米国株市場の基礎知識と日本からの投資方法を完全解説

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/14

米国株市場とは?基本構造と主要指標

「米国株に投資したいけど、市場の仕組みがわからない」「プレマーケットって何?」と悩んでいませんか。

米国株市場は、世界最大規模の株式市場であり、日本市場とは取引時間や決算頻度、市場構造が異なります。特に、プレマーケット(市場前取引)の仕組みを理解すると、決算発表後の初動を確認でき、投資判断の精度が向上します。

この記事では、米国株市場の基本構造、取引時間、プレマーケットの活用法、日本からの投資方法、2024-2025年の動向まで、初心者にもわかりやすく解説します。

この記事のポイント:

  • 米国株市場の2大取引所(NYSE・NASDAQ)と主要3指標(ダウ・S&P500・ナスダック)を理解できる
  • 取引時間(通常・プレマーケット・アフターマーケット)と日本からのアクセス方法がわかる
  • プレマーケット取引の仕組みと決算発表後の活用法を学べる
  • 日本からの投資方法(ネット証券、NISA、税金)を把握できる
  • 2024-2025年の市場動向と見通しを理解できる

(1) 米国株市場の2大取引所(NYSE・NASDAQ)

米国株市場には、主に2つの取引所があります。

NYSE(ニューヨーク証券取引所):

  • 世界最大の株式取引所
  • 伝統的な大企業が多く上場(Coca-Cola、Johnson & Johnson、Walmartなど)
  • 時価総額約30兆ドル以上

NASDAQ(ナスダック):

  • ハイテク・IT関連企業が多い(Apple、Microsoft、Amazon、Googleなど)
  • 電子取引システムで高速な取引が可能
  • 時価総額約20兆ドル以上

(出典: SMBC日興証券「米国株式」)

(2) 主要3指標の見方(ダウ・S&P500・ナスダック)

米国株市場全体の動きを把握するには、以下の3つの主要指標を確認します。

主要3指標:

指標 対象銘柄 計算方法 特徴
NYダウ 30銘柄 株価平均型 伝統的な優良企業中心
S&P500 約500社 時価総額加重平均 市場全体を最もよく反映
ナスダック総合 約3,000銘柄 時価総額加重平均 ハイテク・IT関連中心

使い分け:

  • 市場全体の動きを知りたい → S&P500
  • 伝統的な優良企業の動向を見たい → NYダウ
  • ハイテク・IT関連の動きを追跡したい → ナスダック総合

(出典: 野村證券「ニューヨーク株式市況」)

(3) 日本市場との違い(取引時間・決算頻度等)

米国株市場と日本市場には、以下の違いがあります。

主な違い:

項目 米国株市場 日本市場
取引時間 日本時間23:30-翌6:00(夏時間22:30-翌5:00) 9:00-15:00
決算頻度 四半期ごと(年4回)必須 四半期ごと(年4回)任意
配当頻度 四半期ごと(年4回)が一般的 年1-2回が一般的
時間外取引 プレマーケット・アフターマーケットあり なし

特に、時間外取引(プレマーケット・アフターマーケット)が利用できる点が、米国株市場の大きな特徴です。

米国株市場の取引時間と日本からのアクセス

米国株市場の取引時間と、日本からアクセスする際のポイントを解説します。

(1) 通常取引時間(日本時間23:30-翌6:00、夏時間22:30-翌5:00)

米国株市場の通常取引時間は、米国東部時間(ET)の9:30 a.m. - 4:00 p.m.です。

日本時間に換算:

  • 通常時間(11月-3月): 日本時間23:30-翌6:00
  • 夏時間(3月-11月): 日本時間22:30-翌5:00

日本の昼間は米国市場が閉まっているため、リアルタイムで取引するには夜間の対応が必要です。

(出典: CNBC「Premarket Stock Trading Data」)

(2) プレマーケット(20:00-23:30頃)

プレマーケットとは、通常取引開始前の時間外取引です。

プレマーケット取引時間:

  • 米国東部時間: 4:00 a.m. - 9:30 a.m.
  • 日本時間: 20:00頃-23:30頃(夏時間は19:00頃-22:30頃)

プレマーケットでは、決算発表後の銘柄の初動を確認できます。

(3) アフターマーケット(6:00-10:00頃)

アフターマーケットとは、通常取引終了後の時間外取引です。

アフターマーケット取引時間:

  • 米国東部時間: 4:00 p.m. - 8:00 p.m.
  • 日本時間: 翌6:00頃-翌10:00頃(夏時間は翌5:00頃-翌9:00頃)

アフターマーケットでも、決算発表後の株価変動を確認できます。

(4) 決算シーズンと市場の動き(1月、4月、7月、10月)

