なぜニッセイNASDAQ100が2年で3000億円を突破したのか
ニッセイNASDAQ100インデックスファンドは、2023年3月31日の設定からわずか2年で純資産総額3000億円を突破し、2025年10月時点では約4000億円に達しています。この驚異的な成長の背景には、低コスト、新NISAへの対応、主要ネット証券での購入しやすさがあります。
この記事のポイント:
- ニッセイNASDAQ100は信託報酬0.2035%で、NASDAQ100ファンドの中では2番目に低い水準
- 新NISA成長投資枠で購入可能で、非課税メリットを享受できる
- SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの主要ネット証券で購入できる
- 楽天NASDAQ100、QQQ ETFとの比較も重要(コスト、購入方法、税制面での違いあり)
NASDAQ100指数は、米国ナスダック市場に上場する金融業を除く時価総額上位100社で構成される株価指数です。Apple、Microsoft、Amazon、Teslaなどの大型ハイテク株が多く含まれており、グローバルな技術革新をリードする企業群に分散投資できる点が魅力です。
ファンドの基本情報とNASDAQ100指数の特徴
(1) ニッセイNASDAQ100インデックスファンドの概要
ニッセイNASDAQ100インデックスファンドは、ニッセイアセットマネジメントが運用する投資信託です。正式名称は「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」で、2025年6月21日にファンド名を変更し、ブランディングを強化しました。
基本情報:
- 運用会社: ニッセイアセットマネジメント
- 設定日: 2023年3月31日
- 純資産総額: 約4000億円(2025年10月時点)
- 信託報酬: 0.2035%(年率、税込)
- 購入手数料: なし(ノーロード)
- 新NISA対応: 成長投資枠のみ(つみたてNISA非対応)
(2) NASDAQ100指数とは:構成銘柄と特徴
NASDAQ100指数は、米国ナスダック市場に上場する非金融企業の時価総額上位100社で構成される株価指数です。情報技術セクターが約5割を占め、Apple、Microsoft、Amazon、Meta(Facebook)、Alphabet(Google)、Teslaなどの大型ハイテク株が中心です。
主な特徴:
- 情報技術セクターの比重が高い(約50%)
- S&P500と比べて成長性が高い一方、ボラティリティも高い
- 配当込み指数(Total Return Index)のため、配当再投資を含むリターンを反映
(3) 運用方針:為替ヘッジなしのマザーファンド方式
ニッセイNASDAQ100インデックスファンドは、為替ヘッジなしで運用されています。これは、ドル建て資産に直接投資することで、長期的な円安局面では追加的なリターンが期待できる一方、円高局面では円換算の基準価額が下落するリスクがあることを意味します。
また、マザーファンド方式を採用しており、複数のファンドが共通の親ファンド(マザーファンド)を通じて投資することで、個人投資家でも機関投資家並みの低コストでNASDAQ100に分散投資できます。
(4) 設定日と純資産総額の推移(2023年3月-2025年10月)
- 2023年3月31日: 設定
- 2024年5月: 純資産1500億円突破
- 2025年6月: 純資産3000億円突破
- 2025年10月: 純資産約4000億円に到達
設定から2年半で4000億円という規模は、日本最大のNASDAQ100インデックスファンドとしての地位を確立しています。
信託報酬と実質コスト:隠れコストの実態
(1) 表面的な信託報酬:0.2035%
ニッセイNASDAQ100インデックスファンドの信託報酬は0.2035%(年率、税込)で、NASDAQ100連動ファンドの中では2番目に低い水準です。購入手数料(販売手数料)はなく、ノーロードファンドとして提供されています。
(2) 実質コスト:0.306%(隠れコスト含む)
投資信託には、信託報酬以外に「隠れコスト」と呼ばれる費用が発生します。これには売買委託手数料、保管費用、監査費用などが含まれます。ニッセイNASDAQ100の実質コスト(隠れコスト含む)は0.306%程度と言われています。
実質コストの内訳:
- 信託報酬: 0.2035%
- 売買委託手数料等: 約0.1025%
- 合計: 約0.306%
この実質コストは、他のNASDAQ100ファンドと比較しても同程度の水準です。
(3) 隠れコストの内訳:売買委託手数料等
隠れコストの主な内訳は以下の通りです:
- 売買委託手数料: ファンドが株式を売買する際に証券会社に支払う手数料
- 保管費用: 株式を保管する際の費用
- 監査費用: ファンドの会計監査にかかる費用
- その他費用: 信託事務費用、印刷費用など
これらの費用は基準価額から差し引かれるため、投資家が直接支払うわけではありませんが、運用成果に影響します。
(4) 他のNASDAQ100ファンドとのコスト比較
主なNASDAQ100連動ファンドの信託報酬比較:
- 楽天NASDAQ100インデックスファンド: 0.198%(最安)
- ニッセイNASDAQ100インデックスファンド: 0.2035%(2番目に低い)
- iFreeNEXT NASDAQ100インデックス: 0.495%
- その他のファンド: 0.5%前後
楽天NASDAQ100とニッセイNASDAQ100の信託報酬はほぼ同水準で、どちらも低コストと言えます。
他のNASDAQ100ファンドとの比較:楽天、QQQ ETFとの違い
(1) 楽天NASDAQ100インデックスファンドとの比較
楽天NASDAQ100インデックスファンドは、楽天投信投資顧問が運用するNASDAQ100連動ファンドです。
比較表:
| 項目 | 楽天NASDAQ100 | ニッセイNASDAQ100 |
|---|---|---|
