0. この記事でわかること
本記事では、コノコフィリップス(COP)について以下の情報を提供します:
- なぜ注目されているのか: 上流事業(探査・生産)に特化した世界最大級の独立系石油・天然ガス企業。LNG事業の戦略的拡大、220億ドルのMarathon Oil買収、大型プロジェクトによるキャッシュフロー増強が評価される一方、原油価格下落により株価は52週高値から20%下落
- 事業内容と成長戦略: 精製・化学事業を持たず、探査・生産(E&P)に特化。原油価格上昇時の利益率が高く、シェールオイル(米国パーミアン盆地)とLNG(カタール・豪州)が主力資産。2029年までに年間フリーキャッシュフローを60億ドル増加計画
- 競合との差別化: 石油メジャー(ExxonMobil、Chevron)と異なり、上流事業に特化。原油価格との相関が極めて高く、WTI 60ドル/バレル以上で高収益を実現。株主還元は配当+自社株買いで、フリーキャッシュフローの30%を配当に充当
- 財務・配当の実績: 配当利回り3-4%に加え、今後3年間で200億ドル超の自社株買いを計画。2025年度は株主還元100億ドル(営業キャッシュフローの45%)を予定
- リスク要因: 原油価格の下落(バンク・オブ・アメリカが目標株価を138ドルから107ドルに引き下げ)、環境規制(アラスカ北極圏開発への反対)、上流特化による価格変動リスクが懸念材料
(約320字)
1. なぜコノコフィリップス(COP)が注目されているのか
コノコフィリップスは、世界最大級の独立系石油・天然ガス探査・生産企業(E&P: Exploration & Production)です。精製・化学事業を持たず、上流(採掘)に特化することで、原油価格上昇時の利益率が高い点が特徴です。近年は、LNG事業の拡大と積極的な株主還元が投資家の注目を集めています。
(1) 成長戦略の3つのポイント
① LNG事業の戦略的拡大
カタール、オーストラリア、米国の主要LNG供給拠点に資産を配置し、2030年までに管理ポートフォリオを年間1,000〜1,500万トンに拡大する計画です。持分所有、引き取り契約、独自のOptimized Cascade®技術を活用し、LNG事業を全社戦略の重要な柱として位置づけています。
② 220億ドルのMarathon Oil買収完了
2024年にMarathon Oilの買収を完了し、日量約40万バレル相当の生産能力を追加しました。初年度から年間5億ドル以上のコスト・資本削減を実現し、2026年末までに全社で10億ドル以上のコスト削減とマージン改善を目標としています。この買収により、米国パーミアン盆地でのシェールオイル生産を大幅に強化しました。
③ 大型成長プロジェクトによるキャッシュフロー増強
カタール北部ガス田LNGプロジェクト、テキサス州ポートアーサープロジェクト、アラスカWillowプロジェクトにより、2029年までに年間フリーキャッシュフローを60億ドル増加(Marathon統合後は70億ドル)させる見込みです。これらのプロジェクトは、長期的な成長基盤を強化します。
(2) 注目テーマ(LNG・株主還元・エネルギー転換)
投資家が注目しているテーマは以下の3つです:
- LNG(液化天然ガス): 天然ガスを-162℃まで冷却して液化し、体積を1/600に圧縮して輸送します。脱炭素社会への移行期において、石炭から天然ガスへのエネルギー転換が進んでおり、2030年代までLNG需要は堅調との見方が一般的です。
- 株主還元・自社株買い: フリーキャッシュフローの30%を配当に充当し、残りを自社株買いに使用する方針です。今後3年間で200億ドル超の自社株買いを計画しており、1株当たり利益(EPS)の向上が期待されます。
- エネルギー転移・低炭素技術: 脱炭素政策への対応として、LNGへの移行、カーボンキャプチャー技術への投資を進めています。ただし、主力は依然として化石燃料であり、再生可能エネルギーへの大規模投資は限定的です。
(3) 投資家の関心・懸念点
関心点:
- アナリスト17名の平均目標株価は116.12ドルで、34.27%の上昇余地があるとされています(2025年10月時点)。
- コンセンサスは「強気買い」(買い15、保有2、売り0)で、総じて楽観的な評価です。
- 今後3年間で200億ドル超の自社株買いを計画し、今後数年間でS&P500上位25%の配当成長を目指しています。
- 利益は年率6.5%、EPSは年率9.6%の成長を予測し、3年後のROE(自己資本利益率)は15.1%を見込んでいます。
懸念点:
- 原油価格が年初来で10%以上下落し、株価は52週高値から20%下落、過去1年間で22%下落しています(エネルギーセクター全体の2倍の下落率)。
- バンク・オブ・アメリカは投資判断を買いから中立に引き下げ、目標株価を138ドルから107ドルに引き下げました。
- Q2 2025調整後EPSは1.42ドル(前年同期1.98ドル)に減少しており、原油価格下落の影響が顕著です。
- アラスカ北極圏での大規模探査計画に対し、環境保護団体からの反対が予想されます。ホッキョクギツネ、ジャコウウシ、カリブー、グリズリーなどの生態系への脅威が懸念されています。
将来性:
2025年度は日量234万〜238万バレル相当の生産、資本支出129億ドル、株主還元100億ドル(営業キャッシュフローの45%)を計画しています。ブレークイーブン価格(損益分岐点)は50ドル/バレルに低減しており、WTI原油価格が60ドル/バレル以上であれば高い収益性を発揮します。ただし、原油価格の変動リスクが大きく、短期的には不透明感が残ります。
2. コノコフィリップスの事業内容・成長戦略
コノコフィリップスは、2012年に下流精製事業をPhillips 66として分離独立し、上流事業(探査・生産)に特化した独立系エネルギー企業です。
(1) 主力事業
地域別生産拠点:
① Lower 48(米国本土48州)
米国パーミアン盆地、イーグルフォード、バッケンシェールでシェールオイル・シェールガスを生産しています。Marathon Oil買収により、日量150.8万バレル相当に拡大しました(Q2 2025時点)。
② アラスカ
アラスカ・ノーススロープ地区でプルドーベイ油田、アルパイン油田を操業。Willowプロジェクト(2029年生産開始予定)は、2020年以降最大の原油探査プロジェクトとされています。
③ カナダ
サーモント・オイルサンド(カナダ・アルバータ州)でビチューメン(超重質原油)を生産。ConocoPhillips 50%、TotalEnergies 50%のジョイントベンチャーです。
④ 欧州・中東・北アフリカ
北海(ノルウェー・英国)で原油・天然ガスを生産。ノルウェーはLNG輸出の主要拠点です。
⑤ アジア太平洋
豪州(ダーウィンLNG、APLNG)、インドネシア、中国で天然ガス・LNG事業を展開。APLNG(Australia Pacific LNG)はConocoPhillips 37.5%、Origin Energy 37.5%、Sinopec 25%のジョイントベンチャーです。
⑥ LNG事業
カタール北部ガス田(世界最大級)への参画、豪州ダーウィンLNG、APLNG、米国ポートアーサーLNGプロジェクトにより、2030年までに管理ポートフォリオを年間1,000〜1,500万トンに拡大する計画です。
(2) セクター・業種の説明
セクター: Energy(エネルギー)
業種: Oil, Gas & Consumable Fuels(石油・ガス・消費燃料)
エネルギーセクターは、原油・天然ガス価格との連動性が極めて高いセクターです。景気回復局面やインフレ期には原油価格が上昇し、エネルギー株のパフォーマンスが向上する傾向があります。逆に景気後退期には原油価格が下落し、エネルギー株は大幅に下落する可能性があります。
コノコフィリップスは「スーパーメジャー」(世界の石油・ガス産業を牛耳る国際石油資本6社)の1つとされています。ただし、精製・化学事業を持たない点で、ExxonMobil、Chevronなどとは異なります。
(3) ビジネスモデルの特徴
① 上流事業への特化
2012年に下流精製・販売部門をPhillips 66として分離し、上流事業(探査・生産)に特化しました。これにより、原油価格上昇時の利益率が高い一方、原油価格下落時の影響も大きくなります。
② ブレークイーブン価格の低減
ブレークイーブン価格(損益分岐点)を50ドル/バレルに低減しており、WTI原油価格が60ドル/バレル以上であれば高い収益性を発揮します。シェールオイルの生産コスト削減、効率化により、低価格環境でも利益を確保できる体質に改善しました。
③ 積極的な株主還元方針
株主還元方針は「配当+自社株買い」で、フリーキャッシュフローの30%を配当、残りを自社株買いに充当します。2025年度は株主還元100億ドル(営業キャッシュフローの約45%)を計画しており、今後3年間で200億ドル超の自社株買いを予定しています。
④ M&A戦略
積極的なM&Aにより、生産能力と資産ポートフォリオを拡大しています。主要買収は以下の通りです:
- 2020年: Concho Resources買収(シェールオイル生産拡大)
