米国株の買い方の基本|必要な準備と購入手順
「米国株を買いたいけれど、具体的な手順が分からない」「注文方法や取引時間、為替手数料が不安」という日本人投資家は多いのではないでしょうか。証券口座は開設済みでも、実際の米国株購入手順が分からず、最初の一歩を踏み出せない方は少なくありません。
この記事では、米国株の買い方の基本、SBI証券での購入手順、注文方法の選び方、円貨決済と外貨決済の違い、取引の注意点とリスクを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 米国株購入の4ステップ:①口座開設、②資金準備、③銘柄検索、④注文入力
- 外国株式取引口座の開設が必要(1-2営業日)、1株から購入可能(日本株は100株単位)
- 注文方法は成行・指値・逆指値があり、初心者は流動性の高い銘柄で成行、価格重視なら指値
- 円貨決済(円のまま購入)と外貨決済(事前にドル転)の違いを理解し、為替手数料を抑える
- NISA成長投資枠で売買手数料無料(SBI証券・楽天証券等)
(1) 米国株購入の4ステップ(口座開設→資金準備→銘柄検索→注文入力)
米国株を購入するには、以下の4ステップが必要です。
ステップ1: 米国株取扱証券会社で口座開設
- 日本の主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券等)で米国株取引が可能
- 総合口座に加えて、外国株式取引口座の開設が必要
- 申請後1-2営業日以内に開設(審査で不備がなければスムーズ)
ステップ2: 資金準備(円→ドル両替)
- 円貨決済(円のまま購入、自動両替)または外貨決済(事前にドル転)を選択
- 為替手数料は1ドルあたり0.25円程度(証券会社により異なる)
ステップ3: 銘柄検索
- ティッカーシンボル(例: AAPL=Apple、MSFT=Microsoft)で検索
- 株価、チャート、企業情報を確認
ステップ4: 注文入力
- 取引種類(買い・売り)、株数、価格(成行・指値)、決済方法(円貨・外貨)を入力
- 注文確認→約定→取引履歴で確認
この4ステップで、米国株の購入が完了します。
(2) 外国株式取引口座の開設が必要(1-2営業日)
米国株を取引するには、証券総合口座とは別に外国株式取引口座の開設が必要です。
外国株式取引口座の開設手順:
- 証券会社のWebサイトにログイン
- 「外国株式取引口座」または「米国株取引口座」の開設を申請
- 本人確認書類の提出(マイナンバーカード等)
- 審査(1-2営業日)
- 開設完了通知を受け取る
SBI証券では申請後1-2営業日以内に開設が完了します。審査で不備がなければ、スムーズに開設できます。
(3) 1株から購入可能(日本株は100株単位)
米国株は1株から購入可能です。日本株は100株単位での購入が基本ですが、米国株は少額から投資できます。
1株購入のメリット:
- 資金力が少ない個人投資家でも数千円から投資できる
- 複数銘柄に分散投資しやすい
- リスク管理がしやすい
例:
- Apple(AAPL): 約200ドル(約3万円)で1株購入可能
- Microsoft(MSFT): 約400ドル(約6万円)で1株購入可能
日本株の場合、100株単位での購入が必要なため、最低投資額が数十万円になることがありますが、米国株は少額から始められます。
SBI証券での米国株購入手順を図解
SBI証券を例に、米国株の具体的な購入手順を解説します。他社(楽天証券、マネックス証券、松井証券)の手順も簡潔に紹介します。
(1) ログイン→外国株式→銘柄検索
手順:
- SBI証券のWebサイトまたはアプリにログイン
- 「外国株式」または「米国株」メニューを選択
- 銘柄検索欄にティッカーシンボル(例: AAPL)を入力
- 銘柄詳細ページが表示される
銘柄詳細ページでは、現在の株価、チャート、企業情報、ニュースが確認できます。
(2) 注文画面で取引種類・株数・価格・決済方法を入力
注文入力項目:
- 取引種類: 買い(または売り)
- 株数: 購入したい株数(1株から)
- 注文方法: 成行注文(価格指定なし)または指値注文(希望価格を指定)
- 決済方法: 円貨決済(円のまま購入)または外貨決済(ドルで購入)
- 取引期間: 当日中、週末まで等(証券会社により異なる)
入力例:
- 銘柄: Apple(AAPL)
- 取引種類: 買い
- 株数: 10株
- 注文方法: 成行注文
- 決済方法: 円貨決済
(3) 注文確認→約定→取引履歴で確認
手順:
- 注文内容を確認(銘柄、株数、注文方法、決済方法)
- 「注文する」ボタンをクリック
- 注文が証券取引所に送信される
- 約定(注文が成立)すると、メール通知またはマイページに表示される
- 「注文照会」「取引履歴」で約定価格、株数、手数料を確認
