NISAで米国株は買える?結論と基本情報
「NISAで米国株は買えるのか?」という疑問を持つ日本人投資家は多いのではないでしょうか。米国株への投資を検討する際、税制優遇のあるNISA口座を活用できるかは重要なポイントです。
この記事では、NISAで米国株が買えるかの結論、新NISAの仕組み、旧NISAとの違い、購入方法、注意点とリスクを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 新NISA成長投資枠で米国株(個別株・ETF)を購入可能、年間投資上限は240万円
- つみたて投資枠は投資信託のみ対象で、米国株個別株・ETFは購入不可
- 旧一般NISAと新NISA成長投資枠は同様に米国株購入可能だが、年間投資上限が120万円→240万円に拡大
- 主要証券会社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)が米国株NISA取引に対応
- 配当金は米国で10%源泉徴収され、外国税額控除は適用不可
(1) 成長投資枠で米国株(個別株・ETF)を購入可能
結論から言うと、2024年に開始された新NISA制度の成長投資枠で、米国株の個別株・ETFを購入できます。これは旧一般NISAと同様の対応です。
成長投資枠では、国内株式だけでなく外国株式(米国株、中国株等)も対象となります。Apple、Microsoft、Amazon等の米国主要企業の株式を、非課税枠で購入することが可能です。
(2) 年間投資上限は240万円
成長投資枠の年間投資上限額は240万円です。旧一般NISAの年間投資上限120万円と比較すると、2倍に拡大されています。
また、米国株は1株から購入可能です。数千円から投資できる銘柄も多数あり、年間投資枠を柔軟に活用できることが特徴です。
新NISAの仕組みと米国株投資への対応
新NISA制度には、成長投資枠とつみたて投資枠の2つの投資枠があります。米国株投資への対応状況はそれぞれ異なります。
(1) 成長投資枠とつみたて投資枠の違い
成長投資枠とつみたて投資枠の主な違いは以下の通りです。
成長投資枠:
- 年間投資上限: 240万円
- 対象商品: 株式、ETF、投資信託(上場株式・上場ETF・一部の投資信託)
- 購入方法: 一括購入、積立購入のどちらも可能
つみたて投資枠:
- 年間投資上限: 120万円
- 対象商品: 投資信託のみ(金融庁指定の長期・積立・分散投資に適した投資信託)
- 購入方法: 積立購入のみ
米国株の個別株・ETFを購入したい場合は、成長投資枠を使用する必要があります。
(2) 成長投資枠の対象商品(株式・ETF・投資信託)
成長投資枠の対象商品は幅広く、以下が含まれます。
- 国内株式(東京証券取引所等に上場する株式)
- 外国株式(米国株、中国株等)
- 国内ETF(日本の証券取引所に上場するETF)
- 外国ETF(米国のETF等)
- 投資信託(一部の投資信託)
米国株の場合、Apple(AAPL)、Microsoft(MSFT)、NVIDIA(NVDA)等の個別株だけでなく、S&P500に連動するETF(VOO、SPY等)も購入可能です。
(3) つみたて投資枠は投資信託のみ(個別株不可)
つみたて投資枠は、投資信託のみが対象です。米国株の個別株やETFを購入することはできません。
つみたて投資枠で米国株に投資したい場合は、米国株式を投資対象とする投資信託(例: eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、楽天・全米株式インデックスファンド等)を選択する必要があります。
旧NISA・つみたてNISAとの違い
2024年開始の新NISA制度は、旧NISA制度から大きく変更されています。米国株投資への対応状況も含め、主な違いを解説します。
(1) 旧一般NISAと新NISA成長投資枠の共通点
旧一般NISAと新NISA成長投資枠は、どちらも米国株の個別株・ETFを購入できる点で共通しています。対象商品の種類(株式、ETF、投資信託)も基本的に同じです。
このため、旧一般NISAで米国株投資をしていた方は、新NISA成長投資枠でも同様に投資を継続できます。
(2) 非課税保有期間の違い(旧NISA5年 vs 新NISA恒久化)
旧一般NISAでは、非課税保有期間が最長5年に限定されていました。5年経過後は課税口座へ移管するか、売却する必要がありました。
新NISA成長投資枠では、非課税保有期間が恒久化されました。一度購入した株式を売却しない限り、無期限で非課税の恩恵を受け続けることができます。
この変更により、長期保有を前提とした米国株投資がより有利になったと言われています。
(3) 年間投資上限の変更(旧NISA120万円 vs 新NISA240万円)
旧一般NISAの年間投資上限は120万円でした。新NISA成長投資枠では240万円に拡大され、2倍の金額を非課税枠で投資できるようになりました。
