米国株の高配当銘柄とは?日本人投資家向けの選び方と注意点を解説

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/13

米国株の高配当銘柄とは?配当投資の基本を知ろう

米国株投資で安定的な配当収入を得たいと考えている日本人投資家が増えています。「どの銘柄を選べば良いのか」「税金や為替の影響はどうなるのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、米国株の高配当銘柄の特徴、選び方、日本人投資家が注意すべき税金・為替リスク、証券会社の選び方まで、実務的な情報を分かりやすく解説します。

この記事のポイント:

  • 米国株は年4回の配当支払いが一般的で、日本株より頻繁にキャッシュフローを得られる
  • 配当利回りだけでなく、配当性向や配当の持続可能性も確認する必要がある
  • 米国で10%、日本で20.315%の課税があり、外国税額控除で二重課税を軽減できる
  • 証券会社選びでは手数料、取扱銘柄、NISA対応を比較する
  • 為替リスクを考慮し、長期的な視点で投資する

(1) 配当利回りの仕組み

配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標です。計算式は以下の通りです。

配当利回り(%)= 年間配当金 ÷ 株価 × 100

例えば、株価100ドルで年間配当金5ドルの銘柄なら、配当利回りは5%となります。

2025年現在、米国10年債の利回りが4.2%程度であることを考えると、配当利回り4.5%以上が魅力的な水準とされています。

(2) なぜ米国株が注目されるのか

米国企業は株主還元を重視する文化があり、配当金の支払いに積極的です。日本企業と比較して配当利回りが高い傾向にあり、50年以上連続で増配している企業も複数存在します。

また、米国市場はグローバル企業が多く、世界経済の成長を取り込みやすい点も魅力です。

高配当株の特徴と日本株との違い

米国株の高配当銘柄には、日本株とは異なる特徴があります。

(1) 年4回の配当支払い

米国企業は四半期ごと(年4回)配当を支払うのが一般的です。日本企業は年1-2回が主流なので、米国株の方がより頻繁にキャッシュフローを得られます。

これにより、配当再投資のタイミングも増え、複利効果を活かしやすくなります。

(2) 連続増配文化(配当貴族とは)

米国には「配当貴族(Dividend Aristocrats)」と呼ばれる銘柄群があります。これはS&P500銘柄のうち、25年以上連続で増配している企業を指します。

2024年にはAlphabet、Meta、Salesforceといったテック大手が初めて配当を開始するなど、配当還元を重視する企業が増えています。

(3) 株主還元重視の経営方針

米国企業は経営陣が株主価値の最大化を重視する傾向が強く、配当や自社株買いを通じて株主に利益を還元します。

この文化が、長期的に安定した配当収入を得られる背景となっています。

高配当銘柄の選び方と注目すべき指標

配当利回りが高ければ良いというわけではありません。配当の持続可能性を見極めることが重要です。

(1) 配当利回りだけでなく配当性向も確認

配当性向とは、企業の純利益のうちどれだけを配当金として支払っているかを示す指標です。

配当性向(%)= 配当金 ÷ 純利益 × 100

一般的に、配当性向50-70%が健全な水準とされています。80%以上になると、業績悪化時に減配リスクが高まります。

(2) 配当の持続可能性を見極める

配当利回りが異常に高い(8%以上)場合、株価下落による一時的な高利回りの可能性があります。企業の財務状況やキャッシュフローを確認し、配当を支払い続けられるかを見極めましょう。

