ETF SPYとは?米国株500社に分散投資できる世界最大級のETF
米国株投資を始めたいけれど、個別銘柄選定が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。そんな方にとって、「SPY」というETFは有力な選択肢の一つです。しかし、「SPYとは何か」「どうやって買うのか」「VOOやIVVとの違いは何か」といった疑問をお持ちの方もいるでしょう。
この記事では、SPYの基本的な特徴、S&P500指数との関係、他のS&P500連動ETFとの比較、そして日本から投資する方法について解説します。
この記事のポイント:
- SPYはS&P500指数に連動する世界最大級のETF(資産規模6,000億ドル超)
- 1993年設立の世界初のS&P500連動ETF、運用会社はState Street
- 経費率0.095%、1日平均311億ドル取引され、世界で最も流動性が高い
- VOO・IVVと比較すると経費率は若干高いが、流動性とオプション市場の深さで優位
- 日本の主要証券会社(SBI、楽天、マネックス等)で1株から購入可能
ETF SPYとは何か
SPYの正式名称:SPDR S&P 500 ETF Trust
SPYの正式名称は「SPDR S&P 500 ETF Trust」です。SPDRは「スパイダー」と読まれ、State Street Global Advisors(SSGA)が運用するETFブランド名です。
1993年設立:世界初のS&P500連動ETF
SPYは1993年1月に設立され、米国初のETF(上場投資信託)として誕生しました(出典: State Street公式)。設立以来、S&P500指数に連動するパフォーマンスを提供し続けています。
運用会社:State Street Global Advisors(SSGA)
SPYの運用会社は、世界有数の資産運用会社であるState Street Global Advisors(SSGA)です。SSGAは、インデックス投資のパイオニアとして知られています。
世界最大級のETF:資産規模6,000億ドル超
SPYは資産規模6,000億ドル超(約90兆円)を誇る世界最大級のETFです(出典: etf.com)。1日平均311億ドルが取引され、比類なき流動性を持っています。
ETFとS&P500指数の基礎知識
ETFとは:取引所に上場し、株式のように売買できる投資信託
ETF(Exchange-Traded Fund)とは、取引所に上場している投資信託です。株式のようにリアルタイムで売買でき、少額から分散投資が可能です。
S&P500指数とは:米国の大企業500社の時価総額加重型指数
S&P500指数は、米国の代表的な大企業500社の株価を時価総額加重平均で算出した指数です。Apple、Microsoft、Nvidiaなどの大型株が上位を占めています。
連動の仕組み:指数と同じ銘柄を保有し、パフォーマンスを追随
SPYは、S&P500指数と同じ500銘柄を保有することで、指数のパフォーマンスに連動します。投資家は1つのETFを購入するだけで、500社に分散投資できます。
SPYの特徴:流動性・経費率・UIT構造
流動性:1日平均311億ドル取引され、世界で最も流動性が高い
SPYの最大の特徴は、圧倒的な流動性です。1日平均311億ドルが取引され、売買したい時にすぐに取引できます(出典: State Street公式)。
経費率0.095%:年間1万ドルあたり9.5ドルの低コスト
経費率は0.095%です(出典: etf.com)。これは、1万ドル投資した場合、年間9.5ドル(約1,400円)のコストがかかることを意味します。長期保有に適した低コスト水準です。
UIT(Unit Investment Trust)構造:株貸出や配当再投資ができない制約
SPYはUIT(Unit Investment Trust)という投資信託の一形態で設立されています。そのため、株貸出や配当の自動再投資ができません(出典: etf.com)。この構造により、VOOやIVVと比較して数ベーシスポイント不利になる可能性があります。
セクター配分:情報技術35.6%、上位銘柄はNvidia、Microsoft、Apple
2025年11月時点で、情報技術セクターが35.6%を占めています(出典: Yahoo Finance)。上位銘柄はNvidia(8.18%)、Microsoft、Appleなどです。テック株への集中度が高い点に注意が必要です。
VOO・IVVとの比較:どのS&P500 ETFを選ぶべきか
経費率の比較:VOO 0.03%、IVV 0.03%、SPY 0.095%
