FOMC日程を把握する重要性
米国株投資をしている方にとって、FOMC(連邦公開市場委員会)の日程を把握することは重要です。FOMCの政策決定は株価や為替に大きな影響を与えるため、発表のタイミングを事前に知っておく必要があります。
この記事では、2025年のFOMC開催日程、日本時間での発表時間、市場への影響を具体的に解説します。
この記事のポイント:
- 2025年のFOMCは年8回開催(1月、3月、5月、6月、7月、9月、10月、12月)
- 政策金利発表は米国東部時間14時(日本時間:夏時間3時、冬時間4時)
- パウエルFRB議長の記者会見は発表の30分後に開始
- 3月・6月・9月・12月のFOMCでは経済見通し(SEP)も発表され注目度が高い
- FRB公式サイト(federalreserve.gov)で最新スケジュールを確認できる
(1) 金融政策が株価・為替に与える影響
FOMCの政策決定、特に政策金利の変更は、株価や為替に大きな影響を与えます。
一般的に、利下げは株価にプラス要因とされています。金利が低くなると、企業の借入コストが下がり、投資や事業拡大がしやすくなるためです。また、債券利回りが低下することで、相対的に株式の魅力が高まります。
一方、利上げは株価にマイナス要因となる場合があります。金利が上がると、企業の資金調達コストが増加し、消費者の借入負担も増えるため、経済全体が減速する可能性があるためです。
ただし、市場の期待との乖離や景気後退懸念により、利下げでも株価が下落する場合もあります。過去の事例を参考に、断定的な予測は避けるべきです。
(2) 発表前後の市場の変動リスク
FOMC発表直後は、株式市場・為替市場が大きく変動する可能性が高いです。
特に、市場の予想と異なる決定が発表された場合、ボラティリティ(価格変動の大きさ)が急上昇します。このため、FOMC発表前後にポジションを持っている投資家は、リスク管理を徹底する必要があります。
(3) 投資タイミングの判断材料として
FOMCの日程を事前に把握することで、投資タイミングの判断材料として活用できます。
例えば、FOMC発表前には様子見姿勢を取り、発表後の市場の反応を見てから投資判断を行うという戦略も考えられます。また、長期投資家であれば、FOMC発表による一時的な変動を気にせず、保有を継続するという選択もあります。
FOMCとは何か(基礎知識)
(1) 連邦公開市場委員会の役割
FOMC(Federal Open Market Committee)は、米国の金融政策を決定する組織です。連邦準備制度(Federal Reserve、通称FRB)の一部として機能しています。
FOMCは、米国経済の安定的な成長と物価の安定を目的として、政策金利の設定や公開市場操作(国債の売買)などを決定します。
(2) 政策金利の決定プロセス
FOMCの主な決定事項は、政策金利(フェデラルファンド金利の誘導目標)です。
政策金利は、銀行間で短期資金を融通し合う際の金利水準を示します。FOMCがこの金利を引き上げる(利上げ)または引き下げる(利下げ)ことで、経済全体の金利水準に影響を与えます。
会合では、FRB理事7名と地区連銀総裁5名の計12名が投票を行い、多数決で政策を決定します。
(3) 年8回開催のスケジュール(約6週間おき)
FOMCは年8回開催され、約6週間おきに実施されます。会合は通常2日間にわたって行われ、最終日の午後に政策決定が発表されます。
スケジュールはFRB公式サイトで公開されており、年初に暫定スケジュールが発表されます。ただし、緊急の経済状況が発生した場合、臨時会合が開催されることもあります。
2025年のFOMC開催日程一覧
(1) 2025年の8回の開催日(1月、3月、5月、6月、7月、9月、10月、12月)
2025年のFOMC開催日程は以下の通りです。
- 1月28-29日
- 3月18-19日
- 5月6-7日
- 6月17-18日
- 7月29-30日
- 9月16-17日
- 10月28-29日
- 12月9-10日
政策決定の発表は、各会合の最終日(通常は2日目)の午後に行われます。
参考: Federal Reserve「Meeting calendars and information」
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm
(2) 経済見通し(SEP)発表の重要性(3月・6月・9月・12月)
3月・6月・9月・12月のFOMCでは、経済見通しの要約(Summary of Economic Projections、SEP)も同時に発表されます。
SEPには、FOMC参加者の経済成長率、失業率、インフレ率、政策金利の見通しが含まれます。特に「ドットチャート」と呼ばれる、将来の政策金利見通しを示すグラフは市場の注目度が高いです。
このため、3月・6月・9月・12月のFOMCは、他の月よりも注目度が高く、市場の反応も大きくなる傾向があります。
(3) 議事要旨の公開タイミング(会合の3週間後)
