NASDAQ ARMとは何か
「NASDAQ ARM」という言葉を目にして、何のことか分からない方もいるでしょう。これは、Arm Holdings(アーム・ホールディングス)という企業の株式が、NASDAQ(ナスダック)に上場していることを示しています。
この記事では、NASDAQ ARMの基本情報、Arm Holdingsの企業概要、日本からの投資方法、メリットとリスクを具体的に解説します。
この記事のポイント:
- NASDAQ ARMはArm Holdingsのナスダック上場株、ティッカーシンボルはARM
- Arm HoldingsはCPU設計ライセンスを専門とする半導体企業
- 2023年9月14日にNASDAQに上場(IPO価格63.59ドル)
- ソフトバンクグループが2016年に買収し、現在も過半数を保有
- 52週レンジが80~183ドルと変動が極めて大きく、ハイリスク・ハイリターン銘柄
(1) ティッカーシンボルARMの意味
ティッカーシンボルとは、株式を識別するための略称です。Arm Holdingsのティッカーシンボルは「ARM」です。
株価情報サイトや証券会社のアプリで「ARM」と検索すると、Arm Holdingsの株価や企業情報が表示されます。
(2) ナスダック(NASDAQ)について
NASDAQ(ナスダック)は、米国の電子株式市場で、特にテクノロジー企業が多く上場しています。
NASDAQに上場している企業には、Apple、Microsoft、Amazon、Google(Alphabet)など、世界的に有名なテクノロジー企業が含まれます。Arm Holdingsも、その一つです。
(3) 2023年9月のIPO(再上場)の経緯
Arm Holdingsは、2023年9月14日にNASDAQ市場に上場しました。IPO価格は63.59ドルでした。
実は、Arm Holdingsは以前も上場していましたが、2016年にソフトバンクグループに買収され、非公開企業となっていました。2023年のIPOは、再上場という形です。
参考: Yahoo Finance「Arm Holdings plc (ARM) Stock Price」
https://finance.yahoo.com/quote/ARM/
Arm Holdings(アーム・ホールディングス)の企業概要
(1) 事業内容(CPU設計ライセンス、半導体IPコア)
Arm Holdingsは、英国ケンブリッジに本社を置く半導体設計企業です。主な事業内容は以下の通りです。
- CPU設計ライセンス: ARMアーキテクチャと呼ばれる省電力で高性能なCPU設計方式を開発し、他社にライセンス供与
- 半導体IPコア: チップの設計図(知的財産、IP)を提供
Arm Holdingsは、半導体を製造するのではなく、設計図を作成して他社にライセンス供与するビジネスモデルです。
(2) 主要製品とサービス(スマホ・IoT向けCPU設計)
ARM設計のCPUは、世界中のスマートフォンのほとんどに搭載されています。iPhoneのApple A/Mシリーズチップ、AndroidスマホのQualcomm Snapdragonチップなど、多くがARMアーキテクチャを採用しています。
また、IoT(モノのインターネット)機器、車載システム、サーバーなど、幅広い分野でARM設計が使用されています。
「世界人口の7割が使う技術」とも言われており、ARM設計のチップは日常生活に欠かせない存在です。
参考: Finasee「ナスダックに上場のARM(アーム)はAI相場をけん引するか?」
https://media.finasee.jp/articles/-/12537
(3) ソフトバンクグループとの関係(2016年買収、筆頭株主)
2016年、日本のソフトバンクグループがArm Holdingsを約3.3兆円で買収しました。これは当時、日本企業による海外企業の最大規模の買収でした。
2023年9月のNASDAQ再上場後も、ソフトバンクグループは過半数の株式を保有しており、筆頭株主です。
このため、Arm Holdingsは英国企業でありながら、日本のソフトバンクグループと深い繋がりがあります。
NASDAQ上場のARM株の基本情報
(1) 株価の確認方法(Yahoo Finance、NASDAQ公式サイト等)
ARM株の株価は、以下のサイトで確認できます。
NASDAQ公式サイト
ナスダックの公式サイトでは、リアルタイム株価を確認できます。
参考: NASDAQ「Arm Holdings plc American Depositary Shares (ARM) Stock Price」
https://www.nasdaq.com/market-activity/stocks/arm
Yahoo Finance
最もポピュラーな株価情報サイトの一つです。リアルタイム株価、財務指標、チャート、ニュースなどを無料で閲覧できます。
参考: Yahoo Finance「Arm Holdings plc (ARM) Stock Price」
https://finance.yahoo.com/quote/ARM/
日本語サイト
日本の投資家向けには、以下のサイトが便利です。
みんかぶ(米国株): アナリスト評価と目標株価
https://us.minkabu.jp/stocks/ARM日経新聞: 日本語での株価情報とニュース
https://www.nikkei.com/nkd/company/us/ARM/株探(米国株): 詳細情報
https://us.kabutan.jp/stocks/ARM
(2) 時価総額と株価変動幅(52週レンジ80~183ドル)
ARM株は、価格変動が極めて大きい銘柄です。
