S&P500

エクソンモービル (XOM)

Exxon Mobil Corp

0. この記事でわかること

本記事では、エクソンモービル(XOM)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: 2030年までに利益200億ドル増加・キャッシュフロー300億ドル増加の目標、Permian Basin生産を230万バレル/日に拡大(現在比18%増)、低炭素ソリューション事業への200億ドル超投資による事業転換
  • 事業内容と成長戦略: 探鉱・生産・輸送・精製・販売を自社で完結する垂直統合型ビジネスモデル、Guyana沖油田とPermian Basinでの生産拡大、炭素回収・貯蔵(CCS)・リチウム・水素事業への投資
  • 競合との差別化: Chevron、Shell、BPとの比較において、41年連続増配(1948年以降減配なし)、Permian BasinとGuyana沖油田での競争優位性、年間200億ドルの自社株買いによる株主還元
  • 財務・配当の実績: 2025年Q2利益71億ドル、配当利回り約3%、41年連続増配、2024年通年利益340億ドル(過去10年で3番目に高い水準)
  • リスク要因: 再生可能エネルギー移行による石油事業の成長性懸念、気候訴訟と株主権利制限、2025-2027年収益予測が年-0.7%減少、ESG投資の流れによる投資家離れ

投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事は情報提供のみを目的としています。

1. なぜエクソンモービル(XOM)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

エクソンモービル(XOM)は、世界最大級の石油・天然ガス企業として、化石燃料事業の拡大と低炭素ソリューションへの投資を両立させています。2025年10月時点で、以下の3つの成長戦略が投資家から注目されています。

1. Permian BasinとGuyana沖油田の大規模拡大

エクソンモービルは、2030年までにPermian Basin(米国テキサス州・ニューメキシコ州のシェールオイル地帯)の生産を230万バレル/日(現在の1.6倍)、Guyana沖油田の生産を130万バレル/日に拡大し、全体で18%の生産増加を計画しています。Permian Basinは、米国最大のシェールオイル産地で、低コストでの生産が可能なため、原油価格の変動に対する耐性が高い地域です。Guyana沖油田は、2015年に発見された大規模油田で、生産コストが1バレル当たり30ドル以下と低く、高い利益率が期待されています。

2. 低炭素ソリューション事業への投資強化

2027年までに200億ドル超を低炭素ソリューション事業に投資し、炭素回収・貯蔵(CCS)、リチウム、水素事業で2030年までに2024年比20億ドルの追加収益を目標としています。CCSは、産業施設や発電所から排出されるCO2を回収し、地下に貯蔵する技術で、石油・ガス企業が脱炭素化に貢献する手段として注目されています。リチウム事業では、アーカンソー州のスマックオーバー層で直接リチウム抽出技術を開発しており、2027年までに年間11万トンのリチウム生産を目指しています。水素事業では、英国Fawley水素精製施設を含む6つの新規プロジェクトを2025年に立ち上げ、低炭素燃料の供給拡大を進めています。

3. 6つの新規プロジェクトの2025年立ち上げ

2025年には、中国化学プラント、英国Fawley水素精製施設、シンガポール残渣油アップグレード、カナダ再生可能ディーゼル、米国先進プラスチックリサイクル施設など、過去5年分に相当する規模の6つの新規プロジェクトを立ち上げます。これにより、化学製品・精製事業の高付加価値化を推進し、原油生産以外の収益源を拡大します。

(2) 注目テーマ(LNG・CCS・シェールオイル/ガス)

LNG(液化天然ガス)

エクソンモービルは、Golden Pass LNG開発(米国テキサス州)とカタールNorth Field East拡張プロジェクトにより、2025年末から初出荷を予定しています。LNGは、石炭よりもCO2排出量が少なく、脱炭素化への移行期における主要なエネルギー源として世界的に需要が拡大しています。アジア・欧州への輸出により、収益拡大が期待されています。

Carbon Capture and Storage(CCS・炭素回収貯蔵)

CCS事業は、エクソンモービルの低炭素ソリューションの中核です。テキサス州・ルイジアナ州で年間1,300万トンのCO2貯蔵能力を持つプロジェクトを推進しており、2030年までに世界最大のCCS事業者となることを目指しています。企業や政府からのCO2削減需要が高まっており、長期的な収益源として位置付けられています。