議事要旨(FOMC Minutes)は、会合の3週間後に公開されます。
議事要旨には、政策決定の背景や、参加者の議論の詳細が記載されています。リアルタイムの詳細は分かりませんが、政策決定の背景を理解する重要な資料です。
市場参加者は、議事要旨を読むことで、次回のFOMCでの政策方針を予測しようとします。
FOMC発表時間の日本時間への換算方法
(1) 政策金利発表時間(米国東部時間14時→日本時間)
FOMCの政策金利発表は、米国東部時間(Eastern Time、ET)の14時に行われます。
日本時間への換算は、米国のサマータイム(夏時間)期間かどうかで異なります。
- サマータイム期間中(3月第2日曜日~11月第1日曜日): 日本時間午前3時
- 冬時間(11月第1日曜日~3月第2日曜日): 日本時間午前4時
参考: OANDA「【2025年11月更新】FOMCとは|開催日程や今後の見通しについて解説」
https://www.oanda.jp/lab-education/beginners/fundamentals_analysis/fomc-meeting/
(2) サマータイムの影響(夏時間は日本時間3時、冬時間は4時)
サマータイム期間中は、米国東部時間と日本時間の時差が13時間になります(通常は14時間)。このため、発表時刻が日本時間で1時間早まります。
サマータイムの切り替え時期を把握し、日本時間での発表時刻を間違えないよう注意が必要です。
(3) パウエル議長の記者会見時間(発表の30分後)
パウエルFRB議長の記者会見は、政策金利発表の30分後(米国東部時間14:30)に開始されます。
日本時間では、以下の通りです。
- サマータイム期間中: 日本時間午前3時30分
- 冬時間: 日本時間午前4時30分
記者会見では、パウエル議長が政策決定の背景や今後の見通しを説明します。この内容が市場の解釈を大きく左右するため、記者会見中も株価や為替が変動する可能性があります。
FOMCが米国株式市場に与える影響
(1) 利上げ・利下げと株価の関係
一般的に、以下の関係があると言われています。
- 利下げ: 株価にプラス要因(企業の借入コスト低下、債券利回り低下で株式の魅力向上)
- 利上げ: 株価にマイナス要因(企業の資金調達コスト増加、消費者の借入負担増加)
ただし、市場の期待との乖離が重要です。例えば、市場が0.5%の利下げを期待していたのに実際は0.25%の利下げだった場合、「期待外れ」として株価が下落することもあります。
(2) 発表直後のボラティリティ上昇
FOMC発表直後は、株式市場のボラティリティが急上昇します。
特に、以下のような場合にボラティリティが高まります。
- 市場予想と異なる決定が発表された場合
- 経済見通し(SEP)が大きく修正された場合
- パウエル議長の記者会見で予想外の発言があった場合
このため、FOMC発表前後にポジションを持っている投資家は、リスク管理を徹底する必要があります。
(3) 過去の事例(2025年10月の利下げ等)
2025年10月のFOMCでは、0.25%の利下げが決定され、政策金利目標は3.75-4.00%となりました。
また、2024年12月1日には量的引き締め(QT)の終了が決定されました。量的引き締めとは、中央銀行が保有する国債等を減らす政策で、これが終了することで市場への資金供給が増えると期待されています。
過去の事例を参考にすることで、今後のFOMC発表が市場に与える影響をある程度予測できますが、経済状況は常に変化するため、断定的な予測は避けるべきです。
参考: マネックス証券「【2025年最新】FOMCやECB理事会などの重要イベントはこれだ!」
https://info.monex.co.jp/us-stock/basic-guide/knowledge/schedule2025.html
まとめ:FOMC日程を活用した投資戦略
FOMCの日程を把握することで、投資タイミングの判断材料として活用できます。2025年のFOMCは年8回開催され、政策金利発表は米国東部時間14時(日本時間:夏時間3時、冬時間4時)に行われます。
3月・6月・9月・12月のFOMCでは経済見通し(SEP)も発表されるため、特に注目度が高いです。
次のアクション:
- FRB公式サイト(federalreserve.gov)で最新のFOMCスケジュールを確認する
- サマータイムの切り替え時期(3月第2日曜日、11月第1日曜日)をカレンダーに記録する
- FOMC発表前後は市場のボラティリティが高まるため、リスク管理を徹底する
- 議事要旨(会合の3週間後に公開)も確認し、政策決定の背景を理解する
FOMCスケジュールは暫定的なものであり、直前の会合で正式に確定されるため、変更の可能性があります。最新情報は必ずFRB公式サイトで確認してください。
※投資判断は自己責任で行ってください。FOMCの決定が市場に与える影響は、経済状況や市場の期待により大きく異なります。
