流動性の高さから機関投資家や短期トレーダーに好まれています。頻繁に売買する投資家にとっては、IWMのスプレッド(売値と買値の差)が非常に小さい点が魅力です。
(2) VTWO(Vanguard):経費率0.07%で業界最低水準、2024年リターン11.54%
Vanguard Russell 2000 ETF(VTWO)は、Vanguardが運用する低コストのRussell 2000 ETFです(出典:Vanguard公式サイト)。
VTWOの特徴:
- 経費率:0.07%(IWMの0.19%より大幅に低い)
- 2024年リターン:11.54%(出典:Vanguard公式)
- 2025年年初来リターン:10.45%(2025年10月20日時点)
- 設定日:2010年9月20日
VTWOは、長期保有を前提とする投資家にとって、経費率の低さが大きなメリットです。例えば、$10,000を10年間保有した場合、IWMとVTWOの経費率の差(0.19% - 0.07% = 0.12%)により、約$120の差が生まれます。
(3) 1588(東証上場):日本円で取引可能なJDR(日本版預託証券)
【1588】iシェアーズ米国小型株ETF-JDRは、東京証券取引所に上場している日本版預託証券(JDR)です。これは、IWMを日本円で取引できるようにした商品です(出典:BlackRock Japan)。
1588の特徴:
- 取引通貨:日本円(為替取引が不要)
- 経費率:IWMと同じ0.19%
- 信託報酬:0.11%(別途)
日本円で取引できるため、為替取引の手間がない点が魅力ですが、信託報酬が別途かかるため、長期保有では米国上場ETF(IWM、VTWO)よりもコスト高になる可能性があります。
Russell 2000とS&P 500の違い(小型株 vs 大型株)
(1) 構成銘柄数:約2,000銘柄 vs 500銘柄
Russell 2000とS&P 500の最も大きな違いは、構成銘柄数です:
| 指数 | 構成銘柄数 | 対象 |
|---|---|---|
| Russell 2000 | 約2,000銘柄 | 小型株 |
| S&P 500 | 500銘柄 | 大型株 |
Russell 2000は、S&P 500の4倍の銘柄に分散されているため、個別銘柄のリスクがより分散されています。
(2) 時価総額:小型株($300M-$2B)vs 大型株($10B以上)
時価総額の規模も大きく異なります:
- Russell 2000:時価総額$300M~$2B程度(小型株)
- S&P 500:時価総額$10B以上(大型株)
例えば、Apple(時価総額約$3.5兆)はS&P 500に含まれますが、Russell 2000には含まれません。一方、Russell 2000には、地域密着型の小売チェーンやニッチな製造業など、一般にはあまり知られていない企業が多く含まれます。
(3) リスク・リターン特性:小型株は変動が大きく、景気後退時の下落リスクが高い
小型株と大型株では、リスク・リターン特性が異なります:
| 指数 | リスク | リターン期待値 | 景気後退時の動き |
|---|---|---|---|
| Russell 2000 | 高い | 高い | 大きく下落しやすい |
| S&P 500 | 中程度 | 中程度 | 比較的安定 |
小型株は、成長余地が大きい一方、景気後退時には資金調達が困難になり、大きく下落しやすい傾向があります。過去のデータでは、Russell 2000は景気拡大局面ではS&P 500を上回るリターンを示すことが多いですが、景気後退局面では逆転することが一般的です。
日本からRussell 2000 ETFを購入する方法
(1) 米国上場ETF(IWM、VTWO)をSBI証券・楽天証券で購入
日本の主要証券会社で、米国上場ETF(IWM、VTWO)を購入できます:
- SBI証券:米国株取引手数料0.495%(最低0ドル、上限22ドル)、為替手数料片道25銭
- 楽天証券:米国株取引手数料0.495%(最低0ドル、上限22ドル)、為替手数料片道25銭、楽天ポイントが貯まる
- マネックス証券:米国株取引手数料0.495%(最低0ドル、上限22ドル)、為替手数料片道25銭、米国株情報ツールが充実
