米国株の時間外取引を徹底解説|プレ・アフターマーケットの仕組みとリスク

著者: Single Stock編集部公開日: 2025/11/17

米国株の時間外取引とは

米国株を保有している日本人投資家の中には、「決算発表の直後に取引したい」「通常取引時間外の値動きを確認したい」というニーズを持つ方が増えています。米国株の時間外取引(プレマーケット・アフターマーケット)を活用すれば、日本時間の日中に米国株を取引することも可能です。

この記事では、米国株の時間外取引の仕組み、メリットとリスク、日本の証券会社別の対応状況まで詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • プレマーケットは米国時間4:00-9:30 AM(日本時間17:00-23:30)、アフターマーケットは米国時間4:00-8:00 PM(日本時間5:00-9:00)
  • 2024年11月以降、Charles Schwabで24時間取引が可能になり、日中の昼休みや通勤時間に取引できる
  • 時間外取引は指値注文のみ可能(成行注文は不可)
  • 流動性が低く、ビッド・アスクのスプレッドが$0.10-0.50に広がるリスクあり
  • マネックス証券(日本時間20:00-)、moomoo証券(24時間取引)、松井証券(業界最速17:00-)が対応

(1) プレマーケットとアフターマーケット

米国株の時間外取引には、以下の2種類があります:

  • プレマーケット(Pre-Market Trading): 通常取引開始前の時間外取引(米国時間4:00-9:30 AM / 日本時間17:00-23:30)
  • アフターマーケット(After-Hours Trading / Post-Market Trading): 通常取引終了後の時間外取引(米国時間4:00-8:00 PM / 日本時間5:00-9:00)

通常取引時間は米国時間9:30 AM-4:00 PM(日本時間23:30-6:00、夏時間は22:30-5:00)です。時間外取引を活用すれば、決算発表直後や重要ニュース後にすぐ取引できます。

(出典: Charles Schwab「How Does After-Hours Trading Work?」https://www.schwab.com/learn/story/after-hours-trading-will-it-work-you)

(2) 24時間取引(24/5 trading)の登場

2024年11月、Charles Schwabが全顧客向けに24時間取引(24/5 trading)を開始しました。S&P500、NASDAQ100の全銘柄と数百のETFが、米国時間日曜夜から金曜夜まで24時間取引可能です。

最も活発な時間帯は米国時間8-9 PM(日本時間朝10-11時)と3-4 AM(日本時間夕方5-6時)で、日本の投資家は日中の昼休みや通勤時間に米国株を取引できるメリットがあります。

(出典: Charles Schwab「Schwab Makes Expanded 24-Hour Trading Available to All Clients」https://pressroom.aboutschwab.com/press-releases/press-release/2025/Schwab-Makes-Expanded-24-Hour-Trading-Available-to-All-Clients/default.aspx)

時間外取引の仕組みと取引可能時間

(1) プレマーケット(米国時間4:00-9:30 AM / 日本時間17:00-23:30)

プレマーケットは、米国市場の通常取引開始前に取引できる時間帯です。日本時間では17:00-23:30(夏時間は21:00-22:30)となり、日本の夕方から夜にかけて取引できます。

決算発表は多くの場合、引け後(After Market Close)または寄り前(Before Market Open)に行われるため、プレマーケットで決算発表直後の銘柄を取引できます。

(2) アフターマーケット(米国時間4:00-8:00 PM / 日本時間5:00-9:00)

アフターマーケットは、米国市場の通常取引終了後に取引できる時間帯です。日本時間では5:00-9:00(夏時間は6:00-10:00)となり、日本の早朝に取引できます。

米国市場の通常取引終了直後に発表されるニュースや決算に対して、すぐに対応できるメリットがあります。

(3) 指値注文のみ(成行注文は不可)

時間外取引では、**指値注文(Limit Order)**のみが可能で、成行注文は使えません。流動性が低く値動きが激しいため、必ず希望価格を指定して注文する必要があります。

時間外取引のメリットとリスク

(1) メリット:決算発表直後の取引、ニュースへの即応

時間外取引の主なメリットは以下の通りです:

  • 決算発表直後の取引: 決算発表が引け後に行われる場合、プレマーケットで好決算銘柄を購入すれば、通常取引開始時の高値掴みを回避できる
  • ニュースへの即応: 重要なニュースや規制変更に対して、すぐに対応できる
  • 日本時間の日中に取引可能: 24時間取引を利用すれば、日本の昼休みや通勤時間に米国株を取引できる

(出典: Questrade「Pre-Market & After-Hours Trading Playbook」https://www.questrade.com/learning/pre-post-market-trading-guide)

(2) リスク:流動性低下、スプレッド拡大

時間外取引には以下のリスクがあります:

  • 流動性が低い: 売買が少なく、希望価格で約定しない可能性がある
  • ビッド・アスクのスプレッドが拡大: 通常時間は$0.01差が、時間外では$0.10-0.50差になることもある
  • 限定的な銘柄: すべての銘柄が時間外取引できるわけではない

(出典: Questrade「Pre-Market & After-Hours Trading Playbook」https://www.questrade.com/learning/pre-post-market-trading-guide)

(3) 時間外の株価変動は±10-20%も

時間外取引の株価変動は通常時間より激しく、大口注文1つで株価が数%動く可能性があります。特にプレマーケットの決算発表直後は±10-20%の変動も珍しくありません。

