NYSE GE(GE Aerospace)とは?企業概要と事業内容
「NYSE GE」で検索している方は、おそらくニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場している「GE」というティッカーシンボルの銘柄情報を探しているのではないでしょうか。
かつてゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)として知られていたGEは、2024年4月に3社分割を完了し、現在は「GE Aerospace」として航空宇宙専業企業に生まれ変わっています。
この記事では、NYSE GE(GE Aerospace)の基本情報、3社分割の経緯、株価動向、日本からの投資方法を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 2024年4月にGEは3社分割を完了、現在のNYSE GEはGE Aerospace(航空宇宙専業)
- 株価$305.30、P/E Ratio 48.46倍、1年トータルリターン73.35%の好調な業績
- 2024年通期で純利益73億ドル(30%増)、FCF 61億ドル(30%増)を達成
- 2025年に配当30%増、自社株買い70億ドルを計画
- 日本の主要証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、SMBC日興証券)で取引可能
(1) GE Aerospace(旧General Electric Company)の基本情報
GE Aerospace(旧General Electric Company)は、1892年に設立された米国の老舗企業です。かつては電力、医療、金融など多岐にわたる事業を展開する巨大コングロマリット(複合企業)でしたが、2024年4月に3社分割を完了し、現在は航空宇宙専業企業として再出発しています。
ティッカーシンボルは歴史的な「GE」を維持しており、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しています。投資適格級(信用格付けBBB-以上)の独立上場企業として、安定した財務基盤を持っています。
(2) 航空宇宙専業企業としての事業内容
GE Aerospaceの主要事業は、以下の2つのセグメントで構成されています:
1. Commercial Engines & Services(商用エンジン・サービス):
- 航空会社向けジェットエンジンの製造
- エンジンの保守・修理・オーバーホールサービス
- 航空旅行需要の回復により、この事業が好調
2. Defense & Propulsion Technologies(防衛・推進技術):
- 軍用機向けエンジンの製造
- ターボエンジン技術の開発
- 防衛予算の増加により安定した収益源
これらの事業により、GE Aerospaceは航空機エンジン市場で高いシェアを持っています。
(3) 設置ベース:商用4.4万基、軍用2.5万基
GE Aerospaceの大きな強みは、既に納入済みのエンジン数(設置ベース、Installed Base)の多さです。
設置ベース:
- 商用エンジン: 約4.4万基
- 軍用エンジン: 約2.5万基
これらのエンジンは定期的な保守・修理が必要であり、長期的な収益源として安定したキャッシュフローを生み出しています。航空機エンジンの寿命は数十年に及ぶため、アフターサービス事業は高い利益率を誇ります。
GEの3社分割の経緯と現在の姿
GEは、かつて家電、電力、医療機器、金融サービスなど多岐にわたる事業を展開する巨大コングロマリットでしたが、近年は「コングロマリット・ディスカウント」(多角化企業が単一事業企業より割安に評価される現象)により株価が低迷していました。
これを解消するため、GEは事業別に3社に分割し、それぞれの専門性を高める戦略を採用しました。
(1) 2021年11月の3社分割発表
2021年11月、GEは事業別に3社に分割する計画を発表しました。
分割計画:
- GE HealthCare: 医療機器事業(2023年スピンオフ予定)
- GE Vernova: 電力事業(2024年スピンオフ予定)
- GE Aerospace: 航空宇宙事業(本体として残る)
この計画は、各事業の専門性を高め、投資家にとって価値が分かりやすい企業構造を目指すものでした。
(2) 2023年1月のGE HealthCareスピンオフ(3株に1株配分)
