米国株取引にかかる手数料の基本
米国株投資を始めたいと考えているものの、「手数料が高そう」「どこの証券会社が安いのかわからない」と悩んでいませんか?
実は、証券会社によって手数料体系は大きく異なります。最安値と最高値の証券会社では、1回の取引で2,000円以上の差が生じることもあり、証券会社選びは投資成果に直結します。
この記事では、日本の主要ネット証券6社の米国株取引手数料を徹底比較し、あなたに合った証券会社の選び方を解説します。
この記事のポイント:
- NISA口座ならSBI証券・楽天証券・松井証券が売買手数料・為替手数料ともに無料
- 通常口座でも、moomoo証券やDMM株など大手の0.495%より大幅に安い選択肢がある
- 売買手数料だけでなく為替手数料を含めたトータルコストで比較することが重要
- 投資金額別のシミュレーションで自分に合った証券会社がわかる
(1) なぜ米国株の手数料に注目すべきか
米国株投資では、日本株にはない「為替手数料」が発生します。また、売買手数料も証券会社により0.088%〜0.495%と大きな差があります。
例えば、100万円分の米国株を購入する場合、手数料の違いだけで数千円の差が生じます。長期的に投資を続けると、この差はさらに大きくなります。
(2) 手数料が投資成果に与える影響
手数料は投資成果を直接減少させます。年間に複数回取引を行う場合、手数料の積み重ねは無視できません。
特に少額投資から始める場合、手数料率が高いと実質的なリターンが大幅に削られるため、手数料の低い証券会社を選ぶことが重要です。
手数料の種類と仕組み(売買手数料・為替手数料・その他)
米国株投資にかかる手数料は大きく3種類に分けられます。
(1) 売買手数料(約定代金の何%か)
売買手数料は、株式を売買する際に証券会社に支払う手数料です。多くの証券会社では約定代金の0.088〜0.495%程度に設定されています。
主な証券会社の売買手数料(通常口座):
- moomoo証券: 0.132%(最低手数料なし)
- Webull証券: 0.220%
- DMM株: 無料
- SBI証券・楽天証券・マネックス証券: 0.495%(上限22ドル)
NISA口座の場合: SBI証券・楽天証券・松井証券では、NISA口座での米国株取引手数料が無料となっています。
(2) 為替手数料(円⇔ドル両替コスト)
為替手数料は、日本円を米ドルに両替する際にかかる手数料です。証券会社により無料〜片道25銭/ドル程度と幅があります。
2024年の動向:
- SBI証券: 2024年12月から為替手数料を無料化
- 楽天証券: NISA口座では無料、通常口座でも条件により無料
- 従来型の証券会社: 片道25銭程度
為替手数料は往復で発生するため、円からドルに両替する際と、売却後にドルから円に戻す際の両方でコストがかかります。
(3) その他のコスト(SEC手数料・ADR管理費用等)
SEC手数料は米国証券取引委員会が徴収する規制費用で、売却時に約定代金の0.00278%程度が課されます。また、米国預託証券(ADR)を保有する場合、年間で管理費用が発生することがあります。
これらは証券会社が独自に設定する手数料ではなく、米国市場の規制により発生するコストです。
主要ネット証券6社の手数料比較
日本の主要ネット証券6社の手数料を詳しく比較します。
(1) 売買手数料の比較(通常口座・NISA口座別)
通常口座:
- moomoo証券: 0.132%(業界最安水準)
- Webull証券: 0.220%
- DMM株: 無料
- SBI証券: 0.495%(上限22ドル)
- 楽天証券: 0.495%(上限22ドル)
- マネックス証券: 0.495%(上限22ドル)
NISA口座:
- SBI証券: 無料
- 楽天証券: 無料
- 松井証券: 無料
- その他の証券会社: 通常口座と同じ手数料体系の場合が多い
(2) 為替手数料の比較
無料:
- SBI証券(2024年12月〜)
- 楽天証券(NISA口座)
片道25銭程度:
- 従来型の大手証券会社
為替手数料は証券会社により大きく異なるため、売買手数料だけでなくトータルコストで比較することが重要です。
