米国株投資を始めたいけれど、NYSEって何？
米国株投資を検討する際、「NYSE」という言葉を目にして、「これは何を意味するのか？」「どんな企業が上場しているのか？」と疑問に思う日本人投資家は少なくありません。NYSEは世界最大の証券取引所で、多くの優良企業が上場しています。
この記事では、ニューヨーク証券取引所（NYSE）の基本情報、歴史、上場条件、ナスダックとの違い、日本からの投資方法をわかりやすく解説します。
この記事のポイント:
- NYSEは1792年設立の世界最大の証券取引所（時価総額25兆ドル超）
- 約2,800社が上場し、Apple、Microsoft、Berkshire Hathawayなどの大型株が中心
- 上場要件は厳格（時価総額2億ドル以上、株主400名以上など）
- ナスダックとの違いは、歴史・上場企業の特性・取引方法
- 日本の主要証券会社で取引可能（取引時間は日本時間の夜間〜早朝）
1. ニューヨーク証券取引所（NYSE）とは？世界最大の取引所
(1) NYSEの基本情報（ウォール街11番地）
ニューヨーク証券取引所（New York Stock Exchange、NYSE）は、米国ニューヨーク市マンハッタンのウォール街11番地に本社を置く証券取引所です。
「NYSE」は株式市場の代名詞として知られ、世界中の投資家が注目する取引所です。
(2) 世界最大の取引所（時価総額25兆ドル超）
NYSEは、時価総額で世界最大の証券取引所です。2024年7月時点の時価総額は25兆ドル超で、約2,800社が上場しています。
この規模は、他の主要取引所（ナスダック、ロンドン証券取引所、東京証券取引所など）を大きく上回ります。
(3) インターコンチネンタル取引所（ICE）が所有
NYSEは、インターコンチネンタル取引所（Intercontinental Exchange、ICE）が所有・運営しています。ICEは2013年にNYSEを買収し、現在はICEの傘下で運営されています。
2. NYSEの歴史と規模（1792年設立、時価総額25兆ドル超）
(1) 1792年5月17日のすずかけ協定
NYSEの歴史は、1792年5月17日にニューヨークのウォール街68番地のすずかけの木の下で結ばれた「すずかけ協定（Buttonwood Agreement）」に始まります。
この協定では、24人の証券ブローカーが集まり、株式取引のルールを定めました。
(2) 1817年の正式設立
すずかけ協定から25年後の1817年、ニューヨーク証券取引委員会（New York Stock & Exchange Board）として正式に設立されました。その後、1863年にニューヨーク証券取引所（New York Stock Exchange）に改称しました。
(3) 「ビッグボード」の愛称と現在の規模
NYSEは「ビッグボード（Big Board）」の愛称で親しまれています。これは、取引所のフロアに設置された巨大な電光掲示板に由来します。
現在では、約2,800社が上場し、時価総額25兆ドル超の世界最大の取引所として君臨しています。
3. NYSE上場の条件と主要上場企業
(1) 上場要件（時価総額2億ドル以上、株主400名以上等）
NYSEに上場するには、以下の厳格な要件を満たす必要があります。
- 時価総額: 2億ドル以上
- 株主数: 400名以上（100株以上保有）
- 公開株式数: 110万株以上
- 財務基準: 一定の収益性や純資産が必要
これらの基準により、NYSEには財務的に安定した大型企業が多く上場しています。
(2) 主要上場企業（Apple、Microsoft、Berkshire Hathaway等）
NYSEには、世界的に有名な企業が多数上場しています。
- Apple Inc.: スマートフォン・デバイスメーカー
- Microsoft Corporation: ソフトウェア・クラウドサービス
- Berkshire Hathaway: ウォーレン・バフェット率いる投資会社
- JPMorgan Chase & Co.: 金融大手
- Johnson & Johnson: 医薬品・医療機器
これらは、時価総額が数千億ドルに達する超大型株です。
(3) 日本企業の上場（トヨタ、ソニー、三菱UFJなど10社）
日本企業もNYSEに上場しています。2024年6月時点で10社が上場しており、代表的な企業は以下の通りです。
- トヨタ自動車: 世界最大の自動車メーカー
