FOMC日程を確認して投資戦略に活かす
米国株に投資していると、市場が突然大きく動く瞬間があります。その多くは、FOMC(米連邦公開市場委員会)の政策発表が関係しています。金利政策は株式市場に大きな影響を与えるため、投資家にとって事前に日程を把握しておくことは重要です。
この記事では、2025年のFOMC日程(米国時間・日本時間)、確認方法、そしてFOMC前後の投資判断の注意点を解説します。
この記事のポイント:
- FOMCは年8回開催(2月・4月・8月・11月は開催なし)
- 日本時間での発表: 夏時間(3-11月)午前3時、冬時間(12-2月)午前4時
- 四半期会合(3月・6月・9月・12月)でドットプロット(FF金利予測)を公表
- FRB公式サイト、マネックス証券、OANDA等で日程を確認可能
- FOMC発表後は市場変動が激しくなるため、事前のポジション調整が重要
(1) 金融政策が株式市場に与える影響
FOMCでは、FF金利(フェデラル・ファンド金利)という政策金利が決定されます。この金利は米国の金融政策の中心であり、利上げ・利下げは株式市場に以下のような影響を与えます:
- 利上げ: 企業の借入コストが上昇し、業績悪化の懸念から株価は下落しやすい
- 利下げ: 借入コストが低下し、企業の成長期待から株価は上昇しやすい
ただし、市場の予想との乖離(サプライズ)の度合いによって、実際の株価への影響は異なります。
(2) なぜ事前に日程を把握すべきなのか
FOMC発表前後は、市場のボラティリティ(変動性)が急上昇します。事前に日程を把握しておけば、以下のような対応が可能です:
- ポジション調整(損切り・利確の水準設定)
- 新規投資の一時保留(発表後の市場状況を見てから判断)
- レバレッジ取引の縮小(変動リスクの軽減)
FOMCとは?日程確認の重要性
(1) FOMC(米連邦公開市場委員会)の役割
FOMC(Federal Open Market Committee)は、FRB(連邦準備制度理事会)が開催する金融政策決定会議です。政策金利の決定、経済見通しの公表、今後の金融政策の方向性を議論します。
FOMCには以下のメンバーが参加します:
- FRB理事7名
- ニューヨーク連邦準備銀行総裁1名
- 地区連銀総裁4名(輪番制)
合計12名が議決権を持ちますが、SEP(経済見通し)やドットプロット(FF金利予測)には19名全員が参加します。
(2) 年8回開催(2月・4月・8月・11月は開催なし)
FOMCは年8回、約6週間ごとに開催されます。2月・4月・8月・11月には会合がなく、以下の月に集中しています:
- 1月、3月、5月、6月、7月、9月、10月、12月
日本の日銀金融政策決定会合も年8回開催されますが、FOMCとは開催月が異なります。
(3) FF金利(フェデラル・ファンド金利)の決定プロセス
FOMCでは、FF金利の目標レンジを決定します。例えば、2025年10月のFOMCでは0.25%の利下げを実施し、FF金利を4.00%-4.25%に引き下げました。
FF金利は銀行間の短期貸出金利の目標値であり、住宅ローンや企業融資の金利にも影響します。
(4) 四半期会合(3月・6月・9月・12月)とSEP・ドットプロット
四半期会合(3月・6月・9月・12月)では、SEP(Summary of Economic Projections: 経済見通し要約)とドットプロット(Dot Plot: FF金利予測)が公表されます。
ドットプロットは、FOMC参加者19人のFF金利予測を点で示すグラフです。今後の利上げ・利下げのペースを把握でき、市場の注目度が非常に高い情報です。
例えば、2024年12月のFOMCでは、2025年末の金利見通しが3.4%から3.9%に上方修正され、利下げ回数予想が4回から2回に半減しました。これが「タカ派利下げ」と呼ばれ、円安・株安につながりました。
2025年FOMC日程一覧(米国時間・日本時間)
(1) 2025年全8回の日程一覧表
以下は、2025年のFOMC日程です。各会合は2日間開催され、最終日(水曜日)に政策発表が行われます。
| 会合回 | 米国時間 | 日本時間(発表) | 議長会見 | SEP・ドットプロット |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 1/28-29 | 1/30(木)午前4時 | 午前4時30分 | なし |
| 3月 | 3/18-19 | 3/20(木)午前3時 | 午前3時30分 | あり |
| 5月 | 5/6-7 | 5/8(木)午前3時 | 午前3時30分 | なし |
| 6月 | 6/17-18 | 6/19(木)午前3時 | 午前3時30分 | あり |
| 7月 | 7/29-30 | 7/31(木)午前3時 | 午前3時30分 | なし |
| 9月 | 9/16-17 | 9/18(木)午前3時 | 午前3時30分 | あり |
| 10月 | 10/28-29 | 10/30(木)午前3時 | 午前3時30分 | なし |
| 12月 | 12/9-10 | 12/11(木)午前4時 | 午前4時30分 | あり |
※日程は暫定(tentative)です。前回会合で正式決定されるため、最新情報は公式サイトで確認してください。
※執筆時点(2025年11月)の情報です。
