ソフトバンクグループADR株価の見方と東証株との比較

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/15

ソフトバンクグループのADRとは何か、投資家が注目する理由

ソフトバンクグループの株価を調べると、「SFTBY」というティッカーシンボルが出てきて混乱した経験はありませんか?

ソフトバンクグループは東京証券取引所に上場している日本企業(証券コード: 9984)ですが、米国市場でも「ADR(米国預託証券)」として取引されています。ADRは「SFTBY」というティッカーで、OTC市場で取引されており、東証株とは価格が異なります。

この記事では、ソフトバンクグループのADR株価の見方、東証株との違い、為替レートの影響、そしてADRで投資するメリット・デメリットを詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • ADRは米国市場で取引される米ドル建ての証券(1 ADR = 0.5株)
  • 為替レートと取引時間差により、ADRと東証株の価格は異なる
  • ADRは夜間取引が可能で、米ドル建て資産として保有できる
  • 為替リスクと流動性の違いに注意が必要

ADR(米国預託証券)の仕組みと換算比率

(1) ADR(American Depositary Receipt)とは

ADR(米国預託証券)は、外国企業の株式を米国市場で取引できるようにした証券です。預託銀行が外国企業の株式を保管し、その代わりにADRを発行します。

ソフトバンクグループの場合、東証に上場している株式(9984)を預託銀行が保管し、米国市場で「SFTBY」として取引されています。投資家はADRを通じて、米国証券口座でソフトバンクグループ株を売買できます。

(2) ソフトバンクグループの換算比率(1 ADR = 0.5株)

ソフトバンクグループのADRは、1 ADR = 0.5株の換算比率です(出典: NASDAQ公式サイト)。

例えば、東証株が1株8,000円の場合、ADRの理論価格は以下のように計算できます:

  • 東証株価: 8,000円
  • 換算: 8,000円 × 0.5株 = 4,000円
  • 為替レート: 1ドル = 150円と仮定
  • ADR理論価格: 4,000円 ÷ 150円 = 約26.67ドル

ただし、実際のADR価格は為替レートや需給バランスにより、この理論価格と乖離する場合があります。

(3) 取引時間の違い(プレマーケット・レギュラー・アフターマーケット)

ADRは米国市場で取引されるため、取引時間が東証株と異なります:

  • プレマーケット: 日本時間 19:00–23:30(夏時間: 18:00–22:30)
  • レギュラー: 日本時間 23:30–翌6:00(夏時間: 22:30–翌5:00)
  • アフターマーケット: 日本時間 翌6:00–翌8:00(夏時間: 翌5:00–翌7:00)

このため、日本時間の夜間にもソフトバンクグループ株の値動きを追うことができ、翌日の東証株価の予測材料として活用されています。

ソフトバンクグループADRの株価確認方法とツール

(1) 複合チャートでの確認(nikkei225jp.com、adr-stock.com等)

日本語で東証株とADRを同時に確認できるツールとして、以下のサイトが便利です:

  • nikkei225jp.com: 東証株価・ADR円換算・為替レートを同時表示
  • adr-stock.com: ADR東証比(プレミアム/ディスカウント)を表示
  • 225225.jp: 複合チャートで翌日の株価予測材料を提供

これらのツールでは、ADRの円換算価格と東証株価を比較でき、どちらが割高・割安かを一目で確認できます。

(2) NASDAQ公式サイトでのリアルタイム株価

NASDAQ公式サイト(https://www.nasdaq.com/market-activity/stocks/sftby)では、SFTBYのリアルタイム株価、チャート、出来高、52週高値・安値などの基本情報を確認できます。

(3) Yahoo Finance、moomoo証券での確認

  • Yahoo Finance: 米国版(finance.yahoo.com)で決算情報、アナリスト評価、ニュースを確認
  • moomoo証券: 日本語で時間外取引情報、掲示板、リアルタイムチャートを表示

(4) 東証株(9984)との比較表示

Yahoo!ファイナンス日本版(finance.yahoo.co.jp)では、東証株(9984.T)の株価・チャート・ニュースを確認できます。ADRと東証株を並べて表示し、価格差を確認することで、為替レートの影響や需給バランスを分析できます。

ADRと東証株の違いと価格乖離が生じる理由

(1) 為替レートの影響(米ドル建て vs 円建て)

ADRは米ドル建て、東証株は円建てです。このため、為替レートの変動が価格に大きく影響します。

例:

  • 東証株: 8,000円(変動なし)
  • 為替レート: 1ドル = 150円 → 145円(円高進行)
  • ADR理論価格: 4,000円 ÷ 150円 = 26.67ドル → 4,000円 ÷ 145円 = 27.59ドル

