米国株投資信託の約定日を理解する重要性
米国株に投資する投資信託を購入する際、「約定日」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。約定日は、投資信託の購入価格が決まる重要なタイミングであり、資金繰りにも影響する重要な概念です。
しかし、米国株投資信託の約定日は、国内株式投資信託とは異なる仕組みがあり、時差や海外市場の休場日が関係するため複雑です。「いつの価格で買えるのか」「いつお金が引き落とされるのか」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
この記事では、米国株投資信託の約定日の仕組みと、2024年のT+1移行が日本の投資家に与える影響、注文タイミングと注意点を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 投資信託の約定日は取引が成立した日で、この日の基準価額が購入価格となる
- 海外資産に投資するファンドは申込日の翌営業日が約定日となることが一般的
- 2024年5月28日から米国現地の受渡日がT+1に短縮されたが、日本の証券会社の国内受渡日は変更なし(T+2)
- 多くの証券会社で15時までの注文が当日扱い、それ以降は翌営業日扱い
1. 米国株投資信託の約定日を理解する重要性
(1) 約定日で購入価格が決まる
投資信託の約定日は、取引が成立した日のことです。重要なのは、約定日の基準価額が購入価格として適用されるという点です。
株式やETFと異なり、投資信託は申込時に価格が確定していません。申込後、約定日の基準価額が確定してから購入価格が決まるため、市場が大きく変動した場合、想定外の価格で約定する可能性があります。
(2) 資金繰りに影響する
約定日と受渡日(実際に資金と証券の受け渡しが完了する日)を混同すると、資金繰りに影響が出る可能性があります。受渡日は約定日から数営業日後になるため、両者の違いを理解することが重要です。
2. 約定日の基礎知識(約定日・受渡日・基準価額)
(1) 約定日とは何か
約定日(Trade Date)は、取引が成立した日のことです。投資信託の場合、約定日の基準価額が購入価格として適用されます。
(2) 受渡日との違い
受渡日(Settlement Date)は、実際に資金と証券の受け渡しが完了する日です。約定日と受渡日の間には数営業日のタイムラグがあります。
日本の証券会社では、米国株の国内受渡日は**国内約定日から3営業日目(T+2)**となっています。
(出典: マネックス証券: 米国株取引の約定日・受渡日について)
(3) 基準価額の決定タイミング
基準価額(Net Asset Value, NAV)は、投資信託の1口(または1万口)あたりの価値です。毎営業日算出され、約定日の基準価額が購入価格となります。
米国株投資信託の場合、米国市場が閉場した後(米国時間16:00、日本時間では翌朝)に基準価額が算出されます。
(出典: Fidelity: How Mutual Funds, ETFs, and Stocks Trade)
3. 米国株投資信託の約定日の仕組み
(1) 国内資産と海外資産の違い(当日 vs 翌営業日)
投資信託の約定日は、投資対象の資産によって異なります:
- 国内資産に投資するファンド: 申込日当日が約定日となることが一般的
- 海外資産に投資するファンド: 申込日の翌営業日が約定日となることが一般的
米国株に投資する投資信託は、海外資産に該当するため、申込日の翌営業日が約定日となるのが一般的です。
(出典: 楽天証券: 基準価額が決定するタイミングは?)
(2) 時差と海外市場の休場日の影響
米国市場と日本市場には時差があり、米国市場は日本時間の深夜から早朝にかけて開場しています。また、米国市場の休場日(祝日、年末年始など)と日本の営業日が異なる場合、約定日が遅れることがあります。
例えば、米国の感謝祭(11月第4木曜日)やクリスマス(12月25日)は米国市場が休場ですが、日本の証券会社は営業している場合があります。この場合、米国市場が再開するまで約定日が遅れます。
(3) 国内営業日ベースでの計算方法
日本の証券会社での米国株取引における約定日・受渡日は、全て国内営業日ベースで計算されます。つまり、日本の証券会社の営業日を基準にカウントします。
例えば、月曜日に注文を出した場合(翌営業日が約定日の場合):
- 申込日: 月曜日
- 約定日: 火曜日(翌営業日)
- 受渡日: 木曜日(国内約定日から3営業日目、T+2)
4. 2024年のT+1移行と日本の投資家への影響
(1) 米国現地の受渡日がT+1に短縮
2024年5月28日から、米国市場の株式決済サイクルがT+2からT+1に短縮されました。これは、約定日の翌営業日に決済が完了することを意味します。
この変更の主な目的は、決済リスクの低減と資金効率の向上です。
(出典: Charles Schwab: 8 Things to Know About T+1 Settlement)
(2) 日本の証券会社の国内受渡日は変更なし(T+2)
重要な点として、米国現地の受渡日がT+1に短縮されても、日本の証券会社での国内受渡日はT+2のまま変更ありません。
これは、日本の証券会社が国内営業日ベースで計算しているためです。日本の投資家にとって、受渡日のスケジュールに大きな変更はありません。
(出典: 楽天証券: 米国株式 現地受渡日の変更について(国内受渡日変更なし))
5. 注文タイミングと注意点
(1) 15時までの注文が当日扱い
多くの証券会社では、15時までの注文が当日扱い、それ以降は翌営業日扱いとなります。
例えば、海外資産に投資する投資信託(約定日が翌営業日)の場合:
- 月曜15時までの注文 → 火曜約定
- 月曜15時以降の注文 → 水曜約定
ただし、証券会社やファンドによって締切時間が異なる場合があるため、必ず確認しましょう。
(2) 年末年始や祝日の場合の処理
営業日ベースでカウントするため、市場休場日(祝日、年末年始など)は約定日のカウントから除外されます。
例えば、年末年始の場合:
- 12月29日(金)注文 → 翌営業日が1月4日(木)なら、1月4日約定
(3) 目論見書での確認が必須
投資信託の約定日はファンドによって異なるため、必ず目論見書で確認することが重要です。目論見書には、申込日と約定日の関係、基準価額の決定タイミングなどが記載されています。
6. まとめ:約定日の仕組みを理解して投資する
米国株投資信託の約定日は、購入価格が決まる重要なタイミングです。海外資産に投資するファンドは申込日の翌営業日が約定日となることが一般的で、時差や海外市場の休場日が影響します。
2024年5月28日から米国現地の受渡日がT+1に短縮されましたが、日本の証券会社での国内受渡日はT+2のまま変更ありません。多くの証券会社で15時までの注文が当日扱いとなりますが、ファンドによって異なるため目論見書での確認が必須です。
次のアクション:
- 購入予定のファンドの目論見書で約定日のルールを確認する
- 楽天証券やSBI証券などで投資信託の取引ルールを確認する
- 注文タイミングと約定日の関係を理解し、計画的に投資する
約定日の仕組みを理解して、米国株投資信託での資産形成を始めましょう。
