ソフトバンクグループを米国市場で買いたいけれど、9984 ADRって何...?
ソフトバンクグループ(証券コード9984)に投資したいと考える投資家の中には、「ADR」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。「9984 ADR」とは、米国市場で取引されるソフトバンクグループの米国預託証券(American Depositary Receipt)のことですが、東証上場株とどう違うのか、どちらを買うべきか、分かりにくいのが実情です。
この記事では、9984 ADRの基本情報、ADRの仕組み、東証上場株との違い、メリット・デメリット、購入方法を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 9984 ADRはソフトバンクグループの米国預託証券で、米国OTC Marketsで取引される
- ADRには非スポンサード型(SFTBY)とスポンサード型(SFTBF)があり、議決権の有無が異なる
- 東証上場株との違いは、取引市場・取引時間・通貨・議決権の有無
- 米国株取引口座があれば購入可能だが、証券会社により取扱いが異なる
1. 9984 ADRとは:ソフトバンクグループの米国預託証券
(1) ソフトバンクグループ(9984)の概要
ソフトバンクグループ(証券コード9984)は、通信事業やAI・半導体関連投資(Arm Holdings等)を手がける日本企業です。東京証券取引所プライム市場に上場しており、日本人投資家にとっては身近な銘柄の一つです。
(2) ADR(米国預託証券)とは何か
ADR(American Depositary Receipt)は、米国市場で取引される外国企業の株式です。外国企業の株式を米国の預託銀行が保管し、その株式を裏付けとして発行される証券で、米ドル建てで取引されます。
(3) SFTBY(非スポンサード型)とSFTBF(スポンサード型)
ソフトバンクグループのADRには、SFTBYとSFTBFの2種類があります。SFTBYは非スポンサード型で、預託銀行が管理し、議決権はありません。SFTBFはスポンサード型で、企業が管理しますが、全ての証券会社で取り扱っているわけではありません。
(出典: Benzinga「How to Buy SoftBank (9984) Stock」https://www.benzinga.com/money/how-to-buy-softbank-stock)
2. ADRの仕組み:米国市場で日本株を取引する方法
(1) ADRの発行から取引までの流れ
ADRは、米国の預託銀行が外国企業の株式を保管し、その株式を裏付けとして発行します。投資家はこのADRを米国市場で売買することで、外国企業の株式に投資できます。
(2) 預託銀行の役割
預託銀行は、外国企業の株式を保管し、配当金の支払いやADRの発行・償還を管理します。非スポンサード型の場合、銀行が独自にADRを発行し、企業の関与は限定的です。
(3) 価格連動の仕組み(為替レートと需給)
ADRの価格は、基本的には東証上場株の価格と為替レートに連動しますが、米国市場の需給により価格差が生じることがあります。この価格差から、東京市場開始前の動向を予測する投資家もいます。
3. 東証上場株(9984)とADR(SFTBY)の違い
(1) 取引市場と取引時間の違い
東証上場株(9984)は東京証券取引所で日本時間9:00〜15:00に取引されます。一方、ADR(SFTBY)は米国OTC Marketsで米国時間に取引されるため、日本時間の夜間でも売買可能です。
(2) 議決権の有無
東証上場株は議決権を持ち、株主総会で投票できます。しかし、非スポンサード型ADR(SFTBY)は議決権がないため、企業経営への影響力はありません。
(3) 価格差が生じる理由
為替レートの変動や、米国市場と東京市場の需給バランスの違いにより、価格差が生じることがあります。この価格差は裁定取引により縮小する傾向がありますが、常に一致するわけではありません。
4. ADR投資のメリットとデメリット
(1) メリット:米国市場での取引、夜間の値動き予測
米国株取引口座があれば、米ドルで手軽に購入できます。また、東京市場が閉場している夜間でも取引可能で、翌日の東京市場の値動きを予測する材料にもなります。
(2) デメリット:為替リスク、手数料、議決権なし
米ドル建てのため、円高局面では為替差損が発生します。また、為替手数料や米国株取引手数料がかかります。非スポンサード型ADRは議決権がないため、株主としての権利は制限されます。
(3) どちらを選ぶべきか
米国株取引がメインで、米ドルで資産を保有したい場合はADRが適しています。日本株メインで、議決権を持ちたい場合は東証上場株を選ぶべきでしょう。
5. ADRの購入方法:証券会社の選び方
(1) 米国株取引口座の開設
ADRを購入するには、米国株取引を扱う証券会社で口座を開設する必要があります。SBI証券、楽天証券、マネックス証券などが代表的です。
(2) ADRを取り扱う証券会社の選び方
すべての証券会社がADRを取り扱っているわけではありません。特にSFTBFなどスポンサード型ADRは取扱いが限られるため、事前に証券会社の取扱銘柄を確認しましょう。
(3) 手数料の比較
米国株取引手数料や為替手数料は証券会社により異なります。頻繁に売買する場合は、手数料の低い証券会社を選ぶことでコスト削減が可能です。
(出典: 株基礎「ADR(米国預託証券)とは?」https://kabukiso.com/column/idiom/adr.html)
6. まとめ:9984 ADR投資の注意点
9984 ADRは、ソフトバンクグループを米国市場で取引できる米国預託証券です。東証上場株とは取引市場・通貨・議決権の有無が異なり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
次のアクション:
- 米国株取引口座を開設し、証券会社でSFTBYの取扱いを確認する
- 為替リスクと手数料を考慮し、東証上場株とADRのどちらが自分に合うか検討する
- ソフトバンクグループの最新IR情報や財務データを確認する
- 投資判断は自己責任で行い、不明点は証券会社に問い合わせる
米国株投資に興味がある方は、ADRの仕組みを理解した上で、自分の投資スタイルに合った選択をしましょう。
