米国株投資で注視すべきイベントとは
米国株に投資しているけれど、「決算発表やFOMCの日程を把握していなかった」「株価が急に動いて驚いた」という経験はありませんか。米国株市場では、決算発表や金融政策決定会合(FOMC)、雇用統計などの重要イベントが株価に大きな影響を与えます。
この記事では、米国株投資で注視すべき主要なイベントとそのカレンダーの確認方法を解説します。投資家が押さえておくべき日程と活用方法を理解し、計画的な投資判断に役立てましょう。
この記事のポイント:
- FOMC(連邦公開市場委員会)は年8回開催され、金利政策発表は市場に大きな影響を与える
- 雇用統計(非農業部門雇用者数)は米国で最も注目される経済指標で、毎月第1金曜に発表
- 決算発表シーズンは四半期ごとにあり、企業別の発表日はカレンダーツールで確認可能
- 市場休場日やTriple Witch(四半期オプション満期日)も投資戦略に影響する
- イベントカレンダーを活用することで、株価変動のタイミングを予測しやすくなる
FOMC(連邦公開市場委員会)と金利政策
(1) FOMCの開催スケジュールと内容
FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策を決定する機関です。FRB理事7名と地区連銀総裁5名で構成され、年8回の定例会議を開催します。
FOMCでは、政策金利(フェデラルファンド金利)の誘導目標レンジや量的引き締め(QT)などの金融政策を決定します。2025年10月のFOMCでは0.25%の利下げが決定され、政策金利目標は3.75-4.00%になりました。また2025年12月1日には量的引き締め(QT)の終了が決定されています。
(出典: 松井証券「FOMCとは?市場や経済に与える影響と投資家が注目すべきポイント」)
(2) 金利発表と市場への影響
FOMCの政策金利決定は、会合2日目の14時(米国東部時間)に発表されます。この時間帯は日本時間の深夜から早朝にあたり、世界中の株式市場、為替市場、債券市場が大きく変動します。
金利が引き上げられると企業の借入コストが上昇し、株価にはマイナス要因となることが一般的です。一方、金利引き下げは企業活動を支援し、株価にはプラス要因となる傾向があります。ただし、市場の事前予想と実際の決定内容の差が重要で、予想外の決定は急激な市場変動を招く可能性があります。
(3) パウエル議長記者会見のポイント
金利発表から30分後の14時30分(米国東部時間)には、パウエルFRB議長による記者会見が開催されます。この記者会見では、金融政策の背景説明や今後の経済見通しが語られ、議長の発言内容(タカ派・ハト派の姿勢)も市場変動の要因となります。
投資家は、金利決定だけでなく議長の発言内容を慎重に見極める必要があります。FRB公式サイトではFOMCの会議カレンダーや議事録(政策決定日から3週間後に公開)も確認できます。
(出典: Federal Reserve「Meeting calendars and information」)
雇用統計・経済指標カレンダー
(1) 雇用統計(非農業部門雇用者数)の重要性
雇用統計(非農業部門雇用者数:Non-farm Payroll)は、米国金融市場で最も影響力のある経済指標と言われています。毎月第1金曜日に発表され、失業率や平均時給も同時に公表されます。
雇用が増加すると個人消費が拡大し、企業業績の改善が期待されるため株価にはプラス要因となることが多いです。一方、予想を大きく下回る結果が出た場合は景気減速懸念から株価が下落する可能性があります。
(出典: QUICK Money「アメリカの重要なマーケットイベントを知ろう! FOMCや雇用統計、CPIなどまとめて解説」)
(2) CPI・PPIなどのインフレ指標
CPI(消費者物価指数:Consumer Price Index)やPPI(生産者物価指数)は、インフレ率を測る主要指標です。CPIは消費者が購入する商品・サービスの価格変動を、PPIは企業間で取引される商品の価格変動を示します。
インフレ率が上昇するとFRBは金利引き上げ(引き締め政策)を検討するため、株価にはマイナス要因となることがあります。逆にインフレが鈍化すると金利引き下げ期待が高まり、株価にはプラス要因となる傾向があります。
(3) 経済指標カレンダーの確認方法
経済指標の発表スケジュールは、ニューヨーク連銀の公式サイトやYahoo Financeの経済カレンダーで確認できます。米国の経済指標発表時間は米国時間の午前中が多く、日本時間の夜間にあたることが多いため、リアルタイムでの対応が難しい場合があります。
主要な経済指標カレンダーには、発表日時、予想値、前回値が記載されており、投資戦略を立てる際の参考になります。