(2) 日本時間での発表時刻(夏時間: 午前3時、冬時間: 午前4時)
米国の夏時間(3月第2日曜日-11月第1日曜日)と冬時間で、日本時間での発表時刻が異なります:
- 夏時間(3-11月): 日本時間午前3時
- 冬時間(12-2月): 日本時間午前4時
米国東部時間の午後2時に発表されるため、時差と夏時間・冬時間を考慮する必要があります。
(3) 議長会見の時刻(発表の30分後)
FOMC議長(現在はジェローム・パウエル議長)による記者会見は、政策発表の30分後に開始されます。議長の発言内容は、今後の政策の方向性を示す重要な情報源です。
(4) 暫定スケジュール(前回会合で正式決定)
FOMC日程は暫定(tentative)であり、前回会合で正式に決定されます。FRB公式サイトで最新のスケジュールを確認することをおすすめします。
FOMC日程の確認方法と信頼できる情報源
(1) FRB公式サイト(federalreserve.gov)の使い方
FRB(連邦準備制度理事会)の公式サイトが、最も信頼性の高い情報源です。
URL: https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm
公式サイトでは、以下の情報が確認できます:
- FOMC日程(暫定スケジュール含む)
- 政策声明(FOMC Statement)
- 議事録(Minutes: 会合の約3週間後に公表)
- 議長会見の動画・トランスクリプト
(2) マネックス証券・OANDA・松井証券の日本語カレンダー
日本の証券会社やFX会社も、日本語でFOMC日程を提供しています。
- マネックス証券: https://info.monex.co.jp/us-stock/basic-guide/knowledge/schedule2025.html(日本時間での発表時刻を記載)
- OANDA: https://www.oanda.jp/lab-education/beginners/fundamentals_analysis/fomc-meeting/(FOMCの基礎から日程まで網羅)
- 松井証券: https://www.matsui.co.jp/us-stock/study/article/fomc/(FOMCの見方・投資家が注目すべきポイント)
これらのサイトは日本語で、初心者にも分かりやすく解説されています。
(3) CME FedWatchツールで市場予想を確認
CME FedWatchツールは、FF金利先物から算出されるFOMCの利上げ・利下げ確率を表示します。
URL: https://www.cmegroup.com/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html
市場がどのような政策を予想しているかをリアルタイムで把握でき、サプライズの可能性を事前に判断する材料になります。
(4) moomooアプリでのリアルタイム情報取得
moomoo証券のアプリでは、FOMCの発表内容やドットチャートを日本語で確認できます。リアルタイムで情報を取得したい投資家におすすめです。
FOMC前後の投資判断と注意点
(1) 発表後の市場変動(ボラティリティ上昇)
FOMC発表後は、市場のボラティリティ(変動性)が急上昇します。特に、市場予想と異なる決定(サプライズ)が行われた場合、株価は大きく変動します。
(2) サプライズ利上げ・利下げ時のリスク
市場がサプライズと受け止めた場合、以下のような急激な変動が起こる可能性があります:
- サプライズ利上げ: 株価急落、債券利回り上昇
- サプライズ利下げ: 株価急騰、債券利回り低下
損失リスクが高まるため、FOMC前にポジション調整(損切り・利確の水準設定)を検討しましょう。
(3) 日本株・為替市場への影響(米金利→円安→日本株連動)
日本株はFOMCの影響を強く受けます。米金利上昇→円安→日本株上昇という連鎖が一般的ですが、グローバル株安時は日本株も下落します。
2024年12月のFOMCでは、「タカ派利下げ」により円安・株安が進行しました(野村證券分析)。このように、金利政策の微妙なニュアンスが市場に大きな影響を与えることがあります。
(4) ポジション調整のタイミング
FOMC発表直後の慌てた売買は避け、以下のタイミングでの調整を検討しましょう:
- 発表前: レバレッジ取引の縮小、損切り・利確水準の設定
- 発表直後: 市場の反応を見守る(30分-1時間程度)
- 議長会見後: 議長の発言内容を踏まえて判断
まとめ:FOMCカレンダーを活用した投資戦略
FOMCの日程を事前に把握しておくことで、市場変動に備えた投資戦略が可能になります。2025年は年8回の会合が予定されており、四半期会合(3月・6月・9月・12月)では特に注目度の高いドットプロットが公表されます。
次のアクション:
- FRB公式サイト(federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm)で最新の日程を確認する
- マネックス証券やOANDAの日本語カレンダーをブックマークする
- CME FedWatchツールで市場予想を定期的にチェックする
- FOMC前にポジション調整を検討し、発表直後の慌てた売買は避ける
FOMCカレンダーを活用し、市場の大きな動きに備えた冷静な投資判断を心がけましょう。
