VOO(バンガードS&P500 ETF)の配当:利回りとスケジュールを解説
米国株ETFのVOO(Vanguard S&P 500 ETF)に投資している方であれば、「配当金はいつもらえるの?」「配当利回りはどのくらい?」「税金はどうなるの?」と疑問を持つことがあるでしょう。
この記事では、VOOの配当利回り、支払いスケジュール、税金処理、他のS&P500 ETFとの比較を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- VOOの配当利回りは約1.12%(2025年10月時点)
- 年4回配当(3月・6月・9月・12月)で、過去1年で1株あたり7.04ドル
- 過去5年の配当成長率は平均4.70%と安定成長
- 米国で10%、日本で20.315%の二重課税だが、外国税額控除で調整可能
- NISA口座では外国税額控除が使えないため、米国の10%課税は取り戻せない
1. なぜVOOの配当が注目されるのか
(1) S&P500への低コスト投資と配当受取
VOO(Vanguard S&P 500 ETF)は、米国の代表的な株価指数S&P500に連動するETFです。経費率0.03%と業界最低水準のコストで、米国大型株500銘柄に分散投資できる点が魅力です。
株価の値上がり益だけでなく、年4回の配当も受け取れるため、長期投資家に人気があります。
(2) 米国株ETFの配当投資のメリット
米国株ETFは、日本株に比べて配当の安定性と成長性が高い傾向があります。VOOは過去5年の配当成長率が平均4.70%と、安定した配当増加を実現しています。
また、米国市場の流動性の高さと、ドル建て資産として為替分散できる点もメリットです。
2. VOOの配当とは(利回りと配当金額)
(1) 配当利回り約1.12%(2025年10月時点)
VOOの配当利回りは約1.12%です(2025年10月時点)。これは、年間配当÷株価で算出される指標で、株価の変動により配当利回りも変動します。
S&P500のような成長株中心のETFは、配当利回りが1-2%程度と低めですが、株価の値上がり益と合わせたトータルリターンが高い点が特徴です。
(2) 過去1年の配当金額(1株あたり7.04ドル)
過去1年(2024年10月-2025年9月)で、VOOは1株あたり7.04ドルの配当を支払いました。株価が約600ドルの場合、配当利回りは約1.17%(7.04÷600)となります。
(3) 過去5年の配当成長率4.70%
VOOの過去5年の平均配当成長率は4.70%です。これは、毎年約4-5%のペースで配当が増加していることを意味します。配当成長率が安定しているため、長期投資において複利効果を期待できます。
3. VOOの配当支払いスケジュール(権利落ち日・支払日)
(1) 年4回の配当支払い(3月・6月・9月・12月)
VOOは年4回、各四半期末に配当を支払います。支払い月は以下の通りです。
- Q1配当: 3月
- Q2配当: 6月
- Q3配当: 9月
- Q4配当: 12月
(2) 権利落ち日(Ex-Dividend Date)とは
権利落ち日とは、この日までに株を保有していれば配当を受け取る権利を得られる日です。権利落ち日の前日までに株を購入していれば、次回の配当を受け取ることができます。
最近の例:
- 2025年Q3配当の権利落ち日: 2025年9月29日
- 2025年Q4配当の権利落ち日: 2025年12月22日(予定)
(3) 支払日(Payment Date)とは
支払日とは、実際に配当が証券口座に振り込まれる日です。通常、権利落ち日の2-3日後に支払われます。
最近の例:
- 2025年Q3配当の支払日: 2025年10月1日
(4) 2025年の配当カレンダー
2025年の配当カレンダーは以下の通りです(予定)。
| 四半期 | 権利落ち日 | 支払日 | 配当金額(1株あたり) |
|---|---|---|---|
| Q1 | 3月下旬 | 3月末-4月初旬 | 約1.7ドル |
| Q2 | 6月下旬 | 6月末-7月初旬 | 約1.7ドル |
| Q3 | 9月29日 | 10月1日 | 1.74ドル |
| Q4 | 12月22日 | 12月末-1月初旬 | 約1.7ドル |
※配当金額は前年実績を元にした目安です。実際の金額は各四半期ごとに変動します。
4. VOOの配当にかかる税金(二重課税と外国税額控除)
(1) 米国での源泉徴収10%
VOOの配当は、まず米国で10%が源泉徴収されます。これは、日米租税条約により軽減税率が適用された結果です(通常の米国源泉徴収税率は30%)。
例:
- 配当金額: 100ドル
- 米国での源泉徴収10%: 10ドル
- 手取り: 90ドル
(2) 日本での課税20.315%
