米国株ETFまとめ|種類・特徴・日本から買える主要銘柄一覧

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/14

米国株ETFとは何か

米国株に投資したいけれど、「個別株を選ぶのは難しい」「分散投資したい」と考えていませんか?

ETF(上場投資信託)を活用すれば、1つの銘柄で数百〜数千社に分散投資でき、個別株選択の手間を省きながら米国株市場の成長を取り込めます。

この記事では、米国株ETFの基本から主要銘柄の特徴、選び方のポイントまでを網羅的に解説します。

この記事のポイント:

  • 米国株ETFは上場投資信託で、株式市場でリアルタイム売買が可能
  • 主要指数連動型(S&P500、NASDAQ)、全米株式型、高配当型など用途別に選べる
  • 経費率0.03%〜0.20%の低コストETFを選ぶと長期的なリターンが向上
  • NISA成長投資枠で年間240万円まで非課税投資が可能
  • VOO、VTI、QQQなど主要銘柄の違いと選び方を理解することが重要

(1) ETFの基本(上場投資信託の仕組み)

ETF(Exchange-Traded Fund)は、株式市場に上場している投資信託です。通常の投資信託と異なり、リアルタイムで売買できる点が特徴です。

ETFの仕組み:

  • 株式と同じように証券取引所で売買される
  • 価格は市場の需給により常に変動する
  • 多くのETFは特定の株価指数に連動することを目指す(パッシブ運用)
  • 1株から購入可能で、少額から分散投資ができる

米国株ETFは、S&P500やNASDAQ100などの米国株価指数に連動する銘柄が多く、米国市場全体の動きを手軽に取り込めます。

(2) 米国株ETFと投資信託の違い

米国株に投資する方法として、ETFと投資信託がありますが、いくつかの違いがあります。

主な違い:

  • 売買方法: ETFは株式市場でリアルタイム売買、投資信託は1日1回の基準価額で取引
  • 最低投資額: ETFは1株から(数千円〜)、投資信託は100円から可能な場合も
  • 経費率: ETFは一般的に低い(0.03%〜0.20%)、投資信託は銘柄により幅がある
  • 売買手数料: ETFは証券会社の株式売買手数料、投資信託は購入時手数料や信託財産留保額

どちらが優れているかは投資スタイルにより異なります。リアルタイム売買や低コストを重視するならETF、少額積立を重視するなら投資信託が適しています。

米国株ETFの種類と分類

米国株ETFは投資対象により複数のカテゴリーに分類されます。

(1) 主要指数連動型(S&P500、NASDAQ、ダウ平均)

米国の代表的な株価指数に連動するETFで、市場全体の動きを取り込めます。

S&P500連動型:

  • 米国の時価総額上位500社に投資
  • 米国株式市場の約80%をカバー
  • 代表的なETF: VOO、IVV、SPY

NASDAQ100連動型:

  • NASDAQ市場の大型100社(主にテクノロジー企業)に投資
  • 成長性が高い一方、ボラティリティも大きい
  • 代表的なETF: QQQ

ダウ平均連動型:

  • 米国の優良30社に投資
  • 歴史ある指数だが、分散度はS&P500より低い
  • 代表的なETF: DIA

(2) 全米株式型(VTI等)

米国株式市場全体(大型株〜小型株)に投資するETFです。

全米株式ETFの特徴:

  • 約4,000社以上に分散投資
  • S&P500よりも広範囲に分散(中小型株も含む)
  • 代表的なETF: VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)

全米株式ETFは、米国市場全体の成長を取り込みたい投資家に適しています。

(3) 高配当型(SPYD、HDV等)

配当利回りの高い銘柄を集めたETFで、定期的な配当収入を重視する投資家向けです。

高配当ETFの特徴:

  • 配当利回り3%〜5%程度
  • 値上がり益よりも配当収入を重視
  • 代表的なETF: SPYD、HDV、VYM

高配当ETFは、定期的なキャッシュフローを確保したい投資家や、リタイア後の収入源として活用されます。

(4) セクター別型・テーマ型(MAGS等)

特定のセクター(業種)やテーマに集中投資するETFです。

主なカテゴリー:

  • テクノロジーセクター(XLK等)
  • ヘルスケアセクター(XLV等)
  • 金融セクター(XLF等)
  • テーマ型: マグニフィセント・セブン(MAGS)、AI関連等

2024年には、Roundhill Magnificent Seven ETF(MAGS)が64%のリターンを記録し、大型テクノロジー株の好調を反映しました。ただし、セクター集中型は分散度が低く、リスクも高い点に注意が必要です。