- 2024年: Marathon Oil買収(220億ドル、日量40万バレル相当の生産能力追加)
3. 競合との差別化
(1) 主要競合企業
石油・ガス産業の主要競合は以下の通りです:
① ExxonMobil: 世界最大の石油メジャー。上流(探査・生産)、下流(精製・販売)、化学事業を統合的に展開。多角化により、原油価格変動の影響を相対的に緩和。
② Chevron: 米国2位の石油メジャー。上流・下流を統合的に展開。シェールオイル、LNG、再生可能エネルギーに投資。
③ Shell(ロイヤル・ダッチ・シェル): 英蘭系石油メジャー。LNG、再生可能エネルギーへの投資を積極化。
④ BP(ブリティッシュ・ペトロリアム): 英国系石油メジャー。再生可能エネルギーへの移行を宣言し、2050年カーボンニュートラル目標を掲げる。
⑤ TotalEnergies: フランス系石油メジャー。再生可能エネルギー、電力事業への投資を拡大。
(2) 競合優位性
① 上流事業への特化
ExxonMobil、Chevronなどの総合石油メジャーと異なり、上流事業(探査・生産)に特化しています。これにより、原油価格上昇時の利益率が最も高いスーパーメジャーとなっています。ただし、原油価格下落時のリスクも最も大きくなります。
② LNG事業での戦略的ポジショニング
カタール北部ガス田(世界最大級)、豪州APLNG、米国ポートアーサーLNGへの参画により、LNG市場での存在感を高めています。Optimized Cascade®技術(LNG液化プロセスの効率化技術)を保有し、コスト競争力があります。
③ シェールオイルでの高シェア
米国パーミアン盆地、イーグルフォード、バッケンシェールで高シェアを持ち、Marathon Oil買収により生産能力をさらに拡大しました。シェールオイルは、在来型油田に比べて開発期間が短く、原油価格の変動に柔軟に対応できる利点があります。
④ 低コスト体質
ブレークイーブン価格を50ドル/バレルに低減しており、低価格環境でも利益を確保できます。Marathon買収による年間5億ドル超のコスト削減、2026年末までに全社で10億ドル超のコスト削減目標により、さらなる効率化を目指しています。
(3) 市場でのポジショニング
石油・ガス生産量: 日量234万〜238万バレル相当(2025年ガイダンス)で、スーパーメジャーの中で上位に位置します。ただし、ExxonMobil(日量380万バレル相当)、Chevron(日量310万バレル相当)に比べるとやや小規模です。
時価総額: 約1,000億ドル前後(2025年10月時点)で、ExxonMobil(約4,500億ドル)、Chevron(約2,800億ドル)に次ぐ規模です。
株主還元: 配当利回り3-4%に加え、積極的な自社株買いを実施しており、株主還元に注力しています。ExxonMobil、Chevronも同様の方針ですが、コノコフィリップスは自社株買いの比率が高い点が特徴です。
上流特化の利点とリスク: 原油価格上昇時の利益率が最も高い一方、原油価格下落時の影響も最も大きくなります。2024〜2025年の原油価格下落局面では、株価が大幅に下落しました。
4. 財務・配当の実績
(1) 売上高・利益の推移
過去5年間の財務データは以下の通りです(単位: 10億ドル):
会計年度 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | EPS | 配当/株 |
---|---|---|---|---|---|
2020 | 19.3 | -1.8 | -2.7 | -2.07 | 1.63 |
2021 | 48.3 | 15.5 | 8.1 | 6.22 | 1.74 |
2022 | 68.7 | 27.0 | 18.7 | 14.55 | 1.94 |
2023 | 56.5 | 18.8 | 10.8 | 8.75 | 2.18 |
2024 | 54.4 | 17.2 | 9.5 | 7.85 | 2.44 |
(出典: ConocoPhillips 10-K 2024, SEC EDGAR)
2025年度ガイダンス:
- 生産量: 日量234万〜238万バレル相当
- 資本支出: 129億ドル
- 株主還元: 100億ドル(営業キャッシュフローの約45%)
- 自社株買い: 今後3年間で200億ドル超
Q2 2025決算ハイライト:
- EPS: 1.56ドル
- 調整後EPS: 1.42ドル(前年同期1.98ドルから減少)
- 総生産量: 日量239.1万バレル相当
- Lower 48生産量: 日量150.8万バレル相当(Marathon統合効果)