いずれの証券会社でも、米国株取引口座を開設すればIWM・VTWOの購入が可能です。
(2) 東証上場ETF(1588)を日本円で購入
【1588】iシェアーズ米国小型株ETF-JDRは、東京証券取引所に上場しているため、日本円で購入できます。為替取引の手間が不要な点が魅力ですが、信託報酬が別途かかるため、長期保有では米国上場ETFよりもコスト高になる可能性があります。
(3) 新NISA成長投資枠でIWMが対象商品(税制優遇を活用)
IWMは、2024年からの新NISA制度の「成長投資枠」で購入可能です(出典:BlackRock Japan)。成長投資枠では、年間240万円までの投資が非課税になります。
NISA口座で購入すれば、配当金と売却益の両方が非課税になります。ただし、米国株の配当には米国で10%が源泉徴収されるため、日本の税金(20.315%)は非課税になりますが、米国の10%は課税されます。
Russell 2000 ETF投資のメリットとリスク
(1) メリット:約2,000銘柄への分散投資、小型株の成長性、過去10年平均リターン10.66%
Russell 2000 ETF投資の主なメリットは以下の通りです:
- 約2,000銘柄への分散投資:個別株に投資するよりもリスクが分散される
- 小型株の成長性:小型株は成長余地が大きく、大型株を上回るリターンを期待できる局面がある
- 過去10年平均リターン10.66%:長期的に安定したリターンを実現(出典:Stock Analysis)
- 米国経済全体の成長恩恵:約2,000銘柄に分散されているため、米国経済全体の成長から恩恵を受けられる
(2) リスク:大型株より価格変動が大きい、景気後退時の下落リスク、為替リスク
一方で、以下のようなリスクにも注意が必要です:
- 大型株より価格変動が大きい:小型株は流動性が低く、価格変動が大きい傾向があります
- 景気後退時の下落リスク:小型株は景気後退時に資金調達が困難になり、大きく下落しやすい
- 為替リスク:米ドル建て資産のため、円高時は円ベースのリターンが減少します
- 個別銘柄の流動性:Russell 2000に含まれる一部の銘柄は流動性が低く、市場急変時にスプレッドが広がる可能性があります
(3) コスト比較:VTWO(0.07%)がIWM(0.19%)より低コスト
長期保有を前提とする場合、経費率の差が累積されるため、コスト比較は重要です:
| ETF | 経費率 | $10,000を10年保有した場合のコスト |
|---|---|---|
| IWM | 0.19% | 約$190 |
| VTWO | 0.07% | 約$70 |
| 差額 | 0.12% | 約$120 |
長期保有する場合は、VTWOの方がコスト面で有利です。一方、頻繁に売買する場合は、IWMの高い流動性(スプレッドの小ささ)がメリットになります。
まとめ:Russell 2000 ETFへの投資判断
Russell 2000は、米国小型株約2,000銘柄で構成される指数で、時価総額$300M-$2Bの小型株が対象です。主要なETFは、IWM(資産規模$70B、経費率0.19%)、VTWO(経費率0.07%)、1588(東証上場)の3つです。
S&P 500と比べて、Russell 2000は小型株2,000銘柄に分散されており、成長性が高い一方、価格変動が大きく、景気後退時の下落リスクも高い特性があります。
投資判断のポイント:
- 分散投資の一環として米国小型株に投資したい
- 長期保有を前提とするなら、経費率の低いVTWO(0.07%)が最適
- 頻繁に売買するなら、流動性の高いIWM(1日3,700万株以上の取引量)が有利
- 日本円で取引したい場合は、東証上場の1588も選択肢(ただし信託報酬に注意)
- 新NISA成長投資枠でIWMが対象商品(税制優遇を活用できる)
- 2024年のリターンは11.54%(VTWO)、2025年10月に史上最高値を記録(IWM)
- 景気後退時の下落リスクと為替リスクを理解しておく
投資判断は自己責任で行い、ポートフォリオ全体のバランスを考慮して検討することをおすすめします。
