NYSE: CAT(キャタピラー株)の基本情報と日本からの投資方法

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/15

「NYSE: CAT」とは?ティッカーシンボルの読み方

米国株の情報を調べると「NYSE: CAT」という表記を見かけます。これは何を意味しているのでしょうか?

米国株投資を始めたばかりの日本人投資家にとって、ティッカーシンボルや取引所の表記は最初につまずきやすいポイントです。この記事では、「NYSE: CAT」(キャタピラー株)を例に、米国株の基本情報の読み方、日本の証券会社からの購入方法、資本財・景気敏感株の投資ポイントを解説します。

この記事のポイント:

  • NYSE: CATは「ニューヨーク証券取引所に上場するキャタピラー株」を意味する
  • 世界最大の建設・鉱山機械メーカーで、ダウ工業株30種採用銘柄
  • データセンター向け発電機需要が急成長、AI・クラウドインフラ拡大の恩恵
  • 2025年10月に史上最高値$596.21を記録、YTDで64.4%上昇
  • 景気サイクルの影響を強く受ける景気敏感株であることに注意
  • 日本の主要証券会社(SBI証券・楽天証券等)で購入可能

(1) NYSEとは? - ニューヨーク証券取引所の略称

NYSEは「New York Stock Exchange(ニューヨーク証券取引所)」の略称です。1792年に設立された世界最大の証券取引所で、時価総額ベースで世界の上場企業トップクラスが集まります。

主な米国の証券取引所には以下があります:

  • NYSE: ニューヨーク証券取引所(キャタピラー、JPモルガン等)
  • NASDAQ: ナスダック(アップル、マイクロソフト等)
  • OTC Markets: 店頭市場(小型株や外国ADR等)

(2) CATとは? - キャタピラーのティッカーシンボル

CATは、キャタピラー(Caterpillar Inc.)のティッカーシンボルです。ティッカーシンボルとは、証券取引所で株式を識別するための略称(コード)です。

日本では証券コード(4桁の数字)が使われますが、米国ではアルファベットで表記されます。例えば:

  • CAT: キャタピラー
  • DE: ディア・アンド・カンパニー(農業機械大手)
  • BA: ボーイング(航空機大手)
  • HON: ハネウェル(工業複合企業)

(3) ダウ工業株30種採用銘柄としての位置づけ

キャタピラーは、**ダウ・ジョーンズ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)**の構成銘柄です。ダウ30種は、米国を代表する30社で構成される株価指数で、米国経済の健全性を示す重要な指標です。

ダウ30種に採用されていることは、企業の規模・信頼性・業界での地位が高いことを示しています。

(4) ティッカーシンボルの調べ方

企業名からティッカーシンボルを調べる方法は以下の通りです:

  • Yahoo Finance: 企業名で検索すると、ティッカーシンボルと取引所が表示される
  • 日本の証券会社: 米国株取引画面で企業名を入力すると、ティッカーシンボルが候補表示される
  • Bloomberg: 企業情報ページでティッカーと取引所を確認できる

キャタピラーの基本情報(事業内容・財務指標)

(1) 世界最大の建設・鉱山機械メーカー

キャタピラーは、世界最大の建設・鉱山機械メーカーです。ブルドーザー、油圧ショベル、ダンプトラックなど、大型建設機械の代名詞的存在です。

1929年から公開取引されており、90年以上の歴史を持つグローバル企業です(出典: Caterpillar Investor Relations)。

(2) 4つの事業セグメント

キャタピラーは、以下の4つの事業セグメントで構成されています:

Construction Industries(建設機械):

  • ブルドーザー、油圧ショベル、ホイールローダー等

Resource Industries(資源産業機械):

  • 大型ダンプトラック、鉱山機械、採掘機械等

Energy & Transportation(エネルギー・輸送):

  • 発電機、エンジン、ガスタービン、データセンター向け電力ソリューション等

Financial Products(金融商品):

  • 顧客向けリース、ローン、保険等

(3) 主要な財務指標(時価総額・PER・配当利回り・業績)

主要な財務指標:

  • 時価総額: 約$259.2億ドル(約39兆円、2025年11月時点)
  • PER: 28.40倍(やや高め)
  • 配当利回り: 約1.1%(低め、成長株としての特性)
  • YTD(年初来)の株価上昇率: +64.4%
  • 過去1年の株価上昇率: +42.61%

(出典: Yahoo Finance、2025年11月時点の情報)

※財務データは最新決算で確認してください。

(4) アナリストの評価と目標株価

アナリストのコンセンサス評価(TipRanks, 2025年11月):

  • 評価: Moderate Buy(11人が買い推奨、6人がホールド、1人が売り推奨)
  • 平均目標株価: $587.53
  • 上昇余地: 現在価格$555.00から約3-6%の上昇余地

アナリストはキャタピラーのデータセンター向け需要とインフラ投資拡大を評価していますが、景気敏感株としてのリスクにも注意が必要です。

(5) 最新の業績動向(2024年売上・2025年見通し)

2024年の業績ハイライト:

  • 2024年売上: $64.8億ドル(出典: Caterpillar IR、2025年1月発表)

2025年の業績:

  • 第1四半期売上: $14.2億ドル(前年比10%減)
  • 第2四半期利益: $4.62/株(前年$5.48/株から減少)
  • 受注残高: $39.8億ドルと過去最高水準

(出典: Caterpillar Newsroom)

日本の証券会社からキャタピラー株を購入する方法

(1) 対応している証券会社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券等)

日本の主要証券会社の米国株取引サービスで、キャタピラー株(CAT)を購入できます。

主要な証券会社:

  • SBI証券: 手数料最安水準、取扱銘柄5,000以上
  • 楽天証券: 楽天ポイントが貯まる・使える
  • マネックス証券: 時間外取引対応、情報ツールが充実

いずれもNISA口座・特定口座での米国株取引に対応しています。

(2) 取引時間(日本時間)と発注方法

NYSE開場時間(日本時間):

  • 夏時間(3月第2日曜〜11月第1日曜): 23:30〜翌6:00
  • 冬時間(11月第1日曜〜3月第2日曜): 24:30〜翌7:00

証券会社によっては、プレマーケット(開場前)・アフターマーケット(閉場後)の時間外取引も利用できます。

(3) 手数料と為替コスト

主要証券会社の手数料(2025年時点):

  • 取引手数料: 約定代金の0.495%程度(上限22ドル)
  • 為替手数料: 片道25銭程度(1ドルあたり)

例えば、1株$555のキャタピラー株を10株購入する場合:

  • 株式代金: $5,550
  • 取引手数料: 約$22(上限)
  • 為替手数料(円→ドル): 約$0.93(25銭 × $5,550 ÷ 150円)

※手数料は証券会社により異なります。最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。

(4) NISA・特定口座での購入

NISA口座:

  • 成長投資枠240万円まで非課税(つみたて投資枠120万円と合わせて年間最大360万円)
  • 配当・売却益が非課税
  • 米国株も対象

特定口座:

  • 証券会社が税金を源泉徴収(20.315%)
  • 確定申告が不要(源泉徴収あり)

米国株の配当は、米国で10%源泉徴収された後、日本で20.315%課税されます。外国税額控除を利用することで、二重課税を一部調整できます(詳細は税理士にご相談ください)。

※税制の詳細は最新情報を国税庁のウェブサイトでご確認ください(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm)。

キャタピラー株の投資ポイント(データセンター需要・インフラ投資)

(1) データセンター向け発電機需要の急成長(AI・クラウドインフラ拡大)

キャタピラーの最大の成長ドライバーは、データセンター向け発電機需要です(出典: Seeking Alpha)。

背景:

  • AI・クラウドインフラの急速な拡大により、データセンターの電力需要が急増
  • キャタピラーは1,000-6,000馬力の大型発電機を生産し、データセンター向け電力ソリューションを提供
  • Hunt Energy社と長期戦略契約を締結(2025年)

この新しい成長分野が、キャタピラーの株価を押し上げる要因となっています。

(2) 受注残高$39.8億ドルと過去最高水準

受注残高(Backlog)は、将来の売上を示す先行指標です。キャタピラーの受注残高は$39.8億ドルと過去最高水準に達しており、特にEnergy & Transportation部門のデータセンター電力需要が牽引しています(出典: Caterpillar IR)。