原油価格の下落により、2025年Q2の調整後EPSは前年同期比で28%減少しました。
(2) 配当履歴
配当利回り: 約3-4%(2025年10月時点)
配当推移:
- 2020年: 1.63ドル/株
- 2021年: 1.74ドル/株(6.7%増)
- 2022年: 1.94ドル/株(11.5%増)
- 2023年: 2.18ドル/株(12.4%増)
- 2024年: 2.44ドル/株(11.9%増)
過去5年間で年率約10%の配当成長を実現しています。今後数年間でS&P500上位25%の配当成長を目指す方針です。
配当方針:
- フリーキャッシュフローの30%を配当に充当
- WTI原油価格が60ドル/バレル以上であれば、増配・自社株買い継続の公算
- 配当性向は変動的(原油価格連動)だが、WTI 50ドル/バレルでもブレークイーブン価格を維持
(3) 財務健全性
フリーキャッシュフロー: 2029年までに年間フリーキャッシュフローを60億ドル増加(大型プロジェクト効果、Marathon統合後は70億ドル増加)させる計画です。
自己資本比率・有利子負債: 2024年度の自己資本比率は約45-50%(推定)で、財務健全性は良好です。Marathon Oil買収により有利子負債が増加しましたが、原油価格が安定していれば返済は問題ないと評価されています。
営業キャッシュフロー: 2024年度は約200億ドル超のキャッシュフローを創出し、資本支出・配当・自社株買いを賄える水準です。
ROE(自己資本利益率): 3年後のROEは15.1%を見込んでおり、資本効率の高い経営を目指しています。
※2025年10月時点のデータです。最新情報はConocoPhillips公式IRページ(https://www.conocophillips.com/investor-relations/)をご確認ください。
5. リスク要因
(1) 事業リスク
① 原油価格の下落
上流事業に特化しているため、原油価格との相関が極めて高く、原油価格下落時のリスクが最も大きいスーパーメジャーです。2024〜2025年は原油価格が年初来で10%以上下落し、株価は52週高値から20%下落、過去1年間で22%下落しました(エネルギーセクター全体の2倍の下落率)。
バンク・オブ・アメリカは投資判断を買いから中立に引き下げ、目標株価を138ドルから107ドルに引き下げました。原油価格が50ドル/バレル以下で長期間推移すると、減配リスクが高まります。
② 環境規制とアラスカ北極圏開発への反対
2020年以降最大の原油探査をアラスカ北極圏で計画していますが、環境保護団体からの反対が予想されます。ホッキョクギツネ、ジャコウウシ、カリブー、グリズリーなどの生態系への脅威が懸念されており、訴訟リスクや開発遅延の可能性があります。
③ 脱炭素政策リスク
欧米各国が2050年カーボンニュートラル目標を掲げており、化石燃料への投資が長期的に抑制される可能性があります。ただし、LNGは石炭から天然ガスへのエネルギー転換において重要な役割を果たすとされ、2030年代までLNG需要は堅調との見方が一般的です。
(2) 市場環境リスク
① 原油需要の減少
世界経済の減速、電気自動車(EV)の普及、再生可能エネルギーへのシフトにより、原油需要が減少する可能性があります。特に中国経済の減速は、原油価格に大きな影響を与えます。
② 為替リスク
原油取引は米ドル建てであり、為替変動の影響は限定的です。ただし、円ベースの日本人投資家にとっては、円高・ドル安が進むと株価上昇のメリットが相殺されるリスクがあります。
③ 地政学リスク
中東情勢の緊迫化、ロシア・ウクライナ紛争、米中対立などの地政学リスクにより、原油価格が急騰・急落する可能性があります。短期的には原油価格上昇がプラスですが、長期的には供給網の混乱や需要減少につながる可能性があります。
(3) 規制・競争リスク
① 環境規制の強化
米国環境保護庁(EPA)、欧州連合(EU)などの環境規制が強化されると、操業コストが上昇し、利益率が圧迫される可能性があります。カーボンプライシング(炭素税)の導入も、コスト増加要因となります。
② OPEC+の減産・増産
OPEC+(石油輸出国機構とロシア等)の減産・増産により、原油価格が大きく変動します。OPEC+の減産により原油価格が上昇すると、コノコフィリップスの利益は増加しますが、OPEC+の増産により原油価格が下落すると、利益は減少します。
③ シェールオイル生産の競争激化
