米国株AI関連ETFとは?注目される理由
近年、人工知能(AI)技術の急速な発展により、AI関連企業への投資が注目されています。「米国株AI関連ETFに投資したいけれど、どれを選べばいいか分からない」という日本人投資家の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、米国株AI関連ETFの特徴、主要なETFの比較、選び方のポイント、日本からの購入方法、リスクと注意点を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- AI市場は2024年の1840億ドルから2030年に8267億ドルへ成長予測
- 主要なAI関連ETFにはAIQ、BOTZ、CHAT、ARKQ、AGIX等がある
- ETFは分散投資によりリスクを低減できる
- 日本の主要証券会社で買付手数料無料のAI関連ETFがある
- 同じ「AI ETF」でもパフォーマンスが大きく異なる(最大60%差)
(1) AI市場の急成長予測(2024年1840億ドル→2030年8267億ドル)
グローバルAI市場は急速に拡大しています。調査会社によると、AI市場規模は2024年の1840億ドルから2030年には8267億ドルへ成長すると予測されています。より広いAI分野全体では、2024年の2792億ドルから8年後に3.5兆ドル(年率31.5%成長)に達する見込みです。
この成長予測を背景に、AI関連企業へ分散投資できるETFが投資家から注目されています。ETFは個別株よりリスクを低減しながら、AI市場全体の成長に投資できる手段として人気が高まっています。
(2) AI関連ETFへの大量資金流入(2024年に200億ドル純流入)
2024年には、AI関連ETFに約200億ドルの純流入があり、うち約150億ドルが「AI」名称を含むETFへ流入しました。特にAIQ(Global X AI & Technology ETF)は70億ドル規模に成長し、年初来30億ドルの流入がありました。
この大量の資金流入は、投資家のAI技術への期待の高さを示しています。一方で、AI関連ETFは新規設定も相次いでおり、2024年にはKraneShares AGIX、BlackRock iShares BAI等、大手運用会社が続々とAI ETFを投入しています。
主要なAI関連ETFの特徴と比較
AI関連ETFには様々な種類があり、投資戦略や組入銘柄が大きく異なります。ここでは主要な5つのETFを紹介します。
(1) AIQ(Global X AI & Technology ETF):ソフトウェア重視・国際分散
AIQは2018年5月に開始された老舗のAI ETFで、運用資産総額(AUM)は約70億ドルです。約40%がソフトウェア企業、15%未満が半導体企業、30%が米国外企業で構成されており、国際分散が特徴です。
ソフトウェアに重点を置いているため、AI技術の実用化フェーズで恩恵を受けやすい構成となっています。経費率は比較的低く、長期保有に適していると言われています。
(2) BOTZ(Global X Robotics & AI ETF):ロボティクス重視
BOTZは、AIとロボティクスに特化したETFで、AUMは約30億ドルです。AIQよりロボティクス関連企業の比重が高く、産業用ロボット、自動化技術等に投資しています。
製造業の自動化、物流の効率化等、AIの物理的な応用分野への投資を重視する投資家に適していると言われています。
(3) CHAT(Roundhill Generative AI & Technology ETF):生成AI特化・アクティブ運用
CHATは生成AI(Generative AI)に特化したアクティブ運用ETFです。約42-50銘柄を保有し、上位5銘柄で約26.6%を占めます。主な保有銘柄はNvidia、台湾セミコンダクター、Alphabet、Microsoft、Meta等です。
アクティブ運用のため、ファンドマネージャーが市場環境に応じて銘柄を入れ替えます。指数連動型ETFより柔軟な対応が可能ですが、経費率はやや高めです。
(4) ARKQ(Ark Autonomous Technology and Robotics ETF):自律技術・アクティブ運用
ARKQはアクティブ運用のロボティクス・AI ETFで、自律技術(自動運転、ドローン等)に投資しています。2025年にはマグニフィセント・セブン(Apple、Microsoft、Google、Amazon、Meta、Tesla、Nvidiaの7社)の3倍以上のリターンを達成したと報じられています。
ハイリスク・ハイリターンの投資戦略を採用しており、積極的な成長を目指す投資家に適していると言われています。
(5) AGIX(KraneShares AI & Technology ETF):2024年新登場
