NYSE SPGIとは:S&Pグローバル株の基本情報
「NYSE SPGIって何?」「S&P 500を算出している会社に投資できるの?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
NYSE SPGI(ティッカーシンボル: SPGI)は、S&P Global Inc.のニューヨーク証券取引所(NYSE)上場株式です。S&P Globalは、信用格付け、ベンチマーク、分析、データを世界の資本市場・商品市場に提供する金融情報サービス企業で、S&P 500指数やダウ工業株30種平均を算出する企業としても有名です。
この記事では、S&P Globalの企業概要、5つの事業セグメント、株価推移と配当、日本からの投資方法、そして投資時の注意点まで詳しく解説します。
この記事のポイント:
- S&P Globalは信用格付け、市場情報、株価指数を提供する金融情報サービス企業
- 5つの事業セグメント: Market Intelligence、Ratings、Energy、Mobility(2025年分離予定)、Dow Jones Indices
- NYSEに上場しており、日本の証券会社(楽天証券、SBI証券、マネックス証券等)で購入可能
- 配当と自社株買いで株主還元を実施、2025年はフリーキャッシュフローの約85%を還元予定
- PERは業界平均よりやや高めだが、アナリストの平均目標株価は約$615で、現在価格から約25%の上昇余地あり
(1) ティッカーシンボル「SPGI」の意味
SPGIは、S&P Global Inc.の略称で、ティッカーシンボルとしてNYSEで使用されています。
基本情報:
- 正式名称: S&P Global Inc.(旧McGraw-Hill Financial, Inc.)
- ティッカーシンボル: SPGI(NYSE)
- 本社: 米国ニューヨーク州
- 業種: 金融情報サービス
S&P Globalは1929年から上場している歴史ある企業で、現在のティッカーシンボル「SPGI」は2016年4月28日から使用されています。それ以前は「MHFI」(McGraw-Hill Financial, Inc.)として上場していました。
(2) 1929年から上場の歴史ある企業
S&P Globalは、1929年からニューヨーク証券取引所に上場している歴史ある企業です。前身企業を含めると、100年以上の歴史があります。
歴史:
- 1860年: McGraw-Hill創業
- 1941年: Standard & Poor'sがS&P 500指数の前身を開始
- 2016年: McGraw-Hill Financial, Inc.からS&P Global Inc.に改称
- 2022年: IHS Markitを買収し、事業を大幅に拡大
長い歴史の中で、金融市場のインフラとして重要な役割を果たしてきました。特に、S&P 500指数は米国株式市場の代表的なベンチマークとして、世界中の投資家に利用されています。
S&Pグローバルの企業概要と5つの事業セグメント
(1) 金融情報サービス企業としての位置づけ
S&P Globalは、信用格付け、ベンチマーク、分析、データを世界の資本市場・商品市場に提供する金融情報サービス企業です。
主な事業:
- 信用格付け(S&P Global Ratings)
- 市場情報・データ分析(S&P Global Market Intelligence)
- 株価指数(S&P Dow Jones Indices)
- エネルギー・商品情報(S&P Global Energy、旧Commodity Insights)
- 自動車情報(S&P Global Mobility、2025年分離予定)
S&P Globalは、金融市場のインフラとして、投資家、企業、政府、規制当局など幅広い顧客にサービスを提供しています。
(2) 5つの事業セグメント(Market Intelligence、Ratings、Energy、Mobility、Indices)
S&P Globalは、5つの事業セグメントで構成されています。
1. Market Intelligence(市場情報):
- データ、分析、ワークフローソリューションを提供
- 企業の信用リスク、市場動向、業界分析などを支援
