S&P500

フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト (FRT)

Federal Realty Investment Trust

0. この記事でわかること

本記事では、フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト(FRT)について以下の情報を提供します:

  • なぜ注目されているのか: 56年連続増配の配当貴族銘柄、厳選買収戦略(カンザスシティ新規参入)、プレミアム市場とテナントミックスへの注力
  • 事業内容と成長戦略: 高級ショッピングセンター特化、都市部や富裕層エリアの一等地に物件保有、体験型テナント重視でEコマース影響を最小化
  • 競合との差別化: Simon Property Group・Kimco Realty・Regency Centersとの比較、最高品質の立地と富裕層エリア特化、S&P500で唯一の小売REIT
  • 財務・配当の実績: Q2 2025 FFO 1.91ドル、POI成長率2.8%、占有率93.6%・リース率95.9%、配当利回り4.58%
  • リスク要因: ワシントンDC市場25%エクスポージャー(政府縮小リスク)、Eコマース競争、金利上昇による不動産評価額下落、REIT配当の二重課税

(約280字)

1. なぜフェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト(FRT)が注目されているのか

(1) 成長戦略の3つのポイント

フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト(以下、フェデラル・リアルティ)は、以下の3つの成長戦略で投資家の注目を集めています。

① 厳選された買収戦略
2025年に裕福なカンザス州リーウッドのタウンセンタープラザ(2.89億ドル)、カリフォルニア州モントレーのデルモンテショッピングセンター(1.235億ドル)を買収し、カンザスシティ地域に新規参入しました。これまで東海岸・西海岸の沿岸市場に集中していましたが、内陸部の富裕層エリアにも進出し、ポートフォリオの地理的多様化を図っています。

② プレミアム市場とテナントミックスに注力
富裕層の多い市場で不可欠な不動産を保有し、企業セグメントがQ2 FY25で製品予約の69%を占めています。比較可能物件営業利益(POI)成長率2.8%を達成し、高品質テナントの賃料上昇が収益を支えています。

③ 開発プログラムの再開
収益への影響を最小限に抑えた的を絞ったプロジェクトに注力し、成長機会と健全な財務管理のバランスを追求しています。従来の沿岸市場を超えて他の富裕地域への買収機会を模索しています。

(2) 注目テーマ(厳選買収、プレミアム市場、リーシング強化)

選択的買収とポートフォリオ拡大
フェデラル・リアルティは、人口密度が高く裕福なコミュニティに焦点を当てており、他のどの小売REITよりも高い平均立地人口密度と世帯収入を実現しています。カンザスシティ地域への新規参入により、内陸部の富裕層エリアでも市場シェアを拡大しています。

高品質・高立地物件への注力
Whole Foods、Apple Store、Lululemonなどの高品質テナントが中心で、Eコマースの影響を受けにくい「体験型」テナント(レストラン、ジム、美容サロン等)の比率を高める戦略を取っています。これらのテナントは、オンラインでは代替できないサービスを提供しており、安定した賃料収入が期待できます。

リーシング活動の強化と賃料上昇
Q1 2025には87件のリース契約(368,759平方フィート、平均賃料40.63ドル/平方フィート)を締結し、キャッシュベースで6%、ストレートラインベースで17%のロールオーバー成長を達成しました。既存テナントの契約更新時に賃料を引き上げる戦略が功を奏しています。

(3) 投資家の関心・懸念点

投資家の関心ポイント

  • 56年連続増配の記録: S&P500構成銘柄で唯一の小売REITであり、配当貴族銘柄(25年以上連続増配)としても知られています。現在の配当利回りは4.58%です。
  • 堅調なFFO成長: 2025年のFFO成長率を約6%(1株7.17ドル)と予想し、3-4%の比較可能POI成長を見込んでいます。
  • 高い占有率: 比較可能ポートフォリオ占有率93.6%、リース率95.9%で前年比それぞれ180bps、160bps上昇しました。
  • アナリストの評価: アナリストの平均目標株価は96~137ドルで、コンセンサスは2.0(慎重ながらも楽観的)です。

投資家の懸念ポイント

  • ワシントンDC市場への25%のエクスポージャー: 連邦政府の人員削減の可能性により、DC市場での賃料安定性と資産価値に対する懸念が投資家心理に影響しています。
  • Eコマースの逆風とレバレッジへの懸念: 高いPE比率と資産リターンのマイナスが懸念材料です。リーシング速度の低下や資本コストの上昇が予測リターンを制限する可能性があります。
  • 純利益ガイダンスの低さ: 純利益ガイダンス(1株3.00~3.12ドル)が投資家の売却理由の一つとなっています(コンセンサス予想は3.13ドル)。

2. フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラストの事業内容・成長戦略

(1) 主力事業(高級ショッピングセンター、都市部一等地物件)

フェデラル・リアルティは、高級ショッピングセンターに特化したREIT(不動産投資信託)です。以下のような物件を保有・運営しています。

物件の特徴

  • 都市部や富裕層エリアの一等地: ワシントンDC、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ボストンなど、人口密度が高く世帯収入が高いエリアに物件を集中させています。
  • 高品質テナント: Whole Foods、Apple Store、Lululemon、Trader Joe's、Nordstrom等の高品質小売店や、レストラン、ジム、美容サロンなどの体験型サービスが中心です。
  • 体験型テナント重視: Eコマースで代替できないサービス(飲食、フィットネス、美容、医療等)の比率を高め、オンライン化の影響を最小化しています。

ポートフォリオの規模
2025年時点で、約105の物件を保有しており、総賃貸可能面積は約2,400万平方フィートです。ワシントンDC市場が資産の25%を占めており、次いでニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスが大きなシェアを持っています。

(2) セクター・業種の説明(小売REIT、配当貴族)

フェデラル・リアルティは、Real Estateセクター、Retail REITsインダストリーに分類される企業です。

REITとは
REIT(Real Estate Investment Trust:不動産投資信託)は、不動産を所有・運営し、賃料収入や売却益を投資家に配当として還元する投資法人です。米国では、利益の90%以上を配当する義務があり、通常の株式よりも高配当となる傾向があります。

小売REITの特徴
小売REITは、ショッピングセンター、モール、ストリップモール(路面店)などを所有・運営するREITです。賃料収入がメインの収益源で、テナントの売上や景気動向に左右されやすい特性があります。

配当貴族銘柄
フェデラル・リアルティは、56年連続増配を誇る配当貴族銘柄です。配当貴族とは、25年以上連続で増配を続けている企業を指し、S&P500構成銘柄の中でも特に配当政策が安定している企業として知られています。フェデラル・リアルティは、米国REITの中で最長の年次配当率増加記録を保持しています。

(3) ビジネスモデルの特徴(56年連続増配、体験型テナント重視)

56年連続増配の秘訣
フェデラル・リアルティの連続増配記録は、以下の要因によって支えられています:

  • 最高品質の立地: 都市部や富裕層エリアの一等地に物件を保有し、賃料収入が安定しています。
  • 高品質テナント: Whole Foods、Apple Store、Lululemon等の優良企業がテナントとなっており、テナント倒産リスクが低いです。
  • 体験型テナントの増加: Eコマースで代替できないサービス(飲食、フィットネス、美容等)の比率を高め、オンライン化の影響を最小化しています。
  • 財務健全性: 保守的なレバレッジ(負債比率)と強固なバランスシートにより、景気後退期でも配当を維持できる体制を整えています。

体験型テナント重視の戦略
フェデラル・リアルティは、Eコマースの影響を受けにくい「体験型」テナントの比率を高めています。例えば:

  • レストラン・カフェ: オンラインでは代替できない飲食体験を提供
  • フィットネスジム: 対面でのトレーニング指導やコミュニティ体験を提供
  • 美容サロン・スパ: 対面でのサービスが必須
  • 医療・歯科クリニック: オンライン診療では対応できない治療を提供

これらのテナントは、オンライン化の影響を受けにくく、安定した賃料収入が期待できます。

REIT特有の税制
REITは、利益の90%以上を配当として分配することで、法人税が免除されます。そのため、通常の株式会社よりも高配当となる傾向があります。ただし、投資家にとっては、米国で30%の源泉徴収が行われ、日本でも20.315%の課税がされるため、二重課税の問題があります。確定申告で外国税額控除を申請することで、一部還付を受けることができます。

3. 競合との差別化

(1) 主要競合企業(Simon Property Group、Kimco Realty、Regency Centers)

フェデラル・リアルティの主な競合企業は以下の通りです。

① Simon Property Group(SPG)
米国最大のモールREITで、時価総額は約600億ドルです。大型ショッピングモール(例: King of Prussia Mall、Mall of America等)を中心に展開しており、フェデラル・リアルティとは物件タイプが異なります。Simonは大型モール、フェデラル・リアルティは近隣型・コミュニティ型のショッピングセンターに特化しています。