| 信託報酬 | 0.198% | 0.2035% |
| 設定日 | 2023年12月22日 | 2023年3月31日 |
| 純資産総額 | 約2000億円(2025年10月時点) | 約4000億円(2025年10月時点) |
| 新NISA対応 | 成長投資枠 | 成長投資枠 |
信託報酬はわずかな差ですが、楽天の方がやや低いです。ただし、実質コスト(隠れコスト含む)は同程度の可能性があり、購入する証券会社のポイント還元なども考慮すべきです。
(2) QQQ ETF(米国上場)との比較
QQQは、米国ナスダック市場に上場するETF(上場投資信託)で、NASDAQ100指数に連動します。
QQQ vs ニッセイNASDAQ100:
| 項目 | QQQ ETF | ニッセイNASDAQ100 |
|---|---|---|
| 信託報酬 | 0.20% | 0.2035% |
| 購入通貨 | 米ドル | 円 |
| 為替手数料 | あり(片道25銭程度) | なし(ファンド内で処理) |
| 外国税額控除 | 必要 | ファンドが処理 |
| 新NISA対応 | 成長投資枠 | 成長投資枠 |
QQQは信託報酬が低い一方で、為替手数料や外国税額控除の手続きが必要です。日本の投資信託(ニッセイNASDAQ100)は円建てで購入でき、新NISAで非課税メリットを享受できる点が異なります。
(3) iFreeNEXT NASDAQ100インデックスとの比較
iFreeNEXT NASDAQ100インデックスは、大和アセットマネジメントが運用するNASDAQ100連動ファンドです。
比較:
- 信託報酬: iFreeNEXT 0.495% vs ニッセイ 0.2035%
- 純資産総額: iFreeNEXT 約500億円 vs ニッセイ 約4000億円
ニッセイNASDAQ100の方が信託報酬が低く、純資産総額も大きいため、流動性の面でも有利です。
(4) どのファンドを選ぶべきか:投資家タイプ別の選択肢
- コスト最重視: 楽天NASDAQ100(信託報酬0.198%)
- 純資産総額の大きさ重視: ニッセイNASDAQ100(約4000億円)
- 米ドル建てで運用したい: QQQ ETF
- ポイント還元を活用したい: 購入する証券会社のポイント制度を確認
楽天証券で楽天NASDAQ100を購入すると楽天ポイントが貯まり、SBI証券でニッセイNASDAQ100を購入するとVポイントが貯まるなど、証券会社のポイント還元も考慮すると良いでしょう。
メリットとデメリット:新NISAでの活用方法
(1) メリット:低コスト、主要ネット証券で購入可能、新NISA成長投資枠対応
主なメリット:
- 低コスト: 信託報酬0.2035%はNASDAQ100ファンドの中で2番目に低い水準
- 購入しやすさ: SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券などの主要ネット証券で購入可能
- 新NISA対応: 成長投資枠で年間240万円(生涯1200万円)まで非課税で投資できる
- 為替ヘッジなし: 長期的な円安局面では追加的なリターンが期待できる
- マザーファンド方式: 個人投資家でも機関投資家並みの低コストで運用できる
(2) デメリット:ハイテク株集中リスク、為替リスク、設定日が浅い
主なデメリット:
- ハイテク株集中リスク: 情報技術セクターが約5割を占め、ハイテク株の調整局面で大きく下落するリスクがある
- 為替リスク: 為替ヘッジなしのため、円高進行時には円換算の基準価額が下落する可能性がある
- 設定日が浅い: 2023年3月設定で、長期的なトラックレコードが限定的
- 隠れコスト: 実質コスト(0.306%)は表面的な信託報酬(0.2035%)より高い
- ハイリスク・ハイリターン: 短期的なボラティリティが高く、リスク許容度の低い投資家には不向き
(3) 新NISA成長投資枠での活用方法
ニッセイNASDAQ100インデックスファンドは、新NISA成長投資枠で購入できます。つみたてNISAには対応していませんが、新NISA全体の生涯投資枠は1800万円で、そのうち成長投資枠は年間240万円(生涯1200万円)まで非課税で投資できます。
活用例:
- 毎月10万円ずつ積立投資(年間120万円)
- 一括投資で年間240万円を投資
- 他のインデックスファンド(S&P500、全世界株式等)と組み合わせて分散投資
(4) NASDAQ100のみに集中投資すべきか、分散すべきか
NASDAQ100はハイテク株集中度が高いため、ポートフォリオ全体のリスクを考慮すると、S&P500や全世界株式などのファンドと組み合わせた分散投資が推奨されることが多いです。
分散投資の例:
- NASDAQ100: 30%
- S&P500: 40%
- 全世界株式(オールカントリー): 30%
リスク許容度が高く、長期的な成長を狙う投資家は、NASDAQ100の比率を高めることも選択肢の一つです。ただし、投資判断は自己責任で行い、自分のリスク許容度に合わせてポートフォリオを構築してください。
まとめ:ニッセイNASDAQ100を選ぶべき人
ニッセイNASDAQ100インデックスファンドは、低コストでNASDAQ100指数に連動する投資信託です。2023年3月の設定から2年半で純資産総額4000億円を突破し、日本最大のNASDAQ100ファンドとして成長しています。
ニッセイNASDAQ100を選ぶべき人:
- 低コストでNASDAQ100に投資したい
- 新NISAの成長投資枠を活用したい
- 主要ネット証券で購入したい
- 米国ハイテク株の成長性に期待している
- 長期的な円安を見込んでいる
次のアクション:
- 楽天NASDAQ100、QQQ ETFと比較して自分に合ったファンドを選ぶ
- 新NISA成長投資枠での購入を検討する
- S&P500や全世界株式と組み合わせた分散投資を検討する
- 最新の運用報告書で実質コストやパフォーマンスを確認する
投資判断は自己責任で行い、自分のリスク許容度や投資目的に合わせてファンドを選択してください。