- 2022年のIHS Markit買収により大幅に強化
2. Ratings(格付け):
- 企業や国の債券の信用力を評価
- Moody's、Fitchと並ぶ世界3大信用格付け機関の一つ
- 債券発行時の信用格付けが主要収益源
3. Energy(エネルギー・商品情報):
- 旧Commodity Insights、2025年にS&P Global Energyにリブランド
- エネルギー・商品市場向けの価格ベンチマークと情報を提供
- 原油、天然ガス、金属などの価格指標を算出
4. Mobility(自動車情報):
- Carfax、Polkなどの自動車情報サービス
- 2025年に独立した上場企業として分離予定
- 分離後は、S&P Globalの事業構造が変わる可能性がある
5. Dow Jones Indices(株価指数):
- S&P GlobalとCMEグループの合弁事業
- S&P 500、ダウ工業株30種平均などを算出
- ライセンス収入が主要な収益源
これらの事業セグメントは、金融市場のさまざまなニーズに応えており、多角化された収益構造を持っています。
(3) S&P 500指数とダウ平均を算出する企業
S&P Globalは、S&P 500指数やダウ工業株30種平均を算出する企業として有名です。
S&P 500指数:
- 米国株式市場の約80%をカバーする代表的な株価指数
- 時価総額加重平均方式で算出
- 世界中のインデックスファンド、ETFのベンチマークとして利用される
ダウ工業株30種平均:
- 米国を代表する30銘柄で構成
- 株価平均方式で算出
- 最も古い株価指数の一つ(1896年開始)
これらの株価指数は、S&P Dow Jones Indices(S&P GlobalとCMEグループの合弁事業)が算出・管理しています。ライセンス収入が主要な収益源となっており、安定した収益基盤を提供しています。
S&Pグローバルの株価推移と配当
(1) 株価推移と52週レンジ
S&P Global(SPGI)の株価は、近年堅調に推移しています。
株価情報(2025年11月時点):
- 現在株価: 約$493~$503
- 52週レンジ: $427.14~$579.05
- 史上最高値: $579.05(2025年8月14日)
株価は2025年8月に史上最高値を記録しましたが、その後約$503まで調整しています。市場全体の変動や金利政策に敏感に反応する傾向があります。
(2) 配当と自社株買いによる株主還元
S&P Globalは、配当と自社株買いを通じて株主還元を行っています。
株主還元策:
- 2025年、調整後フリーキャッシュフローの約85%を株主に還元する計画
- 配当と自社株買いのバランスを取りながら実施
- 長期的に安定した株主還元を重視
配当利回りは公表されていませんが、成長性を重視する投資家にとっては、自社株買いも魅力的な株主還元策と言われています。
(3) アナリストの目標株価と評価
アナリストの評価は総じて強気です。
アナリスト評価(2025年11月時点):
- コンセンサス評価: 「Strong Buy」(強い買い推奨)
- 平均目標株価: $615.67~$620.25
- 最高予想: $661.00、最低予想: $589.00
- 現在価格(約$503)から約25%の上昇余地
2025年11月13日のInvestor Dayで、AIをプラットフォーム全体に統合し、高成長分野に拡大する成長戦略を発表したことで、BMO Capitalは目標株価を$546に引き上げました。
※上記は執筆時点の情報です。最新のアナリスト評価は証券会社やIRサイトでご確認ください。
日本からのSPGI投資方法
(1) 日本の証券会社での購入手順
SPGI(S&P Global株)は、日本の証券会社で米国株として購入できます。
購入手順:
- 証券会社の米国株取引口座を開設(楽天証券、SBI証券、マネックス証券など)
- 円をドルに為替換算(為替手数料: 片道25銭程度)
- 米国株取引画面でティッカーシンボール「SPGI」を検索
- 買い注文を発注(成行・指値など)
- 約定・決済
SPGIは米ドル建てで取引されます。
(2) 最低投資額と取引時間
最低投資額:
- 米国株は1株から購入可能
