みずほFG米国預託証券(ADR)の仕組みと投資方法を解説

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/14

みずほFG米国預託証券(ADR)とは

みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)が米国市場でも取引されていることをご存じでしょうか。「ADRって何?」「日本株とどう違うの?」「どこで買えるの?」といった疑問を抱えている投資家は多いでしょう。

みずほFG米国預託証券(ADR)は、みずほFGの株式を裏付けとして米国で発行される有価証券です。ティッカーシンボル「MFG」でニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しており、米国市場で米ドル建てで取引できます。日本の東京証券取引所(証券コード:8411)でも取引されていますが、ADRは米ドル資産として保有したい投資家や、米国市場での取引を希望する投資家に適しています。

この記事では、みずほADRの仕組み、基本情報、購入方法、東京市場との違い、メリット・デメリットを詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • ADR(米国預託証券)の定義と仕組みが分かる
  • みずほADR(MFG)の基本情報と取引場所を理解できる
  • 購入方法と推奨証券会社を知ることができる
  • 東京市場との違い(為替リスク、価格乖離、税金)を把握できる
  • 投資判断に必要なメリット・デメリットを理解できる

(1) ADRの定義と役割

ADR(American Depositary Receipt:米国預託証券)とは、米国以外の企業の株式を裏付けとして米国で発行される有価証券です。

ADRの役割:

  • 米国以外の企業が米国市場で資金調達できる
  • 米国投資家が自国市場で外国株を取引できる
  • 為替・決済の手間を簡素化

楽天証券の解説によると、ADRは預託銀行が現地株式を取得し、米国で預かり証を発行する仕組みです。投資家はADRを購入することで、間接的に現地株式を保有できます。

(2) みずほADR(ティッカー:MFG)の概要

みずほFGは、スポンサードLevel-2 ADRをニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しています。

基本情報:

  • ティッカーシンボル:MFG
  • 上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)
  • CUSIP:60687Y109
  • 預託銀行:JPMorgan Chase Bank

みずほFG公式サイトによると、Sponsored ADRとは発行企業がスポンサーとなり、預託銀行と契約して発行するADRで、情報開示が充実しています。

(3) NYSE(ニューヨーク証券取引所)での上場

NYSEはニューヨークに拠点を置く世界最大の証券取引所です。

NYSEの特徴:

  • 世界最大の時価総額
  • 厳格な上場基準
  • 高い流動性と透明性

みずほADRはNYSEで取引されており、米国投資家だけでなく、米国証券口座を持つ日本人投資家も購入できます。

ADR(米国預託証券)の仕組み

ADRの仕組みを理解することで、東京市場との違いや投資判断のポイントが明確になります。

(1) 預託銀行の役割(JPMorgan Chase Bank)

預託銀行は、ADRの発行・管理を行う米国の銀行です。

預託銀行の主な役割:

  • 現地株式(みずほFG普通株式)を取得
  • ADRを発行・管理
  • 配当金の換算・支払い
  • 株主総会関連資料の提供

みずほADRの預託銀行はJPMorgan Chase Bankで、主要な預託銀行としてはBank of New York Mellon、Citibank、Deutsche Bankなども知られています。

(2) スポンサードADRとは

スポンサードADRは、発行企業(みずほFG)が預託銀行と契約して発行するADRです。

スポンサードADRのレベル:

  • Level-1: 店頭取引(OTC)のみ、情報開示は限定的
  • Level-2: NYSE等の取引所に上場、SECへの登録必要、情報開示充実
  • Level-3: 新規株式発行による資金調達可能、最も厳格な開示要件

みずほADRはLevel-2に該当し、NYSEに上場しています。Level-2は米国での知名度向上と流動性確保を目的としています。

(3) 交換比率の仕組み(5 ADR = 1株)

交換比率は、ADR何株が現地株式1株に相当するかを示す比率です。

みずほの交換比率:

  • 5 ADR = みずほFG普通株式1株

みずほFG公式サイトによると、この交換比率は固定されており、株価換算時には5倍の計算が必要です。例えば、東京市場のみずほFG株価が2,500円の場合、1株あたり2,500円 ÷ 為替レート(例:150円/ドル)= 16.67ドル、ADR5株なので16.67 ÷ 5 = 約3.33ドルが理論価格となります。

