米国株式インデックスファンドのチャートの見方と分析方法

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/14

米国株式インデックスファンドのチャートとは

米国株式インデックスファンドに投資しているものの、「チャートはどこで見られる?」「どう読めばいいのかわからない」と悩んでいませんか?

チャートを正しく見ることで、基準価額の推移や長期的なトレンドを把握でき、投資判断の参考にできます。

この記事では、米国株式インデックスファンドのチャート確認方法から見方のポイント、長期投資での活用法までを解説します。

この記事のポイント:

  • 米国株式インデックスファンドの基準価額チャートは、証券会社サイトや金融情報サイトで無料で確認できる
  • 主要ファンドにはeMAXIS Slim米国株式(S&P500)、楽天・全米株式などがある
  • チャートは複数期間(1年・3年・5年等)で確認し、短期変動と長期トレンドの両方を把握する
  • ベンチマークとの乖離率を確認し、運用の効率性を評価する
  • 過去のチャートは将来を保証しないため、長期的な視点で活用することが重要

(1) 基準価額チャートの意味と役割

投資信託の基準価額チャートは、1口(または1万口)あたりの値段の推移を示すグラフです。

基準価額とは:

  • 投資信託の資産価値を口数で割った値
  • 1日1回(営業日の終値ベース)算出される
  • 株式市場の終値と為替レートをもとに翌営業日に公表される

基準価額チャートを見ることで、ファンドの価値がどのように変動してきたかを視覚的に把握できます。

(2) チャートを確認する目的(長期投資の判断材料)

チャートは、以下のような目的で活用されます。

チャート活用の目的:

  • 長期的なトレンドの把握(上昇傾向か、横ばいか)
  • 短期的な変動の確認(市場の急変時の影響)
  • ベンチマークとの比較(運用の効率性評価)
  • ドルコスト平均法での積立タイミングの確認

ただし、過去のチャートは将来のパフォーマンスを保証するものではなく、あくまで参考情報として活用すべきです。

主要な米国株式インデックスファンドの紹介

日本の投資家に人気の米国株式インデックスファンドを紹介します。

(1) S&P500連動ファンド(eMAXIS Slim米国株式等)

S&P500指数に連動することを目指すファンドです。

代表的なファンド:

  • eMAXIS Slim米国株式(S&P500): 信託報酬0.09372%以内、低コストで初心者におすすめ
  • iシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド: 信託報酬0.495%、2025年10月時点の基準価額72,287円
  • SBI・V・S&P500インデックス・ファンド: 信託報酬0.0938%程度、Vanguard ETFを通じて投資

S&P500は米国の時価総額上位500社を対象とし、米国株式市場の約80%をカバーします。

(2) 全米株式連動ファンド(楽天・全米株式等)

米国株式市場全体(大型株〜小型株)に投資するファンドです。

代表的なファンド:

  • 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI): CRSP US Total Market Indexに連動、約4,000社に分散投資
  • SBI・V・全米株式インデックス・ファンド: Vanguard Total Stock Market ETF(VTI)を通じて投資

全米株式ファンドは、S&P500よりも広範囲に分散(中小型株も含む)しており、米国市場全体の成長を取り込めます。

(3) NASDAQ連動ファンド

NASDAQ100指数に連動するファンドで、大型テクノロジー企業に集中投資します。

代表的なファンド:

  • iFreeNEXT NASDAQ100インデックス: NASDAQ100指数に連動
  • eMAXIS NASDAQ100インデックス: 低コストでNASDAQ100に投資

NASDAQは成長性が高い一方、テクノロジーセクターに集中するためボラティリティも大きい点に注意が必要です。

チャートの確認方法(無料ツールの紹介)

米国株式インデックスファンドのチャートは、複数のサイトで無料で確認できます。

(1) 証券会社サイト(楽天証券、マネックス証券、SBI証券)

証券会社サイトでは、取扱ファンドの詳細チャートを確認できます。

主な証券会社:

  • 楽天証券: ファンド詳細ページで基準価額チャート、リターン、リスク指標を表示
  • マネックス証券: トータルリターン、ボラティリティ、シャープレシオなどの詳細指標
  • SBI証券: 複数期間のチャート表示、ベンチマーク比較機能

証券会社サイトは、保有ファンドの管理や追加購入もできるため、投資家にとって便利です。

(2) 金融情報サイト(日本経済新聞、みんかぶ、Yahoo!ファイナンス)

金融情報サイトでは、幅広いファンドのチャートを比較できます。

主な金融情報サイト:

  • 日本経済新聞(投信サーチ): 基準価額、配当、運用方針などの包括的な情報
  • みんかぶ(投資信託): リスク指標、シャープレシオ、ファンド評価
  • Yahoo!ファイナンス: 基準価額チャート、パフォーマンス指標

これらのサイトは口座開設なしでも利用でき、複数のファンドを比較する際に便利です。

(3) 運用会社公式サイト

運用会社の公式サイトでは、目論見書や運用報告書とともにチャートを確認できます。

主な運用会社:

  • 三菱UFJアセットマネジメント: eMAXIS Slimシリーズの詳細情報
  • ニッセイアセットマネジメント: 購入・換金手数料なしシリーズ
  • BlackRock Japan: iシェアーズファンドの詳細情報

運用会社サイトは、ファンドの運用方針や組入銘柄など、詳細な情報が得られます。

チャートの見方とポイント

チャートを正しく読むためのポイントを解説します。

(1) 複数期間での確認(1ヶ月・3ヶ月・1年・3年・5年)

チャートは複数の期間で確認することで、短期的な変動と長期的なトレンドの両方を把握できます。

推奨する確認期間:

  • 1ヶ月〜3ヶ月: 短期的な市場変動の確認
  • 1年: 年間のパフォーマンス評価
  • 3年〜5年: 中期的なトレンドの把握
  • 10年以上: 長期的な成長性の評価

長期投資家は、3年・5年・10年の長期チャートを重視し、短期的な変動に惑わされないことが重要です。

(2) ベンチマークとの乖離率の確認

インデックスファンドは、特定の指数(ベンチマーク)に連動することを目指します。

ベンチマーク例:

  • S&P500インデックスファンド → S&P500(配当込み、円換算ベース)
  • 全米株式インデックスファンド → CRSP US Total Market Index(円換算ベース)

ベンチマークとの乖離率が小さいほど、運用の効率性が高いと評価されます。ただし、信託報酬分の差はどのファンドでも発生します。

(3) 為替変動の影響の理解

米国株式インデックスファンドの基準価額は、株価変動と為替変動の両方の影響を受けます。

為替の影響:

  • 円安(ドル高): 基準価額が上昇しやすい
  • 円高(ドル安): 基準価額が下落しやすい

為替ヘッジを行わないファンドが多いため、円高局面ではチャート上で基準価額が下落するリスクがあります。ただし、長期的には為替変動は平準化される傾向があります。

チャートの活用例(長期投資での使い方)

チャートを長期投資でどう活用するかを解説します。

(1) ドルコスト平均法での定期積立

ドルコスト平均法とは、定期的に一定額ずつ購入する投資手法です。

ドルコスト平均法のメリット:

  • 基準価額が高い時は少なく、安い時は多く購入できる
  • 市場のタイミングを計る必要がない
  • 長期的に平均購入価格を平準化できる

チャートで基準価額の推移を確認することで、積立投資の成果を視覚的に把握できます。

(2) リバランスのタイミング判断

リバランスとは、ポートフォリオの資産配分を元の比率に戻す作業です。

リバランスの例:

  • 米国株60%、日本株40%の目標配分を設定
  • 米国株が大幅上昇して70%になった場合、一部を売却して40%の日本株を買い増し
  • 目標配分60:40に戻す

チャートで資産の推移を確認し、定期的(年1回程度)にリバランスを行うことで、リスクを抑えながらリターンを安定化できます。

(3) 長期的なトレンドの把握

長期チャート(10年以上)を見ることで、市場の歴史的なトレンドを把握できます。

2024年のパフォーマンス例:

  • S&P500: 23%以上の上昇
  • NASDAQ: 約29%の上昇
  • NASDAQ100: 約25%の上昇

短期的には暴落や急騰がありますが、長期的には右肩上がりのトレンドが見られることが多いです(過去のデータであり、将来を保証するものではありません)。

まとめ:チャートを活用した賢い投資法

米国株式インデックスファンドのチャートは、長期投資の強力なツールです。

チャート活用のまとめ:

  • 確認方法: 証券会社サイト、金融情報サイト、運用会社公式サイトで無料で確認可能
  • 見方のポイント: 複数期間で確認、ベンチマークとの乖離率をチェック、為替変動の影響を理解
  • 活用例: ドルコスト平均法での積立、リバランスのタイミング判断、長期トレンドの把握

賢い投資法:

  • 短期的な変動に惑わされず、長期的な視点で投資を続ける
  • 定期的にチャートを確認し、ポートフォリオの状況を把握する
  • 過去のチャートは参考情報として活用し、将来を保証するものではないことを理解する

次のアクション:

  • 保有ファンドまたは購入を検討するファンドのチャートを確認する
  • 複数期間(1年・3年・5年)のチャートを比較する
  • ベンチマークとの乖離率を確認し、運用の効率性を評価する
  • 長期的な視点で投資を続け、定期的に積立投資を行う

投資信託は元本保証ではなく、株価変動や為替変動により損失が生じる可能性があります。投資判断は自己責任で行い、不明点は専門家にご相談ください。

※本記事の情報は執筆時点のものです。最新の基準価額、信託報酬、パフォーマンスは目論見書や運用会社の公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q1米国株式インデックスファンドのチャートはどこで見られるか?

A1楽天証券、マネックス証券、SBI証券などの証券会社サイト、または日本経済新聞、みんかぶ、Yahoo!ファイナンスなどの金融情報サイトで無料で確認できます。口座開設なしでも利用できるサイトもあります。

Q2チャートはリアルタイムで更新されるのか?

A2投資信託の基準価額は1日1回(営業日の終値ベース)算出されるため、リアルタイム更新ではありません。株式市場の終値と為替レートをもとに翌営業日に公表されます。

Q3チャートを見る際、どの期間を重視すべきか?

A3長期投資なら3年・5年・10年の長期チャートを重視しましょう。短期的な変動に惑わされず、長期的なトレンドを確認することが重要です。ただし、短期チャート(1ヶ月〜3ヶ月)も市場の急変時の影響を把握するために有用です。

Q4基準価額の変動要因は何か?

A4主に株価変動と為替変動の2つです。S&P500等の米国株式指数の変動と円ドルレートの変動が基準価額に影響します。為替ヘッジなしのファンドでは、円高局面で基準価額が下落するリスクがあります。

Q5同じS&P500連動でも信託報酬が異なるのはなぜか?

A5運用会社や運用規模により経費が異なるためです。eMAXIS Slimシリーズなど低コスト(0.09372%以内)のファンドを選ぶと、長期的なリターンが向上します。信託報酬は毎年かかるコストなので、長期投資では大きな差となります。

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Single Stock編集部

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