米国ハイテク株に投資したいけれど、どの銘柄を選べばいいか分からない...
「NYSE FANG+」という指数を目にして、「これはどんな指数なのか?」「日本から投資できるのか?」と疑問に思う投資家は少なくありません。FANG+は米国ハイテク株の代表的な銘柄を集めた指数で、高いリターンが注目されています。
この記事では、NYSE FANG+の基本情報、構成銘柄、パフォーマンス、日本からの投資方法、そしてリスクと注意点をわかりやすく解説します。
この記事のポイント:
- NYSE FANG+は米国ハイテク株10銘柄の等加重指数
- 2014-2025年の年率リターン29.24%で、S&P500の13.64%を上回る
- 投資信託(iFreeNEXT FANG+インデックス)やETFで日本から投資可能
- 10銘柄すべてがテクノロジー・メディア・通信セクターに集中しているため、セクター固有のリスクに注意
- 為替変動の影響を受けるため、円高・円安のリスクを理解する必要がある
1. NYSE FANG+とは?米国ハイテク株10銘柄の指数
(1) NYSE FANG+ Indexの基本情報
NYSE FANG+ Indexは、米国の主要ハイテク企業10銘柄で構成される株価指数です。ICE(Intercontinental Exchange)が提供し、四半期ごとにリバランスされます。
「FANG+」の名称は、かつて注目されたFAANG(Facebook/Apple/Amazon/Netflix/Google)に由来していますが、現在はより幅広いハイテク企業を含んでいます。
(2) 等加重(Equal Weight)指数の特徴
FANG+は等加重指数です。これは、各銘柄に同じ金額(各10%)を投資する方式で、時価総額加重指数とは異なります。
等加重指数のメリット:
- 大型株への集中リスクを回避できる
- 分散投資効果が高まる
- 小型株の成長機会を取り込める
(3) 四半期リバランスの仕組み
FANG+は四半期(3ヶ月)ごとに銘柄構成と投資比率を見直します。これにより、各銘柄の投資比率を常に10%に保ち、パフォーマンスの偏りを防ぎます。
また、時価総額や売上高の基準を満たさなくなった銘柄は除外され、新たな銘柄が追加されます。
2. NYSE FANG+の構成銘柄と選定基準
(1) FAANMG 6銘柄(Meta、Amazon、Apple、Netflix、Microsoft、Alphabet)
FANG+の中核は、FAANMG 6銘柄です。
- Meta(旧Facebook): ソーシャルメディア
- Amazon: Eコマース・クラウドサービス
- Apple: スマートフォン・デバイス
- Netflix: ストリーミングサービス
- Microsoft: ソフトウェア・クラウドサービス
- Alphabet(Google): 検索エンジン・広告
これらは世界的に事業を展開し、高い収益力を持つ企業です。
(2) 時価総額・売上高基準で選定された4銘柄
FAANMG 6銘柄に加え、時価総額や売上高の基準で選定された4銘柄が含まれます。2025年11月時点の構成は以下の通りです。
- Nvidia: 半導体・AI
- Broadcom: 半導体
- CrowdStrike: サイバーセキュリティ
- ServiceNow: ソフトウェア
(3) 2024年9月の銘柄入れ替え(CrowdStrike、ServiceNowが追加)
2024年9月の四半期リバランスでは、SnowflakeとTeslaが削除され、CrowdStrike(サイバーセキュリティ)とServiceNow(ソフトウェア)が追加されました。
この入れ替えは、クラウド・セキュリティ分野への注目が高まっていることを反映しています。
3. FANG+のパフォーマンスとS&P500・NASDAQ100との比較
(1) 2014-2025年の年率リターン29.24%(S&P500の13.64%を上回る)
FANG+は高いリターンを記録しています。2014年から2025年までの年率リターンは29.24%で、S&P500の13.64%を大幅に上回っています。
このパフォーマンスは、米国ハイテク株の成長が続いたことを反映しています。
(2) 積立投資のシミュレーション(元本が6.5倍以上に成長)
