エヌビディア(NVIDIA)株の特徴と投資判断のポイント

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/17

AI・半導体銘柄としてのエヌビディア(NVIDIA)が気になる方へ

AI(人工知能)ブームを背景に、NVIDIA(エヌビディア、ティッカーシンボル: NVDA)の株価は2024年に171.2%の上昇を記録し、時価総額は5兆ドルを超えて世界トップクラスの企業となりました。しかし、「株価が高すぎるのでは?」「今から買っても大丈夫?」と不安を感じる投資家も多いでしょう。

この記事では、エヌビディア(NVIDIA)の事業内容、財務パフォーマンス、AI市場でのポジション、投資リスク、そして日本から購入する方法まで、客観的な情報をまとめて解説します。

この記事のポイント:

  • NVIDIAはGPU(グラフィックス処理ユニット)の世界的リーダーで、AI・データセンター市場で圧倒的シェア(70-95%)を持つ
  • 2024年Q3決算は売上高前年同期比78%増の393億ドル、調整後EPSは71%増の0.89ドルと大幅増収増益
  • PER(株価収益率)53倍前後の高バリュエーションだが、AI市場の成長期待が織り込まれている
  • 中国向け輸出規制、大手顧客の独自AIチップ開発、高PERによる期待外れ決算での急落リスクに注意
  • 日本の証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)でティッカーシンボル「NVDA」で購入可能

1. なぜエヌビディア(NVIDIA)株が注目されるのか

NVIDIAは、なぜここまで投資家の注目を集めているのでしょうか。

(1) AI・半導体市場の急成長

AI(人工知能)市場は、2025年以降も年率38.5%の成長が予想されています。AIモデルの学習・推論には大量の並列計算が必要で、NVIDIAのGPU(グラフィックス処理ユニット)はこの用途に最適化されており、業界標準として広く採用されています。

ChatGPTやGoogle Geminiなどの生成AIサービスは、すべてNVIDIAのGPU(特にA100やH100)を使用してトレーニングされていると言われています。

(2) 2024年の株価上昇率171.2%

2024年、NVIDIA株は年初の約$100から年末には約$271まで上昇し、171.2%のリターンを記録しました。この急成長は、AI需要の急拡大と、NVIDIAの決算が市場予想を上回り続けたことが背景にあります。

(3) 時価総額5兆ドル超え(世界トップクラス)

2024年10月、NVIDIAの時価総額は5兆ドルを超え、一時は世界で最も時価総額の高い企業となりました(2025年初頭時点では約4.55兆ドル)。この規模は、Apple、Microsoft、Google(Alphabet)に匹敵します。

2. エヌビディアの企業概要と事業内容

NVIDIAの事業内容を理解することが、投資判断の第一歩です。

(1) GPU(グラフィックス処理ユニット)の世界的リーダー

NVIDIAは1993年に設立され、当初はゲーム向けグラフィックスカードのメーカーでした。しかし、2000年代以降、GPUの並列計算能力がAI・科学計算・データセンターなどの分野で注目され、事業の中心がゲーミングからデータセンターへとシフトしました。

(2) データセンター・ゲーミング・自動車の3大セグメント

NVIDIAの事業は、主に以下の3つのセグメントに分かれます。

  • データセンター: AI学習・推論、クラウドコンピューティング向けGPU(売上の約80%以上を占める)
  • ゲーミング: PCゲーム向けグラフィックスカード(GeForce シリーズ)
  • 自動車: 自動運転・車載AI向けプロセッサー(NVIDIA DRIVE)

2024年Q3時点で、データセンター事業が売上の大半を占めており、AI需要の急拡大がNVIDIAの成長を牽引しています。

(3) CUDA:業界標準の並列コンピューティングプラットフォーム

NVIDIAの競争優位性の一つが、「CUDA(Compute Unified Device Architecture)」と呼ばれる並列コンピューティングプラットフォームです。CUDAは、開発者がNVIDIAのGPUで高速計算を行うためのソフトウェア基盤であり、AI研究者・エンジニアの間で業界標準となっています。

このため、一度NVIDIAのエコシステムに入った企業・研究機関は、他社製品への切り替えが難しく、NVIDIAの「囲い込み効果」が働いていると言われています。

3. 財務パフォーマンスと株価指標

NVIDIAの財務状況と株価指標を確認しましょう。

(1) 売上高・利益の成長(2024年Q3決算:売上+78%)

NVIDIAの2024年8-10月期(第3四半期)決算は、以下のように市場予想を大幅に上回りました。

  • 売上高: 393億ドル(前年同期比+78%)
  • 調整後EPS: 0.89ドル(前年同期比+71%)
  • 純利益: 196億ドル(前年同期比+109%)

マネックス証券の分析では、「大幅増収増益であり、市場予想を上回る決算」と評価されています。野村證券のストラテジストも「決算は好調」と指摘しており、米国株式市場を下支えしているとされます。

(2) PER 53倍前後の高バリュエーション

NVIDIA株のPER(株価収益率)は、2025年初頭時点で53倍前後と高水準です。これは、S&P500の平均PER(約20倍前後)と比較しても非常に高く、「成長への期待が既に織り込まれている」ことを意味します。

PERが高いということは、期待外れの決算や市場環境の悪化があった場合、株価が急落するリスクも高いということです。

(3) アナリスト目標株価(平均$222-238)

Stock Analysisによると、アナリストのコンセンサス評価は「Strong Buy(強気買い)」で、目標株価の平均は$222-238前後です(2025年初頭時点)。37人の買い推奨、1人のホールド、1人の売り推奨という内訳です。

