ソフトバンクグループのADR(SFTBY)とは?東証株との違いや投資方法を解説
「ソフトバンクグループのADRって何?東証の株とどう違うの?」――ソフトバンクグループ株式会社(東証9984)に投資を検討している方の中には、米国市場で取引されているADR(SFTBY)の存在を知り、疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
ソフトバンクグループのADRは、米国市場で米ドル建てで取引される米国預託証券です。日本を代表する投資持株会社であり、Vision FundやARM Holdings、OpenAI投資など、世界的なテクノロジー企業への投資を通じて注目を集めています。
この記事では、ソフトバンクグループのADR(SFTBY)の基本情報から東証株価との違い、投資方法、注意点まで、詳しく解説します。
この記事のポイント:
- ソフトバンクグループのADRはティッカーシンボル「SFTBY」でOTC Markets(店頭市場)に上場
- 投資持株会社として、Vision Fund、ARM Holdings(90%保有)、OpenAI投資などを運営
- ADR比率は1 ADR = 0.5株、配当利回りは約0.19~0.51%
- ADRは米ドル建て、東証株は円建てで、取引時間や為替影響が異なる
- SBI証券、マネックス証券など日本の証券会社で購入可能
1. ソフトバンクグループADRとは何か
ソフトバンクグループのADRは、ソフトバンクグループ株式会社(東証プライム上場、証券コード9984)の株式を裏付けとして、米国市場で発行されている米国預託証券(American Depositary Receipt)です。ティッカーシンボルは「SFTBY」で、OTC Markets(店頭市場)で取引されています。
ADRを購入することで、日本の投資家は米ドル建てでソフトバンクグループ株に投資でき、配当も米ドルで受け取ることができます。東証で株を買うのとは異なり、為替リスクを伴いますが、米ドル資産としての保有や米国市場での取引時間を活用できるメリットがあります。
2. ソフトバンクグループの企業概要と主要事業
(1) 投資持株会社としての位置づけ
ソフトバンクグループ株式会社は、1981年に孫正義氏が創業した投資持株会社です。かつては通信事業(ソフトバンク株式会社)を中核事業としていましたが、現在は世界的なテクノロジー企業への投資を主軸とした事業モデルに転換しています。
本社は東京に置き、世界中のスタートアップや成長企業に対して大規模な投資を行っています。
(2) 主要資産(Vision Fund、ARM、OpenAI投資)
ソフトバンクグループの主要資産は以下の通りです。
- Vision Fund(ビジョンファンド): 世界最大級のテクノロジー特化型ベンチャーキャピタルファンド(約1,000億ドル規模)。AI、IoT、フィンテックなど幅広い分野に投資。
- ARM Holdings: 半導体設計企業で、スマートフォン用プロセッサ設計で世界シェアトップ。ソフトバンクグループが約90%を保有(2023年IPO後も主要株主)。
- OpenAI投資: 2025年、Nvidia株を全売却(58.3億ドル)し、OpenAIへの投資に注力(総投資額約300億ドル)、生成AIブームに賭ける戦略転換。
これらの投資成績が、ソフトバンクグループの業績に大きく影響します。
(3) 孫正義創業者の投資戦略
孫正義氏は、長期的な視点でテクノロジーの未来に賭ける大胆な投資戦略で知られています。2025年には、Nvidia株を全売却してOpenAIに大規模投資するなど、時代の変化に応じて投資ポートフォリオを柔軟に組み替えています。
Vision Fundの投資成績は四半期ごとに大きく変動し、大幅な赤字を計上することもありますが、長期的な成長を見据えた戦略が特徴です。
3. ソフトバンクグループADR(SFTBY)の基本情報
(1) ティッカーシンボル(SFTBY)
ソフトバンクグループのADRは、ティッカーシンボル「SFTBY」で取引されています。米国の株価情報サイト(NASDAQ、Yahoo Finance、Google Financeなど)で検索すると、リアルタイムの株価や過去のチャートを確認できます。
2025年11月時点では、株価は約63.85ドル前後で、最近10%程度下落しています(出典: Moomoo証券)。
(2) 上場市場(OTC Markets)
ソフトバンクグループのADRは、OTC Markets(店頭市場) に上場しています。OTC Marketsは取引所外で取引される市場で、NYSE(ニューヨーク証券取引所)やNASDAQのような取引所上場株と比べて、以下の特徴があります。
- 流動性が低い: 取引量が少なく、大口取引時にはスプレッド(買値と売値の差)が広がりやすい