主要ETF一覧と特徴

日本の投資家に人気の主要ETFを比較します。

(1) S&P500連動ETF(VOO、IVV、SPY)の比較

S&P500に連動する代表的なETF3銘柄を比較します。

VOO(Vanguard S&P 500 ETF):

  • 経費率: 0.03%(業界最安水準)
  • 2024年に650億ドルの資金流入を記録(過去最高)
  • 長期投資家に人気

IVV(iShares Core S&P 500 ETF):

  • 経費率: 0.03%
  • 2024年の12ヶ月リターン: 24.98%
  • Blackrockが運用

SPY(SPDR S&P 500 ETF Trust):

  • 経費率: 0.09%(VOO、IVVより高い)
  • 流動性が最も高い(取引量が多い)
  • 短期売買に適している

どれもS&P500に連動するため、パフォーマンスはほぼ同じです。経費率の低さではVOOとIVV、流動性ではSPYが優れています。

(2) NASDAQ連動ETF(QQQ)の特徴

QQQ(Invesco QQQ Trust)は、NASDAQ100指数に連動するETFです。

QQQの特徴:

  • 経費率: 0.20%
  • 大型テクノロジー企業(Apple、Microsoft、Google等)に集中投資
  • S&P500よりも成長性が高い一方、ボラティリティも大きい

テクノロジーセクターの成長を取り込みたい投資家に適していますが、セクター集中リスクがあります。

(3) 全米株式ETF(VTI)の特徴

VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)は、米国株式市場全体に投資するETFです。

VTIの特徴:

  • 経費率: 0.03%
  • 約4,000社以上に分散投資(大型株〜小型株)
  • S&P500よりも広範囲に分散

米国市場全体の成長を取り込みたい投資家に最適です。S&P500(大型株中心)よりも分散度が高いですが、パフォーマンスの差は小さい傾向があります。

(4) 高配当ETF(SPYD、HDV、VYM)の比較

配当収入を重視する投資家向けの高配当ETFを比較します。

SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF):

  • 配当利回り: 約4%〜5%
  • S&P500の高配当上位80銘柄に均等投資
  • 経費率: 0.07%

HDV(iShares Core High Dividend ETF):

  • 配当利回り: 約3%〜4%
  • 財務健全性の高い高配当75銘柄に投資
  • 経費率: 0.08%

VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF):

  • 配当利回り: 約3%
  • 高配当約400銘柄に分散投資(分散度が高い)
  • 経費率: 0.06%

どれも配当収入を得られますが、配当利回りと分散度のバランスで選びます。高配当を重視するならSPYD、財務健全性を重視するならHDV、分散度を重視するならVYMが適しています。

米国株ETFの選び方のポイント

ETF選びで重要な3つのポイントを解説します。

(1) 経費率(Expense Ratio)の重要性

経費率は、ETFの運用・管理にかかるコストの比率で、年率で表示されます。

経費率の影響:

  • 経費率0.03%のETF: 100万円投資で年間300円のコスト
  • 経費率0.20%のETF: 100万円投資で年間2,000円のコスト

長期保有する場合、経費率の差は複利効果により大きな差となります。一般的に、0.03%〜0.20%の低コストETFを選ぶことが推奨されます。

(2) 投資目的別の選び方(値上がり益 vs 配当収入)

投資目的により適したETFが異なります。

値上がり益重視:

  • S&P500連動ETF(VOO、IVV)や全米株式ETF(VTI)
  • 成長性を重視するならNASDAQ連動ETF(QQQ)

配当収入重視:

  • 高配当ETF(SPYD、HDV、VYM)
  • 定期的なキャッシュフローを確保できる

バランス型:

  • S&P500連動ETFは値上がり益と配当収入のバランスが良い

自分の投資目的に合わせてETFを選ぶことが重要です。

(3) 分散の程度(広範囲 vs セクター集中)

分散度もETF選びの重要なポイントです。

広範囲分散型:

  • 全米株式ETF(VTI): 約4,000社
  • S&P500連動ETF(VOO、IVV): 500社
  • リスクが低く、安定したリターンを期待

セクター集中型:

  • NASDAQ連動ETF(QQQ): テクノロジー集中
  • セクター別ETF(XLK、XLV等): 特定業種に集中
  • 高リターンの可能性がある一方、リスクも高い

初心者には広範囲分散型、特定セクターの成長を取り込みたい投資家にはセクター集中型が適しています。

証券会社での購入方法とNISA活用

米国株ETFの購入方法とNISA活用のポイントを解説します。

(1) 主要ネット証券の手数料比較(SBI、楽天、マネックス等)

