NASDAQとは何か - 世界初の電子取引所
「NASDAQ(ナスダック)」という言葉をニュースで聞いたことはありませんか?Apple、Microsoft、Amazonなどの有名企業が上場している米国の株式市場ですが、具体的にどのような仕組みで、日本から投資するにはどうすればいいのでしょうか。
この記事では、NASDAQの基本的な仕組みから、ナスダック総合とナスダック100の違い、主要銘柄の特徴、日本から投資する方法まで詳しく解説します。
この記事のポイント:
- NASDAQは1971年創設の世界初の電子株式市場
- ナスダック総合(3,000銘柄以上)とナスダック100(大型株100銘柄)は異なる指数
- GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)などテック企業が中心
- 日本からは個別株・投資信託・ETFで投資可能
- 2024年にナスダック総合は+29.6%、ナスダック100は+25.9%のリターンを記録
(1) 1971年創設の歴史
NASDAQは「National Association of Securities Dealers Automated Quotations」の略で、1971年に世界初の電子株式市場として創設されました。それまでの株式取引は立会場で人手を介して行われていましたが、NASDAQはコンピュータネットワークを使った取引を実現し、株式市場に革命を起こしました。
(出典: Wikipedia「Nasdaq」)
(2) 時価総額世界第2位の取引所
NASDAQは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に次ぐ世界第2位の時価総額を誇る株式市場です。テクノロジー企業を中心に、世界中の革新的な企業が上場しています。
取引時間は米国東部時間で9:30 AM~4:00 PM(日本時間で夏時間22:30~翌5:00、冬時間23:30~翌6:00)で、プレマーケット(4:00-9:30 AM)とアフターマーケット(4:00-8:00 PM)でも取引が可能です。
(出典: Wikipedia「Nasdaq」)
(3) テクノロジー企業が多い理由
NASDAQにテクノロジー企業が多い理由は、創設当初から新興企業やハイテク企業の上場を積極的に受け入れてきたためです。NYSEと比較して上場基準が柔軟で、成長性の高い企業が上場しやすい環境が整っています。
その結果、Apple、Microsoft、Amazon、Google(Alphabet)、Meta(旧Facebook)、Tesla、NVIDIAなど、世界を代表するテクノロジー企業がNASDAQに上場しています。
ナスダック総合とナスダック100の違い
NASDAQには2つの主要な株価指数があります。この違いを理解することが、投資判断の第一歩です。
(1) ナスダック総合(NASDAQ Composite)- 3,000銘柄以上
ナスダック総合指数は、ナスダック市場に上場する3,000銘柄以上の全銘柄を追跡する総合指数です。
特徴:
- 構成銘柄数: 3,000銘柄以上
- テクノロジー株が中心だが、金融・ヘルスケア・消費財も含まれる
- ナスダック市場全体のパフォーマンスを示す
2024年のパフォーマンス:
- +29.6%のリターンを記録
(出典: Yahoo Finance「NASDAQ Composite (^IXIC)」、Nasdaq.com「2024 Review and 2025 Outlook」)
(2) ナスダック100(NASDAQ-100)- 非金融系大型株100銘柄
ナスダック100指数は、ナスダック市場の非金融系大型株上位100銘柄で構成される指数です。
特徴:
- 構成銘柄数: 100銘柄
- 金融セクターを除外
- 時価総額の大きい企業が中心(Apple、Microsoft、Amazonなど)
2024年のパフォーマンス:
- +25.9%のリターンを記録
- 2023-2024年の2年間で、過去25年で最高のリターンを達成
(出典: Nasdaq.com「2024 Review and 2025 Outlook」)
(3) どちらを投資対象にするべきか
ナスダック総合 vs ナスダック100:
| 項目 | ナスダック総合 | ナスダック100 |
|---|---|---|
| 構成銘柄数 | 3,000銘柄以上 | 100銘柄 |
| 分散効果 | 高い | 中程度 |
| 主要銘柄の影響 | 分散される | 集中する |