米国企業は四半期ごとに決算を発表するため、1月、4月、7月、10月が決算シーズンとなります。

決算シーズンの特徴:

  • 株価変動が大きくなる
  • プレマーケット・アフターマーケットで決算発表後の初動を確認できる
  • 予想を上回る決算(ビート)で株価が急騰することもある

決算シーズンは、投資家にとって重要なタイミングです。

プレマーケット(市場前)取引の仕組みと活用法

プレマーケット取引の仕組みと活用法を詳しく解説します。

(1) プレマーケットとは(通常取引前の時間外取引)

プレマーケットは、通常取引開始前(米国東部時間9:30 a.m.前)の時間外取引です。

プレマーケットの特徴:

  • 決算発表やニュースで株価が通常取引前に動く
  • 流動性が低く、売買が不利な価格で成立する可能性がある
  • 主要なネット証券(楽天証券、SBI証券、マネックス証券等)で利用可能

(出典: 株探「プレマーケット株価上昇率ランキング」)

(2) 決算発表後の初動確認に有効

プレマーケットは、決算発表後の株価の初動を確認するのに便利です。

活用例:

  • 前日の通常取引終了後(アフターマーケット)に決算発表
  • プレマーケットで株価が急騰・急落
  • 通常取引開始前に買い・売りの判断ができる

決算発表直後の株価動向を把握することで、投資判断の精度が向上します。

(3) 流動性が低く価格が不利になるリスク

プレマーケット・アフターマーケットは、通常取引と比べて流動性が低いです。

リスク:

  • 買い手・売り手が少ないため、希望価格で取引できないことがある
  • スプレッド(買値と売値の差)が広くなりやすい
  • 大口注文で株価が大きく動く可能性がある

流動性のピークは米国東部時間8:00 a.m.(日本時間22:00頃)とされています。

(出典: CNBC「Premarket Stock Trading Data」)

(4) プレマーケットランキングの活用法

**株探(かぶたん)**では、プレマーケット株価上昇率ランキングを提供しています。

活用法:

  • 決算発表やニュースで急騰している銘柄を確認
  • 通常取引開始前に投資判断の準備ができる
  • 市場全体のセンチメントを把握

プレマーケットランキングを定期的にチェックすることで、市場の動きを先取りできます。

(出典: 株探「プレマーケット株価上昇率ランキング」)

日本から米国株市場に投資する方法

日本から米国株市場に投資する方法を解説します。

(1) ネット証券の選び方(楽天・SBI・マネックス等)

日本の主要ネット証券で米国株を取引できます。

主要ネット証券:

  • 楽天証券: 手数料0.495%(上限22ドル)、楽天ポイントが貯まる、プレマーケット対応
  • SBI証券: 手数料0.495%(上限22ドル)、取扱銘柄5,000以上、プレマーケット対応
  • マネックス証券: 手数料0.495%(上限22ドル)、情報量が充実、プレマーケット対応

どの証券会社もプレマーケット・アフターマーケット取引に対応しています。

(2) NISA口座での米国株投資

NISA口座で米国株を購入すると、配当金や売却益が非課税となります。

NISA口座のメリット:

  • 日本での配当課税(20.315%)が非課税
  • 売却益も非課税
  • 長期的な複利効果を最大化できる

ただし、米国での源泉徴収(10%)は控除されません。

(3) 為替リスクと税金(米国10%・日本20.315%)

米国株投資には、為替リスクと二重課税があります。

為替リスク:

  • 株価10%上昇 + 円安10%進行 → 円建てで約21%の利益
  • 株価10%上昇 + 円高10%進行 → 円建てで約0%(利益なし)

二重課税:

  • 米国での源泉徴収: 配当金の10%
  • 日本での課税: 残りの90%に対して20.315%

NISA口座では日本分が非課税となります。

(4) セクター別パフォーマンスの追跡方法

セクター別のパフォーマンスを追跡すると、投資判断の精度が向上します。

主要セクター:

  • テクノロジー: Apple、Microsoft、NVIDIAなど
  • ヘルスケア: Johnson & Johnson、Pfizerなど
  • エネルギー: Chevron、ExxonMobilなど
  • 金融: JPMorgan Chase、Bank of Americaなど

Yahoo FinanceやMorningstarで、セクター別のパフォーマンスを確認できます。

2024-2025年の米国株市場動向と見通し

2024-2025年の米国株市場の動向と見通しについて解説します。

(1) 2024年の実績(S&P500が25%上昇)

2024年の米国株市場は非常に好調でした。

2024年の主要指標実績:

  • S&P500: 約25%上昇(57回の過去最高値を更新)
  • ナスダック総合: 約33-34%上昇
  • NYダウ: 約15-17%上昇

特にAI関連株(NVIDIA、Microsoftなど)が市場を牽引しました。

(出典: Morningstar「2024 in Review and 2025 Market Outlook」、フランクリン・テンプルトン「2025年の米国株の見通しと注目トピック」)

(2) 2025年の見通し(6-9%上昇予想)

2025年の米国株市場について、アナリストは引き続き堅調な見通しを示しています。

2025年の予想:

  • S&P500: 年末6,300-6,600ポイント予想(約6-9%上昇)
  • トランプ政権の関税政策で2-4月に一時的な調整の可能性
  • その後回復し、過去最高値を更新する見込み

(出典: フランクリン・テンプルトン「2025年の米国株の見通しと注目トピック」、Morningstar「2024 in Review and 2025 Market Outlook」)

(3) FRBの金融政策の影響(利下げペース)

FRB(連邦準備制度)の金融政策が、市場に大きな影響を与えています。

2025年の金融政策:

  • 12月利下げ確率が1ヶ月で96%→46%に低下
  • 利下げペースの鈍化で市場心理が悪化する可能性

FOMC(連邦公開市場委員会)の会合結果を定期的にチェックすることが重要です。

(出典: CNN「Why markets are suddenly on edge」)

(4) トランプ政権の関税政策と不確実性

トランプ政権の関税政策が、市場の不確実性を高めています。

関税政策の影響:

  • 2025年2-4月に関税ショックで市場が調整する可能性
  • その後、市場が関税政策への耐性を構築し回復

ただし、政治的不確実性は引き続き市場のリスク要因です。

(出典: フランクリン・テンプルトン「2025年後半の米国株の注目テーマと投資視点」)

まとめ:米国株市場の基本を理解して投資をスタート

米国株市場の基本構造から最新動向まで解説しました。

この記事の要点:

  • 米国株市場はNYSEとNASDAQの2大取引所、主要3指標(ダウ・S&P500・ナスダック)で動きを把握
  • 取引時間は日本時間23:30-翌6:00(夏時間22:30-翌5:00)、プレマーケットは20:00頃から
  • プレマーケットは決算発表後の初動確認に有効だが、流動性が低く価格が不利になるリスクあり
  • 日本からはネット証券(楽天・SBI・マネックス等)で投資可能、NISA口座で税制メリットあり
  • 2024年はS&P500が25%上昇、2025年は6-9%上昇予想だが関税政策やFRBの金融政策に注意

次のアクション:

  • ネット証券でNISA口座を開設する
  • 毎日S&P500、ダウ、ナスダックの3指標を確認する習慣をつける
  • プレマーケットランキングで決算発表後の銘柄の動きをチェックする
  • セクター別パフォーマンスを追跡し、投資判断の精度を向上させる

米国株市場の基本を理解し、長期的な資産形成を目指しましょう。投資判断は自己責任で行ってください。

よくある質問

Q1米国株市場の取引時間は?

A1米国株市場の通常取引時間は、日本時間23:30-翌6:00(夏時間は22:30-翌5:00)です。プレマーケット(市場前取引)は20:00頃から、アフターマーケット(時間外取引)は翌10:00頃まで利用できます。

Q2プレマーケットとは何?

A2プレマーケットとは、通常取引開始前(米国東部時間9:30 a.m.前)の時間外取引です。決算発表後の株価の初動を確認するのに便利ですが、流動性が低く、売買が不利な価格で成立する可能性があります。日本の主要ネット証券(楽天証券、SBI証券、マネックス証券等)で利用可能です。

Q3日本から米国株市場にどう参加する?

A3楽天証券、SBI証券、マネックス証券等のネット証券で口座を開設すれば、日本から米国株を取引できます。NISA口座でも投資可能で、配当金や売却益が非課税となります。ただし、米国での源泉徴収(10%)は控除されません。

Q4NYダウ、S&P500、ナスダックの違いは?

A4NYダウは30銘柄の株価平均型指数、S&P500は約500社の時価総額加重平均指数、ナスダック総合はナスダック市場の全銘柄(約3,000銘柄)の時価総額加重平均指数です。市場全体の動きを知るにはS&P500が最も適しています。

Q52025年の米国株市場の見通しは?

A52025年の米国株市場は、S&P500が年末6,300-6,600ポイント(約6-9%上昇)と予想されています。トランプ政権の関税政策で2-4月に一時的な調整の可能性がありますが、その後回復し過去最高値を更新する見込みです。FRBの金融政策にも注目が必要です。

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Single Stock編集部

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