(3) 投資金額別シミュレーション(10万円・50万円・100万円)
10万円投資の場合(1ドル=150円と仮定):
- moomoo証券(通常口座): 売買132円 + 為替約167円 = 約299円
- SBI証券(NISA口座): 売買0円 + 為替0円 = 0円
- 大手証券(通常口座): 売買495円 + 為替約167円 = 約662円
50万円投資の場合:
- moomoo証券(通常口座): 売買660円 + 為替約833円 = 約1,493円
- SBI証券(NISA口座): 0円
- 大手証券(通常口座): 売買2,475円 + 為替約833円 = 約3,308円
100万円投資の場合:
- moomoo証券(通常口座): 売買1,320円 + 為替約1,667円 = 約2,987円
- SBI証券(NISA口座): 0円
- 大手証券(通常口座): 売買4,950円 + 為替約1,667円 = 約6,617円
(※為替手数料は片道25銭で計算、実際の手数料は各証券会社の公式サイトでご確認ください)
為替手数料の重要性と節約方法
為替手数料は見落とされがちですが、長期投資では大きなコストとなります。
(1) 為替手数料が無料の証券会社
2024年以降、SBI証券や楽天証券(NISA口座)など、為替手数料を無料化する証券会社が増えています。これは日本の証券業界における手数料競争の激化を示しています。
為替手数料が無料の証券会社を選ぶことで、特に頻繁に取引を行う投資家はコストを大幅に削減できます。
(2) 為替手数料が高い証券会社との差額
為替手数料が片道25銭の証券会社と無料の証券会社を比較すると、100万円の投資で往復約3,334円の差が生じます。
年間に複数回取引を行う場合、この差はさらに拡大します。
(3) ドル転のタイミングと方法
為替手数料を節約する方法として、円高のタイミングで事前に米ドルに両替しておく「ドル転」があります。
ドルで保有しておけば、株式を売買する際に為替手数料が発生しません。ただし、為替リスクは常に存在するため、為替レートの変動には注意が必要です。
隠れコストと確認ポイント
売買手数料と為替手数料以外にも、確認すべきコストがあります。
(1) 最低手数料の有無
一部の証券会社では最低手数料が設定されている場合があります。少額投資の場合、最低手数料の有無が実質的な手数料率を大きく左右します。
moomoo証券やDMM株など、最低手数料なしの証券会社は少額投資に適していると言えます。
(2) 注文執行価格(スプレッド)
手数料が無料でも、注文執行価格(買値と売値の差)で実質的なコストが発生する可能性があります。
特に、取引量の少ない銘柄ではスプレッドが大きくなる傾向があります。
(3) SEC手数料・ADR管理費用
SEC手数料は売却時に約定代金の0.00278%程度が課されます。また、ADR(米国預託証券)を保有する場合、年間で管理費用が発生することがあります。
これらは証券会社が設定する手数料ではなく、米国市場の規制により発生するコストです。
まとめ:あなたに合った証券会社の選び方
米国株投資では、売買手数料だけでなく為替手数料を含めたトータルコストで証券会社を比較することが重要です。
証券会社選びのポイント:
- NISA口座を活用する場合: SBI証券・楽天証券・松井証券が売買手数料・為替手数料ともに無料でおすすめ
- 通常口座で取引する場合: moomoo証券(0.132%)やDMM株(無料)が低コスト
- 為替手数料を重視する場合: SBI証券(2024年12月〜無料)や楽天証券が有利
- 少額投資から始める場合: 最低手数料なしの証券会社を選ぶ
次のアクション:
- まずは各証券会社の公式サイトで最新の手数料を確認する
- NISA口座の開設を検討する
- 自分の投資金額・取引頻度に合った証券会社を選ぶ
手数料の違いは長期的に見ると大きな差となります。自分に合った証券会社で、賢く米国株投資を始めましょう。
※本記事の手数料情報は執筆時点のものです。最新の手数料は各証券会社の公式サイトでご確認ください。