| 投資商品 | 投資信託・ETF | 投資信託・ETF |
初心者には、ナスダック100連動の投資信託やETFが人気です。主要テック企業に集中投資できるため、シンプルで分かりやすいのが特徴です。
NASDAQとNYSEの違い
米国には2つの主要な株式市場があります:NASDAQ(ナスダック)とNYSE(ニューヨーク証券取引所)です。
(1) 取引方法の違い(電子 vs 立会場)
NASDAQ:
- 完全電子取引
- コンピュータネットワークで自動的にマッチング
- 取引コストが低い傾向
NYSE:
- 立会場取引(フロアトレーディング)と電子取引の併用
- 専門のマーケットメーカーが価格を調整
- 伝統的な取引方法
(2) 上場企業の特徴(テック vs 伝統産業)
NASDAQ:
- テクノロジー企業が中心(Apple、Microsoft、Amazon、Google、Meta等)
- 新興企業・成長企業が多い
- バイオテクノロジー、インターネット関連企業
NYSE:
- 伝統的な大企業が中心(Coca-Cola、Boeing、Goldman Sachs等)
- 金融・エネルギー・工業セクターが多い
- 歴史の長い企業が多い
(3) 代表的な銘柄の比較
NASDAQ上場:
- Apple(AAPL)
- Microsoft(MSFT)
- Amazon(AMZN)
- Alphabet/Google(GOOGL)
- Meta/Facebook(META)
- Tesla(TSLA)
- NVIDIA(NVDA)
NYSE上場:
- Berkshire Hathaway(BRK.A)
- JPMorgan Chase(JPM)
- Coca-Cola(KO)
- Boeing(BA)
- McDonald's(MCD)
NASDAQ主要銘柄と特徴
(1) GAFAM(Apple、Microsoft、Amazon、Google、Meta)
GAFAM(ガーファム)は、ナスダックを代表する5大テクノロジー企業の総称です:
- Google(Alphabet): 検索エンジン・クラウド・AI
- Apple: iPhone・Mac・サービス
- Facebook(Meta): SNS・メタバース
- Amazon: Eコマース・AWS(クラウド)
- Microsoft: Windows・Azure(クラウド)・AI
これらの企業は、ナスダック100の時価総額の大部分を占めており、指数の動きに大きな影響を与えています。
(2) その他の代表的テック企業(Tesla、NVIDIA等)
GAFAM以外にも、以下のような代表的企業があります:
- Tesla: 電気自動車・自動運転
- NVIDIA: GPU・AI半導体
- Broadcom: 半導体
- Adobe: クリエイティブソフトウェア
- Netflix: 動画ストリーミング
- PayPal: オンライン決済
Magnificent Seven(マグニフィセント・セブン):
2024年には、Apple、Microsoft、Google、Amazon、Meta、Tesla、NVIDIAの7社が「Magnificent Seven」として注目され、+67.3%のリターンを記録しました。
(出典: Nasdaq.com「2024 Review and 2025 Outlook」)
(3) セクター集中リスク
NASDAQはテクノロジー株中心のため、セクター集中リスクがあります:
- テック企業の業績悪化が指数全体に影響
- 金利上昇局面でテック株は下落しやすい
- 規制強化(独占禁止法等)のリスク
分散投資を考える場合は、S&P500(米国市場全体)やNYダウ(伝統的産業)も組み合わせることが推奨されます。
日本からNASDAQに投資する方法
(1) 個別株を直接購入する方法
日本の証券会社を通じて、NASDAQ上場の個別株を直接購入できます。
主要証券会社:
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
- PayPay証券
- DMM株
購入手順:
- 証券会社で口座開設
- 外国株式取引口座を開設
- 円をドルに両替(為替手数料がかかる)
- 個別株を購入(Apple、Microsoft等)
メリット:
- 好きな銘柄を選べる
- 配当金を直接受け取れる
デメリット:
- 銘柄選びの知識が必要
- 為替手数料・取引手数料がかかる
- 1株単位での購入が必要(数万~数十万円)
(2) 投資信託(インデックスファンド)での投資
