SPY(SPDR S&P 500 ETF)とは?仕組み・手数料・投資方法を徹底解説

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/13

S&P500に投資したいけれど、SPYというETFがよく分からない...

S&P500に連動する投資をしたいと考えている日本の投資家の多くが、「SPY」というETFを耳にしたことがあるでしょう。しかし、「ETFとは何か?」「投資信託とどう違うのか?」「手数料はどのくらいかかるのか?」といった疑問は尽きません。

この記事では、SPY(SPDR S&P 500 ETF)の仕組み、特徴、購入方法、そして投資戦略を解説します。

この記事のポイント:

  • SPYはS&P 500指数に連動する世界最大級のETF(ティッカー: SPY)
  • 運用資産$600億超、504銘柄(NVIDIA、Apple、Microsoft等)に分散投資
  • 経費率0.095%と低コスト、年4回(3月・6月・9月・12月)の分配金
  • 日本の証券会社で約2万円から購入可能、NISA成長投資枠にも対応
  • ドルコスト平均法による長期投資が推奨される、為替リスクと二重課税に注意

1. SPY(SPDR S&P 500 ETF)とは:世界最大級のETFの概要

SPY(SPDR S&P 500 ETF、ティッカー: SPY)は、S&P 500指数に連動する世界最大級のETF(上場投資信託)です。State Street社が運用しており、1993年に設定された米国初のETFとしても知られています。

ETFは「Exchange-Traded Fund(上場投資信託)」の略で、取引所に上場され、株式と同様に売買できる投資信託です。SPYは米国の主要500社(NVIDIA、Apple、Microsoft等)の株式に分散投資できるため、個別株投資のリスクを避けたい投資家に人気があります。

SPYは設定以来、年平均10%以上のリターンを実現しており、長期投資に適した銘柄とされています。2024年は約27%上昇し、2年連続25%以上の上昇を記録しました。

2. SPYの仕組みと特徴:S&P500連動・504銘柄保有・経費率0.095%

SPYの仕組みと主な特徴を確認しましょう。

(1) 運用資産$600億超・504銘柄保有(NVIDIA・Apple・Microsoft等)

SPYは504銘柄に分散投資しており、トップ保有銘柄は以下の通りです(2025年時点):

トップ保有銘柄:

  • NVIDIA: 8.06%
  • Apple: 6.99%
  • Microsoft: 6.47%

運用資産は$600億超で、世界最大級のETFの一つです。個別株投資と比べて複数銘柄に分散できるため、リスク軽減に有効とされています。

(2) 経費率0.095%:年間運用コスト

経費率は0.095%で、年間運用コストが比較的低い水準です。経費率は保有資産から自動的に差し引かれるため、投資家が別途支払う必要はありません。

ただし、競合のVOO(バンガードS&P 500 ETF、経費率0.03%)やIVV(iシェアーズS&P 500 ETF、経費率0.03%)と比べると、SPYの経費率はやや高めです。長期投資では経費率の差が複利効果に影響するため、この点を考慮することが推奨されます。

(3) 四半期分配:年4回(3月・6月・9月・12月)の配当

SPYは四半期ごと(年4回:3月・6月・9月・12月)に分配金を支払います。分配金は保有株式からの配当金を投資家に分配するもので、配当利回りは約1-2%程度です(株価によって変動)。

SPYはUIT(Unit Investment Trust)構造を採用しており、配当を自動再投資しません。配当再投資を希望する場合は、手動で再投資するか、配当再投資が可能なVOOを検討することが推奨されます。

3. ETFと投資信託の違い:取引方法・リアルタイム価格・経費率

ETFと投資信託の違いを確認しましょう。

(1) 取引方法の違い:ETFは市場で株式と同様に売買、投資信託は基準価額で売買

ETF(SPY):

  • 取引所で株式と同様にリアルタイムで売買できる
  • 市場価格は需給によって変動する
  • 取引時間中いつでも売買可能

投資信託:

  • 証券会社を通じて基準価額で売買する
  • 基準価額は1日1回算出される
  • 取引タイミングは1日1回(申込締切時刻まで)

ETFはリアルタイムで価格が変動するため、短期売買にも向いていますが、長期投資が基本とされています。

(2) UIT構造:SPYは固定ポートフォリオ、配当を再投資しない

SPYはUIT(Unit Investment Trust)構造を採用しています。UIT構造の特徴は以下の通りです:

UIT構造の特徴:

  • 固定ポートフォリオを持つ(S&P 500指数の構成に従う)
  • 配当を自動再投資しない(投資家に分配)
  • 株式の貸出を行わない

このため、配当を自動再投資したい投資家には、通常のETF構造を持つVOOやIVVが適している可能性があります。

(3) SPY vs VOO比較:経費率0.095% vs 0.03%、長期的にはVOOがわずかに有利な可能性

SPYとVOO(バンガードS&P 500 ETF)の比較は以下の通りです:

SPY vs VOO:

項目 SPY VOO
経費率 0.095% 0.03%
構造 UIT ETF
配当再投資 手動 自動可
設定年 1993年 2010年
流動性 極めて高い 高い

経費率の差により、長期的にはVOOがわずかに有利な可能性があります。ただし、SPYは歴史が長く流動性が高いため、短期売買やオプション取引を行う投資家には適している場合があります。

4. SPYの購入方法:日本の証券会社での買い方とNISA活用

日本からSPYを購入する方法を確認しましょう。

(1) SBI証券・楽天証券での購入:約2万円から、定期買付サービスあり

SPYは、米国株取引が可能な日本の証券会社で購入できます。主要なネット証券は以下の通りです:

主要ネット証券:

  • SBI証券: 取引手数料 約定代金の0.495%(上限22ドル)
  • 楽天証券: 取引手数料 約定代金の0.495%(上限22ドル)
  • マネックス証券: 取引手数料 約定代金の0.495%(上限22ドル)

SPYは1株約$683(2025年11月時点)、日本円で約2万円から購入可能です。SBI証券や楽天証券では定期買付サービスを利用すれば、自動積立も可能です。

(2) NISA成長投資枠の活用:年間240万円まで非課税

NISA成長投資枠を利用してSPYを購入すると、配当と譲渡益が日本では非課税になります。

NISA成長投資枠の主なメリット:

  • 年間240万円まで非課税で投資可能
  • 配当・譲渡益が日本で非課税
  • 確定申告が不要

ただし、米国での10%源泉徴収は避けられません。NISA口座での投資は、長期保有を前提とする場合に特に有利とされています。

(3) 為替手数料・取引手数料の確認

SPYを購入する際の主な注意点は以下の通りです:

税金:

  • 配当金: 米国で10%源泉徴収、日本で20.315%課税(特定口座の場合)
  • NISA口座: 配当金・譲渡益が日本では非課税(米国10%源泉徴収は避けられない)

為替手数料:

  • 円を米ドルに換える際にかかる手数料(証券会社により異なる)
  • 一般的に片道25銭程度

外国税額控除:

  • 米国で10%課税された配当について、日本の所得税から一定額を控除できる制度
  • 詳細は税理士や国税庁のウェブサイトをご確認ください

5. 投資戦略とリスク:ドルコスト平均法・為替リスク・二重課税

SPYへの投資戦略とリスクを確認しましょう。

(1) ドルコスト平均法:定期的な一定額投資で平均購入価格を平準化

ドルコスト平均法は、市場状況に関わらず定期的に一定額を投資する手法です。価格が高いときは少なく、価格が安いときは多く購入できるため、平均購入価格を平準化する効果があります。

ドルコスト平均法のメリット:

  • 市場のボラティリティ(価格変動)の影響を軽減
  • タイミングを気にせず投資できる
  • 長期的に平均購入価格を平準化

SBI証券や楽天証券の定期買付サービスを利用すれば、自動的にドルコスト平均法を実践できます。

(2) 為替リスク:円建てで見た場合、為替レートの変動影響

SPYはドル建てで取引されるため、円建てで見た場合、為替レートの変動により投資結果が大きく変わる可能性があります。

為替リスクの例:

  • 1ドル150円で購入したSPYが1ドル130円になると、SPY価格が変わらなくても円換算で約13%の評価損が発生
  • 逆に円安ドル高時には為替差益が得られる

為替リスクを理解した上で、長期的な視点で投資することが重要です。

(3) 二重課税:米国10%+日本約20%、外国税額控除で軽減

配当金は米国で10%源泉徴収され、日本の特定口座ではさらに20.315%が課税されます。

二重課税の軽減方法:

  • NISA口座: 日本での課税は非課税(米国10%源泉徴収は避けられない)
  • 外国税額控除: 米国で課税された税金を日本の所得税から一定額控除できる

外国税額控除の詳細は、税理士や国税庁のウェブサイトでご確認ください。

6. まとめ:長期投資としてのSPY

SPYは、S&P 500指数に連動する世界最大級のETFで、長期分散投資に適した銘柄です。

投資検討のポイント:

  • 運用資産$600億超、504銘柄に分散投資
  • 経費率0.095%と比較的低コスト(VOOは0.03%でより低コスト)
  • 日本の証券会社で約2万円から購入可能、定期買付サービスあり
  • NISA成長投資枠で配当・譲渡益が日本では非課税
  • ドルコスト平均法による長期投資が推奨される
  • 為替リスクと二重課税に注意が必要

次のアクション:

  • SBI証券・楽天証券の口座を開設する
  • NISA成長投資枠の活用を検討する
  • 定期買付サービスでドルコスト平均法を実践する
  • 為替リスクと税制を理解した上で投資判断を行う

SPYへの投資を検討する際は、長期的な視点を持ち、ドルコスト平均法を活用することが推奨されます。投資判断は自己責任で行い、疑問点があれば専門家に相談しましょう。

※本記事の情報は執筆時点(2025年11月)のものです。最新の経費率・手数料はState Street公式サイトや証券会社の情報でご確認ください。

よくある質問

Q1SPYとVOOの違いは何ですか?

A1SPYは経費率0.095%のUIT構造で配当を再投資せず、VOOは経費率0.03%のETF構造で配当再投資が可能です。長期的にはVOOがわずかに有利な可能性があります。SPYは1993年設定の歴史が長く、流動性が高い点が特徴です。

Q2NISA口座でSPYは購入できますか?

A2購入可能です。NISA成長投資枠を利用して年間240万円まで非課税で投資できます。配当・譲渡益が日本で非課税になりますが、米国での10%源泉徴収は避けられません。

Q3SPYはいくらから購入できますか?

A31株約$683(2025年11月時点)、日本円で約2万円から購入可能です。SBI証券や楽天証券で定期買付サービスを利用すれば、自動積立も可能です。

Q4SPYの配当(分配金)はいつ受け取れますか?

A4四半期ごと(年4回:3月・6月・9月・12月)に分配金が支払われます。配当利回りは約1-2%程度(株価によって変動)です。

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Single Stock編集部

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