ブラックロック(NYSE: BLK)の株価動向と投資戦略

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/15

ブラックロック(NYSE: BLK)とは

ブラックロック(BlackRock Inc.、ティッカー: BLK)は、世界最大の資産運用会社です。ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しており、運用資産$11.55兆ドル(2024年Q4)という圧倒的な規模を誇ります。

この記事のポイント:

  • ブラックロックはティッカーシンボル「BLK」でNYSEに上場する世界最大の資産運用会社
  • 2024年の株価は28%上昇し、S&P500の24.8%を上回るパフォーマンスを記録
  • iSharesブランドで世界最大のETFプロバイダー、2024年のネット流入額は$6,410億ドル(過去最高)
  • アナリスト評価は「Strong Buy」、目標株価$1,254.31(現在価格から+18.56%)

(1) ティッカーシンボル「BLK」の銘柄

ブラックロックのティッカーシンボルは「BLK」です。NYSE上場企業として、米国株投資家にとって取引しやすい銘柄の一つです。

(2) 世界最大の資産運用会社

ブラックロックは、投資家から預かった資金を運用する資産運用会社です。2024年Q4時点で運用資産$11.55兆ドルを誇り、世界最大の規模を誇ります。これは、日本のGDP(約$4兆ドル)の約3倍に相当します。

個人投資家、機関投資家、年金基金、政府系ファンドなど、幅広い顧客に投資商品を提供しており、金融市場全体の成長に連動するビジネスモデルが特徴です。

ブラックロックの企業概要と事業モデル

(1) 運用資産$11.55兆ドル(2024年Q4)

ブラックロックの運用資産(AUM: Assets Under Management)は、2024年Q4時点で$11.55兆ドルに達しました。その後、2025年Q1には$13.46兆ドルに増加しており、依然として世界最大の規模です。

運用資産の内訳:

  • iShares(ETF): 約$4兆ドル
  • アクティブ運用: 約$3兆ドル
  • パッシブ運用(インデックスファンド): 約$4兆ドル
  • その他(オルタナティブ投資等): 約$0.55兆ドル

運用資産は、金融市場の動向(株価・債券価格の上昇)と新規資金流入により増減します。

(2) iSharesブランド(世界最大のETFプロバイダー)

iSharesは、ブラックロックが運営する世界最大のETFブランドです。2024年のネット流入額$6,410億ドルの大部分はiSharesによるもので、ブラックロックの成長を支える中核事業です。

iSharesの特徴:

  • 世界最大のETF市場シェア(約40%)
  • 低コストのインデックスETFから、セクター別ETF、テーマ型ETFまで幅広い商品ラインナップ
  • S&P500連動ETF(IVV)、ナスダック100連動ETF(QQQ)など、人気商品を多数提供

iSharesの成功は、ブラックロックの収益の安定性を支えています。

(3) フィーベース収益モデルの特徴

ブラックロックの収益モデルは「フィーベース(手数料ベース)」です。運用資産に対して一定の管理手数料(通常0.1%~2%程度)を徴収する仕組みで、運用資産が増えるほど収益も増加します。

フィーベース収益のメリット:

  • 運用資産が増えるほど収益が増加(スケールメリット)
  • 市場が上昇すれば自動的に収益が増加
  • 安定的なキャッシュフローを生み出す

ただし、市場が下落すると運用資産が減少し、収益も減少するリスクがあります。

財務状況と株価動向(2024-2025年)

(1) 2024年の過去最高業績(売上$204.1億ドル、利益$63.7億ドル)

2024年のブラックロックは、過去最高の業績を記録しました。

2024年通期業績:

  • 売上高: $204.1億ドル(前年比+14.27%)
  • 純利益: $63.7億ドル(前年比+15.76%)
  • EPS(1株当たり利益): $43.03

これは、2024年の株式市場が好調だったことと、iSharesへの資金流入が過去最高を記録したことが主な要因です。

(2) 株価の上昇(2024年に28%上昇)

2024年のブラックロック株は28%上昇し、S&P500の24.8%を上回るパフォーマンスを記録しました。

株価推移:

  • 2024年初: 約$830
  • 2024年末: 約$1,060
  • 2025年10月15日: 史上最高値$1,219.94を記録
  • 2025年11月: $1,057.94