さらに、日本でも20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が課税されます。米国で既に10%が引かれた後の金額に対して課税されるわけではなく、元の配当金額に対して日本で課税されます。
(3) 二重課税の仕組み
米国と日本の両方で課税される「二重課税」が発生します。
例:
- 配当金額: 100ドル
- 米国での源泉徴収10%: 10ドル
- 日本での課税20.315%: 約20.32ドル
- 合計税負担: 約30.32ドル
- 手取り: 約69.68ドル
(4) 確定申告での外国税額控除の申請方法
確定申告で「外国税額控除」を申請すれば、米国で源泉徴収された10%を日本の所得税から差し引くことができます。これにより、二重課税を調整できます。
外国税額控除の申請には、証券会社が発行する「外国税額の明細書」が必要です。詳細は国税庁のウェブサイトまたは税理士にご相談ください。
(5) NISA口座での配当税金の注意点
NISA口座で購入した場合、日本での課税20.315%は非課税となりますが、米国での10%源泉徴収は免除されません。また、NISA口座では外国税額控除を使えないため、米国での10%課税は取り戻せません。
NISA口座での配当税金:
- 米国での源泉徴収10%: あり(免除されない)
- 日本での課税20.315%: なし(非課税)
- 外国税額控除: 使えない
5. 他のS&P500 ETFとの配当比較(SPY・IVV)
(1) VOO vs SPY vs IVVの配当利回り比較
S&P500に連動する主要ETFの配当利回りを比較すると、以下の通りです。
| ETF | ティッカー | 配当利回り | 経費率 |
|---|---|---|---|
| Vanguard S&P 500 ETF | VOO | 1.12% | 0.03% |
| SPDR S&P 500 ETF Trust | SPY | 1.06% | 0.09% |
| iShares Core S&P 500 ETF | IVV | 1.10% | 0.03% |
※配当利回りと経費率は2025年10月時点の数値
(2) 経費率と配当への影響
VOOとIVVの経費率は0.03%と同じで、SPYの0.09%より低い水準です。経費率が低いほど、投資家の手取りが増えるため、長期投資では有利です。
(3) どのETFを選ぶべきか
配当利回りはいずれも1%前後と大差ありません。選び方のポイントは以下の通りです。
- 経費率の低さ: VOO = IVV > SPY
- 流動性の高さ: SPY > VOO = IVV
- 配当利回り: VOO ≒ IVV > SPY
長期投資であれば、経費率の低いVOOまたはIVVがおすすめです。短期トレードやオプション取引をする場合は、流動性の高いSPYが適しています。
6. まとめ:VOOの配当を活用した長期投資戦略
VOOは、配当利回り約1.12%と低めですが、過去5年の配当成長率4.70%と安定した配当増加を実現しています。年4回の配当と株価の値上がり益を合わせたトータルリターンが高い点が魅力です。
次のアクション:
- VOOの配当カレンダーを確認し、権利落ち日を把握する
- 確定申告で外国税額控除を申請し、二重課税を調整する
- 長期的な視点で投資を継続し、配当再投資を活用する
- 米国株ETFの配当戦略を学び、自分に合った投資方法を見つける
VOOの配当を活用して、長期資産形成を目指しましょう。
よくある質問:
Q: VOOの配当はいつもらえますか? A: 年4回、3月・6月・9月・12月に支払われます。権利落ち日(各四半期末頃)までに株を保有していれば、その後の支払日(通常は権利落ち日の2-3日後)に配当が振り込まれます。最近では2025年Q3配当の権利落ち日が9月29日、支払日が10月1日でした。
Q: VOOの配当利回りはどのくらいですか? A: 約1.12%です(2025年10月時点)。過去1年で1株あたり7.04ドルの配当を支払っています。過去5年の配当成長率は平均4.70%と安定成長しており、長期投資において複利効果が期待できます。
Q: VOOの配当にかかる税金は? A: 米国で10%が源泉徴収され、日本で20.315%が課税される二重課税となります。確定申告で外国税額控除を申請すれば調整できますが、NISA口座では外国税額控除が使えないため、米国の10%課税は取り戻せません。
Q: VOOの配当で生活できますか? A: 配当利回りが約1%のため、配当金だけで生活するには数億円の元本が必要です。例えば、年間配当300万円を得るには、約3億円の投資が必要となります。配当金生活は現実的には難しく、VOOは長期的な資産成長を目指す投資に適しています。
