FOMC日程が分からず、重要な発表を見逃してしまった...
米国株に投資している日本人投資家の多くが、FOMCの金利政策発表を見逃して投資タイミングを逃しています。「次のFOMCはいつ?」「発表は日本時間で何時?」といった疑問は尽きません。
この記事では、2025年のFOMC日程を一覧で紹介し、発表内容の見方や米国株への影響を解説します。
この記事のポイント:
- FOMCは年8回、約6週間ごとに開催される定例会合である
- 2025年のFOMC日程は1/28-29、3/18-19、5/6-7、6/17-18、7/29-30、9/16-17、10/28-29、12/9-10の8回
- 政策発表は日本時間の夏時間3時、冬時間4時に行われる
- 3月、6月、9月、12月の年4回は経済見通しサマリー(SEP)も公表される
- 予想外の利上げは株価下落、利下げは株価上昇の傾向がある
1. FOMCとは:米国株投資家が知るべき重要な金融政策イベント
FOMC(Federal Open Market Committee、連邦公開市場委員会)は、米国の金融政策を決定する連邦準備制度の最高意思決定機関です。政策金利(FFレート)の上げ下げや量的緩和の方針を決定し、米国経済全体に影響を与えます。
FOMCは年8回、約6週間ごとに開催される定例会合で、事前に年間スケジュールが公表されています。会合の結果は米国株式市場だけでなく、為替や債券市場にも大きな影響を与えるため、米国株投資家にとって最も重要な経済イベントの一つとされています。
FOMCの委員会は12名で構成されており、議長はジェローム・パウエル氏が務めています。政策決定後には声明文が発表され、パウエル議長の記者会見で今後の金融政策の方向性が示されます。
2. 2025年のFOMC日程一覧:年8回の会合スケジュール
2025年のFOMC日程を確認しましょう。
(1) 2025年のFOMC全8回の日程
2025年のFOMC会合は以下の通りです(※米国東部時間):
2025年のFOMC日程:
- 1月28-29日
- 3月18-19日(経済見通しサマリー公表)
- 5月6-7日
- 6月17-18日(経済見通しサマリー公表)
- 7月29-30日
- 9月16-17日(経済見通しサマリー公表)
- 10月28-29日
- 12月9-10日(経済見通しサマリー公表)
FOMC日程は「暫定(tentative)」であり、直前の会合で正式確定されるため、まれに変更される可能性があります。最新の日程は連邦準備制度理事会(FRB)の公式サイトで確認できます:https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm
(2) 発表時刻(日本時間)とパウエル議長会見のタイミング
FOMCの政策発表は米国東部時間14時に行われます。日本時間では以下の通りです:
日本時間での発表時刻:
- 夏時間(3月第2日曜~11月第1日曜): 午前3時
- 冬時間(11月第1日曜~3月第2日曜): 午前4時
政策発表の30分後(米国東部時間14時30分)にパウエル議長の記者会見が始まります。会見では政策決定の背景や今後の金融政策の方向性が説明されるため、株式市場は会見内容に反応して大きく動くことがあります。
3. FOMC発表の見方:政策金利・経済見通しサマリー(SEP)のポイント
FOMC発表の内容を読み解くポイントを解説します。
(1) 政策金利(FFレート)の決定内容
FOMCが決定する政策金利(Federal Funds Rate、FFレート)は、銀行間の翌日物貸出金利の誘導目標です。FFレートの上げ下げは、住宅ローン金利、企業の借入コスト、消費者の支出に影響を与えます。
金利政策の影響:
- 利上げ: 景気過熱やインフレを抑制する目的。借入コストが上がり、企業業績や株価にマイナス影響を与える可能性がある
- 利下げ: 景気刺激が目的。借入コストが下がり、企業業績や株価にプラス影響を与える可能性がある
2025年1月29日のFOMCでは金利据え置きが決定され、FFレートは4.25-4.5%で維持されました。2024年9月以降、FRBは利下げサイクルに転換しており、2025年は追加利下げの有無が焦点となっています。
(2) 経済見通しサマリー(SEP)とドットチャート
3月、6月、9月、12月の年4回の会合では「経済見通しサマリー(SEP: Summary of Economic Projections)」が公表されます。SEPには今後3年間の政策金利・GDP・失業率・インフレ率の予測が含まれており、FOMCの中長期的な政策方針を知る手がかりとなります。