投資信託は、ナスダック100指数に連動する運用を目指す商品です。
主要商品:
- iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
- eMAXIS NASDAQ100インデックス
- 大和-iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
メリット:
- 100円から積立投資が可能
- 自動的に分散投資できる
- NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)対応
- 為替手数料が個別株より安い
デメリット:
- 信託報酬(年率0.3%~0.5%程度)がかかる
- リアルタイム取引ではない(1日1回の基準価額)
(出典: 大和アセットマネジメント「NASDAQ100投資方法」)
(3) ETFでの投資
ETF(上場投資信託)は、株式市場に上場している投資信託で、株式と同じようにリアルタイムで売買できます。
主要ETF:
- QQQ(Invesco QQQ Trust): ナスダック100連動
- QQQM(Invesco NASDAQ 100 ETF): QQQの低コスト版
メリット:
- 株式と同じようにリアルタイム取引
- 信託報酬が投資信託より低い(年率0.2%程度)
- NISA成長投資枠対応
デメリット:
- 最低投資額がやや高い(数万円~)
- 為替手数料がかかる
(4) CFD取引(レバレッジ商品の注意点)
CFD(差金決済取引)は、レバレッジを効かせて少額から投資できる商品です。
主要サービス:
- GMOクリック証券「米国NQ100ミニ」: 最低2,700円程度から投資可能
メリット:
- 少額から投資可能
- 24時間取引可能(米国市場の時間外も)
デメリット:
- レバレッジリスクが高い(証拠金以上の損失が発生する可能性)
- 初心者向けではない
- 長期保有には向かない(スワップ金利がかかる)
(出典: GMOクリック証券「CFDでナスダック100へ投資するメリット」)
初心者におすすめの投資方法:
- 投資信託での積立投資: 100円から始められ、自動分散投資が可能
- ETF(QQQ): リアルタイム取引を希望する場合
- 個別株: 特定の企業(Apple、Microsoft等)に投資したい場合
CFD取引は、レバレッジリスクが高いため初心者にはおすすめしません。
まとめ:NASDAQ投資を始める前に知っておくべきこと
(1) 為替リスクを理解する
NASDAQ投資には為替リスクがあります:
- 円安時(例: 1ドル=150円): 米国株の価格が変わらなくても、円換算での評価額は上昇
- 円高時(例: 1ドル=100円): 米国株の価格が変わらなくても、円換算での評価額は下落
為替リスクを抑えるには、ドルコスト平均法(定期的な積立投資)が推奨されます。毎月一定額を積み立てることで、為替変動の影響を平準化できます。
(2) 税金(米国源泉徴収・日本課税)
米国株投資の税金は以下の通りです:
配当金:
- 米国で源泉徴収
- 日本で20.315%課税(確定申告で外国税額控除を受けられる場合あり)
売却益:
- 日本で20.315%課税(譲渡所得税)
NISA口座の場合:
- 売却益は非課税
- 配当金は米国で源泉徴収(日本での課税は免除)
NISA口座を活用することで、税負担を軽減できます。
(3) 長期投資の重要性
NASDAQは、短期的には価格変動が大きい市場ですが、長期的には成長性が期待できます。
2024年の実績:
- ナスダック総合: +29.6%
- ナスダック100: +25.9%
- 2023-2024年の2年間で過去25年最高のリターン
ただし、過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で投資することが重要です。
次のアクション:
- 利用している証券会社でNASDAQ関連の投資信託・ETFを確認する
- まずは少額(100円~)から積立投資を始めてみる
- NISA口座の開設を検討する
- Yahoo!ファイナンスやInvesting.comでナスダック総合・ナスダック100のチャートを見てみる
※本記事は2025年1月時点の情報に基づいています。最新の指数データ・投資商品は、各証券会社および運用会社の公式サイトでご確認ください。過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