約定後は、保有銘柄として「ポートフォリオ」または「保有資産」に表示されます。
(4) 他社比較(楽天証券・マネックス証券・松井証券の手順も簡潔に紹介)
他社の米国株購入手順も基本的に同じです。
楽天証券:
- 「iSPEED」アプリまたはPC版取引サイトにログイン
- 「外国株式」→銘柄検索→注文入力
- NISA成長投資枠で手数料無料
マネックス証券:
- 「米国株取引」メニューにログイン
- 銘柄検索→注文入力
- 米国株情報・分析ツールが充実
松井証券:
- 「米国株取引」メニューにログイン
- 銘柄検索→注文入力
- シンプルなUI(ユーザーインターフェース)
各証券会社とも、基本的な手順は同じです。操作画面の見た目やサービス内容に違いがあるため、自分に合った証券会社を選択することが推奨されます。
注意: 最新の操作方法は各社公式サイトでご確認ください。画面デザインや機能は更新される場合があります。
注文方法の選び方(成行・指値・逆指値)
米国株の注文方法には、成行注文、指値注文、逆指値注文の3種類があります。それぞれの特徴と使い分けを解説します。
(1) 成行注文:即座に約定するが価格不確定
成行注文(Market Order)は、価格を指定せず、現在の市場価格で即座に約定する注文方法です。
特徴:
- 即座に約定する(注文が成立する)
- 価格は市場状況で決定される(価格不確定)
- 流動性の高い銘柄(Apple、Microsoft等の大型株)では、表示価格と約定価格の差(スリッページ)が小さい
適した場面:
- 確実に購入したい場合(価格より約定を重視)
- 流動性の高い銘柄を取引する場合
(2) 指値注文:指定価格で取引、約定保証なし
指値注文(Limit Order)は、希望価格を指定して取引する注文方法です。
特徴:
- 指定価格(またはそれ以上有利な価格)で約定
- 約定保証なし(価格が指定価格に到達しない場合、約定しない)
- 価格を重視する投資家に適している
適した場面:
- 希望価格で購入したい場合(約定より価格を重視)
- 市場が大きく変動している場合(成行注文だと不利な価格で約定する可能性)
例:
- 現在の株価: 200ドル
- 指値注文: 195ドルで買い注文
- 株価が195ドル以下に下がった場合のみ約定
(3) 逆指値注文:損切り・利確に活用
逆指値注文(Stop Order、Stop-Loss Order)は、株価が一定の価格に到達した場合に自動的に注文を発動する方法です。
特徴:
- 損切り(ロスカット)や利確(利益確定)に活用
- 価格が指定価格に到達すると、成行注文または指値注文が発動
適した場面:
- 損切り: 保有株が一定以上下落した場合、自動的に売却(損失を限定)
- 利確: 保有株が一定以上上昇した場合、自動的に売却(利益を確定)
例(損切り):
- 保有株の現在価格: 200ドル
- 逆指値注文(売り): 180ドルに設定
- 株価が180ドル以下に下落した場合、自動的に売却注文が発動
(4) 初心者におすすめの注文方法(流動性の高い銘柄で成行、価格重視なら指値)
初心者におすすめの注文方法は、以下の通りです。
成行注文が推奨される場面:
- 流動性の高い銘柄(Apple、Microsoft、Amazon等の大型株)を取引する場合
- 確実に購入・売却したい場合
指値注文が推奨される場面:
- 希望価格で購入・売却したい場合
- 市場が大きく変動している場合(成行注文だと不利な価格で約定する可能性)
逆指値注文が推奨される場面:
- 損失を限定したい場合(損切り)
- 利益を確定したい場合(利確)
初心者は、まず成行注文または指値注文から始めることが推奨されます。
円貨決済と外貨決済の違いと選び方
米国株の購入時、円貨決済と外貨決済の2つの決済方法があります。それぞれの特徴と選び方を解説します。
(1) 円貨決済:円のまま購入、自動両替で為替手数料あり
円貨決済は、円のまま米国株を購入する方法です。証券会社が自動的に円をドルに両替します。
特徴:
- 手続きが簡単(円のまま購入できる)
- 証券会社が自動で為替交換
- 為替手数料がかかる(1ドルあたり0.25円程度)
メリット:
- 為替レートを気にせず購入できる
- 初心者に分かりやすい
デメリット:
- 為替手数料が発生(外貨決済より高い)
(2) 外貨決済:事前にドル転、為替手数料を抑えられる
外貨決済は、事前に円をドルに交換(ドル転)してから米国株を購入する方法です。
特徴:
- 事前に円→ドルの両替が必要
- 為替手数料を抑えられる場合がある(証券会社により異なる)
- 為替タイミングを自分で選択できる
メリット:
- 為替手数料を抑えられる(一括でドル転する場合)
- 為替レートが有利な時にドル転できる
デメリット:
- 手続きがやや複雑(事前にドル転が必要)
