ベライゾン(NYSE: VZ)とは?通信大手の事業内容と配当・株価動向を解説

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/14

1. ベライゾン(NYSE: VZ)への投資関心が高まる背景

安定配当を求める日本人投資家の間で、ベライゾン(Verizon Communications Inc., NYSE: VZ)への投資関心が高まっています。

ベライゾンは、米国通信大手で、配当利回り6.8%という高配当株として知られています。19年連続増配を達成し、配当貴族候補(25年連続増配で認定)として評価されています。一方で、2025年11月に発表された15,000人解雇計画や、売上成長率1.5%という低成長が懸念されています。

この記事では、ベライゾンの企業概要、事業セグメント、配当政策、最新動向(リストラ、料金値上げ)、投資リスクを詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • ベライゾンは米国通信大手、時価総額1,733億ドル、NYSE上場
  • 配当利回り6.8%(年間2.76ドル)、19年連続増配の高配当株
  • 2025年11月に15,000人解雇計画を発表(従業員の15%)、Verizon史上最大のリストラ
  • 売上成長率1.5%と低成長、顧客流出(Q3で7,000件減少)に注意

2. ベライゾン企業概要と事業セグメント

(1) 企業概要(米国通信大手、時価総額1,733億ドル)

Verizon Communications Inc.は、米国の大手通信事業者で、ワイヤレス(携帯電話)とブロードバンド(固定回線)の両事業を展開しています。

企業情報:

  • 創業: 1983年(前身のBell Atlanticとして)
  • 本社: ニューヨーク州ニューヨーク市
  • CEO: Dan Schulman(2025年10月就任)
  • 従業員数: 約10万人(2024年時点、リストラ前)
  • 上場: NYSE(ニューヨーク証券取引所)
  • ティッカーシンボル: VZ
  • 時価総額: 1,733億ドル(2025年11月時点)

ベライゾンは、AT&T、T-Mobileとともに、米国通信市場の3大キャリアとして知られています。

(2) ワイヤレス事業とブロードバンド事業

ベライゾンの事業は、ワイヤレス事業とブロードバンド事業の2つのセグメントに分かれます。

ワイヤレス事業:

  • Q3 2025売上: 210億ドル(前年比+2.1%)
  • 業界トップの成長率(AT&T、T-Mobileを上回る)
  • 5Gネットワークの拡大中
  • 後払い契約(Postpaid)が主力

ブロードバンド事業:

  • Fiosブランドで光ファイバーインターネットを提供
  • 家庭向け固定回線サービス
  • ワイヤレスに比べて成長鈍化

ワイヤレス事業が売上の大部分を占めており、5Gネットワークの拡大が成長の鍵となっています。

(3) 5G投資と通信インフラの安定性

ベライゾンは、5Gネットワークの構築に大規模な投資を行っています。

5G投資の状況:

  • 過去数年間で数百億ドルを投資
  • 全米主要都市で5Gサービスを展開
  • ミッドバンド5G(C-Band)の導入で競争力強化

通信インフラの安定性:

  • 通信インフラは生活に不可欠なため、景気変動の影響を受けにくい
  • 安定したキャッシュフロー(2025年フリーキャッシュフロー195-205億ドル予想)
  • ディフェンシブ銘柄として評価される

ただし、5G投資により負債が増加しており、収益化までのタイムラグが課題となっています。

3. ベライゾンの配当・株主還元政策

(1) 高配当利回り6.8%、年間2.76ドル

ベライゾンは高配当株として知られており、安定したインカム収入を求める投資家に人気があります。

配当情報(2025年11月時点):

  • 配当利回り: 6.8%
  • 年間配当: 2.76ドル
  • 四半期配当: 0.69ドル(年4回支払い) (出典: 投資の森、Yahoo Financeなど)

配当利回り6.8%は、S&P500の平均配当利回り約1.5%を大きく上回っており、高配当株として魅力的です。

(2) 19年連続増配の実績

ベライゾンは、2025年9月に19年連続増配を発表しました。

増配実績:

  • 19年連続増配を達成(2025年9月発表)
  • 過去5年間の配当成長率: +1.95%
  • 配当貴族候補(25年連続増配で認定)まであと6年 (出典: 投資の森)

増配ペースは緩やかですが、長期的な配当支払い実績があり、安定性が高いと評価されています。

(3) 配当性向58%とフリーキャッシュフロー195-205億ドル

ベライゾンの配当性向は58%と健全な水準にあります。

配当の持続可能性:

  • 配当性向: 58%(純利益の58%を配当に回す)
  • フリーキャッシュフロー: 195-205億ドル予想(2025年)
  • 2024年フリーキャッシュフロー: 198億ドル(前年187億ドルから増加) (出典: Verizon公式IR、Stock Analysis)

配当性向58%は、将来の増配余地を残しつつ、配当を安定的に支払える水準です。フリーキャッシュフロー195-205億ドルで、配当支払い(年間約80億ドル)を十分にカバーできます。

4. ベライゾンの最新動向(2024-2025年)

(1) 2024年通期決算と2025年Q3業績

ベライゾンの業績は安定していますが、成長率は低迷しています。

2024年通期決算:

  • 売上: 1,348億ドル(前年比+0.61%)
  • EPS(1株利益): 4.14ドル(前年2.75ドルから増加)
  • フリーキャッシュフロー: 198億ドル(前年187億ドル) (出典: Verizon公式ニュースリリース)

2025年Q3決算:

  • 売上: 338億ドル(前年比+1.5%)
  • ワイヤレスサービス売上: 210億ドル(前年比+2.1%、業界トップ)
  • フルイヤーガイダンスを再確認 (出典: Verizon公式ニュースリリース、2025年Q3決算発表)