株価は史上最高値$1,219.94に近い水準で推移しており、市場からの評価が高いことがわかります。

(3) 財務指標(PER、ROE)

2025年11月時点のブラックロックの財務指標は以下の通りです:

  • 株価: $1,057.94
  • 時価総額: 約$1,500億ドル
  • PER(株価収益率): 約24.6倍
  • ROE(株主資本利益率): 約15%
  • 52週高値: $1,219.94
  • 52週安値: $773.74

PER 24.6倍は、S&P500平均(約20倍)と比べてやや高めですが、成長性を考慮すると妥当な水準と言われています。

(4) 配当と株主還元($47億ドル)

ブラックロックは四半期配当を支払っており、年間配当利回りは1.9%程度です。S&P500平均の配当利回り(約2%)と比べるとやや低めですが、安定的な配当を継続しています。

配当情報:

  • 年間配当利回り: 1.9%
  • 2024年の株主還元: $47億ドル(配当+自社株買い)

2024年には$47億ドルを株主還元に充てており、配当だけでなく自社株買いも積極的に実施しています。

資産運用業界でのポジション

(1) 世界最大のETFプロバイダー(iShares)

iSharesは、世界最大のETF市場シェア(約40%)を持つブランドです。競合のVanguard(約25%)、State Street(約15%)を大きく引き離しており、圧倒的な市場支配力を誇ります。

iSharesの人気ETF:

  • IVV: S&P500連動ETF
  • QQQ: ナスダック100連動ETF(実際はInvesco運用だが、iSharesも類似商品を提供)
  • AGG: 米国総合債券ETF
  • EEM: 新興国株式ETF

これらのETFは、個人投資家だけでなく、機関投資家や年金基金にも広く利用されています。

(2) ESG投資のリーダー

ブラックロックは、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資のリーダーとして知られています。CEOのラリー・フィンク氏は、企業に対してESG課題への取り組みを求める「株主書簡」を毎年発表しており、金融業界に大きな影響を与えています。

ESG投資の特徴:

  • 環境問題(気候変動、再生可能エネルギー等)への配慮
  • 社会問題(人権、労働環境等)への配慮
  • ガバナンス(企業統治、透明性等)への配慮

ブラックロックは、ESG基準を満たす企業への投資を推進しており、これが長期的な投資リターンにつながるとの立場を取っています。

(3) GIP買収によるインフラ投資強化

2024年10月1日、ブラックロックはGlobal Infrastructure Partners(GIP)を買収しました。GIPはインフラ投資を専門とする会社で、この買収によりブラックロックはインフラ投資分野を強化しました。

GIP買収の意義:

  • インフラ投資(道路、電力、データセンター等)への投資機会を拡大
  • $268億ドルのスペインデータセンタープロジェクトを進行中
  • 長期的な安定収益を期待できるインフラ資産をポートフォリオに追加

インフラ投資は、景気変動の影響を受けにくく、安定的なキャッシュフローを生み出すため、ブラックロックの収益安定化に寄与すると期待されています。

(4) ネット流入額$6,410億ドル(2024年、過去最高)

2024年通期のネット流入額は$6,410億ドルで、過去最高を記録しました。ネット流入額とは、新規投資額から解約額を差し引いたもので、資産運用会社の成長を示す重要指標です。

ネット流入額の内訳:

  • iShares(ETF): 約$5,000億ドル
  • アクティブ運用: 約$1,000億ドル
  • その他: 約$410億ドル

Q4だけで$2,810億ドルが流入しており、2024年の株式市場の好調がブラックロックの成長を後押ししました。

ブラックロック株への投資のポイント

(1) 金融市場全体の成長に連動

ブラックロックの収益は、金融市場全体の成長に連動します。株式市場が上昇すれば運用資産が増加し、収益も増加します。これは、長期的な分散投資に適した銘柄と言えます。

金融市場連動のメリット:

  • 株式市場全体の成長に乗ることができる
  • 個別企業のリスクを回避できる
  • 長期的な安定成長が期待できる

ただし、市場が下落すれば収益も減少するため、景気後退時には株価が下落するリスクがあります。

(2) 安定的な配当と株主還元

ブラックロックは、安定的な配当と株主還元を実施しています。2024年には$47億ドルを株主還元に充てており、配当だけでなく自社株買いも積極的に実施しています。

株主還元の特徴:

  • 年間配当利回り1.9%
  • 配当+自社株買いで$47億ドル(2024年)
  • フィーベース収益により安定的なキャッシュフローを生み出す

配当利回りは1.9%と控えめですが、成長株としての側面もあるため、配当だけでなく株価の値上がり益も期待できます。

(3) リスク要因(規制強化、議決権制限の検討)

ブラックロック株への投資には、以下のリスクがあります:

  • 規制強化: BlackRock、Vanguard、State Streetの議決権制限が検討されている(2025年11月報道)
  • 市場環境の変化: 株式市場が下落すれば運用資産が減少し、収益も減少
  • 株価の割高感: 株価は史上最高値$1,219.94付近で推移しており、短期的には調整リスクがある

特に、議決権制限の導入により、インデックスファンド大手の影響力が削がれる可能性があり、これがビジネスモデルに影響を与える可能性があります。

(4) アナリスト評価「Strong Buy」

2025年11月時点のアナリスト評価は「Strong Buy(強い買い)」が主流です。目標株価は$1,254.31で、現在価格$1,057.94から+18.56%の上昇余地があると見られています。

主なアナリスト評価:

  • 評価: Strong Buy(強い買い)
  • 目標株価: $1,254.31
  • 2025年EPS予想: $47.93(前年比+11.4%)

2025年も堅調な成長が見込まれており、中長期的な投資に適した銘柄と評価されています。

まとめ:投資判断のポイント

ブラックロック(NYSE: BLK)は、世界最大の資産運用会社で、運用資産$11.55兆ドル(2024年Q4)を誇ります。2024年の株価は28%上昇し、S&P500を上回るパフォーマンスを記録しました。iSharesブランドで世界最大のETFプロバイダーであり、2024年のネット流入額$6,410億ドル(過去最高)が成長を支えています。

投資判断のポイント:

  • 成長性: 2024年に過去最高の業績を記録、2025年もEPS +11.4%成長見込み
  • 安定性: フィーベース収益により安定的なキャッシュフローを生み出す
  • 配当: 年間配当利回り1.9%、2024年に$47億ドルを株主還元
  • リスク: 規制強化(議決権制限の検討)、市場環境の変化、株価の割高感

次のアクション:

  • ブラックロックの最新決算資料を確認する
  • 金融市場全体の動向(株価、金利)を注視する
  • 規制強化の動向をチェックする
  • Vanguard、State Streetなど競合との比較検討する

投資判断は自己責任で行い、最新の財務情報や市場動向を確認した上で決定してください。ブラックロックは、金融市場全体の成長に連動する長期分散投資に適した銘柄です。

よくある質問

Q1NYSE BLKとは何の銘柄ですか?

A1BlackRock Inc.(ブラックロック)のことです。世界最大の資産運用会社で、運用資産$11.55兆ドル(2024年Q4)を誇ります。iSharesブランドで世界最大のETFプロバイダーでもあり、S&P500連動ETF(IVV)などの人気商品を提供しています。

Q22024年のパフォーマンスはどうでしたか?

A22024年に28%上昇し、S&P500の24.8%を上回りました。売上$204.1億ドル(前年比+14.27%)、純利益$63.7億ドル(前年比+15.76%)と過去最高を記録し、ネット流入額$6,410億ドルも過去最高となりました。

Q3配当利回りはいくらですか?

A3年間配当利回りは1.9%と控えめですが、2024年に$47億ドルを株主還元(配当+自社株買い)しました。フィーベース収益により安定的なキャッシュフローを生み出しており、配当の持続可能性は高いと言われています。

Q4iSharesとの関係は何ですか?

A4iSharesはブラックロックが運営する世界最大のETFブランドです。世界ETF市場シェアの約40%を占め、2024年のネット流入額$6,410億ドルの大部分はiSharesによるものです。S&P500連動ETF(IVV)、米国総合債券ETF(AGG)など、多数の人気商品を提供しており、ブラックロックの成長を支える中核事業となっています。

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Single Stock編集部

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