ドットチャート(Dot Plot): SEPには「ドットチャート」と呼ばれる各FOMC委員の金利予測が含まれています。各委員が今後の政策金利をどの水準と予想しているかが点(ドット)で示されており、市場はこのチャートから今後の利上げ・利下げ回数を予想します。
(3) 議事録(Minutes)の公開タイミング
FOMCの議事録(Minutes)は会合の3週間後に公開されます。議事録には委員間の議論の詳細が記載されており、政策決定の背景やFOMC内の意見の分かれ方を知ることができます。
議事録公開後も株式市場が反応することがあるため、投資家は議事録の内容もチェックすることが推奨されます。
4. FOMCが米国株に与える影響:セクター別の反応を理解する
FOMCの金利政策は、米国株のセクターごとに異なる影響を与えます。
(1) ハイテク株・グロース株への影響
ハイテク株やグロース株は、将来の成長期待に基づいて評価される傾向があります。金利が上昇すると将来のキャッシュフローの現在価値が下がるため、株価が下落しやすい傾向があります。
影響のメカニズム:
- 利上げ → 割引率上昇 → 将来利益の現在価値低下 → ハイテク株下落
- 利下げ → 割引率低下 → 将来利益の現在価値上昇 → ハイテク株上昇
代表的なハイテク銘柄(Apple、Microsoft、Tesla等)はFOMCの金利政策に敏感に反応する傾向があります。
(2) 金融株への影響
金融株(銀行・保険等)は、金利上昇で貸出金利が上がり利ざやが拡大するため、利上げがプラス材料となる傾向があります。逆に利下げ局面では利ざやが縮小し、マイナス影響を受けることがあります。
影響のメカニズム:
- 利上げ → 貸出金利上昇 → 利ざや拡大 → 金融株上昇
- 利下げ → 貸出金利低下 → 利ざや縮小 → 金融株下落
(3) 債券市場と為替への波及効果
FOMCの金利政策は債券市場にも影響を与えます。利上げ局面では債券価格が下落し、利下げ局面では債券価格が上昇する傾向があります。
また、金利上昇はドル高につながりやすく、金利低下はドル安につながりやすい傾向があります。日本の投資家にとっては、為替変動が米国株の円換算リターンに影響するため、為替リスクも考慮する必要があります。
5. FOMC前後の投資戦略:ボラティリティへの対処法
FOMC前後は株価が大きく変動しやすいため、投資家は対応策を準備しておくことが推奨されます。
(1) ブラックアウト期間の注意点
FOMC会合前の約1週間は「ブラックアウト期間」と呼ばれ、FRB高官の公の発言が制限されます。この期間は市場予想が不確実になりやすく、株価のボラティリティ(変動率)が高まる傾向があります。
投資家の対処法:
- 短期売買を控え、長期保有を基本とする
- 発表前に新規ポジションを取る場合は、予想外の結果によるリスクを理解する
- ストップロス注文を設定してリスク管理を徹底する
(2) 市場予想の確認方法(CME FedWatchツール)
CME FedWatchツールを使うと、市場が予想する次回会合の利上げ・利下げ確率を事前に確認できます:https://www.cmegroup.com/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html
このツールは金利先物市場のデータに基づいており、市場のコンセンサスを把握する参考になります。ただし、市場予想はあくまで確率であり、実際の政策決定と異なる場合もあるため、過度に依存しないことが重要です。
6. まとめ:FOMC日程を活用した投資計画を立てよう
FOMC日程を事前に把握しておくことで、重要な発表を見逃さず、投資戦略を立てやすくなります。
主要なポイント:
- FOMCは年8回開催され、日程は事前に公表されている
- 政策発表は日本時間の早朝(3-4時)に行われる
- 3月、6月、9月、12月の会合では経済見通しサマリー(SEP)も公表される
- 予想外の利上げは株価下落、利下げは株価上昇の傾向がある
- ハイテク株は利上げに弱く、金融株は利上げに強い傾向がある
次のアクション:
- FRB公式サイトで最新のFOMC日程を確認する
- CME FedWatchツールで市場予想を把握する
- FOMC前後は短期売買を控え、長期保有を基本とする
- 発表内容と株価の反応を記録し、今後の投資判断に活かす
FOMC日程を活用した投資計画を立て、長期的な資産形成を目指しましょう。投資判断は自己責任で行い、疑問点があれば専門家に相談することを推奨します。
※本記事の情報は執筆時点(2025年11月)のものです。最新のFOMC日程はFRB公式サイトでご確認ください。