S&P500連動ETFには、SPY以外にVOO(バンガード)、IVV(ブラックロック)があります。経費率を比較すると、以下のようになります。
- VOO: 0.03%
- IVV: 0.03%
- SPY: 0.095%
VOOとIVVは、SPYより経費率が約0.065%安いです。
流動性の比較:SPYが圧倒的に高い(オプション市場も深い)
流動性では、SPYが圧倒的に優位です。オプション市場の深さも他のS&P500 ETFより高く、短期売買やオプション戦略に適しています(出典: Vantage)。
投資信託形態の違い:VOO・IVVは通常の投資信託、SPYはUIT
VOOとIVVは通常の投資信託(Open-End Fund)として運用されており、株貸出や配当再投資が可能です。一方、SPYはUITのため、これらの機能が制限されています。
選択基準:長期保有ならVOO/IVV、短期売買やオプション戦略ならSPY
選択基準は以下の通りです。
- 長期保有(バイ・アンド・ホールド): VOOまたはIVV(経費率が安い)
- 短期売買・デイトレード: SPY(流動性が高い)
- オプション戦略(Wheel戦略等): SPY(オプション市場が深い)
日本からSPYを購入する方法
米国株取引対応の証券会社(SBI、楽天、マネックス等)
日本からSPYを購入するには、米国株取引に対応した証券会社で口座を開設する必要があります。主要な証券会社には以下があります。
- SBI証券: 手数料が比較的安い、住信SBIネット銀行で為替手数料6銭
- 楽天証券: 楽天ポイントが貯まる
- マネックス証券: 米国株の取扱銘柄が豊富
東京証券取引所上場版(ティッカー1557)との違い:米国版の方が流動性が高い
SPYは東京証券取引所にも上場(ティッカー1557)していますが、米国版の方が流動性が高く、取引が活発です。
最低投資額:1株から購入可能(約$580、2025年11月時点)
日本の主要証券会社では、1株から米国ETFを購入できます。SPYの場合、約$580(1株あたり、2025年11月時点)から投資可能です。
為替リスクと配当課税(米国10%+日本20.315%、外国税額控除適用可)
米国ETFへの投資には、為替リスクが伴います。円安時に購入すると、円高時に評価額が目減りする可能性があります。
また、配当(分配金)には米国と日本の両方で税金がかかりますが、外国税額控除の適用を受けることで二重課税を軽減できる場合があります。税金の詳細については、税理士や国税庁のウェブサイトをご確認ください。
NISA対応:成長投資枠で年間240万円まで購入可能
成長投資枠を利用すれば、米国ETFもNISAの対象となります。ただし、年間投資上限は240万円です。つみたて投資枠では、SPYは対象外です。
まとめ:SPY投資のポイントとリスク
SPYは、S&P500指数に連動する世界最大級のETFです。1993年設立の世界初のS&P500連動ETFとして、圧倒的な流動性と長期的な実績を誇ります。
この銘柄の特徴:
- 正式名称: SPDR S&P 500 ETF Trust
- 運用会社: State Street Global Advisors(SSGA)
- 資産規模: 6,000億ドル超
- 経費率: 0.095%
- 流動性: 1日平均311億ドル取引
- セクター配分: 情報技術35.6%、上位銘柄Nvidia、Microsoft、Apple
投資方法:
- 日本の主要証券会社(SBI、楽天、マネックス等)で1株から購入可能
- 最低投資額は約$580(2025年11月時点)
- NISA口座対応(成長投資枠)
- 東京証券取引所版(ティッカー1557)もあるが、米国版の方が流動性が高い
リスクと注意点:
- 為替リスク(円ドル変動)の影響を受ける
- 情報技術セクターへの集中(35.6%)により、テック株暴落時にポートフォリオ全体が影響を受ける
- UIT構造により株貸出や配当再投資ができず、VOO/IVVより数ベーシスポイント不利になる可能性
- 配当課税に注意(外国税額控除で軽減可能)
- 2024年は27%のリターンを記録したが、2025年も同様の上昇が続くとは限らない
次のアクション:
- VOO・IVVとの比較を行い、自分の投資スタイルに合ったETFを選択する
- 日本の証券会社で米国株口座を開設する
- ドルコスト平均法(定期的に一定額を投資)を活用して、市場変動リスクを平準化する
- 為替リスク・配当課税を理解した上で投資判断を行う
- NISA枠の活用を検討する
投資判断は必ず自己責任で行い、最新情報は公式サイトや証券会社の情報を確認してください。