AGIXは2024年7月に開始された新しいAI ETFです。クラウドコンピューティング、半導体(Nvidia、Broadcom)、AIソフトウェアに投資しています。新しいETFのため、実績は限定的ですが、大手運用会社KraneSharesの参入として注目されています。
AI関連ETFの選び方のポイント
AI関連ETFを選ぶ際には、以下の3つのポイントを確認することが推奨されます。
(1) AIバリューチェーンのどの層に投資するか(インフラ・ソフトウェア・サービス)
AI技術は、生成AI(Generative AI)、AIインフラ(データセンター、半導体)、AIソフトウェア、AIサービスの4つのレイヤーで構成されています。これを「AIバリューチェーン」と呼びます。
2024年はAIインフラ(半導体、Nvidia等)が大きく成長しました。2025年以降はAIソフトウェア企業が次の恩恵を受けるとの予測があります。どの層に投資するかを明確にすることで、自分の投資戦略に合ったETFを選べます。
(2) アクティブ運用 vs インデックス型の違い
アクティブ運用ETF(CHAT、ARKQ等)は、ファンドマネージャーが銘柄選択・売買を行います。市場環境に応じて柔軟に対応できますが、経費率がやや高めです。
インデックス型ETF(AIQ等)は、特定の指数に連動するように機械的に運用されます。経費率が低く、長期保有に適していると言われています。
(3) 経費率(Expense Ratio)とAUM(運用資産総額)の確認
経費率はETFの年間運用コストです(例: 0.68%)。長期保有では、経費率の違いがリターンに大きく影響します。一般的に、経費率が低いETFほど長期投資に有利とされています。
AUM(運用資産総額)が大きいETFは流動性が高く、取引しやすいと言われています。
日本から米国株AI関連ETFを購入する方法
日本からAI関連ETFを購入するには、米国株取引が可能な証券会社で口座を開設する必要があります。
(1) 主要証券会社の取扱い状況(楽天証券・SBI証券・マネックス証券)
日本の主要証券会社では、米国株AI関連ETFを取り扱っています。楽天証券、SBI証券、マネックス証券が主要な選択肢です。
各社とも取引ツールのUI/UX、情報提供量、手数料体系に違いがあります。自分の投資スタイルに合った証券会社を選ぶことが推奨されます。
(2) 買付手数料無料ETFの活用
楽天証券やSBI証券では、一部のAI関連ETF(AIQ、BOTZ等)を買付手数料無料の指定ETFとして取り扱っています。これにより、コストを削減して長期保有に有利になります。
手数料無料の対象ETFは証券会社により異なるため、各社の公式サイトで最新情報を確認することが推奨されます。
(3) NISA口座での購入可否
NISA口座では、米国株ETFも非課税対象となります。主要証券会社はすべてNISA口座での米国株取引に対応しています。
ただし、NISA口座には年間投資枠の上限があるため、計画的に活用することが推奨されます。
AI関連ETFのリスクと注意点
AI関連ETFには、以下のリスクと注意点があります。投資判断の際には、これらのリスクを理解することが重要です。
(1) 同じ「AI ETF」でもパフォーマンスが大きく異なる(最大60%差)
2024年には、同じ「AI ETF」名称でも最大60%のパフォーマンス差が発生したと報じられています。これは、構成銘柄や運用方針が大きく異なるためです。
ETFの名称だけで判断せず、構成銘柄、運用方針、経費率等を必ず確認することが推奨されます。
(2) AI技術の進化が速く製品の陳腐化リスクがある
AI分野は急速に発展しており、競争が激化しています。一時的に優位な企業も短期間で追い抜かれる可能性があります。また、現在の製品・サービスが短期間で時代遅れになるリスクもあります。
このため、長期投資の視点で分散投資することが推奨されます。
(3) テーマ型ETFのセクター集中リスク
AI関連ETFは「テーマ型ETF」と呼ばれ、特定のセクター(テクノロジー、半導体等)に集中する傾向があります。セクター全体が不調の場合、ETF全体のパフォーマンスが悪化する可能性があります。
S&P500等の幅広い分散投資と組み合わせることで、リスクをバランスさせることが推奨されます。
まとめ:AI関連ETFで長期分散投資を実現
米国株AI関連ETFは、AI市場の成長に分散投資できる手段として注目されています。AIQ、BOTZ、CHAT、ARKQ、AGIX等、様々なETFがあり、それぞれ投資戦略や組入銘柄が異なります。
次のアクション:
- 自分の投資戦略に合ったETFを選ぶ(インフラ重視かソフトウェア重視か、アクティブ運用かインデックス型か)
- 主要証券会社の公式サイトで取扱いETF、手数料、NISA対応を確認する
- 少額から始めて、長期分散投資を実践する
- AI市場のリスク(技術進化の速さ、セクター集中等)を理解し、S&P500等と組み合わせる
AI技術は今後も発展が見込まれますが、投資判断は自己責任で行うことが重要です。最新の情報を確認し、専門家への相談も検討しましょう。