日本の主要ネット証券では、米国株ETFを購入できます。

SBI証券:

  • 売買手数料: 約定代金の0.495%(上限22ドル)
  • 「SBI ETFセレクション」: 10銘柄の買付手数料が無料
  • 取扱銘柄数: 豊富

楽天証券:

  • 売買手数料: 約定代金の0.495%(上限22ドル)
  • 楽天ポイントが貯まる・使える
  • NISA口座では買付手数料が無料

マネックス証券:

  • 売買手数料: 約定代金の0.495%(上限22ドル)
  • 情報量が充実
  • NISA口座では買付手数料が無料

手数料や取扱銘柄数は証券会社により異なるため、複数社を比較して選ぶことが重要です。

(2) NISA成長投資枠での購入メリット

NISA成長投資枠を活用することで、米国株ETFの売却益や配当金を非課税で享受できます。

NISAのメリット:

  • 年間240万円まで投資可能
  • 売却益が非課税
  • 配当金も非課税(ただし米国での源泉徴収10%は避けられない)

米国株の配当金には、通常、米国で10%、日本で20.315%の税金がかかりますが、NISA口座では日本の税金が非課税となります(米国の10%は課税されます)。

(3) 為替ヘッジの有無と選び方

米国株ETFには、為替ヘッジありとなしの2種類があります。

為替ヘッジなし(一般的):

  • 円安局面では為替差益を享受
  • 円高局面では為替差損が発生
  • 多くの米国株ETFは為替ヘッジなし

為替ヘッジあり:

  • 為替リスクを回避できる
  • ヘッジコストがかかる(経費率が高い)
  • 円安時の為替差益は得られない

長期投資では為替変動が平準化される傾向があり、為替ヘッジなしのETFが一般的です。

まとめ:あなたに合ったETFの選び方

米国株ETFは、投資目的やリスク許容度により適した銘柄が異なります。

選び方のステップ:

  1. 投資目的を明確化: 値上がり益重視か、配当収入重視か
  2. 分散度を決定: 広範囲分散型か、セクター集中型か
  3. 経費率を確認: 0.03%〜0.20%の低コストETFを優先
  4. 証券会社を選択: 手数料や取扱銘柄数を比較
  5. NISA活用を検討: 年間240万円まで非課税投資可能

投資目的別おすすめETF(参考):

  • 初心者・長期投資: S&P500連動ETF(VOO、IVV)、全米株式ETF(VTI)
  • 成長性重視: NASDAQ連動ETF(QQQ)
  • 配当収入重視: 高配当ETF(SPYD、HDV、VYM)

次のアクション:

  • 各ETFの公式ページで最新の経費率やパフォーマンスを確認する
  • 証券会社の比較ツールを活用して手数料を比較する
  • 少額から始めて、市場の動きを体験する
  • 長期的な視点で投資を続け、短期的な変動に一喜一憂しない

ETFは元本保証ではなく、株価変動や為替変動により損失が生じる可能性があります。投資判断は自己責任で行い、不明点は専門家にご相談ください。

※本記事の情報は2024年12月時点のものです。最新の経費率、パフォーマンス、手数料は各ETFの公式サイトや証券会社のサイトでご確認ください。

よくある質問

Q1米国株ETFと投資信託の違いは何か?

A1ETFは株式市場でリアルタイム売買が可能で、投資信託は1日1回の基準価額で取引します。ETFは一般的に経費率が低く(0.03%〜0.20%)、売買手数料がかかります。リアルタイム売買や低コストを重視するならETFが適しています。

Q2VOO、VTI、QQQの違いは何か?

A2VOOはS&P500(大型500社)に連動、VTIは全米株式(約4,000社)に投資、QQQはNASDAQ100(大型テクノロジー100社)に連動します。分散度ではVTI、成長性ではQQQ、バランスではVOOが特徴です。

Q3配当金は自動的に再投資されるのか?

A3ETFの配当金は現金で支払われます。再投資する場合は手動で買い増しが必要です。証券会社によっては配当金再投資サービスを提供している場合もあります。

Q4米国株ETFをNISA口座で購入する際のメリットは?

A4NISA成長投資枠で年間240万円まで投資でき、売却益・配当金が非課税になります。ただし、米国での源泉徴収10%は避けられません。長期投資で大きな節税効果が期待できます。

Q5経費率(Expense Ratio)が低いETFを選ぶべき理由は?

A5経費率は毎年かかるコストで、長期保有時のリターンに大きく影響します。例えば、0.03%のETFと0.20%のETFでは、100万円投資で年間1,700円の差が生じ、複利効果により長期的には大きな差となります。

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Single Stock編集部

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