時間外の株価は通常取引開始時に変動する場合があり、ギャップアップ・ギャップダウンが発生する可能性があります。

日本の証券会社別:時間外取引対応状況

(1) マネックス証券(日本時間20:00-)

マネックス証券は、2024年11月より時間外取引を拡大し、日本時間20:00から取引可能になりました(プレマーケット2時間前倒し)。最大14時間の取引時間を提供しています。

(出典: マネックス証券「米国株時間外取引」https://info.monex.co.jp/us-stock/off-hours.html)

(2) moomoo証券(24時間取引、約6,000銘柄)

moomoo証券は、24時間取引サービスを提供しており、約6,000銘柄が取引可能です。手数料は通常と同じで追加費用なし。2024年米大統領選後、テスラが時間外で13%上昇した事例があります。

(出典: moomoo証券「米国株24時間取引」https://www.moomoo.com/jp/invest/24hourstrading)

(3) 松井証券(業界最速17:00-)

松井証券は、2025年7月7日より日本時間17:00からプレマーケット取引を開始し、業界最速の時間外取引を提供しています。日本の昼休みや通勤時間に米国株取引が可能です。

(出典: 松井証券「業界最速17時からの時間外取引」https://www.matsui.co.jp/news/2025/detail_0619_01.html)

(4) その他証券会社の対応状況

IG証券も時間外取引に対応しており、プレマーケット・アフターマーケットの取引時間を提供しています。

(出典: IG証券「米国株の時間外取引」https://www.ig.com/jp/shares/out-of-hours-shares)

時間外取引の活用シーンと注意点

(1) 決算発表直後のプレマーケット取引

決算発表が引け後に行われる場合、プレマーケットで好決算銘柄を購入すれば、通常取引開始時の高値掴みを回避できます。ただし、流動性が低いため、指値注文で希望価格を明確に指定する必要があります。

(2) 急騰銘柄の確認方法(株探、Investing.com)

時間外取引の出来高は通常時間の11%以上(2025年1月時点)まで拡大しています。主要な決算発表やニュース後は特に活発化するため、ランキングサイト(株探、Investing.com)で急騰銘柄を確認できます。

(出典: Cboe「Early Birds and Night Owls - How Extended Trading Hours are Reshaping U.S. Equities Markets」https://www.cboe.com/insights/posts/early-birds-and-night-owls-how-extended-trading-hours-are-reshaping-u-s-equities-markets-/)

(3) 時間外取引の出来高は通常時間の11%超

2025年1月時点で、米国の時間外取引が全取引量の11%超に拡大しています(2019年Q1の5%から倍増)。時間外取引は今後さらに拡大する見込みです。

(出典: Cboe「Early Birds and Night Owls - How Extended Trading Hours are Reshaping U.S. Equities Markets」https://www.cboe.com/insights/posts/early-birds-and-night-owls-how-extended-trading-hours-are-reshaping-u-s-equities-markets-/)

まとめ:時間外取引を使いこなす

米国株の時間外取引は、決算発表直後の取引やニュースへの即応に有効なツールです。ただし、流動性が低く、スプレッドが広がるリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

この記事のまとめ:

  • プレマーケットは米国時間4:00-9:30 AM(日本時間17:00-23:30)、アフターマーケットは米国時間4:00-8:00 PM(日本時間5:00-9:00)
  • 2024年11月以降、Charles Schwabで24時間取引が可能になり、日中の昼休みや通勤時間に取引できる
  • 時間外取引は指値注文のみ可能(成行注文は不可)
  • 流動性が低く、ビッド・アスクのスプレッドが$0.10-0.50に広がるリスクあり
  • マネックス証券(日本時間20:00-)、moomoo証券(24時間取引)、松井証券(業界最速17:00-)が対応

次のアクション:

  • 証券会社の時間外取引サービスを確認する
  • 保有銘柄の決算発表スケジュールを確認する
  • 指値注文の練習をする
  • 時間外取引の流動性リスクを理解する

時間外取引を活用して、米国株投資の選択肢を広げましょう。

よくある質問

Q1米国株の時間外取引は日本でできる?

A1マネックス証券、moomoo証券、松井証券など主要ネット証券で可能です。マネックス証券は日本時間20:00-、moomoo証券は24時間取引、松井証券は業界最速の17:00-から取引できます。証券会社により取引開始時間が異なります。

Q2時間外取引の手数料は高い?

A2moomoo証券は通常と同じ手数料で、追加費用なしが一般的です。他社も追加費用なしの場合が多いですが、証券会社の公式サイトで確認することをおすすめします。

Q3時間外取引の流動性リスクとは?

A3売買が少なく、ビッド(買値)とアスク(売値)のスプレッドが$0.10-0.50に広がり、希望価格で約定しない可能性があります。通常時間は$0.01差ですが、時間外では大きく広がるリスクがあります。

Q424時間取引とは?

A4Charles Schwab等で2024年11月開始の新サービスです。S&P500・NASDAQ100銘柄を週5日・24時間取引可能で、日本の昼休みや通勤時間に米国株を取引できます。最も活発な時間帯は米国時間8-9 PM(日本時間朝10-11時)と3-4 AM(日本時間夕方5-6時)です。

Q5時間外の株価は翌日の株価と同じ?

A5時間外の株価は通常取引開始時に変動する場合があり、ギャップアップ・ギャップダウンが発生する可能性があります。時間外の株価が翌日の株価を保証するものではありません。

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Single Stock編集部

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