- SPGIの株価が約$503の場合、最低投資額は約$503(為替レート1ドル=150円の場合、約75,450円)
取引時間:
- NYSE取引時間: 日本時間23:30-6:00(冬時間)、22:30-5:00(夏時間)
- プレマーケット・アフターマーケットでも取引可能(証券会社により異なる)
日本の投資家にとっては、夜間に取引できるため、日中忙しい方でもアクセスしやすいと言われています。
(3) NISA・つみたてNISAでの購入可否
NISA口座での購入:
- 成長投資枠(旧一般NISA)で購入可能
- つみたて投資枠(旧つみたてNISA)では購入不可(個別株は対象外)
NISAのメリット:
- 配当金、売却益が非課税
- 年間投資枠: 成長投資枠240万円
NISA口座を活用することで、税制優遇を受けながらSPGI株に投資できます。
SPGI投資時の注意点(税金・為替・リスク)
(1) 米国株の税金(配当・売却益)
SPGI株に投資する場合、米国株の税金に注意が必要です。
配当金の税金:
- 米国で源泉徴収: 10%(日米租税条約により軽減税率)
- 日本で課税: 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
- 外国税額控除を申請することで、二重課税を軽減できる場合がある
売却益の税金:
- 日本で課税: 20.315%(申告分離課税)
- 確定申告が必要(特定口座の源泉徴収ありを選択すれば不要)
NISA口座の場合:
- 配当金、売却益ともに非課税
- ただし、米国での源泉徴収10%は免除されない
税金の詳細については、税理士や国税庁への相談をお勧めします。
(2) 為替リスクと円ドル換算
SPGI株は米ドル建てで取引されるため、為替リスクがあります。
為替リスク:
- 円高(ドル安)時には円建てリターンが減少
- 円安(ドル高)時には円建てリターンが増加
為替手数料:
- 片道25銭程度(証券会社により異なる)
- 往復で約50銭/ドルのコストがかかる
為替リスクを考慮し、ポートフォリオ全体のバランスを調整することが重要です。
(3) 事業構造の変化(Mobility分離)とPERの割高感
事業構造の変化:
- Mobility部門を2025年に独立した上場企業として分離予定
- 分離後、S&P Globalの事業構造が変わる可能性がある
- 投資家は分離の影響を注視する必要がある
PERの割高感:
- PER(株価収益率): 34.28~37.42倍
- 業界平均: 32.92倍
- 本源的価値が$456.3と推定されるのに対し、市場価格は約$503で、約4%割高と評価されている
短期的には調整リスクがあるため、長期的な視点で投資判断を行うことが重要です。
まとめ:SPGI投資のポイント
NYSE SPGI(S&P Global Inc.)は、信用格付け、市場情報、株価指数を提供する金融情報サービス企業です。S&P 500指数やダウ工業株30種平均を算出する企業として有名で、金融市場のインフラとして重要な役割を果たしています。
SPGI株への投資を検討する際は、以下の点を確認しましょう:
投資のポイント:
- 5つの事業セグメントで多角化された収益構造
- 配当と自社株買いで株主還元を実施、2025年はフリーキャッシュフローの約85%を還元予定
- アナリストの平均目標株価は約$615で、現在価格から約25%の上昇余地あり
- 日本の証券会社で米国株として購入可能(楽天証券、SBI証券、マネックス証券等)
- PERは業界平均よりやや高めで、短期的には調整リスクあり
次のアクション:
- S&P Global公式IRサイトで最新の業績と見通しを確認
- 日本の証券会社で米国株取引口座を開設
- NISA口座を活用して税制優遇を受ける
- Mobility部門の分離(2025年予定)の影響を注視
- 為替リスクを考慮し、ポートフォリオ全体のバランスを調整
SPGI株は成長性と安定性を兼ね備えた銘柄ですが、PERの割高感や事業構造の変化に注意が必要です。長期的な視点で、リスクを理解した上で投資判断を行いましょう。
※投資判断は自己責任で行ってください。この記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の推奨を行うものではありません。過去のパフォーマンスは将来のリターンを保証しません。
