SBI・V・S&P500インデックスファンドとは?基本情報と特徴
「SBI V S&P500インデックスファンド」で検索している方は、おそらくつみたてNISAやiDeCoでS&P500に投資する投資信託を探しているのではないでしょうか。
SBI・V・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・V・S&P500)は、SBIアセットマネジメントが運用する、S&P500指数に連動するインデックスファンドです。Vanguard S&P500 ETF(VOO)を通じて投資する仕組みで、超低コストで運用されています。
この記事では、SBI・V・S&P500の基本情報、Vanguard VOOとの関係、eMAXIS Slim S&P500との比較、購入方法を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- SBI・V・S&P500はVanguard S&P500 ETF(VOO)に間接投資する投資信託
- 実質コスト0.10%で、eMAXIS Slim S&P500の0.11%よりわずかに低い
- つみたてNISAと成長投資枠の両方で利用可能、非課税メリットを最大限活用
- 購入時手数料なし、信託財産留保額なし、100円から購入可能
- 楽天証券では取り扱いがない(2024年10月時点)、SBI証券・マネックス証券で購入可能
(1) 2019年9月26日設定、SBIアセットマネジメント運用
SBI・V・S&P500インデックスファンドは、2019年9月26日に設定された投資信託です。
基本情報:
- 運用会社: SBIアセットマネジメント株式会社
- 設定日: 2019年9月26日
- 愛称: SBI・V・S&P500
- 投資対象: 米国株式(S&P500指数)
- 為替ヘッジ: なし
設定以来、純資産総額は順調に増加しており、2024年時点で約9000億円に達しています。
(2) S&P500指数に連動するインデックスファンド
S&P500指数とは、米国の主要企業500社の株価を時価総額加重平均で算出した指数です。
S&P500指数の特徴:
- 米国株式市場の約80%をカバー
- Apple、Microsoft、Amazon、Googleなどの大型株が中心
- 長期的に年率約10%のリターンを提供してきたとされる(過去の実績)
SBI・V・S&P500は、この指数に連動することを目指し、VOOを通じて米国株式に投資しています。
(3) 為替ヘッジなし、米国株式99.4%投資
SBI・V・S&P500は、為替ヘッジを行わず、米国株式に直接投資します。
投資先の内訳:
- 米国株式: 99.4%
- その他(現金等): 0.6%
為替ヘッジを行わないため、ドル円レートの変動が投資リターンに影響します。円安局面では米ドル建て資産の価値が上昇し、円高局面では下落します。
Vanguard S&P500 ETF(VOO)経由の投資の仕組み
SBI・V・S&P500の最大の特徴は、Vanguard S&P500 ETF(VOO)を通じて投資する仕組みです。
(1) SBI・V・S&P500マザーファンドを通じてVOOに投資
SBI・V・S&P500は、「ファミリーファンド方式」を採用しています。
ファミリーファンド方式の仕組み:
- 投資家がSBI・V・S&P500(ベビーファンド)を購入
- ベビーファンドがSBI・V・S&P500マザーファンドに投資
- マザーファンドがVanguard S&P500 ETF(VOO)を購入
この仕組みにより、間接的にVOOに投資することができます。
(2) VOOの経費率0.03%(カテゴリー平均より93%低い)
Vanguard S&P500 ETF(VOO)は、世界最大級のETFの一つです。
VOOの基本情報:
- ティッカーシンボル: VOO
- 運用会社: Vanguard Group(バンガード)
- 経費率: 0.03%(カテゴリー平均より93%低い)
- 総資産: 約7990億ドル(執筆時点)
- 2025年10月のリターン: 2.3%
VOOの超低コスト(経費率0.03%)が、SBI・V・S&P500の実質コスト0.10%を支えています。
(3) 間接投資(ETF経由)と直接投資の違い
SBI・V・S&P500は「間接投資」、eMAXIS Slim S&P500は「直接投資」と呼ばれます。
間接投資(SBI・V・S&P500):
- VOOを通じてS&P500に投資
- VOOの経費率0.03%が追加コストとして発生