配当貴族銘柄のように、長期的に配当を維持・増加させている実績がある企業は、配当の持続可能性が高いと言われています。

(3) 経済的モート(競争優位性)を持つ企業を選ぶ

経済的モートとは、ブランド力、規模の経済、特許など、競合他社に対する競争優位性を指します。

経済的モートを持つ企業は、景気変動に強く、長期的に安定した配当を支払いやすい傾向があります。

(4) 配当再投資戦略で複利効果を狙う

受け取った配当金で同じ銘柄を買い増す「配当再投資戦略」を活用すると、複利効果により長期的なリターンが大きくなります。

S&P500で30年間配当再投資した場合、非再投資と比べて約1.8倍のリターンが得られたというデータもあります。

日本人投資家が知っておくべき税金と為替リスク

米国株投資では、配当金にかかる税金と為替リスクを理解しておくことが重要です。

(1) 配当金にかかる二重課税の仕組み

米国株の配当金は、米国で10%の源泉徴収が行われた後、日本でさらに20.315%が課税されます。そのため、実質的に約30%の税金がかかります。

この二重課税の負担を軽減するため、外国税額控除の制度があります。

(2) 外国税額控除で税負担を軽減

外国税額控除とは、外国で課税された税金を日本の所得税から差し引ける制度です。

ただし、控除額には上限があり、計算方法が複雑なため、詳細は国税庁のウェブサイトを確認するか、税理士に相談することをおすすめします。

参考: 国税庁「外国税額控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm

(3) 為替変動が配当収入に与える影響

米国株の配当はドル建てで支払われるため、円換算時の為替レートにより受取額が変動します。

円高になると配当の円換算額は減少し、円安になると増加します。長期的な視点で、為替リスクを分散させることが重要です。

米国高配当株を買うための証券会社選び

日本から米国株に投資する場合、証券会社選びが重要です。

(1) 主要ネット証券の比較(手数料・取扱銘柄)

主要なネット証券会社として、SBI証券、楽天証券、マネックス証券があります。以下は2025年1月時点の情報です。

SBI証券:

  • 取引手数料: 約定代金の0.495%(上限22ドル)
  • 為替手数料: 片道25銭
  • 取扱銘柄: 5,000銘柄以上

楽天証券:

  • 取引手数料: 約定代金の0.495%(上限22ドル)
  • 為替手数料: 片道25銭
  • 特徴: 楽天ポイントが貯まる・使える

マネックス証券:

  • 取引手数料: 約定代金の0.495%(上限22ドル)
  • 為替手数料: 片道25銭
  • 特徴: 情報量が充実、分析ツールが豊富

手数料はほぼ横並びですが、UI/UX、情報提供、ポイント還元などで違いがあります。詳細は各証券会社の公式サイトでご確認ください。

(2) NISA口座での米国株投資

主要証券会社はすべてNISA口座での米国株取引に対応しています。NISA口座では、配当金と売却益が非課税となります。

ただし、米国での10%源泉徴収は非課税対象外なので、その点は注意が必要です。

まとめ:安定的な配当収入を得るためのポイント

米国株の高配当投資では、配当利回りだけでなく、配当の持続可能性、税金、為替リスクを総合的に考慮することが重要です。

重要なポイント:

  • 配当貴族のような長期的に増配している銘柄を選ぶ
  • 配当性向やキャッシュフローを確認し、持続可能性を見極める
  • 外国税額控除を活用し、税負担を軽減する
  • 為替リスクを理解し、長期的な視点で投資する
  • 証券会社は手数料、NISA対応、使いやすさで選ぶ

次のアクション:

  • 各証券会社の公式サイトで詳細を確認する
  • 少額から始めて操作性を試す
  • NISA口座の開設を検討する
  • 配当貴族リストなどで銘柄をリサーチする

安定的な配当収入を得るために、まずは自分に合った証券会社で口座開設から始めてみましょう。

※投資判断は自己責任で行ってください。本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄を推奨するものではありません。

よくある質問

Q1米国株の配当は年何回もらえる?

A1米国企業は四半期ごと(年4回)配当を支払うのが一般的です。日本企業は年1-2回が主流なので、米国株の方がより頻繁にキャッシュフローを得られます。

Q2米国株の配当金にかかる税金は?

A2米国で10%の源泉徴収が行われた後、日本でさらに20.315%が課税されます。実質的に約30%の税金がかかりますが、外国税額控除を活用することで二重課税の負担を一部軽減できます。

Q3NISA口座で米国高配当株を買える?

A3はい、主要証券会社はすべてNISA口座での米国株取引に対応しています。配当金と売却益が非課税になりますが、米国での10%源泉徴収は非課税対象外です。

Q4高配当利回りの銘柄は必ず良い投資先?

A4必ずしもそうではありません。配当利回りが異常に高い(8%以上)場合、株価下落による一時的な高利回りの可能性があります。配当性向やキャッシュフローを確認し、配当の持続可能性を見極めることが重要です。

S

Single Stock編集部

Single Stockは、米国株式投資に関する情報を日本語で提供するメディアです。投資初心者から経験者まで、銘柄分析・市場動向・投資戦略など、株式投資に役立つ情報を分かりやすく解説しています。