野村インデックスファンド米国株式配当貴族 - 評価と特徴・つみたてNISA対応を解説

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/17

野村インデックスファンド・米国株式配当貴族とは

「配当が増え続ける企業に投資したい」「でもどの銘柄を選べばいいか分からない」—そんな悩みを持つ投資家にとって、野村インデックスファンド・米国株式配当貴族は注目すべき選択肢です。

25年以上も連続で配当を増やし続けている米国企業に分散投資できるこのファンドは、安定した配当成長を重視する投資家から評価されています。しかし、「S&P 500より高いリターンは期待できるのか?」「為替ヘッジ型と為替ヘッジなし型はどちらを選ぶべき?」といった疑問も多く寄せられています。

この記事では、野村インデックスファンド・米国株式配当貴族の特徴、運用実績、評価・評判を中心に解説します。つみたてNISAでの活用方法や購入可能な証券会社についても詳しく紹介します。

この記事のポイント:

  • 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族はS&P 500配当貴族指数に連動し、25年以上連続増配企業69銘柄に分散投資できる
  • 10年平均リターンは10.1%(配当貴族指数)とS&P 500(14.6%)より低めだが、ボラティリティが低く景気後退期に強い
  • 新NISAの成長投資枠・つみたて投資枠の両方で利用可能で、購入手数料は無料
  • 為替ヘッジ型と為替ヘッジなし型があり、長期投資では為替ヘッジなし型が一般的
  • SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券で購入可能

1. 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族とは

(1) ファンドの基本スペック

野村インデックスファンド・米国株式配当貴族(愛称: Funds-i フォーカス米国株式配当貴族)は、野村アセットマネジメントが運用するインデックスファンドです。

基本情報:

  • 設定日: 2017年1月10日
  • 連動指数: S&P 500配当貴族指数(配当込み・円換算ベース)
  • 信託報酬: 年率0.495%程度(税込)
  • 購入手数料: 無料(ノーロード)
  • 新NISA対応: 成長投資枠・つみたて投資枠の両方で利用可能

このファンドは、25年以上連続で配当を増やし続けている米国企業に分散投資できる商品です。個別株を選ぶ必要がなく、自動的に配当貴族企業全体に投資できる点が大きなメリットです。

(2) 連動指数とインデックス運用の意味

インデックス運用とは、特定の株価指数(この場合はS&P 500配当貴族指数)に連動するよう、指数の構成銘柄をそのまま保有する運用手法です。

インデックス運用のメリット:

  • コストが低い: アクティブ運用に比べて運用コストが抑えられる
  • 透明性が高い: どの銘柄に投資しているか明確
  • 長期投資に適している: 指数の成長を享受できる

S&P 500配当貴族指数は毎年1月にリバランスされ、選定基準を満たさなくなった企業は除外され、新たに基準を満たした企業が追加されます。そのため、ファンドは常に配当貴族の条件を満たす企業に投資し続けることができます。

2. S&P 500配当貴族指数の仕組みと特徴

(1) 配当貴族の選定基準(25年連続増配)

配当貴族(Dividend Aristocrat)とは、S&P 500構成銘柄のうち、25年以上連続で配当を増やし続けている企業のことです。

選定基準:

  • 25年以上の連続増配: 減配や無配は一度もない
  • S&P 500構成銘柄: 米国を代表する大型株
  • 時価総額: 最低30億ドル以上
  • 流動性: 1日平均取引額500万ドル以上

25年以上も連続で配当を増やし続けるには、安定した収益力と財務健全性が求められます。そのため、配当貴族企業は成熟した優良企業が多く、景気後退期でも比較的安定した業績を維持する傾向があります。

(2) 2025年の構成銘柄とセクター配分

2025年1月時点で、S&P 500配当貴族指数は69銘柄で構成されています。2025年には以下の3銘柄が新たに追加されました。

2025年追加銘柄:

  • Erie Indemnity (ERIE): 保険会社
  • Eversource Energy (ES): 電力会社
  • FactSet Research System (FDS): 金融情報サービス

主要セクター:

  • 生活必需品: コカ・コーラ、プロクター・アンド・ギャンブルなど
  • ヘルスケア: ジョンソン・エンド・ジョンソンなど
  • 資本財: スリーエムなど
  • 公益事業: 電力・ガス会社など