② Kimco Realty(KIM)
近隣型ショッピングセンター(Neighborhood Shopping Centers)に特化したREITで、時価総額は約120億ドルです。食品スーパーやドラッグストアをアンカーテナントとし、日常的な買い物需要を取り込んでいます。フェデラル・リアルティと似た物件タイプですが、Kimcoは郊外型、フェデラル・リアルティは都市部・富裕層エリアに特化している点で差別化されています。

③ Regency Centers(REG)
コミュニティ型ショッピングセンター(Community Shopping Centers)に特化したREITで、時価総額は約120億ドルです。食品スーパーをアンカーテナントとし、住宅地近くに物件を展開しています。フェデラル・リアルティと同様に近隣型・コミュニティ型に特化していますが、Regencyは食品スーパー中心、フェデラル・リアルティは高級小売店・体験型テナント中心という違いがあります。

(2) 競合優位性(最高品質の立地、富裕層エリア特化、長期増配記録)

フェデラル・リアルティの競合優位性は以下の3点です。

① 最高品質の立地
フェデラル・リアルティは、他のどの小売REITよりも高い平均立地人口密度と世帯収入を実現しています。ワシントンDC、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ボストンなど、米国の主要都市部や富裕層エリアの一等地に物件を保有しており、賃料水準が高く安定しています。

② 富裕層エリア特化
富裕層の多い市場で不可欠な不動産を保有しており、購買力の高い消費者にリーチできるテナントが集まります。Whole Foods、Apple Store、Lululemon等の高品質テナントは、富裕層エリアでの出店を好むため、フェデラル・リアルティの物件は高い需要があります。

③ 長期増配記録(56年連続)
フェデラル・リアルティは、米国REITの中で最長の年次配当率増加記録(56年連続)を保持しています。最も厳しい経済サイクル(2008年の金融危機、2020年のコロナ禍等)でも配当を維持・増配してきた実績があり、配当投資家にとって信頼性の高い銘柄です。

(3) 市場でのポジショニング(S&P500唯一の小売REIT)

S&P500構成銘柄で唯一の小売REIT
フェデラル・リアルティは、S&P500構成銘柄の中で唯一の小売REITです。Simon Property Group(大型モールREIT)もS&P500に含まれていますが、フェデラル・リアルティは近隣型・コミュニティ型のショッピングセンターに特化している点で差別化されています。

配当貴族銘柄としての評価
56年連続増配の実績により、配当貴族銘柄として高く評価されています。配当投資家にとって、長期的に安定した配当収入を得られる銘柄として人気があります。

市場での評価
アナリストの平均目標株価は96~137ドルで、コンセンサスは2.0(慎重ながらも楽観的)です。ワシントンDC市場への25%エクスポージャーや、Eコマース競争の影響が懸念されていますが、高品質立地と体験型テナント戦略により、長期的な成長が期待されています。

4. 財務・配当の実績

(1) 売上高・利益の推移(Q2 2025 FFO 1.91ドル、POI成長率2.8%)

フェデラル・リアルティの最新決算(Q2 2025)は以下の通りです。

Q2 2025決算ハイライト

  • FFO(Funds From Operations): 1株1.91ドル(NMTC収益0.15ドル含む)
  • EPS(1株当たり利益): 1.78ドル(予想0.73ドルを大幅に上回る)
  • 比較可能ポートフォリオ占有率: 93.6%(前年比180bps上昇)
  • リース率: 95.9%(前年比160bps上昇)
  • 比較可能POI成長率: 2.8%

Q1 2025決算ハイライト

  • FFO: 1株1.70ドル(前年1.64ドル、前年比3.7%増)
  • 純利益: 1株0.72ドル(前年0.66ドル)
  • リース契約: 87件(368,759平方フィート、平均賃料40.63ドル/平方フィート)
  • ロールオーバー成長: キャッシュベースで6%、ストレートラインベースで17%

2025年通期見通し

  • FFO成長率: 約6%(1株7.17ドル)
  • 比較可能POI成長率: 3-4%

※2025年10月時点の予想です。最新情報はFederal Realty Investment Trust公式IRページをご確認ください。
(出典: Federal Realty Investment Trust Q2 2025 Earnings Call Transcript, Investing.com)

FFOとは
FFO(Funds From Operations)は、REITの収益力を測る指標で、純利益に減価償却費を加算し、物件売却益を除外して算出します。REITは不動産を保有するため、減価償却費が大きく計上されますが、実際には現金支出を伴わないため、FFOがキャッシュフローベースの収益力を示す指標として重視されます。