- ソニーグループ: エレクトロニクス・エンターテインメント
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ: 金融大手
日本企業としては、1970年にソニーがNYSEに初上場しました。
4. NYSEとナスダックの違い
(1) 歴史と規模の違い（NYSEは1792年設立、ナスダックは1971年設立）
NYSEは1792年設立の歴史ある取引所で、ロンドン証券取引所に次いで世界で2番目に古い証券取引所です。
一方、ナスダック（NASDAQ）は1971年設立で、電子取引に特化した比較的新しい取引所です。
(2) 上場企業の特性（NYSEは大型株中心、ナスダックはハイテク株中心）
NYSEは大型株・伝統的な企業が中心です。金融、製造、小売など幅広い業種の企業が上場しています。
ナスダックはハイテク株が中心で、Google（Alphabet）、Amazon、Meta（旧Facebook）、Teslaなどが上場しています。
(3) 取引方法の違い（NYSEは指値注文中心、ナスダックは完全電子取引）
NYSEは、指値注文を中心とした取引所です。歴史的には、取引所フロアで人が取引を行う「オープンアウトクライ方式」が採用されていましたが、現在は電子取引と併用されています。
ナスダックは完全電子取引で、人手を介さずにコンピューターで自動的に取引が成立します。
5. 日本からNYSE上場銘柄を購入する方法
(1) 米国株を取り扱う日本の証券会社で購入
NYSE上場銘柄は、米国株を取り扱う日本の主要証券会社で購入できます。
- SBI証券: 取引手数料が最安水準
- 楽天証券: 楽天ポイントが貯まる
- マネックス証券: 情報量が充実
各証券会社で米国株取引口座を開設し、日本円を米ドルに両替してから購入します。
(2) 取引時間（日本時間23:30〜翌朝6:00（冬時間）、22:30〜翌朝5:00（夏時間））
NYSEの取引時間は、米国東部時間で月曜〜金曜9:30am-4:00pm（昼休みなし）です。日本時間では以下の通りです。
- 冬時間（11月〜3月）: 23:30〜翌朝6:00
- 夏時間（3月〜11月）: 22:30〜翌朝5:00
日本の夜間〜早朝に取引されるため、リアルタイムでの価格監視が困難な場合があります。
(3) 休場日と手数料・為替リスク
休場日: NYSEの主要休場日は以下の通りです。
- 元旦（New Year's Day）
- 独立記念日（Independence Day）
- 感謝祭（Thanksgiving Day）
- クリスマス（Christmas Day）
手数料・為替リスク:
- 取引手数料: 証券会社により異なる（約定代金の0.45〜0.495%程度）
- 為替手数料: 日本円を米ドルに両替する際の手数料（片道25銭程度）
- 為替リスク: 株価が上昇しても、円高になると円換算で損失が出る可能性がある
6. まとめ：NYSE投資の判断ポイントと注意点
(1) 世界最大の取引所でのメリット
NYSEは世界最大の取引所で、多くの優良企業が上場しています。時価総額25兆ドル超の規模は、投資機会の豊富さを示しています。
厳格な上場要件により、財務的に安定した企業が多い点も魅力です。
(2) 日本の夜間取引の監視の困難さ
NYSEの取引時間は日本時間の夜間〜早朝です。リアルタイムでの価格監視が困難な場合があるため、指値注文や逆指値注文を活用することが重要です。
(3) 為替変動の影響
米国株投資では、為替変動の影響を受けます。株価が上昇しても、円高になると円換算で損失が出る可能性があるため、為替リスクを考慮する必要があります。
投資判断のポイント:
- NYSEは世界最大の取引所で、多くの優良企業が上場している
- 上場要件が厳格なため、財務的に安定した企業が多い
- 日本時間の夜間〜早朝に取引されるため、指値注文の活用が重要
- 為替変動の影響を考慮し、リスク管理を徹底する
- 米国の祝日は日本と異なるため、取引日を事前に確認する
次のアクション:
- NYSE公式サイトで最新の上場企業リストを確認する
- 主要証券会社の手数料や為替手数料を比較する
- 少額から始めて、米国株投資の感覚をつかむ
投資判断は自己責任で行い、リスクを十分に理解した上で検討しましょう。
※本記事の情報は2025年11月時点のものです。最新の取引時間や休場日は、NYSE公式サイト（https://www.nyse.com/）や証券会社のサイトでご確認ください。