米国株式取引の手数料を徹底比較 - SBI証券と楽天証券の違いとコスト削減術

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/17

米国株を始めたいけど、手数料が高くて損しそう...

「米国株に投資したいけど、手数料がいくらかかるのか分からない」「証券会社によって手数料は違うの?」—米国株投資を始めようとする多くの日本人投資家が、こうした疑問を抱えています。

手数料は投資のリターンに直接影響するため、無視できない要素です。特に少額から投資を始める初心者にとって、手数料負けのリスクは切実な問題です。

この記事では、米国株式取引にかかる手数料の種類を体系的に解説します。SBI証券、楽天証券、moomoo証券などの主要ネット証券の手数料を比較し、NISA口座での手数料無料化や為替コストの削減方法についても詳しく紹介します。手数料を抑えて米国株投資を始めるための実践的なポイントをお伝えします。

この記事のポイント:

  • 米国株取引には売買手数料、為替手数料、規制手数料(SEC Fee、TAF)の3種類のコストがかかる
  • SBI証券・楽天証券の通常口座では約定代金の0.495%(上限22米ドル)の売買手数料がかかる
  • moomoo証券とDMM株は売買手数料0%を実現
  • NISA口座ではSBI証券・楽天証券で売買手数料が完全無料
  • 為替手数料はSBI証券で2024年12月から無料化、楽天証券は外貨決済で片道0銭

1. 米国株式取引にかかる手数料の種類

(1) 売買手数料(約定代金に対する料率)

米国株を売買する際には、約定代金(取引が成立した際の金額)に応じて手数料がかかります。

日本の主要ネット証券の売買手数料:

  • SBI証券: 約定代金の0.495%(税込)、上限22米ドル
  • 楽天証券: 約定代金の0.495%(税込)、上限22米ドル
  • マネックス証券: 約定代金の0.495%(税込)、上限22米ドル
  • moomoo証券: 売買手数料0%
  • DMM株: 売買手数料0%

主要ネット証券の多くが0.495%の手数料率を採用していますが、moomoo証券とDMM株は売買手数料を無料化しています。

(2) 為替手数料(円→米ドルへの両替コスト)

米国株は米ドル建てで取引されるため、日本円を米ドルに両替する必要があります。この際に為替手数料がかかります。

為替手数料の比較:

  • SBI証券: 通常25銭、住信SBIネット銀行で6銭(2024年12月から無料化)
  • 楽天証券: 外貨決済で片道0銭(円貨決済では為替スプレッドが含まれる)
  • moomoo証券: 片道0銭
  • マネックス証券: 片道25銭

為替手数料は証券会社によって大きく異なります。外貨決済を利用すれば、為替コストを抑えられます。

(3) 規制手数料(SEC Fee、TAF等)

売買手数料・為替手数料以外にも、米国の規制手数料が別途かかります。

規制手数料の種類:

  • SEC Fee(米国証券取引委員会手数料): 米国株売却時に徴収(2024年5月から$27.80/百万ドル、出典: SEC公式情報)
  • TAF(FINRA Trading Activity Fee): 2024年1月から1株あたり$0.000166

これらの規制手数料は非常に小額ですが、売買手数料が無料でも別途かかることを理解しておきましょう。

2. 日本の主要証券会社の手数料比較

(1) SBI証券の手数料体系

SBI証券の手数料:

  • 売買手数料: 約定代金の0.495%(税込)、上限22米ドル
  • 為替手数料: 通常25銭、住信SBIネット銀行で6銭(2024年12月から無料化)
  • NISA口座: 売買手数料が完全無料

SBI証券は、NISA口座での売買手数料無料化と、住信SBIネット銀行を活用した為替コスト削減が大きな魅力です。

(2) 楽天証券の手数料体系

楽天証券の手数料:

  • 売買手数料: 約定代金の0.495%(税込)、上限22米ドル
  • 為替手数料: 外貨決済で片道0銭(円貨決済では為替スプレッドが含まれる)
  • NISA成長投資枠: 売買手数料が無料
  • ポイント還元: 超割コースで手数料の1%を楽天ポイントで還元

楽天証券は、楽天ポイントが貯まる点と、外貨決済での為替手数料無料化が魅力です。

(3) moomoo証券・DMM株の手数料無料化

moomoo証券:

  • 売買手数料: 0%
  • 為替手数料: 片道0銭

DMM株:

  • 売買手数料: 0%
  • 為替手数料: 片道25銭

moomoo証券とDMM株は、売買手数料を完全無料化しています。ただし、規制手数料(SEC Fee、TAF)は別途かかります。

(4) マネックス証券の手数料体系

マネックス証券の手数料:

  • 売買手数料: 約定代金の0.495%(税込)、上限22米ドル
  • 為替手数料: 片道25銭
  • 取扱銘柄: 約5,000銘柄と豊富

マネックス証券は、日本の主要ネット証券の標準的な手数料体系を採用しています。取扱銘柄が豊富な点が特徴です。

3. 米国と日本の手数料体系の違い

(1) 米国の手数料無料化の背景

米国では、2019年以降に大手ブローカー(Fidelity、Charles Schwab、E*TRADE等)が相次いで株式・ETF取引の手数料を無料化しました。

米国の手数料無料化:

  • 株式・ETF取引: 手数料$0
  • オプション取引: 通常1契約あたり$0.50-$0.65の手数料

米国では手数料無料が業界標準になっています。

(2) Payment for Order Flow(PFOF)の仕組み

米国のブローカーが手数料無料を実現できているのは、Payment for Order Flow(PFOF)という仕組みがあるためです。

PFOFの仕組み:

  • ブローカーが顧客の注文をマーケットメーカーに送る
  • マーケットメーカーがその注文を処理する対価として、ブローカーに手数料を支払う
  • 結果として、顧客は手数料無料で取引できる

ただし、PFOFが必ずしも最良執行を保証するわけではないという批判もあります。

(3) 約定の質(execution quality)の重要性

手数料が無料でも、約定の質(execution quality)が低いと、実質的なコストが高くなる可能性があります。

約定の質とは:

  • 注文がどの価格で約定されるか
  • スプレッド(買値と売値の差)が広いと、実質的なコストが高くなる

手数料だけでなく、約定の質も証券会社選びの重要なポイントです。

4. 為替手数料の仕組みとコスト削減のコツ

(1) 円貨決済と外貨決済の違い

米国株を購入する際、円貨決済と外貨決済の2つの方法があります。

円貨決済:

  • 日本円で注文を出し、証券会社が自動的に米ドルに両替して米国株を購入
  • 為替手数料が含まれる

外貨決済:

  • 事前に日本円を米ドルに両替し、米ドルで米国株を購入
  • 為替手数料を抑えられる

外貨決済を利用すれば、為替コストを削減できます。

(2) 住信SBIネット銀行を活用した為替コスト削減

SBI証券を利用する場合、住信SBIネット銀行を活用することで為替手数料を大幅に削減できます。

手順:

  1. 住信SBIネット銀行の口座を開設
  2. 住信SBIネット銀行で米ドルを購入(為替手数料6銭、2024年12月から無料化)
  3. SBI証券に米ドルを入金して米国株を購入

この方法を使えば、為替コストをほぼゼロに抑えられます。

(3) 楽天証券の外貨決済での為替手数料無料化

楽天証券では、外貨決済を利用すれば為替手数料が片道0銭になります。

手順:

  1. 楽天証券で米ドルを購入(為替スプレッド分のコストがかかる)
  2. 外貨決済で米国株を購入(為替手数料0銭)

外貨決済を活用すれば、為替コストを抑えられます。

5. NISA口座での手数料無料化

(1) SBI証券のNISA口座での手数料無料

SBI証券のNISA口座では、米国株・海外ETFの売買手数料が完全無料です。

NISA口座での手数料:

  • 売買手数料: 無料
  • 為替手数料: 通常通り(住信SBIネット銀行で無料化)
  • 規制手数料: SEC Fee等は別途発生

長期投資を前提とするNISA口座では、売買手数料無料は大きなメリットです。

(2) 楽天証券のNISA成長投資枠での手数料無料

楽天証券のNISA成長投資枠でも、米国株式の売買手数料が無料になります。

NISA成長投資枠での手数料:

  • 売買手数料: 無料
  • 為替手数料: 外貨決済で片道0銭
  • 規制手数料: SEC Fee等は別途発生

NISA成長投資枠を活用すれば、手数料負けのリスクを大幅に減らせます。

(3) NISA口座と通常口座の手数料比較

項目 NISA口座 通常口座
売買手数料(SBI証券) 無料 約定代金の0.495%
売買手数料(楽天証券) 無料 約定代金の0.495%
為替手数料 通常通り 通常通り
税制 非課税 課税

NISA口座を活用すれば、売買手数料と税金の両方を節約できます。

6. まとめ:証券会社選びのポイント

米国株式取引の手数料は証券会社によって大きく異なります。売買手数料だけでなく、為替手数料や規制手数料も考慮する必要があります。

証券会社選びのポイント:

  • NISA口座で米国株投資をする: SBI証券または楽天証券(売買手数料無料)
  • 売買手数料を完全無料にしたい: moomoo証券またはDMM株
  • 為替コストを抑えたい: SBI証券(住信SBIネット銀行で無料化)または楽天証券(外貨決済で無料)
  • 楽天ポイントを貯めたい: 楽天証券(超割コースで1%還元)

次のアクション:

  • 自分の投資スタイルに合った証券会社で口座を開設する
  • NISA口座の活用を検討する
  • 外貨決済を利用して為替コストを削減する

投資判断は最終的に自己責任で行う必要があります。手数料の仕組みを理解し、自分に合った証券会社を選んで米国株投資を始めましょう。

※本記事の情報は2025年1月時点のものです。最新の手数料体系については、各証券会社の公式サイトをご確認ください。

よくある質問

Q1米国株式の売買手数料は本当に無料になったのですか?

A1moomoo証券とDMM株は売買手数料0%を実現しています。SBI証券・楽天証券はNISA口座で売買手数料が無料です。通常口座では約定代金の0.495%(上限22米ドル)の手数料がかかります。

Q2手数料が無料でも他に隠れたコストはありますか?

A2はい、売買手数料が無料でも、SEC Fee(米国証券取引委員会手数料)やTAF(FINRA取引活動手数料)などの規制手数料は別途かかります。また、為替手数料も忘れずにチェックしてください。

Q3SBI証券と楽天証券の為替手数料の違いは何ですか?

A3SBI証券は住信SBIネット銀行で6銭(2024年12月から無料化)、楽天証券は外貨決済で片道0銭です。外貨決済を利用すれば両社とも為替コストを大幅に抑えられます。

Q4NISA口座と通常口座で手数料はどれくらい違いますか?

A4SBI証券・楽天証券のNISA口座では米国株・海外ETFの売買手数料が完全無料です。通常口座では約定代金の0.495%がかかるため、NISA枠を活用すれば大幅にコスト削減できます。また、NISA口座では売却益・配当金も非課税になります。

S

Single Stock編集部

Single Stockは、米国株式投資に関する情報を日本語で提供するメディアです。投資初心者から経験者まで、銘柄分析・市場動向・投資戦略など、株式投資に役立つ情報を分かりやすく解説しています。