シェールオイル・ガス

Permian Basinでのシェールオイル・ガス生産は、エクソンモービルの中核事業です。2023年10月にシェール大手Pioneer Natural Resourcesを約9兆円で買収したことで、Permian Basinでの生産能力がさらに拡大しました。シェールオイルは、従来型油田よりも開発期間が短く、原油価格の変動に柔軟に対応できる利点があります。

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心ポイント

アナリストコンセンサス評価は「Moderate Buy」(11 buy, 7 hold, 0 sell)で、平均目標株価は127.06ドル(現在から13.2%上昇、2025年10月時点)です。2030年までに利益200億ドル増加、キャッシュフロー300億ドル増加の目標が示されており、アナリスト予想を30%上回る利益を約束しています。また、41年連続増配(1948年以降減配なし)の実績と、年間200億ドルの自社株買いにより、配当投資家からの支持が厚いとされています。

投資家の懸念ポイント

しかし、再生可能エネルギー移行リスクと気候訴訟が懸念されています。2025-2027年の収益予測は年-0.7%の減少見込みで、石油事業の長期成長性に疑問が呈されています。ESG投資の拡大により、化石燃料企業への投資を回避する機関投資家が増えており、株価の上値を抑える要因となっています。

また、気候訴訟と株主権利制限が投資家から強い反発を受けています。エクソンモービルは、気候関連の株主提案を抑え込むための訴訟を起こしましたが、株主民主主義への脅威として批判されました。気候関連の株主提案は2021年以降8件提出され、3件が過半数の支持を獲得しており、株主との対立が深刻化しています。

さらに、2018年以降、配当と設備投資を新規借入で賄う傾向が強まり、財務戦略への疑問も指摘されています。フリーキャッシュフローが配当を十分にカバーできない場合、将来的に配当削減や増配停止のリスクがあります。

2. エクソンモービルの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業(探鉱・生産・精製・販売の垂直統合)

エクソンモービルの事業は、以下の垂直統合型ビジネスモデルで構成されています。

上流事業(Upstream: 探鉱・生産)

原油・天然ガスの探鉱・開発・生産を行う事業です。主要な生産地域は、Permian Basin(米国)、Guyana沖油田(南米)、カタール(中東)、ブラジル沖、アフリカ西岸(モーリタニア、ガーナ、ナミビア)などです。2025年の資本投資は270-290億ドルで、そのうち約半分が上流事業に配分されています。

中流事業(Midstream: 輸送・貯蔵)

原油・天然ガスをパイプライン、タンカー、LNG船で輸送し、貯蔵する事業です。エクソンモービルは、米国内の広範なパイプライン網と、世界各地のLNG輸出ターミナルを保有しています。

下流事業(Downstream: 精製・販売)

原油を精製してガソリン・軽油・ジェット燃料・化学製品に加工し、Esso、Mobil、Exxonブランドのガソリンスタンドやビジネス向けに販売する事業です。全世界に約37,000の給油所を展開しており、日本でもEMGマーケティング(エクソンモービル・グループ)が事業を展開しています。

化学事業(Chemical)

プラスチック原料(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、合成ゴム、潤滑油などの石油化学製品を製造・販売する事業です。自動車、包装、建設、電子機器など幅広い産業に供給しています。

(2) セクター・業種の説明(Energy - Oil, Gas & Consumable Fuels)

エクソンモービルは、Energy(エネルギー)セクターのOil, Gas & Consumable Fuels(石油・ガス・消耗燃料)業種に分類されます。このセクターは、以下の特性を持ちます。

原油価格・天然ガス価格に業績が連動

石油・ガス企業の収益は、原油価格と天然ガス価格に大きく影響されます。原油価格が上昇すると、上流事業の利益率が向上し、株価が上昇する傾向があります。一方、原油価格が下落すると、収益性が悪化します。

景気サイクルに敏感

経済成長期には、産業・運輸・個人消費でエネルギー需要が増加し、石油・ガス企業の業績が拡大します。景気後退期には、需要が減少し、業績が悪化します。

地政学リスクの影響

中東・ロシア・ベネズエラなど、産油国の政治情勢や国際紛争が原油供給と価格に影響を与えます。制裁措置や戦争により、供給が途絶えると原油価格が急騰するリスクがあります。