(2) 配当履歴(56年連続増配、配当利回り4.58%)

フェデラル・リアルティは、56年連続増配を誇る配当貴族銘柄です。

配当のポイント

  • 配当利回り: 約4.58%(2025年時点)
  • 連続増配記録: 56年(米国REITの中で最長)
  • 配当性向: REITは利益の90%以上を配当する義務があるため、通常の株式よりも高配当です

米国REITの配当課税(重要)
米国REITの配当には、米国で30%、日本で20.315%の源泉徴収が行われます(NISA口座でも米国での30%源泉徴収は免除されません)。確定申告で外国税額控除を申請することで、米国で課税された30%の一部を日本の所得税・住民税から差し引くことができます。

計算例(1万ドルの配当を受け取る場合)

  1. 米国で30%源泉徴収:1万ドル × 30% = 3,000ドル徴収
  2. 手取り:7,000ドル
  3. 日本で20.315%課税:7,000ドル × 20.315% = 約1,422ドル徴収
  4. 最終手取り:約5,578ドル
  5. 外国税額控除を申請すると、米国で課税された3,000ドルの一部が還付されます(還付額は所得や控除額により異なります)

詳細は本サイトの別コラム「米国株の税金ガイド」をご参照ください。

(3) 財務健全性(占有率93.6%、リース率95.9%)

フェデラル・リアルティの財務健全性は、以下の指標で確認できます。

占有率(Occupancy Rate)
占有率は、全賃貸可能面積に対する実際に賃貸されている面積の割合です。Q2 2025時点で93.6%(前年比180bps上昇)と高水準を維持しており、空室リスクが低いことを示しています。

リース率(Leased Rate)
リース率は、リース契約が締結されている面積の割合で、占有率よりも先行指標となります。Q2 2025時点で95.9%(前年比160bps上昇)と高水準であり、将来的な収益増加が期待できます。

比較可能POI成長率
比較可能物件営業利益(POI)成長率は、同一物件ベースでの賃料収入から運営費用を差し引いた利益の成長率です。Q2 2025で2.8%の成長を達成しており、賃料上昇が順調に進んでいることを示しています。

懸念点:レバレッジと資本コスト
一部のアナリストは、フェデラル・リアルティのレバレッジ(負債比率)と資本コストの上昇を懸念しています。金利上昇局面では、借入コストが増加し、新規開発や買収のハードルが上がる可能性があります。

5. リスク要因

(1) 事業リスク(ワシントンDC市場25%エクスポージャー、政府縮小影響)

フェデラル・リアルティは、以下の事業リスクに直面しています。

ワシントンDC市場への25%エクスポージャー
フェデラル・リアルティの資産の25%がワシントンDC市場に集中しています。連邦政府の人員削減(DOGE: Department of Government Efficiencyによる縮小計画)が実施された場合、DC市場での賃料安定性と資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。政府関連の雇用が減少すると、消費支出が減少し、テナントの売上が低迷する恐れがあります。

テナント倒産リスク
小売業は景気変動に敏感で、景気後退期にはテナントの売上が減少し、倒産リスクが高まります。フェデラル・リアルティは高品質テナント(Whole Foods、Apple Store等)を中心に展開していますが、小売業全体の不振が影響する可能性があります。

(2) 市場環境リスク(Eコマース競争、小売業不振、金利上昇)

フェデラル・リアルティは、以下の市場環境リスクに影響を受けます。

Eコマース競争
Amazonやその他のEコマースプラットフォームの成長により、実店舗での買い物需要が減少しています。フェデラル・リアルティは体験型テナント(レストラン、ジム、美容サロン等)の比率を高めることで、Eコマースの影響を最小化していますが、小売業全体の構造変化は長期的なリスクです。

金利上昇による不動産評価額下落
金利が上昇すると、不動産の割引率が上昇し、不動産評価額が下落します。REITの株価は不動産評価額に連動する傾向があるため、金利上昇局面では株価が下落するリスクがあります。また、借入コストが増加し、新規開発や買収のハードルが上がる可能性があります。

為替リスク
日本人投資家にとっては、為替リスクも重要です。円高になると、ドル建て資産の円換算額が減少します。為替レートは1ドル=140-150円程度の変動幅を想定しておく必要があります(2025年10月時点)。

(3) 規制・競争リスク(REIT税制変更、不動産市場変動、テナント倒産)

