アメリカン・エキスプレス(NYSE: AXP)の株価動向と投資戦略

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/15

アメリカン・エキスプレス(NYSE: AXP)とは

アメリカン・エキスプレス(American Express Company、ティッカー: AXP)は、米国を代表するクレジットカード・決済サービス企業です。ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しており、プレミアムカード市場で高いシェアを持つ金融銘柄です。

この記事のポイント:

  • アメリカン・エキスプレスはティッカーシンボル「AXP」でNYSEに上場
  • 2024年の株価は58.5%上昇し、VisaやMastercardを上回るパフォーマンスを記録
  • バークシャー・ハサウェイが約20%を保有する「バフェット銘柄」
  • 2025年に17%の増配を発表し、配当成長が期待できる

(1) ティッカーシンボル「AXP」の銘柄

アメリカン・エキスプレスのティッカーシンボルは「AXP」です。NYSE上場企業として、米国株投資家にとって取引しやすい銘柄の一つです。

(2) クレジットカード・決済サービス大手

アメリカン・エキスプレスは、クレジットカード発行と決済サービスを提供する企業です。特にプレミアムカード市場(高年会費・高特典のカード)に強みを持ち、富裕層をターゲットとしたビジネスモデルが特徴です。

2025年時点で、世界約1.6億カ所の加盟店ネットワークを持ち、米国内のダイニング支出だけで$870億ドル(2024年)に達しています。

アメリカン・エキスプレスの企業概要と事業モデル

(1) クローズドループ型の事業モデル

アメリカン・エキスプレスは「クローズドループ型」の決済ネットワークを採用しています。これは、自社でカード発行から加盟店契約、決済処理までを一貫して行う仕組みです。

クローズドループの特徴:

  • カード発行、加盟店契約、決済処理を自社で完結
  • カード会員からの手数料収入と加盟店からの手数料収入の両方を得られる
  • 顧客データを自社で管理でき、マーケティングに活用できる

これに対し、VisaやMastercardは「オープンループ型」で、自社ではカード発行を行わず、決済ネットワークの提供のみに特化しています。

(2) プレミアムカード会員に特化した戦略

アメリカン・エキスプレスは、富裕層向けのプレミアムカードに特化しています。代表的なカードには、Platinum Card、Gold Card、Centurion Card(通称ブラックカード)などがあります。

プレミアム戦略の特徴:

  • 高年会費(数百ドル~数千ドル)
  • 高特典(空港ラウンジ利用、ホテル優待、コンシェルジュサービス等)
  • 富裕層の高い支出額により、1会員あたりの収益が大きい

2024年には1,300万人の新規カード会員を獲得し、過去最高を記録しました。プレミアム製品と若年層へのフォーカスが奏功しています。

(3) 加盟店ネットワーク(世界約1.6億カ所)

アメリカン・エキスプレスは、2025年時点で世界約1.6億カ所の加盟店ネットワークを持っています。これは、VisaやMastercardと比べるとやや小規模ですが、プレミアムカード会員が利用する高級レストラン、ホテル、旅行サービスなどでの受け入れは広範です。

米国内のダイニング支出だけで$870億ドル(2024年)に達しており、決済ネットワークとしての存在感が増しています。

財務状況と株価動向(2024-2025年)

(1) 2024年の過去最高業績(売上$65.9億ドル、純利益$101億ドル)

2024年のアメリカン・エキスプレスは、過去最高の業績を記録しました。

2024年通期業績:

  • 売上高: $65.9億ドル(前年比+10%、FX調整後)
  • 純利益: $101億ドル(前年比+21.12%)
  • EPS(1株当たり利益): $14.01(前年比+25%)

これは、カード会員の支出増加と新規会員獲得(1,300万人)が主な要因です。プレミアム製品へのフォーカスと若年層の取り込みが奏功しています。

(2) 株価の大幅上昇(2024年に58.5%上昇)

2024年のアメリカン・エキスプレス株は58.5%上昇し、S&P500を大幅にアウトパフォームしました。これは、VisaやMastercardを上回るパフォーマンスです。

株価推移:

  • 2024年初: 約$190
  • 2024年末: 約$300
  • 2025年11月: $356.28
  • 史上最高値: $377.23

株価は史上最高値$377.23に近い水準で推移しており、市場からの評価が高いことがわかります。

(3) 財務指標(PER 23.94、ROE 33.94%)

2025年11月時点のアメリカン・エキスプレスの財務指標は以下の通りです:

  • 株価: $356.28
  • 時価総額: $245.421億ドル
  • PER(株価収益率): 23.94倍
  • ROE(株主資本利益率): 33.94%

ROE 33.94%は非常に高い水準で、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していることを示しています。

(4) 配当と増配(2025年に17%増配)

アメリカン・エキスプレスは四半期配当$0.79を支払っており、年間配当利回りは0.87%程度です。これは、S&P500平均の配当利回り(約2%)と比べると低めですが、2025年に17%の増配を発表しており、長期的な配当成長が期待できます。

配当情報:

  • 四半期配当: $0.79
  • 年間配当利回り: 0.87%(株価$356.28ベース)
  • 増配率(2025年): 17%

競合との比較(Visa、Mastercard)

(1) オープンループ vs クローズドループ

アメリカン・エキスプレスとVisa・Mastercardの最大の違いは、ビジネスモデルです。

アメリカン・エキスプレス(クローズドループ):

  • 自社でカード発行、加盟店契約、決済処理を行う
  • カード会員と加盟店の両方から手数料収入を得る
  • 顧客データを自社で管理

Visa・Mastercard(オープンループ):

