全世界株式と米国株式どっちを選ぶべきか徹底比較

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/17

全世界株式と米国株式、どちらを選ぶべきか

新NISAで投資信託を始めたいけれど、全世界株式(オルカン)と米国株式(S&P500)のどちらを選べば良いか迷っていませんか?

両者は新NISA人気の二大巨頭で、2023年時点でeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が2.4兆円、全世界株式(オルカン)が1.3兆円と圧倒的な残高を誇っています。しかし、それぞれ投資対象や特徴が異なり、自分に合った選択をすることが重要です。

この記事では、全世界株式と米国株式の特徴、リターン・リスク比較、投資目的別の選び方を解説します。

この記事のポイント:

  • 全世界株式(オルカン)は先進国・新興国を含む国際分散投資が魅力
  • 米国株式(S&P500)は過去実績で優位だが米国一極集中リスクあり
  • 2025年は国際株式が15.7%、S&P500が1.5%と国際株優位の年
  • 初心者には全世界株式から検討開始、バランス型は両者を半々で組み合わせる方法も

全世界株式(オルカン)の特徴とメリット・デメリット

全世界株式(eMAXIS Slim 全世界株式、通称オルカン)は、MSCI ACWI(All Country World Index)に連動し、先進国・新興国を含む約3,000銘柄に投資します。

(1) 国際分散投資の基本(先進国・新興国を含む全世界カバー)

全世界株式は「どの国・企業が成長するか不明だが、世界全体に投資すれば世界経済の成長を取りこぼさない」という国際分散投資の基本に忠実な商品です。

野村アセットマネジメントによれば、全世界株式は地域分散でリスクを抑制しながら、世界経済全体の成長を享受できる点が特徴です(出典: 野村アセットマネジメント)。

(2) 時価総額加重平均による自動調整(手間をかけずに最適構成比率維持)

全世界株式は時価総額加重平均方式を採用しており、各国・企業の時価総額に応じて投資比率を自動調整します。これにより、投資家は手間をかけずに最適な構成比率を維持できます。

(3) 地域分散によるボラティリティ抑制

複数の国・地域に分散投資することで、特定国のショック(政治不安、経済危機等)の影響を緩和でき、ボラティリティ(価格変動)が抑えられる傾向があります。

(4) 注意点:約6割が米国株で完全分散ではない

ただし、全世界株式も時価総額ベースで約6割が米国株です。このため、米国市場の影響を大きく受け、完全な分散とは言えない点に注意が必要です。

米国株式(S&P500)の特徴とメリット・デメリット

米国株式(eMAXIS Slim 米国株式、S&P500連動)は、米国の大型株500銘柄に集中投資する商品です。

(1) 米国大型株500銘柄への集中投資

S&P500はApple、Microsoft、Amazon等の米国を代表する大型株500銘柄で構成され、米国経済の中核を担う企業群に投資します。

(2) 過去実績の優位性(歴史的にオルカンよりリターン高い)

過去実績では、S&P500は常にオルカンを上回るリターンを記録してきました。米国株の強さは「米国例外主義」(米国経済・市場の持続的優位性)と呼ばれ、多くの投資家が信じる根拠となっています。

(3) 米国経済・市場の持続的優位性(米国例外主義)

米国は世界最大の経済大国であり、イノベーション・企業統治・市場効率性で他国を圧倒しています。この優位性が今後も続くと信じる投資家にとって、S&P500は魅力的な選択肢です。

(4) 注意点:米国一極集中リスク(カントリーリスク・為替リスク)

S&P500は米国株100%・米ドル100%の構成であり、為替変動リスク(円高時の目減り)やカントリーリスク(米国固有の政治・経済リスク)が米国に一極集中しています。

全世界株式と米国株式のパフォーマンス・リスク比較

両者のリターン・リスクを比較すると、常にどちらかが優位というわけではなく、歴史的にサイクルがあります。

(1) 過去リターン比較(常にS&P500が優位ではない、サイクルがある)

MSCI ACWIとS&P500の長期比較では、常にS&P500が優位ではありません。1980年代・2000年代は国際株式(米国以外)がS&P500をアウトパフォームした時期でした(出典: Visual Capitalist)。

