9月FOMC会合とは?日程・注目点と米国株への影響を解説

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/14

9月FOMCとは?基礎知識と重要性

米国株投資に関する情報を読んでいると、「FOMC」や「9月FOMC」という言葉を目にすることがあります。しかし、「FOMCとは何か」「9月のFOMCが特に注目される理由」を理解している投資家は意外と少ないかもしれません。

FOMC(Federal Open Market Committee)は、米国の金融政策を決定する連邦公開市場委員会で、政策金利の変更や経済見通しを発表します。特に9月のFOMC会合は、四半期経済予測(SEP)とドットチャート(金利見通し)が発表されるため、今後の利下げペースを予測する重要な機会となります。

この記事のポイント:

  • FOMCは米国の金融政策を決定する委員会(FRB理事7名+地区連銀総裁5名で構成)
  • 年8回の会合で政策金利を決定し、米国経済・株式市場に大きな影響を与える
  • 9月FOMCは四半期経済予測とドットチャートが発表され、今後の利下げペースを予測できる
  • 2024年9月には4年半ぶりに0.5%の大幅利下げ、2025年9月には0.25%の利下げを実施
  • 利下げは短期的に株式市場の好材料だが、景気後退懸念が背景の場合は注意が必要
  • 日本時間では会合翌日の午前3時に声明文が発表される

(1) FOMCの正式名称と役割

FOMCの正式名称は「Federal Open Market Committee」(連邦公開市場委員会)です。米国の中央銀行であるFRB(Federal Reserve Board)の一部門で、金融政策を決定する最高意思決定機関です。

FOMCの主な役割:

  • 政策金利(フェデラル・ファンド金利)の決定
  • 量的緩和・量的引き締めの決定
  • 経済見通しの発表
  • 金融政策の方向性に関する声明文の発表

FOMCの決定は、米国経済だけでなく、世界中の金融市場に影響を与えます。

(2) FRBの金融政策決定プロセス

FOMCは、FRB理事7名と地区連銀総裁5名(輪番制)の合計12名で構成されます。会合では、経済指標(雇用統計、CPI、GDP等)を分析し、政策金利の変更を多数決で決定します。

決定プロセス:

  1. 経済データの分析(雇用、物価、GDP等)
  2. 委員による討議(2日間)
  3. 政策金利の決定(多数決)
  4. 声明文の発表(会合最終日午後2時、米国時間)
  5. 議長記者会見(声明文発表の30分後)

大半の決定は全会一致ですが、2024年9月にはBowman理事が反対票を投じるなど、意見が分かれることもあります。

(3) 年8回の開催スケジュール

FOMCは年8回、約6週間ごとに開催されます。会合は米国時間の火曜日・水曜日の2日間で実施されます。

2025年の開催スケジュール例:

  • 1月: 1月28-29日
  • 3月: 3月18-19日
  • 5月: 5月6-7日
  • 6月: 6月17-18日
  • 7月: 7月29-30日
  • 9月: 9月16-17日
  • 11月: 11月4-5日
  • 12月: 12月16-17日

最新のスケジュールは、FRB公式サイト(https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm)で確認できます。

FOMCの開催スケジュールと9月会合の特徴

(1) 9月FOMCの開催時期(通常9月第2-3週)

9月のFOMC会合は、通常9月の第2週または第3週に開催されます。夏季休暇明けのタイミングで、市場の注目が高まる時期でもあります。

9月FOMCの特徴:

  • 夏季休暇明けで市場の流動性が回復
  • 第4四半期の経済見通しを左右する重要な会合
  • 年末に向けた政策スタンスを示す機会

(2) 四半期経済予測(SEP)とドットチャート

9月FOMCの最大の特徴は、四半期経済予測(SEP: Summary of Economic Projections)とドットチャート(金利見通し)が発表されることです。

SEP(四半期経済予測):

  • GDP成長率、失業率、インフレ率の見通しを更新
  • 年4回発表(3月、6月、9月、12月)
  • 委員の経済見通しを集約したもの

ドットチャート(Dot Plot):