脱炭素化の流れによる長期リスク

再生可能エネルギー(太陽光、風力)や電気自動車の普及により、石油・ガスの需要が減少する懸念があります。欧州を中心に、化石燃料への投資を制限する動きが強まっており、長期的には事業縮小のリスクがあります。

(3) ビジネスモデルの特徴(垂直統合型・低炭素ソリューション投資)

エクソンモービルのビジネスモデルの特徴は、以下の3点です。

垂直統合型による収益の安定性

探鉱・生産・輸送・精製・販売を自社で完結することで、各段階の利益を取り込むことができます。原油価格が下落した場合でも、精製・販売事業の利益率が向上するため(原料コストが低下するため)、全体として収益の安定性が高まります。

低コスト生産による競争優位性

Permian BasinとGuyana沖油田は、生産コストが1バレル当たり30ドル以下と低く、原油価格が下落した場合でも利益を確保できます。シェールオイルは、開発期間が短く、原油価格の変動に柔軟に対応できるため、市況の変化に強いビジネスモデルです。

低炭素ソリューションへの投資による事業転換

CCS、リチウム、水素事業への200億ドル超の投資により、脱炭素化時代でも成長できる事業ポートフォリオを構築しています。化石燃料事業の収益を低炭素ソリューションに再投資し、長期的な競争力を維持する戦略です。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業(Chevron、Shell、BP等)

エクソンモービルの主要競合企業は、以下の通りです。

Chevron(シェブロン)

米国2位の石油・ガス企業で、時価総額・生産量ともにエクソンモービルに次ぐ規模です。Permian BasinとDJ Basin(コロラド州)でのシェールオイル生産、LNG事業(オーストラリア・Gorgonプロジェクト)に強みを持ちます。配当利回り約4%と、エクソンモービル(約3%)よりも高い配当を提供しています。

Shell(シェル)

英蘭系の石油・ガス企業で、LNG生産量世界1位、再生可能エネルギーへの投資も積極的です。2023年にはシンガポールでバイオディーゼル・持続可能航空燃料(SAF)の生産を開始し、脱炭素化への対応を進めています。

BP(英国石油)

英国最大の石油・ガス企業で、2020年に「カーボンニュートラル2050」を宣言し、再生可能エネルギーへの転換を加速しています。石油・ガス生産を縮小し、洋上風力、EV充電インフラに投資しています。

ConocoPhillips(コノコフィリップス)

米国3位の石油・ガス企業で、上流事業(探鉱・生産)に特化したビジネスモデルです。精製・販売事業を持たないため、原油価格の上昇局面では高い利益率を実現できます。

(2) 競合優位性(Permian Basin・Guyana沖油田・41年連続増配)

エクソンモービルの競合優位性は、以下の3点です。

Permian BasinとGuyana沖油田での生産能力

Permian Basinでの生産能力は、2023年のPioneer Natural Resources買収により約9兆円の投資を行い、業界トップクラスの規模に拡大しました。Guyana沖油田は、生産コストが1バレル当たり30ドル以下と低く、2030年までに130万バレル/日の生産を目指しています。低コスト生産により、原油価格の変動に対する耐性が高く、安定的な収益を確保できます。

41年連続増配の実績

1948年以降、一度も減配していない配当貴族銘柄です。配当利回り約3%と、Chevron(約4%)よりは低いものの、長期的な配当の安定性と増配実績が投資家から評価されています。年間200億ドルの自社株買いも継続しており、株主還元に積極的です。

低炭素ソリューション事業への大規模投資

2027年までに200億ドル超をCCS、リチウム、水素事業に投資し、2030年までに2024年比20億ドルの追加収益を目標としています。ShellやBPも低炭素事業に投資していますが、エクソンモービルは化石燃料事業の収益力を活かし、より大規模な投資を実施しています。

(3) 市場でのポジショニング(世界最大級の石油・ガス企業)

エクソンモービルは、時価総額約5,400億ドル(2025年10月時点)で、世界最大級の石油・ガス企業です。Chevron(約3,000億ドル)、Shell(約2,000億ドル)を上回る規模を持ちます。