- 為替タイミングの判断が必要
(3) 為替手数料の計算例(1ドルあたり0.25円程度)
為替手数料の計算例を示します。
例:
- 購入金額: 10,000ドル(約150万円、1ドル=150円と仮定)
- 為替手数料: 1ドルあたり0.25円
- 合計為替手数料: 10,000ドル × 0.25円 = 2,500円
円貨決済の場合:
- 購入金額(円建て): 1,502,500円(150万円 + 2,500円)
外貨決済の場合:
- 事前にドル転(為替手数料2,500円)
- 米国株購入時の為替手数料は不要(既にドルを保有しているため)
為替手数料は証券会社により異なるため、各社の最新情報を確認することが推奨されます。
(4) NISA成長投資枠で手数料無料(SBI証券・楽天証券等)
2024年開始の新NISA制度では、NISA成長投資枠で米国株の売買手数料が無料になる証券会社が増加しています。
NISA成長投資枠の特徴:
- 年間投資上限: 240万円
- 売買手数料無料(SBI証券、楽天証券等)
- 譲渡益・配当金(日本での課税分)が非課税
対応証券会社:
- SBI証券: NISA成長投資枠で米国株売買手数料無料
- 楽天証券: NISA成長投資枠で米国株売買手数料無料
- マネックス証券: NISA対応(手数料体系は各社確認)
NISA口座を活用することで、手数料を抑えながら米国株投資ができます。
米国株取引の注意点とリスク
米国株取引には、値幅制限なし、配当の二重課税、為替リスク、取引時間などの注意点とリスクがあります。
(1) 値幅制限なし(ストップ高・ストップ安なし、急激な価格変動に注意)
米国株には値幅制限(ストップ高・ストップ安)がありません。
特徴:
- 1日の価格変動に上限・下限がない
- 急激な価格変動が発生する可能性がある
- 成行注文時は特に注意が必要
リスク:
- 成行注文で購入した場合、想定より高い価格で約定する可能性
- 決算発表、重要ニュース等で株価が急変動
対策:
- 指値注文を活用(希望価格を指定)
- 流動性の高い銘柄を選択(大型株)
(2) 配当の二重課税(米国10%+日本20.315%、外国税額控除で軽減可能)
米国株の配当金は、二重課税されます。
課税の流れ:
- 米国で10%源泉徴収
- 日本で20.315%課税(所得税15.315% + 住民税5%)
実質的な税負担: 約28%程度(米国10% + 日本の税率)
軽減方法: 確定申告で外国税額控除を申請することで、米国で課税された10%の一部を日本の所得税・住民税から差し引くことができます。ただし、手続きが必要です。
NISA口座の場合: NISA口座では日本での課税分(20.315%)が非課税になりますが、米国での10%源泉徴収は免除されません。
(3) 為替リスク(円高で円建て評価額減少)
米国株はドル建てで取引されるため、為替リスクがあります。
為替リスクの例:
- 購入時: 1ドル=150円
- 売却時: 1ドル=130円(円高)
- 株価が変わらなくても、円建ての評価額は約13%減少
対策:
- 長期投資を前提とする(為替変動は長期で平均化される傾向)
- 分散投資(米国株だけでなく、日本株、債券等にも投資)
(4) 取引時間(米国夏時間22:30-翌5:00、冬時間23:30-翌6:00)
米国株の取引時間は、日本時間の夜間〜早朝です。
取引時間:
- 米国夏時間(3月第2日曜日〜11月第1日曜日): 日本時間22:30-翌5:00
- 米国冬時間(11月第1日曜日〜3月第2日曜日): 日本時間23:30-翌6:00
プレマーケット・アフターマーケット: 一部の証券会社では、米国市場開場前(プレマーケット)や閉場後(アフターマーケット)の取引にも対応しています。ただし、流動性が低く、価格変動が大きい場合があります。
注意点: 取引時間が日本の夜間〜早朝のため、生活リズムに影響する可能性があります。リアルタイムで取引する必要がない場合、指値注文を活用することが推奨されます。
まとめ:米国株の買い方をマスターしよう
米国株の買い方は、①口座開設、②資金準備、③銘柄検索、④注文入力の4ステップです。外国株式取引口座の開設が必要ですが、1株から購入可能で、少額から投資できます。
次のアクション:
- 証券会社を選び、外国株式取引口座を開設する(SBI証券、楽天証券、マネックス証券等)
- 注文方法を理解する(成行・指値・逆指値の使い分け)
- 円貨決済と外貨決済の違いを理解し、為替手数料を抑える
- NISA成長投資枠を活用して手数料を抑える
- リスク(値幅制限なし、配当の二重課税、為替リスク)を理解する
米国株取引には注意点とリスクがあります。投資判断は自己責任で行うことが重要です。最新の情報を確認し、専門家への相談も検討しましょう。まずは少額から始めて、操作に慣れることが推奨されます。