また、新NISAでは成長投資枠(240万円)とつみたて投資枠(120万円)を併用できるため、年間最大360万円まで非課税投資が可能です。
米国株をNISAで購入する方法と証券会社の選び方
米国株をNISA口座で購入するには、証券会社での手続きが必要です。主要な証券会社の取扱い状況と選び方のポイントを解説します。
(1) 外国証券口座の開設手続き
米国株をNISA口座で取引するには、外国証券口座の開設が必要です。NISA口座とは別に、外国株式を取引するための口座を開設します。
多くの証券会社では、NISA口座開設と同時に外国証券口座も開設できます。手続きはオンラインで完結し、数日から1週間程度で開設が完了することが一般的です。
(2) 主要証券会社の取扱い状況(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)
日本の主要証券会社は、米国株のNISA取引に対応しています。主要3社の状況は以下の通りです。
SBI証券:
- 取扱銘柄数: 約5,000銘柄以上
- 為替手数料: 片道25銭(1ドルあたり)
- 取引手数料: 多くの銘柄で無料化
楽天証券:
- 取扱銘柄数: 約4,600銘柄以上
- 為替手数料: 片道25銭(1ドルあたり)
- 取引手数料: 多くの銘柄で無料化
- 特徴: 楽天ポイントが貯まる・使える
マネックス証券:
- 取扱銘柄数: 約4,500銘柄以上
- 為替手数料: 片道25銭(1ドルあたり)
- 取引手数料: 多くの銘柄で無料化
- 特徴: 米国株情報・分析ツールが充実
各社とも取扱銘柄数が豊富で、主要な米国株は取引可能です。
(3) 取扱銘柄数・為替手数料・取引手数料の比較
証券会社を選ぶ際には、以下のポイントを比較することが推奨されます。
取扱銘柄数: SBI証券が最も多い約5,000銘柄を取り扱っています。楽天証券、マネックス証券も4,500銘柄以上を取り扱っており、主要銘柄はどの証券会社でも取引可能です。
為替手数料: 主要3社とも片道25銭(1ドルあたり)で同水準です。円をドルに換える際、100ドルにつき25円の手数料がかかります。
取引手数料: 多くの証券会社が米国株取引手数料を無料化しています。ただし、一部の銘柄やETFでは手数料がかかる場合があるため、各社の最新情報を確認することが推奨されます。
NISAで米国株投資する際の注意点とリスク
NISA口座で米国株に投資する際には、いくつかの注意点とリスクがあります。投資判断の前に理解しておくことが重要です。
(1) 配当金は米国で10%源泉徴収(外国税額控除は適用不可)
米国株の配当金は、米国で10%の源泉徴収が行われます。これはNISA口座で保有している場合でも同様です。
通常の課税口座では、米国で10%課税された後、日本でさらに20.315%課税されますが、外国税額控除の制度を利用して一部を調整できます。しかし、NISA口座では外国税額控除が適用されません。
このため、米国株の配当金に関しては、完全な非課税ではなく米国での10%課税が残る点に注意が必要です。
(2) 損益通算・繰越控除が利用できない
NISA口座では、損益通算(複数口座の損益を相殺する仕組み)や繰越控除(損失を翌年以降に繰り越す仕組み)が利用できません。
例えば、NISA口座で損失が出ても、他の課税口座の利益と相殺することはできません。また、NISA口座で利益が出ても、課税口座の損失と相殺することもできません。
このため、NISA口座は長期保有を前提とした投資に適していると言われています。
(3) 為替リスク(円高時の評価額減少)
米国株はドル建てで取引されるため、為替リスクがあります。円高になると、ドル建ての株価が上昇していても、円建ての評価額が目減りする可能性があります。
例えば、1ドル=150円の時に米国株を購入し、その後1ドル=130円の円高になった場合、株価が変わらなくても円建ての評価額は減少します。
長期投資の場合、為替変動は平均化される傾向がありますが、短期的には為替リスクを理解しておくことが推奨されます。
まとめ:NISAを活用した米国株投資の実践
NISA制度で米国株投資は可能です。新NISA成長投資枠を使えば、米国株の個別株・ETFを年間240万円まで非課税で購入できます。
次のアクション:
- 証券会社を選び、NISA口座と外国証券口座を開設する
- 成長投資枠で米国株(個別株またはETF)を購入するか、つみたて投資枠で米国株投資信託を購入するかを決める
- 配当金の米国10%課税、損益通算不可、為替リスク等の注意点を理解する
- 少額から始めて、長期分散投資を実践する
2024年の新NISA開始以降、利用者の7割超が運用益を確保したと報じられています。米国株市場は過去最高値を更新する等、投資環境は好調ですが、投資判断は自己責任で行うことが重要です。最新の情報を確認し、専門家への相談も検討しましょう。