市場でのポジショニングは、「化石燃料事業の拡大と低炭素ソリューションへの投資を両立する統合型エネルギー企業」として評価されています。ShellやBPが再生可能エネルギーへの転換を加速する中、エクソンモービルは石油・ガス生産を拡大しつつ、CCS・リチウム・水素などの低炭素技術に投資する戦略をとっています。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移(2025年Q2実績・2030年目標)

エクソンモービルの過去5年間の財務推移は以下の通りです(2025年10月時点の最新データ)。

年度 売上高(億ドル) 純利益(億ドル) EPS(ドル) FCF(億ドル)
2020 1,817 -222 -0.52 141
2021 2,856 230 5.38 480
2022 3,982 558 13.26 620
2023 3,441 360 8.60 440
2024 3,445 340 8.20 410

(出典: ExxonMobil 10-K Annual Report 2024)

2020年はコロナ禍による原油価格急落で赤字となりましたが、2021年以降は原油価格の回復により収益性が大幅に改善しました。2022年は原油価格高騰により過去最高益を記録しましたが、2023年以降は原油価格の安定化により利益が減少しています。2024年通年利益340億ドルは、過去10年で3番目に高い水準です。

2025年Q2の最新決算では、利益71億ドル(1株1.64ドル)、営業キャッシュフロー115億ドル、フリーキャッシュフロー54億ドルと堅調な業績を記録しました。

2030年目標

エクソンモービルは、2030年までに2024年比で利益200億ドル増加、キャッシュフロー300億ドル増加の目標を掲げています。コスト削減目標を180億ドルに引き上げ(2027年目標150億ドルから増額)、生産拡大と効率化により収益性の向上を目指しています。

(2) 配当履歴(41年連続増配・配当利回り約3%)

エクソンモービルは、41年連続増配(1948年以降減配なし)の実績を持つ配当貴族銘柄です。2025年10月時点の配当利回りは約3%です。

過去の配当履歴は以下の通りです。

年度 年間配当(ドル) 配当性向 増配率
2020 3.48 - 0.7%
2021 3.49 15% 0.3%
2022 3.68 7% 5.4%
2023 3.79 11% 3.0%
2024 3.99 12% 5.3%

(出典: Yahoo Finance - XOM)

配当性向(純利益に対する配当の割合)は、原油価格高騰により利益が急増した2021-2024年は7-15%と低く、十分な配当余力があります。増配率は年0.3-5.4%程度と安定的です。

(3) 財務健全性(フリーキャッシュフロー54億ドル・年間200億ドルの自社株買い)

エクソンモービルの財務健全性指標は以下の通りです(2025年Q2)。

  • フリーキャッシュフロー(FCF): 54億ドル(2025年Q2)
  • 営業キャッシュフロー: 115億ドル(2025年Q2)
  • 自社株買い: 年間200億ドル(2025年継続予定)
  • 総負債: 約400億ドル(2024年度)
  • ネット・デット: 約200億ドル(2024年度)

FCF54億ドルは、配当支払い(四半期約40億ドル)と自社株買い(四半期約50億ドル)を合わせると、やや不足しています。このため、2018年以降、配当と設備投資を新規借入で賄う傾向が強まっており、財務戦略への疑問が指摘されています。原油価格が下落した場合、FCFが減少し、配当削減や増配停止のリスクがあります。

一方、総負債約400億ドル、ネット・デット約200億ドルは、時価総額約5,400億ドルと比較すると低水準であり、財務健全性は高いと評価されています。

※2025年10月時点のデータです。最新情報はExxonMobil公式IRページをご確認ください。

5. リスク要因

(1) 事業リスク(気候訴訟と株主権利制限・ESG投資の流れ)

気候訴訟と株主権利制限

エクソンモービルは、気候関連の株主提案を抑え込むための訴訟を起こしましたが、投資家から強い反発を受けました。気候関連の株主提案は2021年以降8件提出され、3件が過半数の支持を獲得しており、株主との対立が深刻化しています。また、ルイジアナ州自治体から沿岸湿地回復費用請求訴訟が提起されており、気候変動による損害賠償請求のリスクが高まっています。

ESG投資の流れによる投資家離れ

ESG投資(環境・社会・ガバナンスを重視する投資)の拡大により、化石燃料企業への投資を回避する機関投資家が増えています。欧州投資家や沿岸州の年金基金は、気候変動・ガバナンス問題への注目を維持しており、株式売却や議決権行使により圧力をかけています。これにより、株価の上値が抑えられるリスクがあります。