(3) グローバルインフラプロジェクトの拡大

グローバルで道路、橋梁、エネルギープロジェクトなどのインフラ投資が拡大しており、中長期的な需要を支えています。

(4) 株価パフォーマンス(YTDで64.4%上昇、史上最高値更新)

株価の成長:

  • YTD(年初来): +64.4%
  • 過去1年: +42.61%
  • 史上最高値: $596.21(2025年10月29日)

(出典: Yahoo Finance、Seeking Alpha)

(5) 配当利回り1.1%(成長株としての特性)

キャタピラーの配当利回りは約1.1%と低めですが、これは成長株としての特性です。配当よりも株価上昇を狙う銘柄として保有されることが多いです。

景気敏感株としてのリスクと注意点

(1) 景気サイクルの影響を強く受ける

建設・鉱山機械は景気敏感セクターです。景気拡大時には需要が増加しますが、景気後退時には需要が大幅に減少し、業績が悪化するリスクがあります。

長期投資前提で、景気変動に耐えられるポートフォリオを構築しましょう。

(2) 関税影響(2025年通期で$1.3-1.5億ドルのコスト増)

2025年は関税政策による事業への影響が懸念されています。キャタピラーは2025年通期で$1.3-1.5億ドルの追加コストを見込んでいます(出典: みんかぶ米国株、Caterpillar IR)。

第2四半期の営業利益は前年比18%減($6.22億ドル減)となりました。

(3) 2025年Q1-Q2の業績減少(前年比10%減・利益減)

2025年第1四半期の売上は前年比10%減、第2四半期の利益は前年比で減少しました(出典: Caterpillar Newsroom)。

短期的には業績が減速していますが、受注残高の増加や新規成長分野(データセンター)への期待が株価を支えています。

(4) 為替リスク(ドル建て資産)

キャタピラー株は米ドル建てで取引されるため、為替レートの変動により円換算での投資価値が変動します。

例:

  • 1株$555を保有
  • 為替レート: 1ドル = 150円 → 145円(円高進行)
  • 円換算価値: 83,250円 → 80,475円(2,775円減少)

為替タイミングを読むのは難しいため、長期投資前提で分散購入(ドルコスト平均法)を検討しましょう。

まとめ:キャタピラー株への投資を検討する際のチェックリスト

「NYSE: CAT」は、ニューヨーク証券取引所に上場するキャタピラー株を意味します。世界最大の建設・鉱山機械メーカーで、ダウ工業株30種採用銘柄です。

投資を検討する際のチェックリスト:

  • アナリストの評価と目標株価を確認(TipRanks、Yahoo Finance等)
  • 財務指標(PER、配当利回り、受注残高)を確認
  • データセンター向け需要などの成長ドライバーを理解
  • 景気サイクルの影響を理解(景気敏感株であることを認識)
  • 最新決算と受注残高の推移を定期的に確認
  • 関税影響など短期的なリスク要因を把握
  • 為替リスクを理解し、分散購入を検討
  • 手数料と為替コストを計算
  • NISA口座の活用を検討

投資判断は自己責任で行い、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

よくある質問

Q1キャタピラー株はどこで買えるの?

A1SBI証券、楽天証券、マネックス証券など日本の主要証券会社の米国株取引サービスで購入可能です。NISA口座・特定口座にも対応しています。

Q2キャタピラー株の配当はどれくらい?

A2配当利回りは約1.1%と低めです。成長株のため配当よりも株価上昇を狙う銘柄です。配当金には米国で10%、日本で約20%の税金がかかります。

Q3なぜキャタピラー株の株価が高いのか?

A3データセンター向け発電機需要、インフラ投資拡大、受注残高増加により2025年10月に史上最高値$596.21を記録しました。YTDで64.4%上昇と好調です。

Q4景気敏感株としてのリスクは何?

A4建設・鉱山機械は景気サイクルの影響を強く受けます。景気後退時には需要が大幅に減少し、業績が悪化するリスクがあります。

Q5キャタピラー株の取引時間は?

A5NYSE開場時間は日本時間23:30〜翌6:00(夏時間)、24:30〜翌7:00(冬時間)です。日本の証券会社では時間外取引も利用できます。

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Single Stock編集部

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