- VOOの運用実績をそのまま享受
直接投資(eMAXIS Slim S&P500):
- S&P500構成銘柄を直接購入
- ETFの経費率が発生しない
- 運用会社が独自に銘柄を管理
どちらの方式が優れているかは議論がありますが、実質コストや3年リターンで比較すると、ほぼ同等の成績となっています。
eMAXIS Slim S&P500・楽天S&P500との比較
SBI・V・S&P500と、他の主要S&P500インデックスファンドを比較します。
(1) 信託報酬・実質コストの比較(SBI V 0.10%、eMAXIS Slim 0.11%)
主要なS&P500インデックスファンドの信託報酬と実質コストは以下の通りです:
信託報酬(年率):
- SBI・V・S&P500: 0.0938%(税込)
- eMAXIS Slim S&P500: 0.09372%(税込)
- 楽天・S&P500インデックスファンド: 0.077%(税込)
実質コスト(年率):
- SBI・V・S&P500: 0.10%
- eMAXIS Slim S&P500: 0.11%
- 楽天・S&P500: データ不足(新しいファンドのため)
実質コストでは、SBI・V・S&P500がわずかに低いとされています。
(2) 純資産総額の比較(eMAXIS Slim 2.1兆円、SBI V 9000億円)
純資産総額は、ファンドの規模を示す指標です。
純資産総額(2024年時点):
- eMAXIS Slim S&P500: 約2.1兆円
- SBI・V・S&P500: 約9000億円
- 楽天・S&P500: データ不足(新しいファンドのため)
eMAXIS Slim S&P500は、つみたてNISAで最も人気のあるファンドの一つであり、純資産総額もSBI・V・S&P500の2倍以上です。
純資産総額が大きいほど、運用の安定性が高く、信託報酬の引き下げ余地もあると言われています。
(3) 3年リターンの比較(eMAXIS Slimが年率0.12%上回る)
過去3年間のリターンは以下の通りです:
3年リターン(年率):
- eMAXIS Slim S&P500: 約30.0%
- SBI・V・S&P500: 約29.88%
- 差: 約0.12%
eMAXIS Slim S&P500がわずかに上回っていますが、この差は運用方式(直接投資vs間接投資)や、銘柄の入れ替えタイミングの違いによるものと考えられます。
長期的には、両ファンドともS&P500指数にほぼ連動するため、リターンの差はほとんどなくなると予想されます。
メリットとデメリット:投資信託とETFの違い
SBI・V・S&P500のメリットとデメリットを確認しましょう。
(1) メリット:購入時手数料なし、信託財産留保額なし、つみたてNISA対応
SBI・V・S&P500の主なメリットは以下の通りです:
1. 購入時手数料なし:
- ノーロードファンド(購入時の手数料が無料)
- 何度でも追加購入可能
2. 信託財産留保額なし:
- 解約時の手数料が無料
- いつでも売却可能
3. つみたてNISAと成長投資枠の両方で利用可能:
- 非課税メリットを最大限活用
- 年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)まで非課税
4. 100円から購入可能:
- 少額から投資を始められる
- 積立設定で自動的に購入
5. VOOの超低コスト(経費率0.03%)を享受:
- VOOはカテゴリー平均より93%低いコスト
- 長期投資でコスト差が大きな影響
(2) デメリット:VOOの分配金は自動再投資されない、楽天証券では取り扱いなし
SBI・V・S&P500には以下のデメリットもあります:
1. VOOの分配金は自動再投資されない:
- VOO自体は分配金を出す(年4回)
- マザーファンドで受け取った分配金は再投資されるが、NISA口座以外では課税される
- NISA口座での運用が推奨される
2. 楽天証券では取り扱いがない(2024年10月時点):
- SBI証券・マネックス証券で購入可能
- 楽天証券ユーザーは、楽天・S&P500インデックスファンドやeMAXIS Slim S&P500を検討
3. eMAXIS Slimより純資産総額が小さい:
- 純資産総額9000億円は大きいが、eMAXIS Slimの2.1兆円と比べると小規模
- 純資産総額が小さいと、信託報酬の引き下げ余地が限られる可能性
(3) 投資信託(1日1回基準価額)とETF(リアルタイム取引)の違い