  • FOMC参加者の将来の政策金利見通しを示したグラフ
  • 各委員の見通しが「ドット(点)」で表示される
  • 今後の利下げペースを予測する重要な手がかり

ドットチャートを確認することで、「年内にあと何回利下げがあるか」「来年の政策金利はどうなるか」を予測できます。

(3) 議長記者会見の重要性

FOMC声明文の発表後、FRB議長(現在はジェローム・パウエル議長)が記者会見を行います。この会見は、FOMCの決定を補足説明し、今後の政策スタンスを示す重要な機会です。

議長記者会見のポイント:

  • 声明文に書かれていない詳細な判断理由
  • 今後の経済見通しに関するコメント
  • 質疑応答での「タカ派・ハト派」のニュアンス確認

市場参加者は、議長の言葉遣い(「追加利下げを検討」「様子見」等)から、今後の政策を読み取ります。

2024-2025年の9月FOMC振り返り

(1) 2024年9月の0.5%大幅利下げ

2024年9月、FRBは4年半ぶりに利下げを実施しました。しかも、通常の0.25%ではなく、0.5%の大幅利下げでした。

2024年9月FOMCのポイント:

  • 0.5%(50bp)の利下げを決定
  • 4年半ぶりの利下げ(2020年3月以来)
  • インフレよりも雇用環境を重視する姿勢に転換

大幅利下げの背景には、労働市場の弱さ(失業率上昇、求人倍率低下)があり、FRBは景気後退リスクを警戒しました。

(2) 2025年9月の0.25%利下げ(6会合ぶり)

2025年9月、FRBは6会合ぶりに0.25%の利下げを実施しました。

2025年9月FOMCのポイント:

  • 0.25%(25bp)の利下げを決定
  • 6会合ぶりの利下げ(2025年3月以来)
  • 雇用環境の悪化を重視し、関税インフレよりも雇用を優先

2024年の大幅利下げと比較すると、2025年は「通常ペース」の利下げとなり、市場はこれを好感しました。

(3) 雇用環境悪化を重視する政策転換

FRBは、2024-2025年にかけて「物価安定よりも雇用環境の悪化を重視する」姿勢に転換しました。

政策転換の背景:

  • インフレ率が2%台に低下(ピーク時9%から大幅改善)
  • 失業率が上昇傾向(労働市場の弱さ)
  • 景気後退リスクへの警戒感

この政策転換により、FRBは「利下げサイクル」に入りました。

9月FOMCの注目点と市場への影響

(1) 利下げ幅(0.25% vs 0.5%)の予測方法

FOMC会合前に、投資家は「利下げ幅が0.25%か0.5%か」を予測します。

予測の手がかり:

  • 雇用統計(失業率、NFP等): 雇用が急激に悪化 → 0.5%利下げの可能性
  • CPI(消費者物価指数): インフレが落ち着いている → 利下げしやすい
  • FRB高官のコメント: 「労働市場を注視」→ 利下げの可能性高い

2024年9月は雇用の弱さが確認され、0.5%の大幅利下げとなりました。

(2) ドットチャートで読む今後の利下げペース

ドットチャート(金利見通し)を確認することで、「年内にあと何回利下げがあるか」を予測できます。

ドットチャートの見方:

  • 各委員の見通しが「ドット(点)」で表示される
  • 中央値(メディアン)を確認し、市場予想と比較
  • 前回会合からの変化を確認(利下げペースが加速?減速?)

例えば、中央値が「年内あと2回の0.25%利下げ」を示している場合、年末の政策金利は0.5%下がることになります。

(3) 米国株市場への影響(ハイテク株・金融株)

利下げは、一般的に株式市場にとって好材料とされますが、影響はセクターにより異なります。

ハイテク株への影響:

  • 利下げ → 金利低下 → 成長株の株価上昇
  • 特にハイテク株は金利感応度が高い
  • ただし、景気後退懸念が背景の場合は下落リスクも

金融株への影響:

  • 利下げ → 銀行の利ざや縮小 → 金融株の利益減少
  • 一般的に利下げは金融株にネガティブ

(4) 為替市場への影響(円高ドル安リスク)

利下げは、ドル安要因となります。日本の投資家にとっては、為替差損のリスクがあります。

為替への影響:

  • 米国利下げ → ドル安・円高
  • 米ドル建て資産(米国株・ETF)の円換算価値が減少
  • 為替ヘッジなしの投資は為替リスクを受ける

例えば、米国株が+10%上昇しても、ドルが10%下落すれば、円換算のリターンは±0%になります。

日本の投資家が知っておくべきこと

(1) 日本時間での発表タイミング(翌日午前3時)

FOMC声明文は、米国時間の午後2時(日本時間では翌日午前3時)に発表されます。

発表スケジュール:

  • 米国時間: 水曜日午後2時
  • 日本時間: 木曜日午前3時
  • 議長記者会見: 声明文発表の30分後(日本時間午前3時30分)

リアルタイムで確認したい場合は、深夜3時にFRB公式サイトをチェックする必要があります。

(2) FRB公式サイトでの声明文確認方法

FOMC声明文は、FRB公式サイトで確認できます。

確認方法:

  1. FRB公式サイト: https://www.federalreserve.gov/
  2. 「Monetary Policy」→「Federal Open Market Committee」
  3. 「Meeting calendars and information」から最新の声明文を確認

声明文は英語ですが、主要証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)が日本語解説を提供しています。

(3) 議事録(Minutes)の公開スケジュール

FOMC議事録(Minutes)は、会合の3週間後に公開されます。

議事録の特徴:

  • 委員の詳細な議論内容を記録
  • 声明文では分からない判断理由を確認できる
  • 「タカ派・ハト派」の委員の意見を読み取れる

議事録を読むことで、次回FOMCの政策方向を予測しやすくなります。

(4) 為替リスクと税金の注意点

日本から米国株に投資する場合、為替リスクと税金の注意が必要です。

為替リスク:

  • 利下げでドル安・円高が進むと為替差損が発生
  • ドルコスト平均法(定期的な分散購入)で為替変動の影響を緩和

税金の注意点:

  • 配当課税: 米国で10%源泉徴収後、日本でさらに約20%課税(外国税額控除で一部還付可能)
  • 売却益課税: 約20%の譲渡所得税(NISA口座なら非課税)

税金の詳細は税理士や国税庁のウェブサイトで最新情報を確認してください。

まとめ:9月FOMC会合をどう活用するか

9月FOMC会合は、四半期経済予測(SEP)とドットチャート(金利見通し)が発表される重要な機会です。今後の利下げペースを予測し、米国株投資の戦略を立てるための貴重な情報源となります。

投資家が押さえるべきポイント:

  • FOMC声明文とドットチャートを同時に確認し、今後の利下げペースを予測
  • 議長記者会見での「タカ派・ハト派」のニュアンスを読み取る
  • 利下げは短期的に株式市場の好材料だが、景気後退懸念が背景の場合は注意
  • 為替リスクを考慮し、ドルコスト平均法などで分散購入を検討
  • FOMC議事録(3週間後公開)も確認し、次回会合の予測精度を高める

FOMCの決定は、最新の経済指標に基づくため、事前予想が外れることもあります。複数の情報源を確認し、慎重に投資判断を行ってください。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴いますので、ご自身の判断で行ってください。

よくある質問

Q1FOMCとは何ですか?

A1FOMC(Federal Open Market Committee)は米国の金融政策を決定する連邦公開市場委員会です。FRB理事7名と地区連銀総裁5名で構成され、年8回の会合で政策金利(フェデラル・ファンド金利)を決定します。

Q29月FOMCが特に注目される理由は?

A29月FOMCは四半期経済予測(SEP)とドットチャート(金利見通し)が発表されるため、今後の利下げペースを予測できます。年4回(3月、6月、9月、12月)しか発表されないため、特に注目されます。

Q3利下げは株式市場に良い影響を与えますか?

A3短期的には好材料とされますが、景気後退懸念が背景にある場合は注意が必要です。2024年9月の0.5%大幅利下げ後も、市場は一時的に調整しました。利下げの背景(景気刺激か景気後退回避か)を確認することが重要です。

Q4日本時間でいつ発表されますか?

A4FOMC声明文は米国時間の午後2時(日本時間では翌日午前3時)に発表されます。議長記者会見は声明文発表の30分後(日本時間午前3時30分)に開始されます。

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Single Stock編集部

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