新NISAで米国株投資を始める完全ガイド|配当金と税制の正しい理解

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/12

新NISAとは?制度の基本と米国株投資の相性

「新NISAで米国株は買えるの?」「配当金にかかる税金は?」と疑問に思ったことはありませんか。

2024年1月に開始された新NISA制度は、年間投資枠が拡大し(最大360万円)、非課税期間が無期限となったため、長期的な米国株投資に最適な制度です。成長投資枠を活用すれば、米国株の売却益が非課税となり、配当金も日本国内では非課税で受け取れます。

この記事では、新NISA制度の基本、米国株投資のメリット、配当金の税制、米国ETFの活用法、証券会社の選び方まで、初心者にもわかりやすく解説します。

この記事のポイント:

  • 新NISA制度の概要(年間投資枠360万円、非課税期間無期限)と米国株投資の相性を理解できる
  • 成長投資枠で米国株を購入するメリット(売却益非課税、取引手数料無料)がわかる
  • 米国株の配当金税制(日本非課税・米国10%のみ、外国税額控除不可)を把握できる
  • 米国ETFの活用法と投資信託との違いを学べる
  • 証券会社の選び方(為替手数料、取引手数料)と2025年の投資枠スケジュールを理解できる

(1) 新NISA制度の概要(年間投資枠360万円・非課税期間無期限)

新NISA制度は、2024年1月に開始された少額投資非課税制度です。

新NISA制度の概要:

項目 新NISA
年間投資枠 つみたて投資枠120万円 + 成長投資枠240万円 = 360万円
非課税期間 無期限
非課税対象 配当金・売却益
対象商品 つみたて投資枠: 金融庁認定の投資信託・ETF
成長投資枠: 投資信託・ETF・個別株等

(出典: QUICK Corp.「Shift from Savings to Investment」)

(2) 成長投資枠とつみたて投資枠の違い

新NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠の2つがあります。

つみたて投資枠vs成長投資枠:

項目 つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資上限 120万円 240万円
対象商品 金融庁認定の投資信託・ETF 投資信託・ETF・個別株等
米国株の購入 ×

米国株は成長投資枠でのみ購入可能です。つみたて投資枠では、金融庁認定の投資信託のみが対象となります。

(3) 従来NISAとの比較(投資枠・非課税期間の拡大)

新NISAは、従来NISA(一般NISA・つみたてNISA)と比べて大幅に拡充されました。

従来NISAと新NISAの比較:

項目 一般NISA(旧) つみたてNISA(旧) 新NISA
年間投資枠 120万円 40万円 360万円
非課税期間 5年 20年 無期限
併用 × × ○(両枠併用可)

新NISAでは、年間投資枠が拡大し、非課税期間が無期限となったため、長期投資に最適です。

(4) 米国株投資との相性(売却益非課税のメリット)

新NISAは、米国株投資と相性が良いです。

米国株投資のメリット:

  • 売却益が非課税(通常口座では20.315%課税)
  • 非課税期間が無期限で長期保有に最適
  • 米国市場の長期リターン(S&P500は年平均約10%)を享受

米国株の長期的な成長を、税制優遇を受けながら享受できます。

新NISAで米国株を購入するメリット(成長投資枠活用)

新NISAで米国株を購入するメリットを詳しく解説します。

(1) 成長投資枠で年間240万円まで米国株購入可能

成長投資枠では、年間240万円まで米国株(個別株・ETF)を購入できます。

購入可能な商品:

  • 米国個別株(Apple、Microsoft、Amazonなど)
  • 米国ETF(VTI、VOO、QQQなど)

つみたて投資枠と併用すれば、年間最大360万円まで非課税投資が可能です。

(2) 売却益が非課税(通常口座では20.315%課税)

新NISA口座で購入した米国株の売却益は、非課税となります。

売却益の税制比較:

口座 税率
通常口座 20.315%課税
新NISA口座 非課税

例えば、100万円の投資が200万円になった場合、通常口座では約20万円の税金がかかりますが、新NISA口座では非課税となります。

(3) 主要ネット証券で取引手数料が無料

主要ネット証券では、新NISA口座での米国株取引手数料が無料化されています。

取引手数料無料の証券会社:

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • 松井証券
  • マネックス証券

(出典: ウォーカープラス「新NISAで米国株投資をはじめるあなたへ」)

コストを抑えて米国株に投資できます。

(4) 非課税期間が無期限(長期投資に最適)

新NISAの非課税期間は無期限です。

無期限のメリット:

  • 売却タイミングを気にせず、長期保有が可能
  • 複利効果を最大化できる
  • 老後資金形成にも最適

従来NISAの非課税期間(一般NISA5年、つみたてNISA20年)と比べて、大幅に拡充されました。

米国株の配当金にかかる税制(二重課税の仕組み)

米国株の配当金には、特有の税制があります。

(1) 通常口座での二重課税(米国10%+日本20.315%)

通常口座で米国株を保有している場合、配当金は二重課税されます。

通常口座での配当金税制:

  1. 米国で10%源泉徴収
  2. 日本で20.315%課税(残りの90%に対して)
  3. トータル約30%の税金

例:

  • 配当金: 100ドル
  • 米国課税: 10ドル(10%)
  • 日本課税: 90ドル × 20.315% = 約18.3ドル
  • 手取り: 約71.7ドル

(出典: 投資基礎「新NISAで米国ETFを買って配当金をもらったら課税されますか?」)

(2) NISA口座での配当金税制(日本非課税・米国10%のみ)

NISA口座では、日本国内での配当金課税が非課税となります。

NISA口座での配当金税制:

  1. 米国で10%源泉徴収(変わらず)
  2. 日本では非課税
  3. トータル10%の税金

例:

  • 配当金: 100ドル
  • 米国課税: 10ドル(10%)
  • 日本課税: 0ドル(非課税)
  • 手取り: 90ドル

通常口座(約30%)と比べて、NISA口座(10%)の方が有利です。

(出典: 楽天証券「NISA成長投資枠で米国株投資」)

(3) 外国税額控除が適用不可(日本株より若干不利)

外国税額控除とは、外国で課税された税金を日本の所得税から控除する制度ですが、NISA口座では適用できません

外国税額控除の適用可否:

口座 外国税額控除
通常口座 適用可能(確定申告必要)
NISA口座 適用不可

米国での10%源泉徴収は避けられないため、日本株(配当金が完全非課税)と比べると若干不利です。

(出典: Nippon.com「Changes to NISA Aim to Encourage More Investment」)

(4) 株式数比例配分方式の選択が必須

配当金を非課税で受け取るには、証券会社で株式数比例配分方式を選択する必要があります。

配当金受取方式:

  • 株式数比例配分方式: 証券口座で受け取る(NISA口座で非課税)
  • その他の方式: 銀行口座等で受け取る(課税される)

株式数比例配分方式以外を選択すると、NISA口座内でも課税されるため注意が必要です。

(出典: 楽天証券「NISA成長投資枠で米国株投資」)

新NISAで米国株ETFを活用する方法

米国ETFは、新NISAで人気の投資商品です。

(1) 米国ETFのメリット(低コスト・分散投資)

米国ETFには、以下のメリットがあります。

米国ETFのメリット:

  • 低コスト: 経費率(信託報酬)が0.03-0.2%程度と非常に低い
  • 分散投資: 1本で数十〜数千の銘柄に分散投資
  • リアルタイム取引: 株式と同様に市場でリアルタイムに売買可能

(2) 人気の米国ETF(VTI・VOO・QQQ等の特徴)

新NISAで人気の米国ETFを紹介します。

人気の米国ETF:

ETF 対象指数 経費率 特徴
VTI 全米株式(約4,000銘柄) 0.03% 米国市場全体に分散
VOO S&P500(約500銘柄) 0.03% 米国大型株中心
QQQ NASDAQ100(約100銘柄) 0.20% ハイテク・IT関連中心

VTIとVOOは、低コストで米国市場に幅広く分散投資できます。QQQは、ハイテク・IT関連に集中投資したい場合に適しています。

(3) 投資信託との比較(配当再投資・手数料)

米国ETFと投資信託には、以下の違いがあります。

米国ETFvs投資信託:

項目 米国ETF 投資信託
経費率 0.03-0.2%程度 0.1-0.5%程度
配当金 受け取る(再投資は手動) 自動再投資可能
取引時間 リアルタイム 1日1回
最低購入額 1株から(数千円〜) 100円から

選び方:

  • 低コスト重視、配当金を受け取りたい → 米国ETF
  • 配当金を自動再投資したい、少額から積立 → 投資信託

(4) ETFの配当金も米国10%源泉徴収

米国ETFの配当金も、米国で10%源泉徴収されます。

NISA口座では日本国内では非課税となりますが、米国での10%は避けられません。

証券会社の選び方と手数料比較(為替手数料・取引手数料)

新NISAで米国株を購入する際の証券会社の選び方を解説します。

(1) 主要ネット証券の比較(SBI・楽天・マネックス・松井)

主要ネット証券の米国株取引を比較します。

主要ネット証券の比較:

証券会社 NISA取引手数料 為替手数料 取扱銘柄数
SBI証券 無料 片道0.25円/ドル 約5,000銘柄
楽天証券 無料 片道0.25円/ドル 約4,500銘柄
マネックス証券 無料 片道0.25円/ドル(買付無料キャンペーンあり) 約5,000銘柄
松井証券 無料 片道0.25円/ドル 約4,000銘柄

(出典: ウォーカープラス「新NISAで米国株投資をはじめるあなたへ」)

どの証券会社もNISA取引手数料が無料で、為替手数料も同水準です。

(2) 為替手数料の違い(0.25円/ドル程度が一般的)

為替手数料とは、円を米ドルに両替する際にかかる手数料です。

為替手数料の目安:

  • 主要ネット証券: 片道0.25円/ドル程度
  • 一部の証券会社: 買付無料キャンペーンあり

例:

  • 10,000ドル分を両替
  • 為替手数料: 10,000ドル × 0.25円 = 2,500円

為替手数料は、取引コストの一つとして考慮する必要があります。

(3) 為替手数料を節約する方法(事前両替)

為替手数料を節約するには、事前に円を米ドルに両替しておく方法があります。

事前両替のメリット:

  • 買付時の為替手数料を節約できる(一部の証券会社)
  • 為替レートが有利な時に両替できる

SBI証券やマネックス証券では、事前に円を米ドルに両替し、米ドルで米国株を購入することが可能です。

(4) 2025年の投資枠スケジュール

2025年のNISA投資枠は、いつから使えるのでしょうか。

2025年の投資枠スケジュール:

  • 2024年12月26日(現地時間)以降に購入した米国株は、2025年NISA枠にカウント
  • 2025年1月1日以降、2025年の投資枠(つみたて投資枠120万円 + 成長投資枠240万円)が利用可能

(出典: マネックス証券「2025年のNISA取引開始スケジュールについて」)

2024年末に購入した米国株が、2025年枠にカウントされる点に注意しましょう。

まとめ:新NISAで米国株投資をスタートする

新NISA制度は、米国株投資に最適な税制優遇制度です。

この記事の要点:

  • 新NISAは年間投資枠360万円、非課税期間無期限で長期投資に最適
  • 成長投資枠で米国株を購入でき、売却益が非課税、取引手数料も無料
  • 米国株の配当金は日本では非課税だが、米国で10%源泉徴収(外国税額控除不可)
  • 米国ETFは低コストで分散投資でき、VTI、VOO、QQQが人気
  • 主要ネット証券(SBI、楽天、マネックス、松井)でNISA取引手数料無料、為替手数料は0.25円/ドル程度

次のアクション:

  • ネット証券でNISA口座を開設し、株式数比例配分方式を選択する
  • 成長投資枠で米国ETF(VTI、VOO等)を購入する
  • 毎月の積立投資を設定し、ドルコスト平均法で購入価格を平準化
  • 長期的に保有し、複利効果と非課税メリットを享受する

新NISAで米国株投資を始め、長期的な資産形成を目指しましょう。投資判断は自己責任で行ってください。税制の詳細は税理士や税務署にご相談ください。

よくある質問

Q1新NISAで米国株は買える?

A1はい、成長投資枠で年間240万円まで米国株(個別株・ETF)を購入できます。売却益が非課税となるメリットがあり、主要ネット証券では取引手数料も無料です。

Q2米国株の配当金にかかる税金は?

A2新NISA口座では、日本国内では非課税ですが、米国で10%源泉徴収されます。外国税額控除は適用できません。通常口座(約30%課税)と比べると有利ですが、日本株(完全非課税)と比べると若干不利です。

Q3米国ETFと投資信託、どちらを選ぶべき?

A3米国ETFは低コスト(経費率0.03-0.2%)で配当を受け取れますが、投資信託は配当を自動再投資できます。低コスト重視ならETF、配当自動再投資重視なら投資信託がおすすめです。

Q4配当金を非課税で受け取るには?

A4証券会社で「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。他の方式(銀行口座受取等)では、NISA口座内でも課税されるため注意が必要です。

Q5新NISAで米国高配当株は有利?

A5配当金の日本国内非課税メリットはありますが、米国での10%源泉徴収は避けられません。外国税額控除も適用できないため、日本株と比べると若干不利です。ただし、通常口座(約30%)よりは有利です。

S

Single Stock編集部

Single Stockは、米国株式投資に関する情報を日本語で提供するメディアです。投資初心者から経験者まで、銘柄分析・市場動向・投資戦略など、株式投資に役立つ情報を分かりやすく解説しています。