(2) 2025年の状況(国際株式が15.7%、S&P500が1.5%と国際株優位)

2025年は国際株式(ACWI ex-USA)が15.7%リターン、S&P500は1.5%と、国際株式が大幅にアウトパフォームしました(出典: Morningstar)。専門家の多くが、今後10年以上は国際株式がS&P500をアウトパフォームする可能性を予測しています。

(3) リスク指標比較(相関係数0.94と高い連動性)

MSCI ACWIとS&P500の相関係数は0.94と高く、両者の動きは連動しています(出典: Curvo)。このため、リスク分散効果は限定的とも言えます。

(4) 歴史的サイクル(1980年代・2000年代は国際株優位)

過去40年間を振り返ると、1980年代は国際株優位、1990年代は米国株優位、2000年代は国際株優位、2010年代は米国株優位と、約10年周期でサイクルが入れ替わっています。

投資目的・リスク許容度別の選び方のポイント

全世界株式と米国株式、どちらが「正解」とは断定できません。投資目的やリスク許容度に応じて選びましょう。

(1) 初心者向け:全世界株式から検討開始(世界経済成長の取りこぼし防止)

初心者には全世界株式(オルカン)から検討を開始することが推奨されます。「どの国・企業が成長するか不明だが、世界全体に投資すれば世界経済の成長を取りこぼさない」という基本に立ち返るためです(出典: イオン銀行)。

(2) 米国成長を信じる:S&P500集中投資

米国経済・市場の持続的優位性(米国例外主義)を信じる投資家には、S&P500への集中投資が適しています。ただし、米国一極集中リスクを理解した上で判断してください。

(3) バランス型:両者を半々で組み合わせる方法

S&P500と全世界株式を半々で組み合わせる方法も有効な選択肢です。リスク分散と成長期待のバランスを取れます。

(4) 専門家への相談推奨

投資判断は自己責任です。不安な場合は、ファイナンシャルプランナーや証券会社の窓口で専門家に相談することをおすすめします。

まとめ:自分に合った投資スタイルを見つける

全世界株式(オルカン)と米国株式(S&P500)は、どちらも優れた投資信託です。全世界株式は国際分散投資の基本に忠実で、米国株式は過去実績で優位性を示してきました。

ただし、2025年は国際株式が大幅にアウトパフォームしており、歴史的にサイクルがある点を理解することが重要です。

次のアクション:

  • 自分のリスク許容度・投資目的を整理する
  • 過去のパフォーマンスは将来の結果を保証しないことを理解する
  • 専門家への相談も検討する
  • 新NISAの非課税枠を活用して長期投資を始める

自分に合った投資スタイルを見つけ、長期的な資産形成を目指しましょう。

よくある質問

Q1オルカンとS&P500、新NISAでどちらを選ぶべきですか?

A1リスク許容度と米国成長への信念によります。初心者には全世界株式(オルカン)から検討を開始し、リスク抑制と世界経済成長の取りこぼし防止を重視することが推奨されます。米国経済の持続的優位性を信じる場合はS&P500、バランスを取りたい場合は両者を半々で組み合わせる方法も有効です。

Q2過去のリターンはどちらが高いですか?

A2過去実績ではS&P500が常にオルカンを上回っています。ただし歴史的にサイクルがあり、1980年代・2000年代は国際株式が優位でした。2025年は国際株式(ACWI ex-USA)が15.7%リターン、S&P500は1.5%と、国際株式が11%アウトパフォームしています。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証しません。

Q3全世界株式は米国株式よりリスクが低いですか?

A3地域分散によりボラティリティ(価格変動)が抑えられる傾向があります。ただし約6割が米国株で構成されており、米国市場の影響を大きく受けるため完全な分散ではありません。MSCI ACWIとS&P500の相関係数は0.94と高く、両者の動きは連動しています。

Q4両方買うのは意味がないですか?

A4S&P500と全世界株式を半々で組み合わせる方法も有効な選択肢です。リスク分散と成長期待のバランスを取ることができます。ただし、全世界株式も約6割が米国株のため、完全な分散効果は限定的です。投資目的やリスク許容度に応じて判断してください。

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Single Stock編集部

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