配当貴族に投資する投資信託を探している方へ
米国株で安定した配当収入を得るため、「配当貴族」という言葉を耳にして投資信託を探し始めた方も多いでしょう。S&P500配当貴族指数に連動する商品はいくつかありますが、りそなアセットマネジメントが提供する「りそな米国株式配当貴族インデックス」は、りそな銀行や埼玉りそな銀行の窓口・アプリで購入できる商品として注目されています。
この記事では、りそな米国株式配当貴族インデックスファンドの基本情報、S&P500配当貴族指数の仕組み、他の類似商品との比較、メリット・デメリット、そして向いている投資家のタイプまで、客観的な情報をまとめて解説します。
この記事のポイント:
- りそな米国株式配当貴族インデックスは、25年以上連続増配の米国企業に投資するファンド
- 年4回決算型と年1回決算型の2種類があり、配当受け取り頻度で選択可能
- 購入時手数料2.2%・信託報酬0.55%のコスト構造(ネット証券のノーロード商品と比較検討が必要)
- りそな銀行・埼玉りそな銀行の窓口またはアプリ「つみたてボックス」で購入可能
- NISA成長投資枠の対象商品として非課税メリットを活用できる
1. りそな米国株式配当貴族インデックスとは
まずは、このファンドの基本情報を確認しましょう。
(1) ファンドの基本情報(設定日・運用会社)
りそな米国株式配当貴族インデックスは、りそなアセットマネジメントが運用する投資信託で、2023年10月16日に設定されました。S&P500配当貴族指数(円換算ベース)への連動を目指すパッシブ運用型のファンドです。
設定から2年程度の比較的新しいファンドですが、配当貴族指数自体は長い実績を持つ指数であり、下落局面での安定性が評価されています。
(2) 年4回決算型と年1回決算型の違い
このファンドには、決算回数の異なる2つのタイプがあります。
- 年4回決算型: 四半期ごと(2月・5月・8月・11月)に決算を行い、分配金を受け取る機会がある
- 年1回決算型: 年に1回(11月)決算を行い、分配金を受け取る機会がある
分配金を受け取るか再投資するかは投資家の選択次第ですが、一般的に年1回決算型のほうが複利効果を得やすいと言われています。
(3) NISA成長投資枠対象
このファンドはNISA(新NISA制度)の成長投資枠の対象商品です。年間240万円まで非課税で投資でき、配当金や売却益にかかる日本の税金(20.315%)が非課税になります。
ただし、米国株の配当には米国で10%の源泉徴収が行われるため、NISA口座でもこの10%は避けられません。
2. S&P500配当貴族指数の仕組みと特徴
このファンドが連動を目指す「S&P500配当貴族指数」について理解しておきましょう。
(1) 25年以上連続増配企業に投資
S&P500配当貴族指数は、S&P500構成銘柄のうち、25年以上連続で増配している企業を選定して構成される指数です。長期間にわたり配当を増やし続けてきた企業は、財務基盤が安定しており、景気後退期でも配当を守る姿勢を持っていることが多いとされます。
2025年時点で69社が配当貴族に該当しており、ジョンソン・エンド・ジョンソン、コカ・コーラ、プロクター・アンド・ギャンブルなど、誰もが知る大手企業が含まれています。
(2) 均等加重方式(時価総額ではない)
S&P500指数は時価総額加重平均で構成されますが、S&P500配当貴族指数は均等加重方式を採用しています。つまり、時価総額の大小に関係なく、すべての構成銘柄を同じ比率で保有します。
これにより、大型株に偏らず、中型株も含めてバランスよく投資できる一方、リバランスのコストが発生する可能性もあります。
(3) 2025年時点の構成銘柄数(69社)
S&P Dow Jones Indicesによると、2025年時点で配当貴族は69社です。2025年には新たにFactSet(FDS)、Erie Indemnity(ERIE)、Eversource Energy(ES)が追加されました。
構成銘柄は年に一度見直され、連続増配記録が途切れた企業は除外されます。
3. ファンドの投資戦略・コスト構造・購入方法
次に、このファンドのコストと購入方法を確認しましょう。
(1) 購入時手数料2.2%・信託報酬0.55%
このファンドのコスト構造は以下の通りです。
- 購入時手数料(上限): 2.2%(税込)
- 信託報酬(年率): 0.55%程度
購入時手数料2.2%は、ネット証券で販売されているノーロード(購入時手数料0円)のインデックスファンドと比較すると高コストです。たとえば、100万円を投資する場合、購入時に2.2万円が差し引かれるため、実質的な投資元本は97.8万円となります。
信託報酬0.55%は配当貴族ファンドとしては平均的な水準ですが、米国ETF(ProShares S&P 500 Dividend Aristocrats ETF、ティッカー: NOBL)の経費率0.35%と比較すると若干高めです。
(2) りそな銀行・埼玉りそな銀行の窓口・アプリで購入
このファンドは、りそな銀行・埼玉りそな銀行の窓口、または専用アプリ「つみたてボックス」で購入できます。ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)では取り扱いがない場合が多いため、すでにネット証券を利用している投資家にとっては、新たに銀行口座を開設する手間が生じる可能性があります。