売上成長率1.5%は、通信業界としては低成長であり、AT&T、T-Mobileと比較しても成長ペースが劣っています。

(2) 新CEO Dan Schulmanの下での15,000人解雇計画

2025年11月、ベライゾンは15,000人の解雇計画を発表しました。

15,000人解雇の詳細:

  • 解雇人数: 約15,000人(従業員の15%に相当)
  • Verizon史上最大のリストラ
  • 新CEO Dan Schulman(2025年10月就任)の下で実施
  • 目的: コスト削減と収益性改善 (出典: Yahoo Finance、2025年11月)

このリストラは、AT&T、T-Mobileとの競争激化を背景に、コスト構造の改善を目指すものです。短期的にはサービス品質低下の懸念がありますが、長期的には収益性改善が期待されます。

(3) 料金値上げと忠誠割引廃止(2025年9月)

2025年9月、ベライゾンは料金値上げと忠誠割引の廃止を実施しました。

料金値上げの詳細:

  • 実施時期: 2025年9月
  • 対象: 既存顧客の一部プラン
  • 影響: Q3で後払い契約7,000件減少、解約率0.91%に上昇

料金値上げと忠誠割引廃止により、顧客流出が加速しています。新CEO Dan Schulmanは「顧客満足度重視」を宣言していますが、短期的には顧客流出が続く可能性があります。

5. ベライゾン投資のリスクと注意点

(1) 15,000人解雇がサービス品質に影響する可能性

Verizon史上最大のリストラは、コスト削減には寄与しますが、サービス品質に影響するリスクがあります。

リストラの影響:

  • 従業員の15%削減により、カスタマーサポートや技術サポートの品質低下懸念
  • 顧客満足度の低下 → 顧客流出の加速
  • 短期的な混乱リスク

アナリストは「短期的にはサービス品質低下のリスク」を指摘しています。

(2) 顧客流出(Q3で7,000件減少)と解約率0.91%

ベライゾンは、料金値上げと忠誠割引廃止により、顧客流出が続いています。

顧客流出の状況:

  • Q3 2025で後払い契約7,000件減少
  • 解約率0.91%(業界平均並み)
  • 料金値上げと忠誠割引廃止(2025年9月)が原因 (出典: MarketBeat、Stock Analysis)

顧客流出が続く場合、売上成長率がさらに鈍化するリスクがあります。

(3) 売上成長率1.5%と低成長、AT&T・T-Mobileとの競争

ベライゾンの売上成長率1.5%は、AT&T、T-Mobileと比較しても低い水準です。

競合との比較:

  • ベライゾン: 売上成長率1.5%(Q3 2025)
  • AT&T、T-Mobile: より高い成長率
  • アナリストは「成長ペースでライバルに劣る」と予測

ベライゾンはワイヤレス事業で業界トップの成長率(+2.1%)を記録していますが、全体の売上成長率は低迷しており、競争力に課題があります。

6. まとめ:ベライゾン投資判断のポイント

ベライゾン(NYSE: VZ)は、米国通信大手で、高配当株として長期保有投資家に人気があります。

投資判断のポイント:

  • 高配当利回り: 6.8%(年間2.76ドル)と高配当、安定したインカム収入
  • 19年連続増配: 配当貴族候補(あと6年で認定)
  • 安定キャッシュフロー: フリーキャッシュフロー195-205億ドル予想(2025年)で配当は持続可能
  • ディフェンシブ銘柄: 通信インフラは景気変動の影響を受けにくい

投資リスク:

  • 15,000人解雇: Verizon史上最大のリストラで、短期的にサービス品質低下懸念
  • 顧客流出: Q3で7,000件減少、料金値上げと忠誠割引廃止が原因
  • 売上成長率1.5%: 低成長、AT&T・T-Mobileとの競争で劣る
  • PER 8.77倍: 割安だが、成長性は限定的

アナリスト評価(2025年11月時点):

  • コンセンサスレーティング: Buy(12名のアナリスト)
  • 平均目標株価: 48.5ドル(現在価格41.11ドルから+17.98%)
  • JPモルガンは「Neutral」で目標株価を49ドル→47ドルに引き下げ (出典: Stock Analysis)

次のアクション:

ベライゾンへの投資は、高配当と安定性を求める長期投資家に適しています。情報収集を続け、自己責任で投資判断を行いましょう。

よくある質問

Q1ベライゾンとは何ですか?

A1米国通信大手で、ワイヤレス(携帯電話)とブロードバンド(固定回線)の両事業を展開しています。ティッカーシンボルはVZ、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場し、時価総額は1,733億ドルです。AT&T、T-Mobileとともに、米国通信市場の3大キャリアとして知られています。

Q2配当利回りはどのくらいですか?

A2配当利回り6.8%、年間2.76ドルを四半期ごとに支払います(四半期配当0.69ドル)。19年連続増配を達成し、配当貴族候補(25年連続増配で認定、あと6年)として評価されています。配当性向58%で、フリーキャッシュフロー195-205億ドル予想(2025年)により配当は持続可能な水準です。

Q315,000人解雇の影響は何ですか?

A3Verizon史上最大のリストラで、従業員の15%に相当します。新CEO Dan Schulman(2025年10月就任)の下で実施され、コスト削減と収益性改善が目的です。短期的にはサービス品質低下(カスタマーサポート、技術サポート)や顧客満足度低下の懸念がありますが、長期的には収益性改善が期待されます。

Q4主なリスクは何ですか?

A415,000人解雇によるサービス品質低下、顧客流出(Q3 2025で後払い契約7,000件減少、解約率0.91%)、売上成長率1.5%と低成長で AT&T・T-Mobileとの競争で劣る可能性、料金値上げと忠誠割引廃止(2025年9月)による顧客離れがあります。アナリストは「成長ペースでライバルに劣る」と予測しています。

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