配当貴族指数は、高成長テクノロジー株への配分が限定的で、成熟セクターの企業が中心です。そのため、S&P 500に比べて成長性は劣りますが、安定性が高いという特徴があります。

(3) S&P 500との違い

配当貴族指数とS&P 500の主な違いは以下の通りです。

| 項目 | 配当貴族指数 | S&P 500 | |------|-------------|---------|| | 銘柄数 | 69銘柄(2025年) | 500銘柄 | | 選定基準 | 25年以上連続増配 | 時価総額・流動性 | | 平均配当利回り | 約2.59%(2024-2025年) | 約1.5%前後 | | ボラティリティ | 低い(ベータ値0.8) | 市場平均(ベータ値1.0) | | 成長性 | 低め | 高め |

配当貴族指数は、成長性よりも安定性を重視する投資家に適しています。

3. ファンドの運用実績と評価

(1) 長期リターンの比較(S&P 500 vs 配当貴族)

配当貴族指数の長期リターンは、S&P 500を若干下回る傾向があります(出典: Britannica Money等の運用データ分析)。

10年平均リターン(配当込み):

  • 配当貴族指数: 10.1%
  • S&P 500: 14.6%

この差は主に、配当貴族指数が高成長テクノロジー株への配分が少ないためです。アップル、マイクロソフト、アマゾンなどのメガテック株は配当貴族の基準を満たさないため、指数に含まれません。

しかし、リスク調整後リターンで見ると、配当貴族指数は優れたパフォーマンスを示しています。

(2) リスク特性(ボラティリティ・ベータ値)

配当貴族指数の大きな特徴は、ボラティリティ(価格変動)が低いことです。

リスク指標:

  • ベータ値: 約0.8(市場全体より20%変動が小さい)
  • ボラティリティ: S&P 500より低い
  • 下落月での平均リターン: +0.87%(市場全体が下落する月でもプラスリターンを記録)

ベータ値0.8とは、市場が10%上昇すると配当貴族指数は約8%上昇し、市場が10%下落すると配当貴族指数は約8%下落することを意味します。つまり、上昇時のリターンは抑えられますが、下落時の損失も抑えられるということです。

(3) 景気後退期の下落耐性

配当貴族指数は、景気後退期に強い傾向があります。

2008年金融危機時の下落率:

  • 配当貴族指数: -21.88%
  • S&P 500: -37.0%

配当貴族企業は財務基盤が安定しているため、景気後退期でも減配せずに配当を維持・増配する企業が多いです。そのため、投資家心理が安定し、株価の下落幅が抑えられる傾向があります。

ただし、「配当貴族だから必ず儲かる」というわけではありません。長期的にはS&P 500より成長性が低いため、リターン重視の投資家には物足りない可能性があります。

4. 為替ヘッジ型と為替ヘッジなし型の違い

(1) 為替ヘッジの仕組み

野村インデックスファンド・米国株式配当貴族には、為替ヘッジ型と為替ヘッジなし型の2種類があります。

為替ヘッジとは: 為替変動リスクを避けるために、為替デリバティブ取引を利用して為替レートを固定する仕組みです。

為替ヘッジなし型:

  • 為替変動の影響を受ける
  • 円安時にリターンが増加、円高時にリターンが減少

為替ヘッジ型:

  • 為替変動の影響を抑える
  • 円安・円高に関わらず、米ドル建てのリターンに近い結果となる
  • ヘッジコストがかかる(年率数%程度)

(2) 為替ヘッジのコストと為替差益のトレードオフ

為替ヘッジ型には、ヘッジコストがかかります。これは日米の金利差によって変動しますが、米国金利が日本金利より高い場合、年率数%のコストがかかることが一般的です。

為替ヘッジ型のデメリット:

  • ヘッジコスト分、リターンが減少する
  • 円安時の為替差益を享受できない

為替ヘッジなし型のデメリット:

  • 円高局面で基準価額が下落するリスクがある

長期的に見ると、為替レートは上下に変動するため、長期投資では為替ヘッジなし型が選ばれることが多いです。

(3) 円高・円安局面での影響の違い

円安局面(例: 1ドル=100円 → 150円):