- 52週レンジ: 80.00~183.16ドル(2025年4月7日~2025年10月27日)
- 時価総額: 約1,486億ドル(2025年11月時点)
2025年10月に183ドル超の高値をつけた後、11月には149ドル前後まで下落するなど、短期間で大きく変動しています。
(3) アナリストの評価と目標株価
アナリストの評価は分かれています。
- みんかぶ(米国株)の目標株価: 169.62ドル、「買い」評価
- Loop Capitalの目標株価: 155ドルから180ドルに引き上げ、「買い」評価
- アナリストの平均目標株価: 166.72ドル(MarketBeat)
一方で、高値圏での購入には注意が必要との声もあり、アナリストの評価が分かれています。
参考: MarketBeat「ARM (ARM) Stock Forecast and Price Target 2025」
https://www.marketbeat.com/stocks/NASDAQ/ARM/forecast/
日本からARM株を購入する方法
(1) 日本の証券会社(楽天証券、SBI証券等)
日本の主要証券会社では、米国株取引が可能です。
- 楽天証券: 米国株の取扱銘柄が豊富で、取引手数料は約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
- SBI証券: 米国株取引に強く、取引手数料は約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
- マネックス証券: 米国株の情報が充実しており、取引手数料は約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
米国株取引を始めるには、まず証券会社で米国株取引の口座を開設する必要があります。
(2) 取引時間とサマータイムの影響
米国株式市場の取引時間は、米国東部時間で9:30am - 4:00pmです。日本時間では以下の通りです。
- サマータイム期間中(3月第2日曜日~11月第1日曜日): 日本時間22:30~翌朝5:00
- 冬時間(11月第1日曜日~3月第2日曜日): 日本時間23:30~翌朝6:00
サマータイムの切り替え時期には、取引時間が1時間変わるため注意が必要です。
(3) 購入手数料と為替手数料
米国株を購入する際には、以下の手数料がかかります。
- 取引手数料: 約定代金の0.495%程度(証券会社により異なる)
- 為替手数料: 円をドルに換える際の手数料(片道25銭程度)
為替手数料は、ドル建てで米国株を購入する場合に発生します。証券会社によって為替手数料が異なるため、事前に確認することが推奨されています。
ARM株のメリットとリスク
(1) メリット(AI関連、世界シェア、成長性)
ARM株に投資するメリットとして、以下が挙げられます。
AI関連銘柄として注目
ARM設計のCPUは、AI処理に適した設計も可能であり、AI関連銘柄として注目されています。AI市場の成長とともに、ARMの需要も増える可能性があります。
世界シェアの高さ
世界中のスマートフォンのほとんどにARM設計のCPUが搭載されており、圧倒的な市場シェアを誇ります。
成長性
2025年第3四半期の業績予想が市場予想を上回り、売上高が前年同期比32.0%増と好調な業績を記録しました。今後の成長性にも期待が持てます。
(2) リスク(高ボラティリティ、為替リスク、アナリスト評価の分散)
ARM株に投資するリスクとして、以下が挙げられます。
高ボラティリティ
52週レンジが80.00~183.16ドルと非常に広く、価格変動が極めて大きい銘柄です。2025年10月に183ドル超の高値をつけた後、11月には149ドル前後まで下落するなど、短期間で大きく変動しています。
このため、ハイリスク・ハイリターン銘柄であり、高いリスク許容度が必要です。初心者向けとは言えません。
為替リスク
米国株はドル建てで取引されるため、為替レートの変動により、日本円換算での投資額が変動します。円高ドル安になると、円換算での評価額が下がる可能性があります。
アナリスト評価の分散
アナリストの評価が分かれており、「買い」推奨もあれば、高値圏での購入に注意を促す声もあります。投資判断は慎重に行う必要があります。
(3) 税金(配当課税、売却益課税)
米国株投資では、以下の税金がかかります。
- 配当課税: 米国で10%、日本で約20%(NISA口座でも米国分は課税)
- 売却益課税: 日本で約20%(NISA口座では非課税)
税金の詳細は、税理士や証券会社に確認することが推奨されています。
まとめ:ARM株への投資判断
NASDAQ ARMは、Arm HoldingsのNASDAQ上場株です。Arm HoldingsはCPU設計ライセンスを専門とする半導体企業で、世界中のスマートフォンのほとんどにARM設計のCPUが搭載されています。
2023年9月14日にNASDAQに上場(IPO価格63.59ドル)し、ソフトバンクグループが筆頭株主として過半数を保有しています。
次のアクション:
- Yahoo FinanceやNASDAQ公式サイトでARM株の株価と財務指標を確認する
- みんかぶ(米国株)、日経新聞でアナリスト評価と最新ニュースを確認する
- 日本の証券会社で米国株取引の口座を開設する(まだの場合)
- 52週レンジ80~183ドルという高ボラティリティを理解し、リスク許容度を考慮して投資判断を行う
ARM株は価格変動が極めて大きく、ハイリスク・ハイリターン銘柄です。投資判断は自己責任で行い、リスク許容度を十分に考慮することが推奨されています。
※この記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。