2023年1月、まず医療機器事業がGE HealthCare Technologies Inc.(ティッカー:GEHC)として独立上場しました。
スピンオフ時の株式配分:
- GE株3株につき、GE HealthCare株1株を既存株主に配分
- GE HealthCareはNASDAQに上場
これにより、GE株主は自動的にGE HealthCare株を受け取りました。
(3) 2024年4月のGE Vernovaスピンオフ(4株に1株配分)と独立企業化
2024年4月2日、電力事業がGE Vernova Inc.(ティッカー:GEV)として独立上場し、3社分割が完了しました。
スピンオフ時の株式配分:
- GE株4株につき、GE Vernova株1株を既存株主に配分
- GE VernovaはNYSEに上場
これにより、GEは130年以上続いたコングロマリットの歴史に終止符を打ち、航空宇宙専業企業「GE Aerospace」として再出発しました。
分割後の状況:
- 2024年4月以降、ティッカーシンボル「GE」はGE Aerospaceを指す
- GE株を保有していた投資家は、GE Aerospace株、GE HealthCare株、GE Vernova株の3社分を保有
GE Aerospace株の基本情報(株価・財務指標)
GE Aerospace株への投資を検討する際、まず把握すべき基本情報を確認しましょう。
(1) 現在株価$305.30、52週レンジ$159.36-316.67
2025年11月時点で、GE Aerospace株の株価は約305.30ドルです。
過去1年間の株価推移:
- 52週レンジ: $159.36-316.67
- 最高値は316.67ドル(2025年に記録)
- 最低値は159.36ドル(約1年前)
この範囲を見ると、株価がほぼ2倍に上昇したことが分かります。航空宇宙専業企業としての再出発が、市場に高く評価されたと言えます。
(2) P/E Ratio 48.46倍の意味と評価
P/E Ratio(株価収益率)は、株価が1株あたり利益の何倍かを示す指標です。GE Aerospaceの場合、48.46倍とされています。
この数値は、歴史的に見て割高水準です。一般的に、P/E Ratioが高いほど投資家の期待が大きく、将来の成長を織り込んだ株価となっています。
P/E Ratio 48.46倍の意味:
- 投資家は今後の業績成長を強く期待している
- 航空旅行需要の回復や自社株買いなどが評価されている
- 一方で、業績成長が鈍化すれば株価急落のリスクもある
P/E Ratioだけで投資判断をするのではなく、成長率や収益性も含めて総合的に評価することが重要です。
(3) 1年トータルリターン73.35%
GE Aerospace株の過去1年間のトータルリターン(株価上昇率)は73.35%です。これは、1年前に100万円投資していれば、現在173万円になっている計算です。
この好調な株価パフォーマンスは、以下の要因によるものと考えられます:
- 航空旅行需要の回復
- 3社分割完了によるコングロマリット・ディスカウント解消
- 好調な決算発表(四半期ごとに市場予想を上回る業績)
- 株主還元策の強化(配当増・自社株買い)
2024-2025年の業績と株主還元策
GE Aerospaceは、航空宇宙専業企業として独立後、好調な業績を続けています。
(1) 2024年通期:純利益73億ドル(30%増)、FCF 61億ドル(30%増)
2024年通期の業績は以下の通りです:
主要指標:
- 純利益: 73億ドル(前年比30%増)
- フリーキャッシュフロー(FCF): 61億ドル(前年比30%増)
- EPS(1株あたり利益): $4.60(前年比56%増)
これらの数値は、航空旅行需要の回復と、商用エンジン・サービス事業の好調を反映しています。設置ベース4.4万基の保守・修理収益が、安定した成長を支えています。
(2) 2025年ガイダンス:利益78-82億ドル、自社株買い70億ドル
GE Aerospaceは、2025年の業績ガイダンスを引き上げました:
2025年ガイダンス:
- 純利益: 78-82億ドル(2024年比6.8-12.3%増)
- 自社株買い: 70億ドル(株主還元策の強化)
- EPS: $7.8-8.2(2024年比69.6-78.3%増)
このガイダンスは、航空宇宙市場の継続的な成長と、自社株買いによるEPS向上を見込んだものです。