配当と設備投資を新規借入で賄う財務戦略

2018年以降、FCFが配当と設備投資を十分にカバーできず、新規借入により資金を調達する傾向が強まっています。原油価格が下落した場合、FCFがさらに減少し、配当削減や増配停止のリスクがあります。

(2) 市場環境リスク(再生可能エネルギー移行・原油価格変動)

再生可能エネルギー移行による石油需要の減少

電気自動車の普及、太陽光・風力発電の拡大により、石油・ガスの需要が長期的に減少する懸念があります。国際エネルギー機関(IEA)は、2030年までに石油需要がピークを迎えると予測しており、エクソンモービルの石油事業の成長性に疑問が呈されています。

原油価格の変動リスク

エクソンモービルの収益は、原油価格に大きく依存します。原油価格が1バレル当たり50ドルを下回ると、収益性が大幅に悪化します。OPEC+(石油輸出国機構と協力国)の生産調整、中東の地政学リスク、世界経済の景気減速などにより、原油価格が急落するリスクがあります。

為替リスク

エクソンモービルは主に米ドルで事業を展開しているため、為替リスクは限定的ですが、日本人投資家にとっては円ドル為替の変動が円ベースのリターンに影響します。円高が進行すると、配当や株価の円換算額が減少します。

(3) 規制・競争リスク(2025-2027年収益予測が年-0.7%減少)

2025-2027年収益予測が年-0.7%減少

アナリストの予測では、2025-2027年の収益は年-0.7%の減少が見込まれています。原油価格の安定化、再生可能エネルギー移行、規制強化などにより、石油事業の成長性が鈍化する懸念があります。

環境規制の強化

欧州・米国の一部州では、炭素税の導入、化石燃料への投資制限、排出削減目標の強化などが進んでいます。規制が強化されると、コンプライアンスコストが増加し、収益性が圧迫されます。

競合との競争激化

Chevron、Shell、BPなどの競合も、Permian Basin、LNG、低炭素ソリューションに投資しており、競争が激化しています。市場シェアを維持するためには、継続的な設備投資とコスト削減が必要です。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み(41年連続増配・2030年までの利益200億ドル増加目標・低炭素ソリューション投資)

1. 41年連続増配の実績と配当利回り約3%

エクソンモービルは、1948年以降一度も減配していない配当貴族銘柄で、配当利回り約3%と安定的な配当を提供しています。年間200億ドルの自社株買いも継続しており、株主還元に積極的です。

2. Permian BasinとGuyana沖油田での低コスト生産

Permian BasinとGuyana沖油田は、生産コストが1バレル当たり30ドル以下と低く、原油価格の変動に対する耐性が高い地域です。2030年までに生産を18%拡大し、利益200億ドル増加、キャッシュフロー300億ドル増加の目標を掲げています。

3. 低炭素ソリューション事業への200億ドル超の投資

CCS、リチウム、水素事業への投資により、脱炭素化時代でも成長できる事業ポートフォリオを構築しています。2030年までに2024年比20億ドルの追加収益を目標としており、長期的な競争力を維持する戦略です。

(2) リスク要因(再生可能エネルギー移行リスク・気候訴訟・収益減少予測)

1. 再生可能エネルギー移行による石油需要の減少

2025-2027年の収益予測は年-0.7%の減少が見込まれており、石油事業の長期成長性に疑問が呈されています。ESG投資の流れにより、投資家離れが懸念されます。

2. 気候訴訟と株主権利制限

株主提案を抑え込むための訴訟が投資家から強い反発を受け、株主との対立が深刻化しています。気候変動による損害賠償請求のリスクも高まっています。

(3) 向いている投資家(高配当を求める長期投資家・エネルギーセクター成長を期待する投資家)

高配当を求める長期投資家

41年連続増配の実績と配当利回り約3%により、配当投資家に向いています。配当性向は7-15%程度と低く、配当余力は十分にあります。ただし、原油価格下落時にはFCFが減少し、配当削減のリスクがあるため、長期視点での投資が必要です。

エネルギーセクターの成長を期待する投資家

Permian BasinとGuyana沖油田での生産拡大、LNG事業の成長、低炭素ソリューションへの投資により、エネルギーセクターの長期成長を期待できる投資家に向いています。原油価格の変動リスクと再生可能エネルギー移行リスクを理解し、5〜10年の長期視点で投資できる投資家に適しています。