Yahoo Financeによると、2025年Q2の売上予想は467億ドル(前年同期比+56%)、年間利益は728.8億ドル(+144.89%)と予想されています。

4. AI市場でのポジションと競争優位性

NVIDIAのAI市場での立ち位置を確認しましょう。

(1) AIチップ市場シェア70-95%

TechInsightsの2024年Q1レポートによると、NVIDIAはデータセンター向けAIチップ市場で70-95%のシェアを持っています。A100やH100といったGPUは、OpenAI、Google、Meta、Amazonなどの大手テック企業に採用されており、事実上の業界標準となっています。

MarketsandMarketsの分析では、「CUDAソフトウェアが業界標準であり、競合が追いつくのは容易でない」と指摘されています。

(2) 次世代プロセッサー「Blackwell」の需要

NVIDIAは次世代AIプロセッサー「Blackwell(ブラックウェル)」を発表しており、2025-2026年で累計5,000億ドル(約$0.5兆)の売上が見込まれています。Blackwellは、従来のH100と比較して性能が大幅に向上しており、大手顧客からの需要が非常に強いとされています。

(3) 競合(AMD、Intel、大手テック企業の自社チップ)の動向

NVIDIAの競合には、AMD(Radeon Instinct)、Intel(Gaudi)、そしてGoogle(TPU)、Amazon(Trainium)、Meta(MTIA)など、大手テック企業の自社開発AIチップがあります。

MarketsandMarketsの予測では、カスタムチップ(大手企業の自社開発チップ)が2028年までにAIチップ市場の45%に達する可能性があるとされています。これは、NVIDIAにとって長期的な競争リスクとなります。

5. 投資リスクと注意点

NVIDIA株への投資を検討する際、以下のリスクに注意が必要です。

(1) 中国向け輸出規制のリスク

米国政府は、国家安全保障を理由に、NVIDIAの高性能AIチップの中国向け輸出を規制しています。中国市場はNVIDIAにとって重要な売上源の一つであり、規制が拡大すれば売上減少のリスクがあります。

(2) 大手顧客の独自AIチップ開発による競争激化

Google、Amazon、Metaなどの大手顧客は、自社でAIチップを開発しており、将来的にNVIDIAへの依存度を下げる可能性があります。これが現実化すれば、NVIDIAの売上成長率が鈍化するリスクがあります。

(3) 高PERによる期待外れ決算での急落リスク

PER 53倍という高バリュエーションは、「今後も高成長が続く」という市場の期待を反映しています。しかし、決算が市場予想を下回った場合、株価が急落する可能性があります。決算発表(四半期ごと)前後は、株価が大きく変動するため、発表日を事前に確認し、タイミングを見極めることが重要です。

(4) 為替リスク(ドル建て株価の円換算変動)

NVIDIA株はドル建てで取引されるため、円高になれば日本円換算での資産価値が減少します。長期投資であれば為替変動リスクは平準化される傾向がありますが、短期では影響を受けやすい点に注意しましょう。

6. まとめ:エヌビディア株への投資判断のポイント

エヌビディア(NVIDIA)は、AI・データセンター市場で圧倒的な競争優位性を持つ企業ですが、高PERや競争リスクも存在します。投資を検討する際は、以下のポイントを押さえましょう。

投資判断のポイント:

  • 成長性を評価する: AI市場の成長期待が織り込まれている(PER 53倍)
  • リスクを理解する: 中国規制、競合の自社チップ、高PERによる急落リスク
  • 決算タイミングを確認する: 四半期ごとの決算発表前後は株価変動が大きい
  • 分散投資を検討する: NVIDIA一点買いではなく、ポートフォリオ全体でリスク分散
  • 長期視点を持つ: 短期的な株価変動に一喜一憂せず、事業の本質的価値を見極める

次のアクション:

  • 証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)で「NVDA」のティッカーシンボルを検索
  • NVIDIAの公式IR(Investor Relations)ページで最新の決算資料を確認
  • アナリストレポート(みんかぶ、株探、マネックス証券等)で目標株価と評価を比較
  • NISA口座の活用を検討(日本の税金20.315%を非課税化)

NVIDIA株は、AI市場の成長とともに注目を集める銘柄ですが、投資判断は自己責任で行うことが重要です。この記事が、NVIDIA株を検討する際の参考になれば幸いです。

よくある質問

Q1エヌビディア株は高すぎるのでしょうか?

A1PER(株価収益率)は53倍前後と高水準ですが、これはAI市場の成長期待が織り込まれているためです。S&P500の平均PER(約20倍)と比較すると高く、成長期待が織り込まれている分、期待外れの決算で急落するリスクもあります。成長性を評価するか、リスクを重視するかで判断が分かれます。

Q2NVIDIAとAMD・Intelの違いは何ですか?

A2NVIDIAはAI・データセンター向けGPUで圧倒的なシェア(70-95%)を持ち、業界標準の開発プラットフォーム「CUDA」を提供しています。AMDはNVIDIAに追随する立場で、IntelはCPU(中央処理装置)が主力です。NVIDIAのCUDAが業界標準となっているため、競合が追いつくのは容易ではないとされています。

Q3日本からNVIDIA株はどうやって買えますか?

A3SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券で、ティッカーシンボル「NVDA」を検索して購入できます。NISA口座でも購入可能で、日本の税金(20.315%)を非課税にできます(ただし米国での源泉徴収10%は避けられません)。

Q4NVIDIAは配当を出していますか?

A4NVIDIAは配当を出していますが、配当利回りは0.02%程度と極めて低いです。成長株のため、配当よりも株価上昇(キャピタルゲイン)を期待する銘柄と言えます。配当収入を重視する投資家には向いていません。

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