- 情報開示が緩い: SECへの報告義務が取引所上場株よりも少ない
- 取引コストが高い場合も: 証券会社によっては手数料が割高になる場合がある
(3) ADR比率(1 ADR = 0.5株)
ソフトバンクグループのADRは、1 ADR = 0.5株の比率で東証株式を保有する権利を持ちます。つまり、ADR 2単位で東証株式1株分の権利となります。
この比率を理解しておかないと、東証株価とADR株価を比較する際に混乱する可能性があります。
4. ADRと東証株価(9984)との違い
(1) 取引通貨の違い(米ドル vs 円)
最も大きな違いは、取引通貨です。
- ADR(SFTBY): 米ドル建てで取引
- 東証株(9984): 円建てで取引
ADRを購入する場合、為替リスクを負うことになります。円高が進むと、米ドル建てで利益が出ていても、円換算では損失になる可能性があります。
(2) 取引時間の違い
取引時間も異なります。
- ADR(SFTBY): 米国市場の取引時間(日本時間23:30~翌6:00、夏時間は22:30~翌5:00)
- 東証株(9984): 日本市場の取引時間(9:00~11:30、12:30~15:00)
米国市場の取引時間を活用したい場合、ADRは便利な選択肢となります。
(3) 為替影響と価格連動性
ADR株価と東証株価は基本的に連動しますが、為替レートの影響を受けます。
例えば、東証株価が8,000円、為替レートが1ドル=150円、ADR比率が1 ADR = 0.5株の場合、ADR株価の理論値は以下のように計算できます。
ADR理論値 = (東証株価 × 0.5) ÷ 為替レート
= (8,000円 × 0.5) ÷ 150円/ドル
= 約26.67ドル
為替レートが変動すると、ADR株価も影響を受けます。
5. ソフトバンクグループADRの投資方法
(1) 対応証券会社(SBI証券、マネックス証券、moomoo証券等)
ソフトバンクグループのADRは、米国株を取り扱う日本の証券会社で購入できます。主要な選択肢は以下の通りです。
- SBI証券: 米国株取扱銘柄数が最多(5,000銘柄以上)、OTC銘柄にも対応
- マネックス証券: 米国株の情報量が豊富、分析ツールが充実
- moomoo証券: リアルタイムチャートや時間外取引情報が充実
購入方法は通常の米国株と同じで、米ドル建てでの取引となります。
(2) 配当利回りと配当受取方法
ソフトバンクグループのADRの配当利回りは約0.19~0.51%程度です(出典: Moomoo証券)。配当は米ドル建てで支払われ、為替換算後に日本円で受け取ります。
配当を受け取る際には、以下の点に注意が必要です。
- 管理手数料: 預託銀行への手数料が配当から自動的に差し引かれる
- 外国税: 日本の源泉税(通常20.315%)が差し引かれる
(3) 東証株式との比較(どちらを買うべきか)
ADRと東証株、どちらを買うべきかは投資目的によって異なります。
ADR(SFTBY)が向いているケース:
- 米ドル資産として保有したい
- 米国市場の取引時間を活用したい
- 円安が進むと予想している(為替差益を狙える)
東証株(9984)が向いているケース:
- 円建てで投資したい(為替リスクを避けたい)
- 日本市場の取引時間を優先したい
- 流動性の高い市場で取引したい
多くの日本の投資家にとっては、為替リスクや流動性の面で東証株の方が扱いやすいと言えます。
6. まとめ:ソフトバンクグループADR投資の注意点
ソフトバンクグループのADR(SFTBY)は、米国市場で米ドル建てで取引できる選択肢です。Vision FundやARM Holdings、OpenAI投資など、世界的なテクノロジー企業への投資を通じて、長期的な成長を狙う戦略が特徴です。
ソフトバンクグループADR投資の注意点:
- Vision Fundの投資成績が業績に大きく影響し、四半期ごとに大幅な変動がある
- OTC市場上場で流動性が低いため、大口取引には注意が必要
- 為替リスクを考慮し、円高・円安の見通しを持って投資判断を行う
- 1 ADR = 0.5株の比率を理解した上で、東証株価と比較する
次のアクション:
- SBI証券やマネックス証券で米国株口座を開設する
- 東証株価(9984)とADR株価(SFTBY)の動きを複合チャートで比較する
- Vision Fundの投資ポートフォリオを確認し、ソフトバンクグループの投資戦略を理解する
ソフトバンクグループのADRは、東証株と比べると取引コストや流動性の面でやや不利ですが、米ドル資産として保有したい場合には有効な選択肢となります。自分の投資スタイルに合うか、慎重に検討してみましょう。
※本記事は2025年11月時点の情報を基に作成しています。最新のデータや税制は国税庁や証券会社の公式サイトでご確認ください。投資判断は自己責任でお願いします。