ESG投資を重視しない投資家

ESG投資の流れにより、化石燃料企業への投資を回避する機関投資家が増えています。エクソンモービルは、化石燃料事業を拡大しつつ低炭素ソリューションに投資する戦略をとっていますが、ESG評価は低い傾向にあります。ESG基準を重視しない投資家に向いています。

免責事項

本記事は情報提供のみを目的としており、個別銘柄の推奨や投資助言を行うものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。最新の財務データや株価情報は、ExxonMobil公式IRページやSEC EDGARで確認することをお勧めします。

Q: エクソンモービルの配当利回りは?

A: 2025年10月時点で、配当利回りは約3%です。41年連続増配(1948年以降減配なし)の実績があり、配当貴族銘柄として評価されています。配当性向は7-15%程度と低く、配当余力は十分にあります。ただし、原油価格下落時にはフリーキャッシュフローが減少し、配当削減のリスクがあるため、長期視点での投資が必要です。最新の配当実績は本文の財務セクションを確認してください。

Q: エクソンモービルの主な競合は?

A: Chevron、Shell、BP、ConocoPhillipsなどが主要競合です。エクソンモービルは、Permian BasinとGuyana沖油田での生産拡大、41年連続増配、低炭素ソリューション投資(CCS、リチウム、水素)で差別化しています。時価総額約5,400億ドルで、世界最大級の石油・ガス企業としてのポジションを確立しています。詳細は本文の競合との差別化セクションを参照してください。

Q: エクソンモービルのリスク要因は?

A: 主なリスク要因は、再生可能エネルギー移行による石油需要の減少、気候訴訟と株主権利制限、2025-2027年収益予測が年-0.7%減少、ESG投資の流れによる投資家離れです。また、原油価格の変動、環境規制の強化、配当と設備投資を新規借入で賄う財務戦略への懸念も挙げられます。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。

Q: エクソンモービルは長期投資に向いている?

A: 41年連続増配と配当利回り約3%により、高配当を求める長期投資家に向いています。2030年までに利益200億ドル増加の目標もありますが、再生可能エネルギー移行リスクと2025-2027年収益予測が年-0.7%減少に注意が必要です。原油価格の変動リスクを理解し、5〜10年の長期視点で投資できる投資家に適しています。ESG投資を重視しない投資家に向いています。投資判断はご自身で行ってください。

よくある質問

Q1エクソンモービルの配当利回りは?

A12025年10月時点で、配当利回りは約3%です。41年連続増配(1948年以降減配なし)の実績があり、配当貴族銘柄として評価されています。配当性向は7-15%程度と低く、配当余力は十分にあります。ただし、原油価格下落時にはフリーキャッシュフローが減少し、配当削減のリスクがあるため、長期視点での投資が必要です。最新の配当実績は本文の財務セクションを確認してください。

Q2エクソンモービルの主な競合は?

A2Chevron、Shell、BP、ConocoPhillipsなどが主要競合です。エクソンモービルは、Permian BasinとGuyana沖油田での生産拡大、41年連続増配、低炭素ソリューション投資(CCS、リチウム、水素)で差別化しています。時価総額約5,400億ドルで、世界最大級の石油・ガス企業としてのポジションを確立しています。詳細は本文の競合との差別化セクションを参照してください。

Q3エクソンモービルのリスク要因は?

A3主なリスク要因は、再生可能エネルギー移行による石油需要の減少、気候訴訟と株主権利制限、2025-2027年収益予測が年-0.7%減少、ESG投資の流れによる投資家離れです。また、原油価格の変動、環境規制の強化、配当と設備投資を新規借入で賄う財務戦略への懸念も挙げられます。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。

Q4エクソンモービルは長期投資に向いている?

A441年連続増配と配当利回り約3%により、高配当を求める長期投資家に向いています。2030年までに利益200億ドル増加の目標もありますが、再生可能エネルギー移行リスクと2025-2027年収益予測が年-0.7%減少に注意が必要です。原油価格の変動リスクを理解し、5〜10年の長期視点で投資できる投資家に適しています。ESG投資を重視しない投資家に向いています。投資判断はご自身で行ってください。