フェデラル・リアルティは、以下の規制・競争リスクに直面しています。

REIT税制変更のリスク
REITは、利益の90%以上を配当することで法人税が免除されています。この税制が変更された場合、配当利回りが低下する可能性があります。また、米国での配当源泉徴収税率(現在30%)が変更されるリスクもあります。

不動産市場の変動
不動産市場は景気サイクルに敏感で、景気後退期には賃料収入が減少し、物件評価額が下落します。フェデラル・リアルティは都市部や富裕層エリアの一等地に物件を保有しているため、他の小売REITよりも安定していますが、市場全体の変動には影響を受けます。

競争激化
他の小売REITや不動産開発会社との競争が激化しており、優良物件の取得や優良テナントの誘致が難しくなっています。フェデラル・リアルティは高品質立地と長期増配記録で差別化していますが、競争優位性の維持が課題です。

6. まとめ:投資判断のポイント

(1) この銘柄の強み(56年連続増配、高品質立地、体験型テナント)

フェデラル・リアルティの強みは以下の3点です。

① 56年連続増配の実績
米国REITの中で最長の年次配当率増加記録(56年連続)を保持しており、配当投資家にとって信頼性の高い銘柄です。最も厳しい経済サイクル(2008年の金融危機、2020年のコロナ禍等)でも配当を維持・増配してきた実績があります。

② 最高品質の立地
ワシントンDC、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ボストンなど、米国の主要都市部や富裕層エリアの一等地に物件を保有しており、賃料水準が高く安定しています。

③ 体験型テナント重視
Eコマースで代替できないサービス(飲食、フィットネス、美容等)の比率を高め、オンライン化の影響を最小化しています。Whole Foods、Apple Store、Lululemon等の高品質テナントが中心で、テナント倒産リスクが低いです。

(2) リスク要因(再掲)

フェデラル・リアルティのリスク要因は以下の3点です。

① ワシントンDC市場への25%エクスポージャー
連邦政府の人員削減が実施された場合、DC市場での賃料安定性と資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

② Eコマース競争と小売業不振
Amazonやその他のEコマースプラットフォームの成長により、実店舗での買い物需要が減少しています。体験型テナント戦略で影響を最小化していますが、小売業全体の構造変化は長期的なリスクです。

③ 金利上昇による不動産評価額下落
金利が上昇すると、不動産評価額が下落し、REITの株価が下落するリスクがあります。また、借入コストが増加し、新規開発や買収のハードルが上がる可能性があります。

(3) 向いている投資家(配当重視、REIT理解、インカムゲイン志向)

フェデラル・リアルティは、以下のような投資家に向いています。

① 配当を重視するインカムゲイン志向の投資家
56年連続増配の実績と配当利回り4.58%(2025年時点)は、配当投資家にとって魅力的です。安定した配当収入を得たい投資家に適しています。

② REITの税制を理解している投資家
米国REITの配当は米国で30%、日本で20.315%の源泉徴収が行われます(二重課税)。確定申告で外国税額控除を申請することで一部還付を受けられますが、税務手続きが複雑です。REIT特有の税制を理解している投資家に向いています。

③ 長期投資家
56年連続増配の実績と高品質立地により、長期的な成長が期待できます。一方、ワシントンDC市場へのエクスポージャーやEコマース競争のリスクもあるため、短期的な株価変動に一喜一憂せず、中長期的な視点で保有できる投資家に適しています。

免責事項
本記事は情報提供を目的としており、個別銘柄の推奨や投資助言を行うものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。米国株投資には為替リスク、不動産市場リスク、税務リスクなどが伴います。最新の財務データやリスク要因については、Federal Realty Investment Trust公式IRページやSEC EDGAR(10-K、10-Q)をご確認ください。

Q: フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラストの配当利回りは?

A: 約4.58%です(2025年時点)。56年連続増配を続ける配当貴族銘柄で、米国REITの中で最長の年次配当率増加記録を保持しています。REITは利益の90%以上を配当する義務があるため、通常の株式より高配当です。ただし、米国REITの配当は米国で30%源泉徴収されるため、確定申告で外国税額控除を申請する必要があります。新NISA口座でも米国での30%源泉徴収は免除されません。最新の配当利回りはYahoo FinanceのFRT銘柄ページをご参照ください。

Q: フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラストの主な競合は?