2014年11月から2024年11月まで毎月積立投資した場合、元本が6.5倍以上に成長したという試算があります(出典: 楽天証券)。
これは、S&P500やTOPIXを大幅にアウトパフォームする結果です。
(3) NASDAQ-100との比較(19.15% vs 29.24%)
NASDAQ-100(ナスダック上場の大型株100銘柄で構成)の年率リターンは19.15%で、FANG+の29.24%を下回ります。
FANG+は、ハイテク株の中でも特に成長力の高い銘柄に集中しているため、より高いリターンを実現しています。
4. 日本からNYSE FANG+に投資する方法
(1) 投資信託(iFreeNEXT FANG+インデックスなど)
日本の投資家は、投資信託を通じてFANG+に投資できます。代表的な商品は以下の通りです。
- iFreeNEXT FANG+インデックス(大和アセットマネジメント)
投資信託は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などで購入できます。信託報酬は年率0.7755%程度です(2025年11月時点)。
(2) ETF(レバレッジ2倍ブル型FNGGなど)
ETFを通じた投資も可能です。代表的な商品は以下の通りです。
- Direxion Daily NYSE FANG+ Bull 2X ETF(FNGG): 日次200%のパフォーマンスを目指すレバレッジETF
レバレッジETFは信託報酬が低く、リアルタイム取引が可能ですが、日次リバランスのため、長期保有には向きません。
(3) 先物契約(MICRO NYSE FANG+ Index Futures)
先物契約を利用することで、既存のFANG+銘柄ポートフォリオのリスクヘッジが可能です。MICRO NYSE FANG+ Index Futuresは、小口投資家も利用できる先物商品です。
市場下落を予測する場合、先物を売ることでリスクを軽減できます。
5. FANG+投資のリスクと注意点
(1) 10銘柄すべてがテクノロジー・メディア・通信セクターに集中
FANG+の10銘柄はすべてテクノロジー・メディア・通信セクターに属しています。そのため、セクター固有のリスクに弱い傾向があります。
セクター固有のリスク:
- 規制強化(データプライバシー、反トラスト法)
- 景気減速による広告収入の減少
- 技術革新の停滞
(2) 為替リスク(円ドル変動の影響)
日本から投資する場合、為替変動の影響を受けます。投資信託やETFは一般的に為替ヘッジを行わないため、円高になると損失、円安になると利益が発生します。
為替変動は、米国株のリターンを大きく左右する要因です。
(3) レバレッジETFの長期保有リスク
レバレッジETF(2倍ブル型など)は日次リバランスのため、長期保有すると複利効果で想定外の損失が発生する可能性があります。
レバレッジETFは短期取引向きの商品です。
(4) 四半期リバランスによる銘柄入れ替え
FANG+は四半期ごとに銘柄構成を見直します。そのため、特定銘柄への長期投資を期待する投資家には不向きです。
6. まとめ:FANG+投資の判断ポイント
NYSE FANG+は、米国ハイテク株の成長力を取り込める指数です。投資を検討する際は、以下のポイントを考慮しましょう。
投資判断のポイント:
- 年率リターン29.24%(2014-2025年)は魅力的だが、過去の実績は将来を保証しない
- 等加重指数により、大型株への集中リスクを回避できる
- セクター集中リスク(テクノロジー・メディア・通信)を理解する
- 為替変動の影響を受けるため、円高・円安のリスクを考慮する
- レバレッジETFは短期取引向き、長期保有には不向き
次のアクション:
- 投資信託とETFの手数料・信託報酬を比較する
- 証券会社の口座を開設し、少額から始める
- FANG+の最新の銘柄構成をICE公式サイトで確認する
投資判断は自己責任で行い、リスクを十分に理解した上で検討しましょう。
※本記事の情報は2025年11月時点のものです。最新の指数データや銘柄構成は、ICE公式サイト(https://www.ice.com/equity-index/fangplus)や証券会社のサイトでご確認ください。