円高が進むと、東証株価が変わらなくてもADRのドル建て価格は上昇します。逆に円安が進むと、ADRのドル建て価格は下落します。

(2) 取引時間差による価格乖離

ADRは日本時間の夜間も取引されるため、東証が閉まっている間に株価が変動します。

  • 夜間にポジティブなニュース発表 → ADRが上昇 → 翌日の東証株も上昇する傾向
  • 夜間にネガティブなニュース発表 → ADRが下落 → 翌日の東証株も下落する傾向

このため、ADRの夜間取引を確認することで、翌日の東証株価の動向を予測する投資家が多くいます。

(3) ADR東証比(プレミアム/ディスカウント)の見方

ADR東証比とは、ADRの円換算価格と東証株価の差を示す指標です:

  • プレミアム(プラス): ADRが東証株より高い → 翌日の東証株は上昇する可能性
  • ディスカウント(マイナス): ADRが東証株より安い → 翌日の東証株は下落する可能性

ただし、これはあくまで参考材料であり、必ずしも予測通りに動くとは限りません。

ADRで投資するメリット・デメリット

(1) メリット:米ドル建て資産の保有、夜間取引が可能

米ドル建て資産として保有できる: 円安が進んだ場合、米ドル建て資産の価値は円換算で上昇します。円安ヘッジとして、米ドル建て資産を保有したい投資家にとって、ADRは有効な選択肢です。

夜間取引が可能: プレマーケット・アフターマーケットを含む夜間取引が可能なため、日本時間の夜間にも売買できます。急な市場変動に対応しやすいというメリットがあります。

(2) デメリット:為替リスク、流動性の違い

為替リスク: 円高が進んだ場合、ADRの円換算価値は下落します。例えば、ADRを30ドルで保有していても、為替レートが1ドル = 150円から140円に円高進行すると、円換算価値は4,500円から4,200円に下落します。

流動性の違い: ADRの取引量は東証株より少ない場合があります。特にOTC市場で取引されるSFTBYは、東証株(9984)より流動性が低く、売買スプレッド(買値と売値の差)が大きくなる可能性があります。

(3) 配当の受取方法と税金

ADRの配当は米ドルで受け取ります。ADRの配当には、米国と日本の両方で税金がかかります。二重課税を調整する外国税額控除という制度もあります。税金の詳細については、税理士や国税庁のウェブサイトをご確認ください。

配当を円転する際に為替レートの影響を受けるため、円高時には円換算の配当金額が減少します。

まとめ:ADRと東証株、どちらを選ぶべきか

ソフトバンクグループのADR(SFTBY)と東証株(9984)は、どちらも同じ企業の株式ですが、取引市場・通貨・取引時間が異なります。

ADRを選ぶべき投資家:

  • 米ドル建て資産を増やしたい
  • 夜間取引を活用したい
  • 円安ヘッジとして米ドル建て資産を保有したい

東証株を選ぶべき投資家:

  • 為替リスクを避けたい
  • 流動性を重視する(取引量が多い市場で売買したい)
  • 円建てで資産を管理したい

どちらを選ぶかは、投資目的と為替見通しによって判断しましょう。投資判断は自己責任で行い、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

よくある質問

Q1ADRと東証株の違いは何か?

A1ADRは米国市場で取引される米ドル建て証券、東証株は東京証券取引所で取引される円建て株式です。ソフトバンクグループの場合、1 ADR = 0.5株の換算比率で、取引時間・為替レート・税制が異なります。

Q2ADRの株価が東証株と異なる理由は?

A2為替レートの変動、取引時間差(ADRは日本時間夜間も取引)、需給バランスの違いにより価格乖離が発生します。ADR東証比でプレミアム/ディスカウントを確認できます。

Q3ADRを買うメリット・デメリットは?

A3メリットは米ドル建て資産として保有でき、プレマーケット・アフターマーケット含む夜間取引が可能な点です。デメリットは為替リスク(円高で円換算価値が下がる)と、流動性が東証株より低い場合がある点です。

Q4ADRと東証株のどちらを買うべきか?

A4米ドル建て資産を増やしたい、夜間取引を活用したい場合はADRがおすすめです。為替リスクを避けたい、流動性を重視する場合は東証株が適しています。投資目的と為替見通しで判断しましょう。

Q5ADRの配当はどう受け取るか(税金・為替の影響)?

A5配当は米ドルで受け取り、円転時に為替レートの影響を受けます。米国と日本の両方で税金がかかり、二重課税を調整する外国税額控除という制度もあります。税率や手続きの詳細は、税理士や国税庁のウェブサイトをご確認ください。

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Single Stock編集部

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