(出典: Federal Reserve Bank of New York「Economic Indicators Calendar」、Yahoo Finance「Economic Calendar」)
決算発表シーズンの確認方法
(1) 四半期決算の発表時期
米国企業は四半期ごとに決算を発表します(年4回)。一般的な決算シーズンは以下の時期です。
- Q1(1-3月期):4月中旬~5月初旬
- Q2(4-6月期):7月中旬~8月初旬
- Q3(7-9月期):10月中旬~11月初旬
- Q4(10-12月期):1月中旬~2月初旬
決算発表のタイミングは企業ごとに異なるため、個別企業の発表日を確認することが重要です。
(2) 決算カレンダーの活用ツール
決算発表スケジュールは、moomoo証券、TradingView、Yahoo Finance、各証券会社の決算カレンダーで確認できます。これらのツールでは、企業別・日付別に検索でき、発表前にアラート設定も可能です。
主要な決算カレンダーツール:
- moomoo証券 決算カレンダー(https://www.moomoo.com/ja/quote/calendar)
- Yahoo Finance Earnings Calendar
- TradingView
- 各証券会社(SBI証券、楽天証券など)の決算情報ページ
(出典: moomoo証券「決算発表スケジュール・決算カレンダー」)
(3) 決算発表前後の株価変動リスク
決算発表前後は株価が大きく変動する可能性があります。予想を上回る好決算なら株価は急騰し、予想を下回る悪決算なら急落することが一般的です。
イベントドリブン投資(Event-Driven Investment)とは、M&A、業務提携、リストラなどの企業イベント時の市場価格の歪み(ミスプライス)を利用する投資戦略です。決算発表もイベントドリブン投資の対象となりますが、高リターンを追求する一方で高リスクも伴います。特に初心者は決算発表前の短期売買は避け、長期投資を前提とした銘柄選択が推奨されます。
(出典: SMBC日興証券「イベント・ドリブン」)
市場休場日と取引時間の注意点
(1) 2024年・2025年の休場日カレンダー
米国株式市場(NYSE、NASDAQ)は、米国の祝日に休場となります。2024年は10日の祝日で休場し、年間252取引日でした。2025年も同様に10日の祝日で休場する予定です。
主な休場日:
- 1月1日(元日)
- 1月第3月曜(キング牧師誕生日)
- 2月第3月曜(大統領の日)
- 5月最終月曜(戦没者追悼記念日)
- 7月4日(独立記念日)
- 9月第1月曜(労働者の日)
- 11月第4木曜(感謝祭)
- 12月25日(クリスマス)
(出典: NYSE「NYSE Group Announces 2023, 2024 and 2025 Holiday and Early Closings Calendar」)
(2) Triple Witch(四半期オプション満期日)
Triple Witchとは、株式オプション、株価指数先物、株価指数オプションが同時に満期を迎える日を指します。四半期末(3月、6月、9月、12月)の第3金曜日に発生し、この日は市場の流動性が高まり、株価が大きく変動することがあります。
2025年のTriple Witch日程:
- 3月21日
- 6月20日
- 9月19日
- 12月19日
Triple Witch前後は短期的な価格変動が大きくなるため、注意が必要です。
(3) 早期終了日の確認
感謝祭前日(11月第4水曜)やクリスマスイブなど、米国市場が13時(米国東部時間)で早期終了する日があります。2025年は7月3日(独立記念日前日)と11月28日(感謝祭翌日)が早期終了日です。
早期終了日は取引時間が短くなるため、注文のタイミングに注意が必要です。
(出典: NYSE「NYSE Group Announces 2023, 2024 and 2025 Holiday and Early Closings Calendar」)
まとめ:イベントカレンダーを活用した投資戦略
米国株投資では、FOMC、雇用統計、決算発表、市場休場日などの重要イベントを把握することが、計画的な投資判断につながります。イベントカレンダーを活用することで、株価変動のタイミングを予測しやすくなり、リスク管理も向上します。
次のアクション:
- FRB公式サイトでFOMCのスケジュールを確認する
- moomoo証券やYahoo Financeで決算カレンダーをチェックする
- 保有銘柄の決算発表日を事前に把握しておく
- 市場休場日や早期終了日をカレンダーに記録する
イベント前の短期売買は高リスクです。長期投資を前提に、イベント情報を参考にしながら冷静な判断を心がけましょう。投資判断は自己責任で行ってください。
