1. NASDAQ100への投資関心が高まる背景
米国株投資を検討している日本人投資家の中で、「S&P500は知っているけど、NASDAQ100って何?」「どちらに投資すべき?」という疑問を持つ方が増えています。
NASDAQ100は、ナスダック市場に上場する金融銘柄を除く時価総額上位100社で構成される株価指数で、Apple、Microsoft、Amazon等の巨大テクノロジー企業が中心です。2024年には25.88%上昇、2023年には54%上昇と、S&P500を上回るパフォーマンスを見せています。
この記事では、NASDAQ100の定義、構成銘柄の特徴、S&P500との違い、日本からの投資方法(ETF・投資信託)を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- NASDAQ100は金融銘柄を除く時価総額上位100社で構成、Apple・Microsoft等の巨大テック企業が中心
- 2024年に25.88%上昇、2023年の54%に続き高パフォーマンス
- S&P500より銘柄数が少なく、テクノロジーセクターに集中(約50%)
- 日本からは米国ETF(QQQ、QQQM)や日本のETFで投資可能
2. NASDAQ100とは:定義と基本情報
(1) NASDAQ100の定義(金融銘柄を除く時価総額上位100社)
NASDAQ100(正式名称:NASDAQ-100 Index、ティッカーシンボル:^NDX)は、ナスダック市場に上場する企業のうち、金融銘柄を除く時価総額上位100社で構成される株価指数です。
基本情報:
- 構成銘柄数: 100銘柄(金融セクターを除く)
- 主要セクター: テクノロジー、コミュニケーション、消費者サービス、ヘルスケア等
- ティッカーシンボル: ^NDX
- 開始日: 1985年1月31日
金融銘柄を除く理由は、NASDAQ市場の特性を反映するためです。ナスダックはテクノロジー企業が多く上場する取引所として知られており、NASDAQ100はその特性を色濃く反映した指数となっています。
(2) 時価総額加重平均の仕組み
NASDAQ100は、時価総額加重平均方式で計算されます。これは、各銘柄の時価総額に応じて指数への影響度が決まる方式で、時価総額が大きい企業ほど指数への影響が大きくなります。
具体例:
- Apple(時価総額約3兆ドル): 指数への影響度が大きい
- 小型企業(時価総額100億ドル): 指数への影響度が小さい
この仕組みにより、上位数社の株価変動がNASDAQ100全体のパフォーマンスに大きく影響します。
(3) 年次リバランス(毎年12月)
NASDAQ100は、毎年12月に構成銘柄の見直し(リバランス)を実施します。時価総額や流動性の変化に応じて銘柄を入れ替え、指数の代表性を維持します。
リバランスの基準:
- 時価総額ランキングの変動
- 流動性(取引量)の確保
- 特定銘柄への集中防止
リバランスにより、成長企業が新たに組み入れられ、低迷企業が除外されます。
3. NASDAQ100の構成銘柄の特徴
(1) 時価総額上位企業(Apple、Microsoft、Amazon、Alphabet等)
NASDAQ100の構成銘柄上位は、世界的に有名な巨大テクノロジー企業が占めています。
主要構成銘柄(2025年11月時点):
- Apple(アップル)
- Microsoft(マイクロソフト)
- Amazon(アマゾン)
- Alphabet(グーグル親会社)- クラスA・クラスC両方
- Meta(メタ、旧Facebook)
- Tesla(テスラ)
- Nvidia(エヌビディア)
これらの企業は「Magnificent 7(マグニフィセント・セブン)」と呼ばれ、2024年に67.3%上昇し、NASDAQ100全体のパフォーマンスを牽引しました(出典: NASDAQ公式サイト)。
詳細な構成銘柄リストは、Slickcharts(https://www.slickcharts.com/nasdaq100)やNASDAQ公式サイト(https://www.nasdaq.com/solutions/global-indexes/nasdaq-100/companies)で確認できます。
(2) セクター比率(テクノロジー約50%)とMagnificent 7
NASDAQ100は、テクノロジーセクターへの集中度が高いのが特徴です。
主要セクター比率(概算):
- テクノロジー: 約50%
- コミュニケーション: 約15%
- 消費者サービス: 約15%
- ヘルスケア: 約10%
- その他: 約10%
Magnificent 7(Apple、Microsoft、Alphabet、Amazon、Meta、Tesla、Nvidia)だけで、NASDAQ100全体の時価総額の約40-50%を占めており、これらの企業の株価変動が指数全体に大きく影響します。
(3) 構成銘柄一覧の確認方法(Slickcharts、NASDAQ公式)
構成銘柄の詳細を確認したい場合は、以下のサイトが便利です。
英語サイト:
- Slickcharts: https://www.slickcharts.com/nasdaq100(時価総額順にランキング)
- NASDAQ公式: https://www.nasdaq.com/solutions/global-indexes/nasdaq-100/companies(アルファベット順)
日本語サイト:
- 大和アセットマネジメント: https://www.daiwa-am.co.jp/special/nasdaq100/company/(日本語での構成銘柄リスト)
- 180.co.jp: https://www.180.co.jp/world_etf_adr/nasdaq100/01.htm(日本語一覧)
これらのサイトで、最新の構成銘柄と各銘柄の比率を確認できます。
4. NASDAQ100とS&P500の違いとパフォーマンス比較