A: Simon Property Group(大型モールREIT)、Kimco Realty(近隣型ショッピングセンター)、Regency Centers(コミュニティ型ショッピングセンター)などです。フェデラル・リアルティは都市部や富裕層エリアの一等地に特化し、Whole Foods、Apple Store、Lululemon等の高品質テナントを中心に展開することで差別化しています。S&P500構成銘柄で唯一の小売REITであり、56年連続増配の実績があります。

Q: フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラストのリスク要因は?

A: ワシントンDC市場への25%エクスポージャー(連邦政府縮小リスク)、Eコマース競争、金利上昇による不動産評価額下落、小売テナントの業績不振、REIT配当の二重課税(米国30%、日本20.315%)などがあります。特にワシントンDC市場への集中は、政府の人員削減政策が賃料収入と物件価値に影響する可能性があり、投資家の懸念材料となっています。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。

Q: フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラストは長期投資に向いている?

A: 配当を重視し、REITの税制を理解しているインカムゲイン志向の投資家に向いています。56年連続増配の実績と高品質立地が強みで、長期的な配当収入が期待できます。ただし、米国REITの配当は米国で30%、日本で20.315%の源泉徴収が行われる(二重課税)ため、確定申告で外国税額控除を申請する必要があります。為替リスクも考慮し、リスク許容度を確認してから投資判断をしてください。投資判断はご自身の責任で行ってください。

Q: 米国REITの税金はどうなる?

A: 米国で30%源泉徴収後、日本で20.315%課税されます(二重課税)。例えば1万ドルの配当を受け取る場合、米国で3,000ドル徴収され、手取り7,000ドルに対して日本で約1,422ドル課税され、最終手取りは約5,578ドルとなります。確定申告で外国税額控除を申請すると、米国で課税された3,000ドルの一部が還付されます(還付額は所得や控除額により異なります)。新NISA口座でも米国での30%源泉徴収は免除されません。詳しくは税務の専門家にご相談ください。

よくある質問

Q1フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラストの配当利回りは?

A1約4.58%です(2025年時点)。56年連続増配を続ける配当貴族銘柄で、米国REITの中で最長の年次配当率増加記録を保持しています。REITは利益の90%以上を配当する義務があるため、通常の株式より高配当です。ただし、米国REITの配当は米国で30%源泉徴収されるため、確定申告で外国税額控除を申請する必要があります。新NISA口座でも米国での30%源泉徴収は免除されません。最新の配当利回りはYahoo FinanceのFRT銘柄ページをご参照ください。

Q2フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラストの主な競合は?

A2Simon Property Group(大型モールREIT)、Kimco Realty(近隣型ショッピングセンター)、Regency Centers(コミュニティ型ショッピングセンター)などです。フェデラル・リアルティは都市部や富裕層エリアの一等地に特化し、Whole Foods、Apple Store、Lululemon等の高品質テナントを中心に展開することで差別化しています。S&P500構成銘柄で唯一の小売REITであり、56年連続増配の実績があります。

Q3フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラストのリスク要因は?

A3ワシントンDC市場への25%エクスポージャー(連邦政府縮小リスク)、Eコマース競争、金利上昇による不動産評価額下落、小売テナントの業績不振、REIT配当の二重課税(米国30%、日本20.315%)などがあります。特にワシントンDC市場への集中は、政府の人員削減政策が賃料収入と物件価値に影響する可能性があり、投資家の懸念材料となっています。詳細は本文のリスク要因セクションを参照してください。

Q4フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラストは長期投資に向いている?

A4配当を重視し、REITの税制を理解しているインカムゲイン志向の投資家に向いています。56年連続増配の実績と高品質立地が強みで、長期的な配当収入が期待できます。ただし、米国REITの配当は米国で30%、日本で20.315%の源泉徴収が行われる(二重課税)ため、確定申告で外国税額控除を申請する必要があります。為替リスクも考慮し、リスク許容度を確認してから投資判断をしてください。投資判断はご自身の責任で行ってください。

Q5米国REITの税金はどうなる?

A5米国で30%源泉徴収後、日本で20.315%課税されます(二重課税)。例えば1万ドルの配当を受け取る場合、米国で3,000ドル徴収され、手取り7,000ドルに対して日本で約1,422ドル課税され、最終手取りは約5,578ドルとなります。確定申告で外国税額控除を申請すると、米国で課税された3,000ドルの一部が還付されます(還付額は所得や控除額により異なります)。新NISA口座でも米国での30%源泉徴収は免除されません。詳しくは税務の専門家にご相談ください。