(3) 配当30%増計画(配当利回り0.47%)
GE Aerospaceは、2025年に配当を30%増やす計画を発表しました。
配当情報:
- 配当利回り: 0.47%(予測値)
- 配当増額: 2025年に30%増を計画
ただし、配当利回り0.47%は高配当株ではありません。配当目的の投資には不向きで、株価上昇(キャピタルゲイン)を狙う投資スタイルが適切です。
配当がないわけではありませんが、株価下落時のインカムゲインによるクッションは薄いため、株価変動リスクを認識する必要があります。
日本からNYSE GE株を買う方法と主要証券会社
日本の投資家も、主要証券会社を通じてGE Aerospace株を購入できます。
(1) SBI証券・楽天証券・マネックス証券・SMBC日興証券での購入方法
以下の証券会社で、ティッカーコード「GE」を検索すれば、GE Aerospace株の取引が可能です:
SBI証券:
- 米国株取扱銘柄数が豊富(5,000銘柄以上)
- 銘柄検索ツールでティッカーコード「GE」を入力
- 取引手数料: 約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
楽天証券:
- 楽天ポイントが貯まる・使える
- 取引ツール「iSPEED」で米国株取引可能
- 取引手数料: 約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
マネックス証券:
- 米国株情報が充実
- 銘柄スカウター米国株で企業分析可能
- 取引手数料: 約定代金の0.495%(最低0ドル、上限22ドル)
SMBC日興証券:
- 総合証券会社として信頼性が高い
- 外国株取引口座を開設し、米国株取引が可能
(2) ティッカーコード「GE」で1株から購入可能
米国株は1株から購入できるため、GE Aerospace株なら約43,000円から投資可能です(株価$305.30 × 為替レート140円/ドル)。
主なコスト:
- 取引手数料: 約定代金の約0.495%(主要証券会社)
- 為替手数料: 片道20-25銭程度(日本円→米ドル両替時)
- SEC Fee: 売却時に米国証券取引委員会手数料が発生
証券会社により手数料体系が異なるため、口座開設前に各社の手数料を比較することをおすすめします。
(3) 外国株取引口座の開設と日本円⇒米ドル両替
米国株を取引するには、まず外国株取引口座を開設する必要があります。
手順:
- 証券会社で外国株取引口座を開設(本人確認書類・マイナンバーカード等が必要)
- 日本円を米ドルに両替(為替手数料が発生)
- ティッカーコード「GE」で銘柄を検索
- 購入株数・価格を指定して注文
- 約定後、米国株が口座に反映される
特定口座(源泉徴収あり)を選べば、税金の計算が自動で行われ、確定申告が原則不要になります(一定条件下)。
まとめ:GE株への投資を検討する前に
NYSE GE(GE Aerospace)は、2024年4月に3社分割を完了し、航空宇宙専業企業として再出発した米国の老舗企業です。
投資判断のポイント:
- 株価$305.30、P/E Ratio 48.46倍は割高水準(業績成長が鈍化すれば急落リスク)
- 2024年通期で純利益73億ドル(30%増)、FCF 61億ドル(30%増)の好調な業績
- 2025年に配当30%増、自社株買い70億ドルの株主還元策を計画
- 配当利回り0.47%は低水準、株価上昇(キャピタルゲイン)を狙う投資スタイル
- 日本の主要証券会社で1株から購入可能(約43,000円から)
次のアクション:
- 証券会社の口座を開設し、銘柄検索ツールでティッカーコード「GE」を検索
- GE Aerospace公式IR(www.geaerospace.com/investor-relations)で最新の決算資料を確認
- Yahoo!ファイナンスや株探で株価チャート・アナリスト評価をチェック
- リスク許容度を確認し、余裕資金の範囲で投資を検討
GE Aerospaceは、航空旅行需要の回復と商用エンジン・サービス事業の好調により、好調な業績を続けています。ただし、P/E Ratio 48.46倍は割高水準であり、航空需要の減速や競合の台頭により株価が急落するリスクもあります。投資判断は必ず自己責任で行ってください。
※この記事の情報は執筆時点(2025年11月)のものです。株価や企業情報は変化する可能性があるため、最新情報は証券会社や企業の公式サイトでご確認ください。