一方で、銀行窓口での相談を重視する投資家には、対面でアドバイスを受けられる点がメリットとなります。
(3) 為替ヘッジなし
このファンドは為替ヘッジを行わないため、ドル円の為替レート変動の影響を直接受けます。円安時には基準価額が上昇しやすく、円高時には下落しやすくなります。
4. 他の配当貴族ファンド・ETFとの比較
りそな米国株式配当貴族インデックス以外にも、S&P500配当貴族指数に連動する商品がいくつか存在します。
(1) 野村AM・三井住友信託AM・Tracersの類似商品
日本国内では、以下のような類似ファンドが販売されています。
- 野村アセットマネジメント「米国株式配当貴族」: つみたてNISA対応、購入時手数料は販売会社による
- 三井住友トラスト・アセットマネジメント「SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン」: 信託報酬0.605%程度、購入時手数料は販売会社による
- 日興アセットマネジメント「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」: マネックス証券等で取り扱い、低コストを目指す
これらの商品は、取り扱い証券会社や手数料体系が異なるため、自分が利用している金融機関に合わせて選ぶことが重要です。
(2) 米国ETF(NOBL)との違い
米国市場には、ProShares社が運用する「S&P 500 Dividend Aristocrats ETF(ティッカー: NOBL)」があります。
- 経費率: 0.35%(年率)
- 純資産総額: 約113億ドル(2025年時点)
- 配当利回り: 2%前後(変動あり)
NOBLは経費率が低く、流動性も高いため、米国株に慣れた投資家には魅力的です。ただし、米国ETFは円建てではないため、為替手数料が発生し、配当金の受け取りや確定申告の手間が増える点に注意が必要です。
(3) コスト・利便性・パフォーマンスの比較
投資信託とETFのどちらを選ぶかは、以下のポイントで比較すると良いでしょう。
- コスト: 米国ETF(NOBL)が最も低コスト、国内投資信託は購入時手数料がかかる場合がある
- 利便性: 国内投資信託は円建てで購入でき、NISA対応も多い。米国ETFは為替・税務手続きが必要
- パフォーマンス: いずれも同じ指数に連動するため、長期的には大きな差は出にくい
5. メリット・デメリット・リスク
りそな米国株式配当貴族インデックスのメリット・デメリット・リスクを整理します。
(1) メリット:下落局面での安定性・NISA対応
下落局面での安定性: 配当貴族指数は、景気後退期でも比較的堅調なパフォーマンスを示すことが多いとされています。りそなアセットマネジメントの2025年運用レポートでも「改めて確認された下落局面での強さ」「再注目!S&P500配当貴族指数の下落耐性」が強調されています。
NISA対応: 成長投資枠の対象商品であり、日本の税金を非課税にできる点は大きなメリットです。
(2) デメリット:購入時手数料の高さ・りそなグループ限定
購入時手数料の高さ: 2.2%の購入時手数料は、ノーロードのネット証券商品と比較すると高コストです。長期投資であればこの影響は薄まりますが、短期売買には向きません。
りそなグループ限定: ネット証券では取り扱いがないため、りそな銀行・埼玉りそな銀行の顧客以外には利便性が低い点がデメリットです。
(3) リスク:為替リスク・配当貴族からの除外リスク
為替リスク: 為替ヘッジを行わないため、円高時には基準価額が下落する可能性があります。長期投資であれば為替変動は平準化される傾向がありますが、短期では影響を受けやすいでしょう。
配当貴族からの除外リスク: 構成銘柄が連続増配記録を途切れさせると、指数から除外され、ポートフォリオが変動します。ただし、指数全体としては常に69社程度を維持するようリバランスされます。
6. まとめ:このファンドに向いている投資家
りそな米国株式配当貴族インデックスは、25年以上連続増配の米国企業に分散投資できる投資信託です。下落局面での安定性やNISA対応といったメリットがある一方、購入時手数料の高さやりそなグループ限定販売という点で、万人向けとは言えません。
このファンドに向いている投資家:
- りそな銀行・埼玉りそな銀行をメインバンクとしている
- 銀行窓口での相談を重視する
- NISA成長投資枠で配当貴族に投資したい
- 年4回の分配金受け取りを希望する(年4回決算型)
他の選択肢を検討すべき投資家:
- ネット証券をメインに利用している(野村AM、三井住友信託AM、Tracers等を比較)
- 購入時手数料を抑えたい(ノーロード商品や米国ETFのNOBLを検討)
- 米国ETFの取引に慣れている(NOBLは経費率0.35%で低コスト)
次のアクション:
- りそな銀行の公式サイトで最新の基準価額・運用レポートを確認
- 他の配当貴族ファンド(野村AM、SMT、Tracers)や米国ETF(NOBL)と手数料・利便性を比較
- NISA口座の開設状況を確認し、成長投資枠の活用を検討
- 自分の投資スタイル(分配金受け取り or 再投資)に合った決算型を選択
投資信託選びは、コスト・利便性・自分の金融機関との相性など、複数の要素を総合的に判断することが大切です。この記事が、りそな米国株式配当貴族インデックスを検討する際の参考になれば幸いです。