みずほADRの基本情報

みずほADRの投資判断に必要な基本情報を整理します。

(1) ティッカーシンボル:MFG

みずほADRのティッカーシンボルは「MFG」です。

検索方法:

  • 米国証券会社の取引ツールで「MFG」を検索
  • Yahoo Finance等の株価サイトで「MFG NYSE」を検索

ティッカーシンボルを知っていれば、米国市場でスムーズに検索・取引できます。

(2) 交換比率:5 ADR = みずほFG普通株式1株

交換比率は5 ADR = 1株です。

注意点:

  • 東京市場の株価と比較する際は5倍の計算が必要
  • 配当金も5分の1に換算される

この交換比率を理解しないと、価格比較を誤る可能性があります。

(3) 配当スケジュール(年2回、次回権利落ち2025年3月31日)

みずほFGは年2回の配当を実施しています。

配当スケジュール:

  • 年2回(半期配当)
  • 次回権利落ち日:2025年3月31日
  • 年間配当(2025年予想):0.1405ドル(5年間の配当成長率+13.30%)

Investing.comによると、配当は米ドルで支払われ、米国で源泉徴収(通常10%)された後、投資家の口座に入金されます。

(4) 株価と時価総額(2025年11月時点)

2025年11月時点のデータ:

  • 株価:6.71ドル
  • 時価総額:820.3億ドル
  • 次回決算発表:2025年11月14日

株価は米国市場の取引時間(冬時間23:30-翌6:00、夏時間22:30-翌5:00)に変動します。

みずほADRの購入方法

みずほADRは米国証券口座または国際対応証券会社で購入できます。

(1) 米国証券口座での購入

米国在住者または米国証券口座を持つ投資家は、通常の米国株と同様にみずほADRを購入できます。

購入手順:

  1. 米国証券会社で口座開設(Fidelity、Charles Schwab等)
  2. 口座に資金を入金(米ドル)
  3. ティッカー「MFG」を検索
  4. 通常の株式注文と同様に購入

Mediumの投資ガイドによると、ADRは通常の米国株と同じ手数料体系で取引できます。

(2) Interactive Brokers・Saxo Bankなどの国際対応証券会社

日本在住者は、国際対応証券会社を利用してみずほADRを購入できます。

推奨証券会社:

  • Interactive Brokers(IBKR): 135ヶ国以上の市場にアクセス可能、手数料が低い
  • Saxo Bank: 欧州系証券会社、日本語サポート充実

これらの証券会社は、日本円から米ドルへの為替交換機能も提供しており、円資金でも米国株を購入できます。

(3) 日本の証券会社での対応状況

日本の主要証券会社では、一部でADR取引に対応しています。

対応状況:

  • SBI証券:米国株取引で一部ADR対応(詳細は公式サイトで確認)
  • 楽天証券:米国株取引で一部ADR対応(詳細は公式サイトで確認)
  • マネックス証券:米国株取引で一部ADR対応(詳細は公式サイトで確認)

みずほADR(MFG)が取引可能かどうかは、各証券会社の公式サイトで最新情報を確認してください。

東京市場との違いとメリット・デメリット

みずほADRと東京市場(8411)の違いを理解することが、投資判断の鍵です。

(1) メリット:米ドル建て資産として保有、米国市場で取引可能

メリット:

  • 米ドル建て資産として保有:円安時に為替差益を享受できる
  • 米国市場で取引可能:米国取引時間(日本時間:冬23:30-翌6:00、夏22:30-翌5:00)に取引できる
  • 米国証券口座で一元管理:他の米国株と同じ口座で管理できる
  • 配当が米ドルで受け取れる:米ドル資産を増やしたい投資家に適している

Mediumのガイドでは、ADRは米ドル建て資産を増やしたい投資家や、分散投資を重視する投資家に推奨されています。

(2) デメリット:為替リスク、価格乖離リスク、二重課税

デメリット:

  • 為替リスク:円高時には日本株投資より損失が大きくなる可能性
  • 価格乖離リスク:ADRは米国市場の需給で価格が変動し、日本国内株価との乖離(プレミアム/ディスカウント)が生じることがある
  • 二重課税:配当は米国で源泉徴収(通常10%)され、さらに日本で課税される(ただし外国税額控除で一部還付可能)
  • 流動性:日本株ADRは一部の大型銘柄以外は取引量が少なく、売買が成立しにくい可能性

nikkei225jp.comの解説によると、ADRは日本国内株価の米ドル換算価格に連動しますが、需給関係で割高・割安になることがあります。

(3) 東京市場(8411)との価格差・流動性の比較

東京市場(8411):

  • 取引通貨:日本円
  • 取引時間:9:00-15:00(日本時間)
  • 流動性:高い(日本の主要銘柄)
  • 為替リスク:なし

みずほADR(MFG):

  • 取引通貨:米ドル
  • 取引時間:9:30-16:00 ET(日本時間:冬23:30-翌6:00、夏22:30-翌5:00)
  • 流動性:東京市場より低い
  • 為替リスク:あり

選択基準:

  • 米ドル資産を増やしたい → みずほADR
  • 円資産で保有したい → 東京市場
  • 為替リスクを避けたい → 東京市場
  • 米国市場の取引時間を希望 → みずほADR

まとめ:みずほADRに投資する際のポイント

みずほFG米国預託証券(ADR、ティッカー:MFG)は、みずほFGの株式を米国市場で米ドル建てで取引できる有価証券です。ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しており、Interactive BrokersやSaxo Bankなどの国際対応証券会社で購入できます。

押さえるべきポイント:

  • ADRは米国以外の企業の株式を米国で取引可能にした証券
  • みずほADRはティッカー「MFG」、交換比率5 ADR = 1株
  • 配当は米ドルで年2回、米国で源泉徴収後に受け取る
  • 為替リスク・価格乖離リスク・二重課税がデメリット
  • 東京市場(8411)とADRの選択は保有通貨や税務状況による

次のアクション:

  • 保有通貨(円 or ドル)と投資目的を明確にする
  • 国際対応証券会社の口座開設を検討する(Interactive Brokers、Saxo Bank等)
  • 為替リスク・税務処理を理解した上で投資判断する

投資判断は自己責任で行い、リスクを十分に理解した上で取引を始めてください。為替変動や市場の下落リスク、二重課税の可能性もありますが、米ドル建て資産を増やしたい投資家にとっては有力な選択肢の一つです。

よくある質問

Q1みずほADRはどこで買えますか?

A1NYSE(ニューヨーク証券取引所)でティッカー「MFG」として取引されています。Interactive BrokersやSaxo Bankなどの国際対応証券会社、または米国証券口座(Fidelity、Charles Schwab等)で購入可能です。日本の一部証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券)でも米国株取引の一環としてADRを購入できる場合があるため、公式サイトで確認してください。

Q2みずほADRと東京市場の株価はどう違いますか?

A2ADRは日本国内株価の米ドル換算価格に連動しますが、米国市場の需給関係で割高・割安(プレミアム/ディスカウント)になることがあります。交換比率は5 ADR = 1株なので、株価換算時には5倍の計算が必要です。例えば、東京市場で2,500円の場合、1株あたり約16.67ドル(為替150円/ドル時)、ADR5株で約3.33ドルが理論価格です。

Q3配当はドル建てで受け取れますか?

A3はい、配当は米ドルで受け取ります。みずほFGは年2回(半期配当)を実施しており、次回権利落ち日は2025年3月31日です。配当は米国で源泉徴収(通常10%)された後、投資家の証券口座に米ドルで入金されます。さらに日本で課税されますが、外国税額控除を申請すれば一部還付可能です。

Q4為替リスクはありますか?

A4はい、あります。ADRは米ドル建てのため、円高時には日本株投資より損失が大きくなる可能性があります。例えば、ADR株価が変わらなくても、為替レートが150円/ドルから140円/ドルに円高になると、円換算での資産価値は約6.7%減少します。為替変動を考慮した投資判断が必要です。

Q5ADRと東京市場、どちらで買うべきですか?

A5保有通貨や税務状況により異なります。米ドル資産を増やしたい場合や米国市場の取引時間を希望する場合はADRが適しています。一方、円資産で保有したい場合や為替リスクを避けたい場合は東京市場(証券コード:8411)が適しています。為替リスク・流動性・税金(二重課税と外国税額控除)を総合的に判断してください。

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Single Stock編集部

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