  • カード発行は銀行が行い、自社は決済ネットワークのみ提供
  • 加盟店と決済処理のみで手数料収入を得る
  • カード発行リスクを負わない

クローズドループ型のアメリカン・エキスプレスは、カード発行リスクを負う一方で、収益源が多様化しています。

(2) 富裕層特化 vs 大衆向け

アメリカン・エキスプレスはプレミアムカードに特化しているため、富裕層がメインターゲットです。これに対し、VisaやMastercardは大衆向けカードも含め、幅広い顧客層をカバーしています。

顧客層の違い:

  • アメリカン・エキスプレス: 富裕層、ビジネスパーソン、高所得者
  • Visa・Mastercard: 幅広い所得層(富裕層から低所得者まで)

富裕層に特化することで、1会員あたりの支出額が大きく、景気後退時でも比較的安定した収益が期待できます。

(3) 2024年のパフォーマンス比較

2024年のパフォーマンスを比較すると、アメリカン・エキスプレスが最も好調でした。

2024年の株価上昇率:

  • アメリカン・エキスプレス(AXP): +58.5%
  • Visa(V): 約+20%
  • Mastercard(MA): 約+25%
  • S&P500: 約+20%

アメリカン・エキスプレスは、VisaやMastercardを大きく上回るパフォーマンスを記録しました。

アメリカン・エキスプレス株への投資のポイント

(1) バフェット銘柄としての安定性(バークシャー約20%保有)

アメリカン・エキスプレスは、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが約20%を保有する銘柄です。バフェットは長期保有を前提とした投資を行うため、この保有比率は企業の安定性と成長性を示すシグナルと言えます。

バフェット銘柄のメリット:

  • 長期的な成長が期待できる
  • 経営の質が高い
  • 株主還元(配当、自社株買い)に積極的

バフェットは1960年代からアメリカン・エキスプレスに投資しており、50年以上の長期保有銘柄として知られています。

(2) 成長株と配当成長株の両面性

アメリカン・エキスプレスは、成長株としても配当成長株としても魅力があります。

成長株としての魅力:

  • 2024年に58.5%の株価上昇
  • 売上高・純利益・EPSともに過去最高を記録
  • 新規会員獲得が好調(2024年に1,300万人)

配当成長株としての魅力:

  • 2025年に17%の増配を発表
  • 長期的な配当成長が期待できる
  • フリーキャッシュフローが配当を支える

配当利回りは0.87%と低めですが、増配率が高く、長期保有による配当成長が期待できます。

(3) リスク要因(割高感、スモールビジネスの課題)

アメリカン・エキスプレス株への投資には、以下のリスクがあります:

  • 割高感: 株価は史上最高値$377.23に近く、アナリスト目標株価$327.57を大幅に上回っている
  • スモールビジネスの課題: 2025年11月のKBW Fintech Payments Conferenceで、スモールビジネスセグメントに課題があると言及
  • 経済環境の影響: 金利動向や景気後退が消費支出に影響を与える可能性

現在価格$356.28は目標株価を上回っており、短期的には調整リスクがあると言われています。

まとめ:投資判断のポイント

アメリカン・エキスプレス(NYSE: AXP)は、プレミアムカード市場で高いシェアを持つ金融銘柄です。2024年は株価が58.5%上昇し、VisaやMastercardを上回るパフォーマンスを記録しました。バークシャー・ハサウェイが約20%を保有する「バフェット銘柄」として、長期的な安定性と成長性が期待されています。

投資判断のポイント:

  • 成長性: 2024年に過去最高の業績を記録、2025年も堅調な成長見込み
  • 配当成長: 2025年に17%の増配を発表、長期的な配当成長が期待できる
  • バフェット銘柄: バークシャー・ハサウェイが約20%保有、長期保有に適した銘柄
  • リスク: 株価は史上最高値近辺で割高感あり、短期的には調整リスク

次のアクション:

  • アメリカン・エキスプレスの最新決算資料を確認する
  • Visa、Mastercardと比較検討する
  • 株価が調整した際のエントリーポイントを検討する
  • バークシャー・ハサウェイの保有状況を定期的にチェックする

投資判断は自己責任で行い、最新の財務情報や市場動向を確認した上で決定してください。

よくある質問

Q1NYSE AXPとは何の銘柄ですか?

A1アメリカン・エキスプレス(American Express Company)のことです。クレジットカード・決済サービス大手で、プレミアムカードに特化したビジネスモデルが特徴です。ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが約20%を保有する「バフェット銘柄」としても知られています。

Q22024年のパフォーマンスはどうでしたか?

A22024年に58.5%上昇し、S&P500を大幅にアウトパフォームしました。VisaやMastercardも上回る好調なパフォーマンスを記録しており、売上高・純利益・EPSともに過去最高となりました。

Q3配当利回りはいくらですか?

A3年間配当利回りは0.87%と低めですが、2025年に17%の増配を発表しました。長期的な配当成長が期待でき、フリーキャッシュフローが配当を支えています。S&P500平均(約2%)と比べると低いですが、増配率が高い点が魅力です。

Q4VisaやMastercardとの違いは何ですか?

A4アメリカン・エキスプレスはクローズドループ型で、自社でカード発行から決済処理までを一貫して行います。VisaとMastercardはオープンループ型で、カード発行は銀行が行い、自社は決済ネットワークのみ提供します。また、アメリカン・エキスプレスは富裕層向けプレミアムカードに特化しており、VisaやMastercardは大衆向けを含む幅広い顧客層をカバーしています。

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Single Stock編集部

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