  • 為替ヘッジなし型: 円建てリターンが増加(為替差益)
  • 為替ヘッジ型: 為替差益はなし

円高局面(例: 1ドル=150円 → 100円):

  • 為替ヘッジなし型: 円建てリターンが減少(為替差損)
  • 為替ヘッジ型: 為替差損はなし

為替タイミングを気にせず長期投資したい場合は為替ヘッジなし型、為替変動を避けたい場合は為替ヘッジ型を選ぶのが一般的です。

5. 新NISAでの活用方法と購入可能な証券会社

(1) 成長投資枠とつみたて投資枠の両対応

野村インデックスファンド・米国株式配当貴族は、新NISA(2024年開始)の成長投資枠とつみたて投資枠の両方で利用可能です。

新NISA制度:

  • 成長投資枠: 年間240万円まで、幅広い投資信託・株式が対象
  • つみたて投資枠: 年間120万円まで、金融庁指定ファンドが対象
  • 非課税保有限度額: 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)

配当貴族ファンドは、つみたて投資枠の対象商品に指定されているため、長期積立投資に適しています。

(2) 主要ネット証券での取り扱い状況

取り扱い証券会社:

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • マネックス証券
  • 松井証券

すべての主要ネット証券で購入手数料は無料(ノーロード)です。

(3) 購入手数料と信託報酬

コスト:

  • 購入手数料: 無料(ノーロード)
  • 信託報酬: 年率0.495%程度(税込)
  • 解約手数料: なし

信託報酬は、ファンドの運用管理費用として毎日差し引かれます。他の米国株インデックスファンド(例: eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の信託報酬0.08140%以下)に比べるとやや高めですが、配当貴族という特定の戦略に投資できる点が特徴です。

6. まとめ:配当貴族ファンドに向いている投資家

野村インデックスファンド・米国株式配当貴族は、25年以上連続増配している米国企業に分散投資できるファンドです。S&P 500に比べて成長性は劣りますが、ボラティリティが低く景気後退期に強いという特徴があります。

このファンドに向いている投資家:

  • 安定した配当成長を重視する投資家
  • 景気後退期の下落リスクを抑えたい投資家
  • 長期的な資産形成を目指す投資家
  • 成熟企業中心のポートフォリオを組みたい投資家

次のアクション:

  • 新NISAのつみたて投資枠で長期積立を検討する
  • 為替ヘッジ型と為替ヘッジなし型の違いを理解し、自分に合ったタイプを選ぶ
  • SBI証券や楽天証券などの主要ネット証券で口座を開設する

投資判断は最終的に自己責任で行う必要があります。自分の投資方針やリスク許容度に合わせて、このファンドを活用してください。

※本記事の情報は2025年1月時点のものです。最新の制度や税制については、金融庁や国税庁のウェブサイトをご確認ください。

よくある質問

Q1野村インデックスファンド・米国株式配当貴族の評価は?

A110年平均リターンは10.1%でS&P 500の14.6%より低めですが、ボラティリティが低く景気後退期に強いです。2008年の金融危機では配当貴族指数は-21.88%の下落に対し、S&P 500は-37%下落しました。安定重視の投資家に向いています。

Q2つみたてNISAで購入できますか?

A2はい、新NISAの成長投資枠・つみたて投資枠の両方で利用可能です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などの主要ネット証券で購入でき、購入手数料は無料です。

Q3為替ヘッジ型と為替ヘッジなし型はどちらを選ぶべきですか?

A3為替ヘッジ型は為替変動リスクを抑えますが、ヘッジコストがかかり為替差益も得られません。長期投資で為替タイミングを気にしない場合は為替ヘッジなし型が一般的です。為替変動を避けたい場合は為替ヘッジ型を選んでください。

Q4配当貴族指数とS&P 500の違いは何ですか?

A4配当貴族指数は25年以上連続増配企業のみ(2025年は69銘柄)で構成され、成熟企業が多いです。S&P 500より成長性は劣りますが、ボラティリティが低く(ベータ値0.8)、下落耐性が高いという特徴があります。

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Single Stock編集部

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