(1) 構成銘柄数の違い(100 vs 500)
NASDAQ100とS&P500の最も明確な違いは、構成銘柄数です。
NASDAQ100:
- 構成銘柄数: 100銘柄
- 対象: ナスダック市場上場の金融銘柄を除く時価総額上位100社
- 特徴: テクノロジーセクターに集中
S&P500:
- 構成銘柄数: 500銘柄
- 対象: 米国市場全体の時価総額上位500社
- 特徴: セクター分散が広い(金融、エネルギー、ヘルスケア等)
NASDAQ100は銘柄数が少ない分、個別企業の影響を受けやすく、ボラティリティが高い傾向があります。
(2) セクター分散の違い(テック集中 vs 分散)
NASDAQ100はテクノロジーセクターに約50%集中しているのに対し、S&P500はセクター分散が広いのが特徴です。
セクター比率の比較(概算):
NASDAQ100:
- テクノロジー: 約50%
- その他セクター: 約50%
S&P500:
- テクノロジー: 約25-30%
- 金融: 約10-15%
- ヘルスケア: 約10-15%
- その他セクター: 約40-50%
NASDAQ100はテクノロジー株の成長を取り込みやすい一方、テクノロジーセクターの下落時には大きく下がるリスクがあります。
(3) 過去リターンの比較(2024年25.88%、2023年54%)
NASDAQ100は、近年S&P500を上回るパフォーマンスを見せています。
過去リターン:
NASDAQ100:
- 2024年: +25.88%
- 2023年: +54%
- 2025年YTD(9月30日時点): +18.10% (出典: Slickcharts、NASDAQ公式サイト)
2024-2025年のハイライト:
- 2025年6月に史上最高値を更新、20,000ポイントを初めて突破
- 2024-2025年は1998-1999年以来の最高2年間リターン
- 2025年4月に米国の新関税導入で一時16,500ゾーンまで下落後、反発
ただし、NASDAQ100はボラティリティが高く、短期的な急落リスクもあります。長期投資家はこのリスクを理解した上で投資判断を行う必要があります。
5. 日本からのNASDAQ100投資方法(ETF・投資信託)
(1) 米国ETF(QQQ、QQQM)での投資
日本からNASDAQ100に投資する最も一般的な方法は、米国ETFです。
Invesco QQQ(ティッカー: QQQ):
- 世界最大のNASDAQ100連動ETF
- 流動性が非常に高い
- 経費率: 約0.20%
- 日本の主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)で購入可能
Invesco QQQM(ティッカー: QQQM):
- QQQよりも経費率が低いNASDAQ100連動ETF
- 経費率: 約0.15%
- QQQと同じパフォーマンスだが、コストが低い
購入方法:
- SBI証券、楽天証券、マネックス証券等で米国株取引口座を開設
- QQQまたはQQQMを購入(1株から可能)
- ドル建てまたは円建て決済を選択
(2) 日本のETF(上場インデックスファンド米国株式、MAXIS、iFreeETF)
円建てで投資したい場合は、日本のNASDAQ100連動ETFが便利です。
主要な日本のETF:
- 上場インデックスファンド米国株式(NASDAQ100)(銘柄コード: 1545): 日興アセットマネジメント運用
- MAXIS NASDAQ100上場投信(銘柄コード: 2631): 三菱UFJアセットマネジメント運用
- iFreeETF NASDAQ100(銘柄コード: 2840): 大和アセットマネジメント運用
日本のETFのメリット:
- 円建て投資(為替手数料が不要)
- 東京証券取引所で日本円で購入可能
- 日本の株式取引口座でそのまま購入可能
デメリット:
- 米国ETF(QQQ)に比べて流動性が低い
- 信託報酬がやや高い場合がある
(3) 為替リスクと税金の注意点
NASDAQ100への投資には、為替リスクと税金に注意が必要です。
為替リスク:
- 米国ETF(QQQ、QQQM): ドル建て投資のため、円高ドル安で円換算評価額が減少
- 日本のETF: 円建てだが、投資対象が米国株式のため、間接的に為替リスクあり
税金:
- 配当金: 米国ETFの場合、米国で10%源泉徴収 + 日本で約20%課税(外国税額控除で一部還付可能)
- 売却益: 日本で約20%課税(譲渡所得税)
- NISA口座: 売却益・配当金が非課税(外国源泉徴収分は課税)
※詳細は国税庁のウェブサイトや税理士にご確認ください。
6. まとめ:NASDAQ100投資判断のポイント
NASDAQ100は、ナスダック市場上場の金融銘柄を除く時価総額上位100社で構成される株価指数で、Apple、Microsoft、Amazon等の巨大テクノロジー企業が中心です。
投資判断のポイント:
- 高パフォーマンス: 2024年に25.88%上昇、2023年に54%上昇
- テクノロジー集中: セクター比率約50%がテクノロジー
- ボラティリティが高い: 短期的な急落リスクあり(2025年4月に16,500ゾーンまで下落)
NASDAQ100 vs S&P500:
- NASDAQ100: ハイリスク・ハイリターン、テクノロジー集中
- S&P500: ミドルリスク・ミドルリターン、セクター分散
投資方法の選択:
- 米国ETF(QQQ、QQQM): 流動性が高い、ドル建て投資
- 日本のETF: 円建て投資、日本円で購入可能
次のアクション:
- NASDAQ.com、Yahoo Finance、moomoo等でリアルタイム指数を確認
- 自分のリスク許容度を確認(ボラティリティの高さを理解)
- 主要ネット証券で口座開設し、QQQまたは日本のETFを少額から投資開始
NASDAQ100への投資は、テクノロジーセクターの成長を取り込む手段の一つです。情報収集を続け、自己責任で投資判断を行いましょう。