投資信託とETFの違いを理解することも重要です。
投資信託:
- 1日1回の基準価額で取引
- 100円から購入可能
- 積立設定が簡単
- リアルタイムの価格変動を気にしなくて済む
ETF:
- リアルタイムで価格が変動
- 証券取引所で株式のように取引
- 信託報酬が相対的に低い傾向
- 自動積立が難しい(証券会社により異なる)
SBI・V・S&P500は投資信託ですが、VOOというETFを通じて投資するため、「投資信託の利便性」と「ETFの低コスト」の両方を享受できます。
購入方法とつみたてNISA・成長投資枠での活用
SBI・V・S&P500の購入方法を確認しましょう。
(1) SBI証券・マネックス証券での購入方法(楽天証券は取り扱いなし)
以下の証券会社でSBI・V・S&P500を購入できます:
SBI証券:
- ファンド名で検索: 「SBI V S&P500」
- つみたてNISA・成長投資枠・特定口座・一般口座で購入可能
- 積立設定: 毎日・毎週・毎月から選択
マネックス証券:
- ファンド名で検索: 「SBI V S&P500」
- つみたてNISA・成長投資枠で購入可能
- 積立設定可能
楽天証券:
- 取り扱いなし(2024年10月時点)
- 楽天証券ユーザーは、楽天・S&P500インデックスファンドやeMAXIS Slim S&P500を検討
(2) つみたてNISAと成長投資枠の両方で利用可能
SBI・V・S&P500は、新NISA(2024年開始)の両枠で利用可能です。
新NISAの枠:
- つみたて投資枠: 年間120万円まで(累計1800万円まで)
- 成長投資枠: 年間240万円まで(累計1200万円まで)
SBI・V・S&P500は、つみたてNISA対象商品として金融庁に認定されており、長期・積立・分散投資に適した商品です。
NISA口座のメリット:
- 売却益・分配金が非課税
- 長期保有でも税金がかからない
- VOOの分配金の再投資も非課税
(3) 100円から購入可能、積立設定の方法
SBI・V・S&P500は、100円から購入可能です。
積立設定の手順(SBI証券の例):
- SBI証券にログイン
- 「投資信託」→「ファンド検索」→「SBI V S&P500」で検索
- 「積立買付」を選択
- 積立金額・頻度(毎日・毎週・毎月)を設定
- NISA枠か特定口座かを選択
- 確認して設定完了
積立設定をすれば、自動的に毎月(または毎週・毎日)購入されるため、手間がかかりません。
まとめ:SBI・V・S&P500への投資を検討する前に
SBI・V・S&P500インデックスファンドは、Vanguard S&P500 ETF(VOO)を通じて米国株式に投資する、超低コストのインデックスファンドです。
投資判断のポイント:
- 実質コスト0.10%で、eMAXIS Slim S&P500の0.11%よりわずかに低い
- つみたてNISAと成長投資枠の両方で利用可能、非課税メリットを最大限活用
- 購入時手数料なし、信託財産留保額なし、100円から購入可能
- 楽天証券では取り扱いがない(2024年10月時点)、SBI証券・マネックス証券で購入可能
- 3年リターンではeMAXIS Slimが年率0.12%上回るが、長期的にはほぼ同等
eMAXIS Slim S&P500との使い分け:
- SBI・V・S&P500向き: SBI証券・マネックス証券ユーザー、実質コストを重視したい
- eMAXIS Slim S&P500向き: 楽天証券ユーザー、純資産総額の大きいファンドを好む
次のアクション:
- 証券会社の口座を開設(SBI証券・マネックス証券)
- つみたてNISA枠で積立設定を行う
- SBIアセットマネジメント公式サイト(https://www.sbiam.co.jp/)で最新の運用報告書を確認
- VOOの最新パフォーマンスをVanguard公式サイトでチェック
- リスク許容度を確認し、余裕資金の範囲で投資を検討
SBI・V・S&P500は、VOOの超低コスト(経費率0.03%)を間接的に享受できる投資信託として、長期・積立・分散投資に適した商品です。ただし、S&P500指数に連動するため、米国株式市場の変動リスクや為替リスクを受けることを認識する必要があります。投資判断は必ず自己責任で行ってください。
※この記事の情報は執筆時点(2025年11月)のものです。信託報酬や純資産総額、取扱金融機関は変更される可能性があるため、最新情報は運用会社や証券会社の公式サイトでご確認ください。