米国パーミアン盆地でのシェールオイル生産が競争激化すると、生産コストが上昇し、利益率が圧迫される可能性があります。ただし、Marathon買収によるコスト削減効果により、競争力は維持できると評価されています。
6. まとめ:投資判断のポイント
(1) この銘柄の強み
① 上流事業への特化による高い利益率
原油価格上昇時の利益率が最も高いスーパーメジャーであり、WTI 60ドル/バレル以上であれば高い収益性を発揮します。ブレークイーブン価格を50ドル/バレルに低減しており、低価格環境でも利益を確保できます。
② 積極的な株主還元(配当+自社株買い)
配当利回り3-4%に加え、今後3年間で200億ドル超の自社株買いを計画しており、株主還元に注力しています。フリーキャッシュフローの30%を配当に充当し、今後数年間でS&P500上位25%の配当成長を目指しています。
③ LNG事業の戦略的拡大
カタール北部ガス田、豪州APLNG、米国ポートアーサーLNGへの参画により、2030年までに管理ポートフォリオを年間1,000〜1,500万トンに拡大する計画です。脱炭素社会への移行期において、LNG需要は堅調との見方が一般的です。
(2) リスク要因(再掲)
① 原油価格の下落リスク
上流事業に特化しているため、原油価格下落時の影響が最も大きくなります。2024〜2025年は株価が52週高値から20%下落し、バンク・オブ・アメリカが目標株価を138ドルから107ドルに引き下げました。
② 環境規制と脱炭素政策リスク
アラスカ北極圏開発への反対、環境規制の強化、脱炭素政策により、長期的には化石燃料への投資が抑制される可能性があります。
(3) 向いている投資家
① インフレヘッジ・景気回復局面での投資先を求める投資家
原油価格上昇時の利益率が高く、インフレ期や景気回復局面で高いパフォーマンスを発揮する可能性があります。
② 高配当・株主還元を重視する投資家
配当利回り3-4%に加え、積極的な自社株買いにより、株主還元に注力しています。配当成長を重視する投資家に向いています。
③ 原油価格変動リスクを許容できる投資家
上流事業に特化しているため、原油価格との相関が極めて高く、短期的には株価変動が大きい可能性があります。長期的には、LNG需要の拡大と株主還元により、成長が期待されますが、投資判断はご自身で慎重に行ってください。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨や投資助言ではありません。投資判断は自己責任で行ってください。最新の財務データ、決算発表、原油価格情報は公式IRページ(https://www.conocophillips.com/investor-relations/)およびSEC EDGAR(https://www.sec.gov/)でご確認ください。
Q: コノコフィリップスの配当利回りは?
A: 約3-4%です(2025年10月時点)。株主還元は配当+自社株買いで、フリーキャッシュフローの30%を配当に充当し、残りを自社株買いに使用する方針です。過去5年間で年率約10%の配当成長を実現しており、今後数年間でS&P500上位25%の配当成長を目指しています。
Q: コノコフィリップスの主な競合は?
A: 石油メジャーのExxonMobil、Chevron、Shell、BP、TotalEnergiesが主要競合です。コノコフィリップスは上流事業(探査・生産)に特化しており、精製・化学事業を持たない点が差別化ポイントです。原油価格上昇時の利益率が最も高い一方、原油価格下落時のリスクも最も大きくなります。
Q: コノコフィリップスのリスク要因は?
A: 主なリスク要因は以下の通りです:
- 原油価格の下落(年初来10%以上下落、株価は52週高値から20%下落)
- 環境規制(アラスカ北極圏開発への反対、生態系への脅威)
- 脱炭素政策(化石燃料への投資抑制、2050年カーボンニュートラル目標)
- 上流特化による価格変動リスク(原油価格50ドル/バレル以下で減配リスク)
詳細は本文の「5. リスク要因」を参照してください。
Q: コノコフィリップスは長期投資に向いている?
A: インフレヘッジ・景気回復局面での投資先として注目されます。アナリスト17名の平均目標株価は116.12ドル(34.27%の上昇余地)で、コンセンサスは「強気買い」です。配当利回り3-4%に加え、今後3年間で200億ドル超の自社株買いを計画しており、株主還元に注力しています。ただし、原油価格変動リスクが大きく、上流事業に特化しているため、原油価格下落時の影響も最も大きくなります。長期的には、LNG需要の拡大と株主還元により成長が期待されますが、投資判断はご自身で慎重に行ってください。